【001】いっぽんあし 作:スズメ

☆19 ☆☆10 ☆☆☆1 =42


(自由感想)
・このテーマを書く為には読む量や経験がもっと必要
・題材が悪くないだけに書き込み不足が残念。
・ポニータが亡くなるまでの描写が長い。くどい。
・喪失をもっと書いて! 死んだときのことより生きてたときの様子やいなくなって、さみしい、苦しい、大切にしてやれなくてごめん、懺悔の気持ちなど書くものはもっとあるはず。
りえ大統領

☆☆
お題:タマゴ(物理的)、鏡(カーブミラー)
ポニータの死を認めたくない、主人公の弱さがテーマの作品。
ただ、友人はこの事実後で知ったら怒るんだろうなーとか考えてしまったり。
じーんとくる一方、なんとなく煮え切らないものも感じてしまい、すごくいろんな感情が入り混じってしまい、正直評価つけるのが難しかったです。
最終的に、お題の使い方も上手いしということで、この評価に。
それにしても、サンド可愛いよサンド。 特にサンドとコラッタが遊ぶ描写がものすごく可愛い。
レイニー


 ポケモンの様子や描写は上手く書けている。けれど、親ポニータの死とどのように向き合うかを主人公の心境と細かく書いてくれないとただ、その親ポニータが死んだという事実だけを見るだけとなってしまう。
西条流月

☆☆
◇それからサンドは、絶対に私の前を歩かないようになった。てこてこと後ろについてくるようになった。
 この物語で、サンドがすごく重要な役割を担っていると感じました。ただ可愛いだけじゃない!w
 寝坊助だったり、コラッタと無邪気に遊ぶサンドと、カーブミラーの前の悲しげなサンドの描き分けで、「日常」とそれを脅かした「非日常」をありありと感じ取ることができました。そして上の一文でやられてしまいましたw
リナ

☆☆
 テーマは鏡とタマゴと思われる。途中までは何の問題も無かった。しかし後半でのポニータの話が強烈で、鏡とタマゴがどこかに行ってしまったように感じられた。誤字脱字、話の流れに不自然な点は無い(5/9時点)。テーマの弱さだけが悔やまれる作品である。
あつあつおでん

☆☆
 ストーリーの中で最も重要なアイテムをタイトルとして比喩的に表現されているのが秀逸だと思いました。内容は読みやすいうえに綺麗にまとまっていますし、随所で光る描写の巧さも好印象でした。☆が一つ少ないのは、個人の感じ方にもよると思いますが、何故あんなにも頑なにポニータが死んだことを隠さなければいけなかったのか、その理由が「友人にショックを与えないため・ポニータの死を認めたくないから」ではいささかご都合主義的かなと思ってしまいました。それも含めて「私」のキャラクターなのかもしれませんが、読んでいてそういう点が気になってしまったので☆が一つ少ないです。



 鏡をカーブミラーにしたのはとてもいいな、イメージが浮かびます。てこてこサンドもかわいい。


 グッと来た文 【ポニータと、新しく生まれてくる友人のポニータを遊ばせるんだと目を輝かせていた友人に、夢が叶わなくなったなんて、ポニータが、亡くなったなんて。】
 一本足の鏡と振りゆく雨があの時のポニータが遭ってしまった事故を、鏡のように映しているかのような描写に胸に響きました。
 友人のポニータもまるで主人公と主人公のポニータの日々を映しているかのような感じが個人的にしました。
 果たして友人が真実を知ったとき、どうなるのか……。(汗)
 サンドの描写もとても可愛らしくて、印象に残りました。
 コラッタとどのような会話をしていたのか……もしかしたら、コラッタの方はもう真実を知っていたりして……それは流石にないか。(汗)
巳佑


 ポニータが生まれて、死んでしまって。まぁ、悲しいですね。
でも具体的にどうやって死んだのか、何が起こったのか書いてないので、読んでて頭のクエスチョンマークは増える一方です。 想像しろと言われても、これじゃほぼノーヒント過ぎて推測したいと思わせられないです……申し訳ない。
ポニータを持っていると明言する表現がなかったせいで、人に言われるまで、主人公がポニータ持ってると気づきませんでした……汗 サンドのことより自分のポニータについてもっと書いてあげた方が良かったのではないでしょうか。
乃響じゅん。


