「俺の予想はな・・・・・・・そうだな、アレだ」 「何?」 「花束」 「絶対無い」 ユウラにツッコまれ、危うくリュウの背中から落ちそうになったコウを、カゲロウの背中の上でカイは微笑しながら見つめる。 すぐに視線を移し、 「ティナ、お前は何だと思う?ヘヴンのプレゼントってヤツ」 「・・・・・・・ゾンビの群れとか」 「気持ち悪いからヤメロ」 彼女のピジョット、ジットの背に乗るティナの表情は、真剣そのものだった。 さっきの発言も、本気混じりに違いない。 再び視線を移し、 「ジンはどう思う?」 「核ミサイル」 「リアル過ぎ。キキちゃんは?」 「・・・・・・・・・ちょっと、思いつきませんね」 ジーテの背に乗るジンは平然と、キキは困り顔で答えた。 再び視線を移し、 「エデンは?」 と、念力で飛び続けるエデンを、カイは横目で聞いた。 「・・・・・・・・・・爆弾とか、そんなところだろう」 *************  リベンジャー  第83話「髑髏サッカー」 ************* 南の海を飛びつつけた一行を待っていたのは、何もない、ただの孤島だった。 ・・・・・・・・・・が、一応歓迎者はいた。 「・・・・・・・・・無残だな」 カイはその光景を一望する。 辺りに広がるのは、見るも無残な瓦礫の平原。 砕けたコンクリートが散らばり、不気味な空気が漂う。 そんな不気味な空気を漂わせるのは、コウの足元に転がる、白い球状のもの。 所々穴が開いたその謎の物体を、コウは拾い上げ、口を苦くする。 「・・・・・・・・・・なーんでこんなモンが転がってんだ?」 コウの手の中にある白い物体の正体、それは・・・・・・・・・。 「あ、あんたなんで骨なんか持ってんのよ!?」 その物体を見て、ユウラは愕然となった。 「バーカ、こーゆーのは骨とはいわねぇ。  人骨、または髑髏と・・・・・・」 「全部同じでしょうが!」 「・・・・・・・・・・・・」 ジンの目の前にある、小さな瓦礫の山。 ジンはその瓦礫の山を、ガツンと蹴る。 ガコンと音がして、瓦礫の山は崩れた。 新たに出来た瓦礫の平原の真ん中辺りを、ジンの視線が集中する。 静かに歩み寄り、“それ”を持ち上げる・・・・・・・・。 瓦礫の中から出てきたそれを見て、キキはユウラと同じように愕然となった。 「お、お兄ちゃん・・・・・・・それ・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・」 ジンが片手でぶら下げているのは、殆ど形を残した人骨。 ボロボロの白衣をかぶせるように着ている。 何も語らぬ歓迎者。 ボロボロの、白骨死体。 「・・・・・・・・ティナの予想も、あながち間違いではないかもな」 ジンの手を離れた人骨が、瓦礫に落ちてガシャンと音を立てて砕けた。 「うおっしゃあ!カイ!パスすんぞ!」 「勝手にやってろ」 髑髏でサッカーをはじめたコウとクロを無視して・・・・・・。 カイは到着してから動かない、エデンに近寄った。 「ここが・・・・・・・あんときビルとその部下を下敷きにしてやろうと思って壊した、研究所の残骸か?」 「・・・・・・・・・・・その通りだ」 カイは怒りの湖で聞いた話を思い出しながら、訊く。 「で、あの野郎はここに何かを置いていったと・・・・・・・でもよ、そんなモン見当たんねぇぞ?」 「・・・・・・・・・・・確かに」 エデンが辺りを見渡すが、目の入るのは自分の仲間、そして瓦礫&白骨平原のみ。 この島のどこかに、ヘヴンが残したプレゼントが隠されている。 そうは分かっていても、その存在を確かめることが出来なければ意味がない。 出来れば見つけたくない。が。