「戦う前に質問しとくが・・・・・・テメェの勝率は何%か知ってるか?」 「100」 「0だ」 ブラッドが動いた。 技はもちろん・・・・・・破壊光線。 「そんなトロ光線あたるか」 カイはサイドステップで破壊光線をかわすと、ボールを1つ、ブラッドに向かって投げた。 ボールから出てきた“何か”はすぐに消えうせた。 ブラッドがその“何か”を目で探す。 そして、気が付いたときには・・・・・・・・。 自分の顔面に、小さな拳が炸裂していた。 ***************  リベンジャー  第37話「カイVSブラッド」 *************** ブラッドは殴り飛ばされた。 受身を取り、自分を殴り飛ばした犯人を特定する。 犯人は・・・・・・・1匹のピカチュウ、ライラ。 ライラはいつしか自分の街を破壊した敵を、殺意のこもった目で睨みつける。 次にブラッドは、背後に殺意を感じた。 ブラッドが考える前に、身体が動いた。 その場でしゃがみ、殺意にこもった攻撃をかわす。 ブラッドがしゃがんだまま、振り返る。 そこには、殺意を剥き出しにした、リザード、カゲロウの姿があった。 ブラッドはすぐに次の殺意を感じる。殺意の矛先は・・・・・・右。 ブラッドはその体格には似合わないほど高くジャンプする。 ブラッドがいた場所に、巨大な水流が通り過ぎた。 水流の発信源は、建物の影にいるゴルダックのクーラル。 ブラッドは絶えることのない次の殺意を真上に感じた。 空中で身動きの出来ないブラッドは、真上からの攻撃をもろに受ける。 ブラッドの上に乗っかったその球体の物体は、そのままブラッドをコンクリートにたたきつけた。 「ク・・・・・!」 コンクリートがハデに割れる。 ブラッドはすぐに体制を立て直す。 球状の物体・・・・・・サンドのスピンはバウンドし、綺麗に着地する。 ブラッドの目の前にいる4匹のポケモン。 ライラ、カゲロウ、クーラル、スピンは、皆、体中に殺意を漲らさせ、ブラッドに対峙する。 カイは、鋭い目でブラッドを睨みつける。 そこでブラッドは妙なことに気が付いた。 何故4匹? 1匹だけを出すのは普通。 2匹ではコンボを組みやすい。 後は・・・・・・総攻撃が出来る、6匹・・・・・・・・・。 ブラッドは自分に投げかけた疑問をすぐに解読した。 何故4匹なのか? 6匹の総攻撃するのなら、2匹足りない。 要するに、残りの2匹はこの廃墟のどこかに隠れている。 うかつに動けば、奇襲を受ける。 ブラッドを、今までにない緊張感が襲う。 「どうした?ブラッド。  コウたちと戦ってたときは、バンバン破壊光線撃ってたのに、急に大人しくなっちまったな」 カイの言葉は、妙に自信が混じっていた。 これは罠だ。 ブラッドは直感でそう考えた。 が、そんな直感もすぐに次の攻撃でかき消される。 またしても殺意を感じ取ったブラッドは、急いで振り返る。 が、気付くのが少し遅れた。 後ろから現れたのは黒い影・・・・・・・リングだった。 「リング!“黒い束縛”!」 リングがその目を光らせる。 すると、ブラッドの目の前に無数の巨大な黒い瞳が現れ、絡みつくようにブラッドに巻きついた。 奇怪な瞳に縛り付けられ、動けなくなるブラッド。 ・・・・・・刹那。 『風・・・・・斬・・・・・・』 聞きなれない声が、後ろから聞こえてくる。 わかっているのは、それがポケモンだということだけ。 『核!!』 その言葉と同時に、ブラッドの背中に激痛が襲った。 「どうした?てめぇ、あれだけ言っておきながら随分弱ェじゃねぇか」 ひざまずいて顔をしかめるブラッド。 カイはそれを腕組しながら睨みつける。 カイの前では、彼の仲間たちが横一列に並んで睨みつける。 「フ・・・・ククク・・・・・」 ブラッドが、不気味な声で笑い出した。 「?何が可笑しい!」 「何が可笑しいってか・・・・・・・そりゃあ・・・・・・・」 ブラッドが顔をあげた。 そこには、妙ににやけた顔があった。 「弱ェヤツほど・・・・・・・つけあがるモンだなァって・・・・・思ってなァ・・・・・・」 「何・・・・・・・!?」 「まだわからねぇのか・・・・・・・・・?  俺ァまだ実力の半分も出してねぇってことさ」 「だからどうした。本気を出したって大して変わらねぇんだろ。  