 冒頭からの、サンドとコラッタの描写がとても愛らしいです。友人のポニータからは、【華奢なからだから立ち上る炎は、小さいながらも生命力に満ち溢れていた。】という一文で、生まれたばかりの仔馬の瑞々しさが伝わってきました。 主人公のポニータが事故にあう場面は生々しくて。ただ見ることしかできなかった、という主人公とサンドが痛々しくて。【未だにポケモンがペットと同じ扱いである以上、どんなに家族だと主張したって越えられない壁が、そこにあった。】という部分の描写も含めて、もしかして作者さんは飼っていた生き物を事故で亡くされた事があるのではないか、と感じました。非常に現実感に溢れていて、読んでいるこちらも胸が苦しくなるような気持ちになりました。
一方で誕生、一方で死。認めたくないと悲痛な気持ちを 吐露する主人公に共感します。
ただ、気になった点が三つほど。 友人の家に向かう途中、【小さな交差点の、ひびがトレードマークだったカーブミラーを横目に右に曲がる。】と普通に通り過ぎているのに、帰り道ではその場所にミックスオレを鞄から取り出してお供えしています。そのために用意していたのなら、最初に目にした瞬間、何らかの反応があるんじゃないかな、と。小さなポニータを見て自分の亡くなった子を思い出し、偶々鞄に入っていたそれを供えた……のなら、小さなポニータと絡む場面の無かったサンドが、突然カーブミラーに反応するというのが唐突に感じられます。
次に、主人公の【少し前を歩いていた】ポニータだけが車に撥ねられる、という所に違和感が。あまり離れていなかったのなら、主人公やサンドも巻き込まれる可能性があったのではないかと。うれしくて、早く帰りたくて、という描写があるので、思わず飛び出してしまった、や、つい先行しすぎてしまった、という表現もあると良かったかと(個人的な考えですが)思います。
そして終盤、【ポニータと、新しく生まれてくる友人のポニータを遊ばせるんだと目を輝かせていた友人に】という記述から、主人公は事前に何が生まれるのかを知っていたのか、という印象を受けました。そうなると、中盤でポニータを見たときの衝撃がおかしなことに。「新しく生まれてきた」の誤植でしょうか。
タイトル『いっぽんあし』の意味、全体の展開やポケモン達の描き方が好みだったのですが、上記の点がどうしても気になってしまったので、☆一つにさせて頂きました。惜しい、と言わずにいられません。
ラクダ

☆☆
一読目:ポニータが死んじゃったお話し。てこてこ歩くサンドかわいいなおい。そんな印象。ミックスオレのところが結構切ないかな。さらっと読んだだけなので今のところそれだけ。これなら前のプラスルマイナンの方がインパクト強かったなぁ。
二読目:じっくり読むと結構きついお話だった。あとからボディーブロー。どすどす来るぞこれ。友人のポニータに対する「私」の反応。前を絶対にあるかないサンドくんの悲哀。ポケモンは所詮ペットだ、という現実。うへぇ。こんな深い話かよ。けどもこれなら正直言って差し替えの前の方が好きだ。いや嫌いじゃないよ。すごく綺麗にまとまってる。見事です。カーブミラーの所が正直言って胸に刺さったよ。でも、なんだろう、なんかね。「それで?」みたいなことをつい感じてしまった。申し訳ない。二読目は以上。
三から八読目:繰り返し読めば読むほど色々と刺さる話である。駄目だ、だんだん苦しくなるよこれ。
九から十読目:最終結論・上手ですよこれ。でもちょっと、これはなんだかよくある話の一つです、みたいなのもある。交通事故は見えないところで毎日起きてるのだからポケモンの世界でも毎日起きている可能性があるわけだから。鏡とタマゴをうまいこと混ぜてるのは評価できるかな。というわけで☆二つ、となりました。
音色


