************  リベンジャー  第60話「全員集合!」 ************ 某日、セキエイ高原。 巨大な円形状のスタジアムを中心とした、ポケモンリーグ開催地。 天気は快晴、開催を記念とした花火が上がる。 スタジアムへと続くメインストリートの脇には沢山の露店が並んでおり、大勢の人々でにぎわっている。お祭り騒ぎとはこのことだ。 スタジアムに向かって左側に出場者、及び観客用のホテル。 向かって左側には大規模なポケモンセンター。 このポケモンセンターで出場者受付をしている。 ポケモンセンター受付で、参加申込をしている1組の少年少女。 紺のパーカー、青いジーンズ。 スニーカー、そして額に巻かれた青いヘアバンド。 その青いヘアバンドと色がうまく組み合わさった青い髪、青い瞳。 背負っているグレーのリュック。 全体的に青一色の少年。 一方、少女はというと・・・・。 長袖の黒いTシャツ、その上から半そでの赤いTシャツを重ね着している。 すねの辺りで断ち切られたクリーム色の大きめなズボン。 動きやすそうな運動靴。 1本にまとめられた、腰まで伸びた茶髪。 綺麗な茶色の瞳。背負っている黒のリュック。 色とりどりな少女。 2人・・・・・・カイとティナは受付を済ませ、入り口に向かって歩き出した。 自動ドアを通り抜け、2人は脇道にそれ、会話を始めた。 「あいつら、何処で何やってんだか・・・・・・・・・」 「ユウラはしっかり者だから・・・・・・・・たぶんコウに足引っ張られてんじゃない?」 「だろうな・・・・・・・・」 その時、何か風を切る音がした。 見上げると、向こうの空から海の化身と言われるドラゴンポケモン・カイリューが迫ってきているではないか! それと同時、カイリューの下を伝説ポケモン・ウインディが走ってくる。 「やっと来た・・・・・・・」 「遅ぇよまったく・・・・・・・」 2人は2匹のポケモンの突然の出現に驚きもしない。 よく見れば、2匹はそれぞれ人を乗せている。 「いやぁー悪ィ悪ィ!!ちょっと遅れちまったァ!」 カイリューの背に乗っている少年は相変わらずなデカイ声で2人に声をかける。 2人は冷たい目つきで、 「遅い!!」 と叫んだ。 「いやな、今回はちょっと道に迷っちまって・・・・・・・」 「アンタが朝早くから賞味期限切れた牛乳イッキ飲みしてトイレに30分もこもってるから遅れたんでしょうが!!」 追いついてきたウインディに乗った少女が怒鳴った。 少年の服装でまず目立ったのは、オレンジ色のTシャツ・・・・・・の背中に書かれた《勝利》の文字。 達筆で書かれたその言葉は、このリーグへの決意の表れと同時に、他の参加者への挑発ともいえる。 シャツと同じ色の髪、そしてバンダナ。 大きめな焦げ茶のズボン、汚れたスニーカー。 肩に背負ったこれまた薄く汚れた黒いリュック。 真っ黒だが、どこか輝いて見える瞳。 仕切りなしに笑顔の少年、コウ。 対して少女は、少し大人しめな服装。 クリーム色のジャンバー、同じ色のリュック。 足にぴったりフィットした、汚れゼロの白いジーンズとスニーカー。 耳を覆い隠した金髪は、少しだけ毛先がはねている。 ティナと同じ、汚れない茶色の瞳の少女、ユウラ。 2匹をボールに戻し、受付を済ましたコウとユウラはカイとティナと共に、ホテルへと向かった。 チェックインを済ませたカイの表情は、どこか暗かった。 「・・・・・まぁ1人じゃ寂しいけどよ・・・・・・・コウと一緒だと絶対夜寝れなそう・・・・・・」 「まぁいいじゃんかよォ!2人で仲良くしようぜ!」 肩をバンバン叩くコウ、それに抵抗泣く揺さぶられるカイ。 「なんかカイ、大変そう・・・・・・・」 「まぁカイは慣れてるから大丈夫でしょ」 ユウラの心配を軽く流したティナは、カイとコウを呼びエレベーターに乗った。 全10階まであるホテルの7階で止まり、自分達の部屋へと向かった。 部屋はなかなかのイイカンジの洋風の部屋。 奥にある窓から露店が並ぶメインストリートを一望できる。 その窓の前には、大きめなフカフカのベットが二つ・・・・・・。 「!!うおぉぉぉぉぉぉぉ!!」 コウは入ると同時に走り出し、リュックを放りベットへと向かった。 ジャンプし、ベットにヘッドスライディングでつっこむコウ。 「いやぁ〜フカフカだぁ〜・・・・・・・」 といって、半分寝そうになる。 「着いていきなり寝るなアホ」 カイがコウの頬のかかと落し(靴)をいれるが、まるで効果なし。 コウはそのまま夢の中へと旅立っていった。 「ったく・・・・・・・・ん?」 カイの目線の先には、1台のコンピューターがあった。 確か、出場者の名簿が見れると受付の人が言ってたのを思い出したカイは、早速電源を入れた。 画面が表示され、早速名簿を見る。 200名以上の出場者の中から、1人の少年の名前を探した。 そして、見つけた。 