さて、そろそろ俺の母さんの仇・・・・・・とらせてもらうぞ!」 「へ・・・・・・人1人死んだくれぇでガタガタぬかすんじゃねぇよ」 「!てめぇ・・・・・・・!!」 ブラッドが立ち上がった。 それに反応して、ライラたちも構えを取る。 「来い。  俺の本当の実力を見せてやる」 「・・・・・・!そのセリフ・・・・・・後悔させてやらァ!」 その言葉とともに、ライラたちが飛んだ。 ライラたちは、一斉にブラッドに襲い掛かる。 「・・・・・・・!?」 その時だった。 ライラが先陣にきりこんだのだが、異変が起きた。 決して素早いわけではないバンギラスが、ライラの眼前で突然消えうせたのである。 『何処へ・・・・・・・!?』 ライラがあたりを見渡し、ブラッドを探すが何処にも見当たらない。 ・・・・・・・刹那。 「さっきの先制パンチは・・・・・・結構効いたぜぇ・・・・・・・!」 ライラの背後から聞こえてきたその声に、ライラは震え上がる。 そして、気が付いたときには、ライラは崩れたビルの瓦礫にたたきつけられていた。 「ライラァ!」 『・・・・・・!!この野郎!』 ライラを攻撃したばかりで、隙だらけのブラッドの背後からリングが襲い掛かる。 が、またしてもブラッドの姿が消えうせた。 そして・・・・・・・。 「奇怪な技を使うブラッキーだぜ・・・・・・・!!」 リングが振り返るまもなく、地面に叩きつけられた。 『!ぐあぁ!』 「リング!・・・・!?クーラルあぶねぇ!!」 「あぶねぇ水流作んじゃねぇよ・・・・・・・!」 ブラッドの豪腕がクーラルの背中に打ち込まれた。 クーラルもなすすべもなく、瓦礫に突っ込んだ。 「随分とまぁ思いっきりのしかかってくれたもんだ・・・・・!」 その声が、スピンの後ろから聞こえてきた。 戦いなれているわけではないスピンが、一瞬で震え上がる。 クーラルと同じように、ブラッドの豪腕がスピンを捕らえた。 見事に吹っ飛ぶスピン。 『うわあぁぁぁぁぁぁ!!』 「!?スピン!大丈夫かァ!!?」 「実際よォ・・・・・・テメェのが一番痛かったぜ・・・・・!」 次に狙われたのはカゼマルだった。 『・・・・!?いつの間に背後へ・・・・・・!?』 カゼマルの名は、“風のように速いから”という理由でつけられていただけあって、かなりの素早さを誇っていたハズである。 が、そのカゼマルでさえ、ブラッドに背後へ回りこまれてしまったのである。 何とか振り返ったが、防御をする暇もなく殴り飛ばされる。 カゼマルはなすすべもなく、地面を転がり動かなくなる。 その時。 「!?ク!」 ブラッドの背後から迫っていたその“気配”は、ブラッドの隙をつき、背中を切り裂こうとした。 が、寸前で気付かれ、“気配”の攻撃は空振りする。 ブラッドはその場から飛び、“気配”と距離をとる。 「!てめぇか・・・・・・」 唯一ブラッドの隙を突いた“気配”の正体は・・・・・・・カゲロウ。 『よくもまぁ俺の仲間をボコボコにしてくれたモンだ・・・・・・・。  俺はそうはいかないぜ』 「フン・・・・・・・てめぇも他のヤツと大して変わらねぇんだろう・・・・・・・?  瞬殺してくれる・・・・・・・!」 「カゲロウ・・・・・」 不意に、カゲロウの後ろから声がしてきた。 声の主は・・・・・カイ。 「カゲロウ、気をつけろ。皆を数秒で片付けたヤツだ。  油断すればやられるぞ・・・・・・!!」 カゲロウは振り返らずにカイの忠告を聞く。 その目は、復讐の炎で燃え上がっていた。 それに共鳴するように、尾の炎も燃え上がる。 『・・・・カゲ・・・・・・ロウ・・・・・・・』 かすれた声が、何処からか聞こえてくる。 カゲロウがあたりを見渡すと、声の主の場所はすぐに確認できた。 近くの瓦礫に埋もれかけた、ライラ。 『負ける・・・・・な・・よ・・・・・・!』 ライラが出来る限りの笑顔で、そう言った。 『・・・・・・ああ。絶対に負けねぇ!』 炎は、燃え上がる・・・・・・!!  つづく  あとがき ぶっちゃけて言うと、ブラッド強くしすぎました。(笑) まぁ設定ではかなりレベル高いことになってまして・・・・・・・。 レベル的にも、タイプ的にも、カゲロウに勝ち目はまるでありません。(オイオイ・・・・・)  次回予告 第38話 生か死か(仮)