 良きも悪きも交々と言う印象のお話でした。
 本コンテストの先陣を切った作品ですから、そこは高く評価したいのですが……残念ながら、ちょっと引っ掛かる部分が多かったような気もします(汗)
先ず一番大きいのは、主人公の少年の性格が余りはっきりしていなかった点。
失ったポニータに対する彼の情愛は紛れも無く深いのですが、その割には寝惚けたサンドを蹴飛ばして歩いたり、水溜りを嫌がる彼に対する配慮に欠けていたり、また友人に対する態度が何かと刺々しかったりと、果たして情の深い人間なのか薄情な人間なのか、ちょっと掴み辛かった感じです。 近年その手の二面性を持った人物像が人気を博している事は、少し盛りを過ぎた世代の自分にも何となく分かってはいるのですが……それにしたって、ちょっと表情が不明瞭に過ぎます。
 もう少し丁寧な描写で、端々にきっちりとしたインパクトを与えつつ描いた方が、二面性を持った人物像を表す際は有利だと思われます。 あやふやな感じの人間像では感情移入がし辛いので、そこはちょっと残念……
後もう一つは、もう少しキーワードや語句を、深く掘り下げて語るべきかなと感じました。生まれて間もないポニータが発する炎の描写や、友人宅のシンボルツリー、サンドが供えるミックスオレや最後の宵の闇など、魅力的な鍵が沢山あったのですが、それらは殆どがパラパラと並べられているだけで、そこからその先へと思いを馳せる場合は、読者に依存する部分が相当に大きいです。 もう一言二言比喩表現や修飾語句などの付けたしを加えるだけで、物語の厚みはぐっと広がるかと思います。字数にはまだまだ余裕がありますので、もう少し伝えたい事柄を浮き立たせる描写が欲しかった。
翻って良かった点は、まぁ兎に角サンドが可愛かった点が第一(笑) コラッタと遊んでいるシーンなんかは、掛け値無しに和みました。また、カーブミラーを『一本足』と言う名称で呼んでその存在を強調させたり、町の様子やポケモン世界では余りメジャーではない『自動車』の存在に触れて、最後の結を暗示させる表現方法は、作者の技量をしっかりと明示しており、その意味でもちょっと惜しい感じ。 物語自体は好きな部類ですし、最後の締め方も良かったので、もう少し時間をかけて煮込んで欲しかったですね……
クーウィ

☆☆
 珍しく物理的「鏡」が登場する作品(あ、卵もか)だが、テーマとのかかわりが薄いように感じられる。また、多少校正不足というか、文章のつながりがすんなりしないように感じられる箇所があちこちにある。個人的には、前の方が良かったように思う。
(差替前の)心の多面鏡☆☆☆  文章力は高く、非常にリズミカル。心理的に「鏡」を描いて上手い。互いに惹かれつつ反発するプラスルとマイナンの心理描写も良い。ただ、いきなり読者に語りかけている最後の一文は、少々唐突に感じる気もするのだがどうだろうか。
サトチ


 前のやつよりは好きです。サンドうちにも欲しい。すごい可愛い。抱きしめたい。  しかし、なんというか無駄が多いように思いました。
 つまりこのストーリーを構成する上で不必要な情報が多い。特に友人の家に行くとこ。 >>ちなみにうちの家は、住宅地の中でも一番外の道、いわゆる外周沿いにあって、迷うことは少ない。
 たとえばここ。住宅地の説明をすること自体はまあいいんですが、この一文に至ってはだから何?という感じです。君の家がどこにあろうがなかろうがこの話にはなんの問題もないのです。
 他にも今可愛いと言ったばかりですがサンドやコラッタだってこの物語には特に必要ないですよね。
 一つ一つあげるとキリと時間がなくなるのでまた自分でも探してみてください。ザックリ削れます。
 お題においても鏡とタマゴ両方にチャレンジするのはいいですがどっちつかずで終わりました。どっちつかずどころか言ってしまえばどちらも要らない。  また、わたしなりにこの話をまとめてみました。
 友人のタマゴが孵る→ポニータでした→友人「君のポニータと遊ばせたいんだが」→わたしのポニータ死んだんだよおあああ
 結構厳しく言いますが、とどのつまり、この話ってただ主人公の身の回りについて語っただけですよね。極端に言うとただの設定語り。何か大きな出来事が起きたわけでもなくキャラクターの心情が大きく変わってもいないです。Wikipediaを見に来たのじゃなくて小説を読みたいのです。ただ設定を述べるだけでは感動や興奮は生まれません。
 あとポニータの死体はそのままなの? 詳しい記載がないのでわたしなりに考えました。
それまででも、あと一瞬でもポニータと一緒にいたいから。まだ、ポニータは家で眠っているんだ。
 これを読んでわたしは死体のままであると推測しました。もしそうでないなら以下の一文は読まないでください。
 交通事故による遺体の損傷の程度は分かりませんが、遺体をそのままにするというのはさすがに酷い。せめてお骨か何かにしないといけないのでは。夢もロマンもありませんが死体が腐ったりすると蝿が集まったりなどの衛生上問題による観念から死体遺棄や軽犯罪法に触れかねません。
 それはともかく、サンドが本当に可愛い。
でりでり