エントリーナンバー081 ジン・グローリー 「へへ・・・・・・・やっぱ来てたか」 カイは薄く笑うと、すぐに電源を切った。 とりあえず今日はやることがなく、4人はロビーに設置されたソファーに座り、雑談していた。 その4人に迫る影が、2つ。 「カイ」 「ん?お!ジン!!」 「お、お久しぶりです」 「キキも来てたのか!キキも参加すんのか?」 「あ・・・・いえ、私はバッジを持っていないので・・・・・・・」 いつもの青いジャンバー、黒いズボン。 女の目を引きそうな綺麗な銀髪、黒い瞳。 相変わらず無表情・・・・・・というよりもポーカーフェイスのジン。 黒いノースリーブのシャツ、大きめな白い半ズボン、膝まで覆い隠した黒のソックス。 ツインテールにしたさらさらな薄い青色の髪。 汚れのない黒い瞳のキキ。 4人の輪から外れ、グローリー兄妹と会話しだしたカイの耳を、コウが思いっきり引っ張った。 「イテテッ!何すんだ!」 すると、コウはカイの耳に口を近づけ、小さな声で耳打ちしだした。 「おい!誰だこのカワイコちゃんは!」 「え?あ、キキのことか?」 「キキ!?キキちゃんっていうのか!?」 「え?まぁ・・・・・・・・・・」 ちょっと興奮気味なコウが身を乗り出し、 「俺はコウ!好きなものはラーメン!嫌いなものは辛いもの!ヨロシクゥ!」 「・・・・・・・・・!?えっと・・・・・はぁ・・・・・・」 突然自己紹介され、戸惑うキキ。 とりあえずユウラの鉄拳を顔面に受けたコウはそのまま昏倒する。 全員がキキに自己紹介を済ませ、ある話題で盛り上がっていた。 内容は、このリーグについて。 「とりあえず、明日の予選会は突破しなきゃな。  コレ突破しなきゃ開会式にすら出れねぇぞ」 「・・・・・・・・・・予選って、何すんだっけ?」 「コウ・・・・あんた大会パンフレット見た?」 「え!?んなモンあんのか!?」 コウ以外のその場にいた全員が、同時に心の中で「オイオイオイオイ・・・・・・・」とツッコミを入れたのは言うまでもない。 「ユウラ、説明してやってくれ・・・・・・・・・俺なんか頭痛くなってきた・・・・・・・」 「あたしぃ!?めんどくさ・・・・・・・。  いい?コウ、めんどくさいから一度しか説明しないよ!  一発でそのしわゼロの脳みそに刻み込んじゃってちょうだい!」 ユウラの説明を簡略化するとこうである。 まず、このリーグの出場者200名以上の中から64名に絞るのが、予選。 予選では、ランダムに決められた相手と戦っていって、3勝すれば予選勝ち抜け。 よーするに早い者勝ちで、最後の合格者が複数名いた場合、合格者同士でバトル。 ちなみにバトルはどちらも1対1。 予選を勝ち抜いた64名は8つのブロックに分かれ、トーナメント戦を行う。 このトーナメントはすべて3対3のバトル。 さらにそれを勝ち抜いた8名が、決勝トーナメントを行う。 決勝トーナメントは6対6。 「・・・・・・・・というワケ、わかった?」 「・・・・・・・・・最初のほう忘れた!」 「殺すわよ」 「御免なさい」 「・・・・・・ところでさ、キキちゃんは部屋何処?」 「え・・・・・・・415号室ですけど・・・・・・・・」 「じゃあ後で遊びに行くから!」 「え・・・・・でも・・・・・・・」 「俺も同室だが」 「!!ぬ・・・・・ぬうわぁにいいぃぃ!!?テメェ卑怯臭ェぞジン!!」 「いや、別に兄妹なんだから・・・・・・・・・」 「もしも侵入してきたら瞬殺してやるからな・・・・・・・・。  ・・・・・・・・・そういえばお前」 「ん?」 「誰だ?」 「・・・・・・・!!?おい!コガネで名前教えたじゃねぇか!!」 「俺は興味のあるヤツの名前しか覚えていない。  この中で名前がわかるのはカイだけだ」 「は!?ちょっとジン!私やユウラに興味がない!?  ジンってものすごく鈍感じゃないのッ!!?」 「ちょ、ちょっとティナ・・・・・・・・」 「なぁ・・・・・・・・・」 「!?何!」 「周り見てみろよ・・・・・・・・」 カイの言葉に全員が辺りを見渡すと、ロビーにいた人たち全員が軽蔑した目で見ている。 一番叫んでいたコウとティナがとりあえず黙り込む。 午後6時を過ぎた。 しばらくその後も雑談した後、ジンが立ち上がった。 「キキ、戻るぞ」 「う、うん」 「カイ」 「ん?」 「予選落ちなんて無様なマネ・・・・・・・・するんじゃないぞ」 「へ・・・・・・!お前もな」 「キ〜キちゃ〜ん!また明日ね〜!」 「コウ・・・・・・・あんたちょっとデレデレしすぎ・・・・」 「!痛ェ痛ェ!耳引っ張るな!」 グローリー兄妹がエレベーターに向かって歩いていくのを見届けた4人は、夕食をとるためにレストランへ移動することにした・・・・・・。 明日、午後1時より、予選スタート・・・・・・・!  つづく    あとがき 短ッ!!また短いです! 手抜きです!(爆) 次回は・・・・・・多分短いです!(オイ)