見つけなければ無罪の人々がそのプレゼントを受け取ることになる。 見つけなければならない。そして消去しなければならない。 見えないヘヴンの贈り物。 未だに正体を見極めることが出来ない“見えない恐怖”と、エデンは戦っている。 その贈り物が齎すものは、恐らく恐怖だろう。 が、見つけなければならない。 ヘヴンを倒す以前に、彼が放った刺客にやられているわけにはいかない。 「・・・・・・・・・俺たちは、どうすればいい?」 グローリー兄妹、そしてティナとユウラも困惑顔で訊いてくる。 と、その時だ。 「シューーーートッ!!!」 「ぬおっ!?」 コウの放った必殺シュート(髑髏)が、クロのディフェンスを振り切り瓦礫の山に炸裂した。 その衝撃で瓦礫から机の残骸が飛び、派手に音を立てて再び瓦礫の仲間入りする。 「ク・・・・・・・畜生!」 「ふはははは!どうだ見たか!俺の髑髏シュートを!」 「やめねぇかこのバチ当たりが!」 すかさずカイの蹴りがコウの背中に炸裂し、吹っ飛んだコウも瓦礫の仲間入りした。 「あんたねぇ・・・・・・・・・死者を愚弄するのもいい加減にしなさいよ!」 「テ、テメェさっき思いっきりビビってたじゃねーか・・・・・・」 吹っ飛んだ机に近づいていくユウラを、吹っ飛んだコウがゾンビのような眼で見る。 なんとなく、半壊した机を調べてみる。 何か見えたわけではない。 ただ、なんとなく。 壊れた引き出しを無理やり開ける。 そこに入っていたのは・・・・・・・・・。 「・・・・・・・・?何コレ」 ユウラが手にとったのは、1冊のボロボロのノートだった。 全員がその謎のノートを囲む。 カイ、コウ、ティナ、クロ、キキは興味本位で。 ジンは何も考えていない。 エデンだけが、緊迫した表情をしていた。 ユウラが、恐る恐るゆっくりノートの1ページ目を開けてみる・・・・・・・・。 一行目には、こんな言葉が書かれていた。 私は可能性を見つけた。 「・・・・・・・・・・・日記か?こりゃ」 カイがノートを覗き込む。 その文の後も、似たような文字がページ1枚にびっしり書き込まれている。 中もボロボロで、ページは薄く汚れている。 そのボロノートを、エデンは目を細めて見つめた。 「この字は、恐らく・・・・・・・・・」 「ジェド博士のものだ・・・・・・・・」  つづく  あとがき カイ「・・・・・・・・・んん?あれ?俺は何故ココに?」 YAN「フッフッフッフ・・・・・・・・・・」 カイ「お、作者」 YAN「カイよ、お前が何故このあとがきの場にいるのか知りたいか?」 カイ「?」 YAN「教えてやろう・・・・・・・この場所は、“本編からのはみ出し者が集う場所”だ!」 カイ「ええ!?マジでか!?俺主人公のはずだろ!?」 YAN「・・・そんな真に受けるなよこんな冗談・・・・・・・」    簡単な話だ、コウとクロがもう五月蝿くてかなわんのよ」 カイ「で、何故に俺が?」 YAN「今度から、レギュラー全員をこのあとがきの場に呼ぼうと思ってる」 カイ「ジンとかもか?」 YAN「あーゆーキャラとはトークしにくいから飛ばす」 カイ「・・・・・・・まぁジンもこんなトコ来たくないだろうな」 カイ「今回は髑髏がテーマなのか?」 YAN「そーゆーワケじゃなんだけどな・・・・・・・。    ノリだよ、ノリ」 カイ「ぶっちゃけた話、今回短いな」 YAN「いやー・・・・・・なんつーかさ、この辺りで終わらせないと、えらいことになるんだよ」 カイ「えらいこと?」 YAN「いつもの2倍近く長くなる可能性が・・・・・・・・」 カイ「そりゃマズイな」 カイ「次回はどーなる?」 YAN「あの謎のノートの中身で終了」 カイ「オイ」