☆☆
<作品情報>
テーマ種別  →タマゴ
作品タグ  →【物理的なタマゴ】【生と死】【シリアス】【ポニータ】
ポケットモンスターシリーズの二次創作としての意義  →十分満たしている。
テーマの消化度合い  →「タマゴ」が作品において重要な位置付けであることが理解できる。
<講評>
個人的に応募が多いだろうと踏んでいた「タマゴ」+「生と死」という組み合わせの作品の一つです。書き出しの軽妙なタッチと、終盤にかけて段階を踏んで主人公の置かれている状況が明らかにされていく様が、グラデーションのような滑らかな筆致で描かれています。文章を構成すること・文章を書くことの双方にこなれているという印象を受けました。物語を敢えて分かりやすく閉じないことで、読者に対して今後の展開に想像の余地を残しているのも評価すべきでしょう。
山場となるポニータの死が思いのほかあっさりと描写されていたのは、主人公の虚無感を表現したものと受け止めましたが、やはり欲を言うともう少し状況描写が欲しいとも感じました。また、後半の主人公の思いが「ポニータの死」に対して強く向けられていることで、お題としての「タマゴ」のカラーがやや弱くなっている感は否めません(タマゴが孵化したことで喜ぶ友人と主人公の対比、というのは読み取れました)。私が気になったところはそれくらいで、他に特に問題はありません。今後の更なる活躍に期待しております。
586


 文章はよかったが、物語が起承転結の起承くらいで終わってしまった印象。ツイッターの誰かさんの発言にあったが、痛い傷をいかに直すかが重要。痛そうな傷を見せられただけでは読者は納得しない。サンドの動きはかわいいし、カーブミラーという着眼点は面白い。
お題:鏡
タグ:一人称、サンド、ポニータ、カーブミラー
地方:不明
死亡:あり
No.017


 冒頭、“雨上がりだというのにすっきりとしない曇り空。”という部分に、「こうならばこう」という頑固さを感じた。雨が上がったばかりの空は曇っていても不思議ではない。たぶん台風一過のような二元論的な空を要求しているのだろう。友人との関係にはいくらか妥協することもあるようだが、ことポニータの死と繋がる世間の言説には付和雷同しない、頑固なパーソナリティを保持している。作中主体の個性が上手く描けていると思う。いい意味では若く、人間の成熟という意味では青い。
 吉本ばなな氏は「10年前の恋がいちばん上手く書ける」と言っていたが、それはその人間関係に答えが出ているからだろう。作中主体は死生観を構築できるほど成熟しておらず、そして具体的事象としてのポニータの死も消化しきれていない。彼らの関係に答えが出るのは、まだずっと先のことである。後ろより二段落目の“そんなの認められる気はしない。”は、とても率直で力のある言葉だと思う。個々人の人生における苦悩は個別の事象であり、「辛いのは君だけ」なのだ。“いなくなる子が〜”と言った人がどんな苦悩を経たのかは知る由もなく、やはり苦悩とは孤独なものなのだ。人間の本質的な部分を見つめた作品と言える。
 テキストの質はあまり高くない。悪くはないが、どちらかといえば悪い(笑)。同じ語で漢字表記やひらがな表記に分かれがあって安定しない。その不規則さ、不安定さで作中主体のパーソナリティ強化を意図したのならば傑出した表現だが、そうではないだろう。
 例えば冒頭の雲の件で、“雲はどっかに飛んでいって埋まってしまえ。”など、論理の飛躍を含んだ詩的なテキストがある。また友人の話し言葉に、意味用法上不自然な“?”がある。それらをまとめきるところまでは行けず、不安定さだけが残って、どちらかといえば悪い。
 もしも“?”が語尾を上げる話し方を表すものなのだとしたら、それはもっと別のテキストで友人の個性を出せる。言葉を含めて記号には意味がある。意味を破壊して、その上で感動を与える詩編もある。今回の用法には感心しない。
渡邉健太








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