********* リベンジャー  第13話「勧誘」 ********* 「んんー!よく寝たぁ!」 カイが大きく伸びをしながら、目を覚ました。もちろんストライクの横で寝ていた。 「・・・・よぉ、目ぇ覚めたか」 ストライクの目が開いていた。 その表情は、落ち着いていた。 床に敷かれたタオルの上で、ストライクは黙り込んでいる。 無表情で、カイを横目で睨んでいた。 「お前がボコボコにされてたとこを俺が助けたんだ。俺はカイ、よろしくな」 カイがそう言い終わった直後、ストライクが動いた。 斬りかかろうとしたのだろう、腕がググっと動いたが、体中包帯だらけだったためほとんど動けなかった。 ストライクが心の中で舌打ちする。 「なぁ・・・・一緒に来ねぇか?」 「!?」 突然、カイがストライクを勧誘しだした。 「お前は何度もあの群れに入ろうとしてた事は聞いた。  だが、そのたびに額に傷があるストライク・・・・つまり親玉にやられたんだろう?  俺といればきっと強くなれる・・・・・。一緒に来ねぇか?」 ストライクはまったく話に耳を貸そうとしなかった。 それどころか、目を閉じて再び寝ようとしていた。 「オイオイ・・・・・・仕方ねぇ」 カイが立ち上がった。 そして、部屋の隅にあった椅子の上にある黄色い物体に手を伸ばす。 その黄色い物体から出ている雷の形をした突起物をわしづかみにし、自分の顔の高さまで持ち上げた。 「・・・俺はお前に監視を命令しといたつもりだったが・・・・?ライラ」 「・・・・スー・・・・」 ライラはまだ夢の中を冒険していた。 「・・・・フゥ・・・・・」 カイがため息をついた。そして、 「おきろコラァ!」 カイが突然ライラを投げ飛ばした。 ビタン!! ライラの顔が思いっきり壁に直撃した。 顔面を引きずりながら壁から床に落下したライラはすぐに目を覚ました。 「・・・・起きたか?」 『お、起きました・・・・』 ライラが白目の状態で鼻血をだしながら答える。 「俺はおじさんの手伝いしてくるから。ライラ、お前やることわかってるだろ?」 ライラが無言でうなずいた。 「ん、じゃよろしくたのむぞ」 残された2匹の間に沈黙が走る。 最初に口を開いたのはライラだった。 『・・・やぁ』 『・・・・・・』 『カイに勧誘されたんだろ?それで・・・・』 『俺は行かない』 ストライクは即答した。 その表情は、険しかった。 『あいつについていって強くなれる保障はない』 『保障ならあるよ』 『何?』 『僕たちはみんなカイを慕ってるんだ。  何でかっというと、カイと一緒のいたら強くなれたからさ。  僕の仲間のゴルダック・・・・クーラルってゆうんだけど、クーラルは前は泳げもしないコダックだったんだ。  だけど、カイと出会ってからクーラルは変わった。泳げるようになったし、もちろん強くもなったし、進化もできたんだ。  後、ブラッキーのリングも、最初はめちゃくちゃ弱いイーブイだったんだけど、今じゃあ苦手な格闘タイプにも勝てるようになったんだ』 『俺はゴルダックでもなければ、ブラッキーでもない』 『いやま・・・・・・・そうなんだけど・・・・・』 『・・・・・・・・・・・』 ストライクは黙りこくっていた。 ライラの話を聞いてるうちに、だんだん表情がやわらかくなっていった。 『カイは・・・・・僕たちに力を与えてくれたんだ・・・・・・!』 「だぁもう!一体なんだってんだよ!こいつらは!」 ストライクは最後まで答えを出さなかった。 しょうがなく、勧誘はあきらめエンジュシティへの道へカイは足を進めていた。 が、またもストライク達が現れたのだ。 しかも、最初のときとは違い数はおよそ3倍、約30匹もの群れだった。 「ライラ、10万ボルト!カゲロウ、連続ファイヤーボール!クーラル、渦潮!リング、怪しい光!」 カイ達が苦戦しているころ、カイが昨晩泊った牧場の家では事件がおきていた。 「・・・・・・!」 おじさんの目が信じられないといった感じの目になっていた。 ストライクが寝ていたはずの床に広げてあった毛布の上には、血が染み付いた包帯だけが転がっていた。 そして、開いていないはずのドアが、キィキィと音を立てて開いていた。 カイと一緒にいたら・・・・・・・・強くなれた・・・・・・・。 「くそ!コイツらなにか!?報復か!?ストレス解消か!?畜生め!」 そのとき、ライラは見てしまった。 愚痴っていたカイの後ろから鎌を構えたストライクが飛び出してくるところを。 ライラの声は間に合いそうもなかった。 「!?」 ストライクの鎌が今まさに振り下ろされようとした次の瞬間! シャ! ズバン!! 「・・・・・!?」 「え!?」 「ピ!?」 カイの後ろから迫っていたストライクを、突然現れた緑色の物体が切り裂いた。 ドサ! 切り裂かれたストライクの体が地面に落ちた。 そして、カイの目の前にその緑色の物体が降り立った。 「オ、オイお前!」 「ピカ!」 緑色の物体が振り向いた。 緑色の物体はニヤッと笑うと、ストライクたちのほうへ顔を向けた。 『オイお前ら。こいつは俺がはじめて認めた人間だ。  こいつを襲おうとかゆうバカな考えはやめておけ。  襲う前に、俺が貴様らの腹を切り裂いてやろう』 体中痛々しい傷が残るストライクが構えた。  つづく    あとがき さぁストライクが駆けつけました。 次回はこのストライクとあの親玉とのバトルになる・・・・かもしれない。 次回予告・第14話 風の刀