【010】鏡嫌い 作:音色

 ☆10 ☆☆10 ☆☆☆10 =60


☆☆
 最初は「ひとのかわをかぶったポケモン」と「ポケモンのかわをかぶったひと」を混同してしまって何がなんだか分かりませんでした。何回か読み返して理解できて、おもしろいお話だと思いました。ところで、No.017さんではないのですよね……。個人的には最初から最後まで句読点がないのは読みにくいと思いましたが、私には分からない技巧のような何かしらの意図があると思いましたので、その点は評価対象にしませんでした。


☆☆
 テーマは鏡と思われる。誤字脱字を4箇所も確認(5/12時点)。話の流れに不自然な点は無く、テーマの鏡もそこかしこに出ていて存在感があった。しかし、この作品に限った話ではないが、誤字脱字が多すぎる。1つくらいならまだしも、4つは見直しをしているのか怪しいほど。書いたら1度読んでみてほしい。
あつあつおでん

☆☆☆
 グッと来た文【ひとはポケモンの意識を殺し ポケモンのかわをかぶった ポケモンはひとの意識を殺し ひとのかわをかぶった かわをかぶった一人と一匹は 鏡を嫌って生きてきた】
 まさか、ミオの図書館にあった一冊の本から、このような独特な世界観が広がるとは……! 脱帽しました。(汗)ポケモンの皮を被った人間の、また、人の皮を被ったポケモンの経緯から伝わって来る鏡からのメッセージ性も印象に残りました。お互い、ポケモンとして、人間として、これからが本当の始まりだと思わせるような物語の結びも印象的でした。詩のような物語、物語のような詩といった感じの不思議な文体で、即効、その世界観に引き込まれました。行間や一文字分の空白からも恐ろしい力を持っている作品だと思いました。
巳佑

☆☆☆
 お題:鏡(対照的なポケモンとひと)
 句読点がなく、改行が多用された独特な文章。世界観も、神話をイメージしつつ、SF的な独特なもの。しっかり読まないと、「ひとのかわをかぶったポケモン」と「ポケモンのかわをかぶったひと」が頭の中で混乱してしまうのは、ちょっと読みづらいかも。ただ、この表現も魅力なのですが。
レイニー

☆☆☆
 絵本のような書き方が印象的で、情景を想像しやすかった。ただ、表記の問題上、ポケモンと人のどちらが起こした行動か戸惑う場面もあり、若干読みづらいと感じた。また、話の語り口の性質上、あえて、ひらがなにする必要もあったであろうがもうすこし漢字に直してもよいと感じたところ(完全に好みではあるが)はいくつかあった。そういった改善点はあっても、この物語は構成や描写、ストーリーがうまく作られていたので素直に面白いと感じることができた。
西条流月

☆☆
 シンオウむかしばなし調の文章が、グッドです。こういうエグさ好きです。意識の中で首絞めたりとか。現実離れした不思議な二人の世界観がいいですね。独特の浮遊感の中に連れて行ってくれるようでした。ただ、それは前半だけの話に留まります。白い服を着た人間が登場してからの描写が駆け足で、少し読みにくい気がします。もうちょっとここも細かく心情描写してくれたら、きっともっとよくなると思いますよ。1万字の縛りに苦しめられた感じがします。非現実感と生々しさが共存している、不思議なお話でした。
乃響じゅん。

☆☆
 神話ネタのファンタジーかと思いきや、一転SFチックな展開を見せる構成には意外性がある。ただ、寓話なら寓話として展開する物語も見てみたかった気もする。>ひとの腕には刃は生えないのは分かっているが 本来の獲物が恋しくなる武器の意味なら「得物」で。
サトチ

☆☆
 当方が大好きなシンオウ神話に題材をとっている本作だが、現代風解釈とでも言うのか、なかなかハードな方向に転がっていって面白かった。一つの体にポケモンと人間の二つが入った時に、体の取り合いになって首を絞めるといった表現になったのがうまい。 被検体が十七番なのは狙ってやってくれたと一方的に信じている(笑)。
お題:鏡
タグ:三人称、ジュカイン、ピカチュウ、シンオウ神話
地方:不明
死亡:あり
No.017

☆☆
 おぉ! 出ましたシンオウ神話。こういうネタ好きです。
 テキストの使い方もあって非常に雰囲気も出ていて楽しめました。面白かったです。
 設定も世界観もよく出来ていると思いました。
 ですが、後半、とくに男が出てきた辺りからテキストが仇になって読み辛く、何が起きているのかがよくわかりませんでした。
 あとタイトルが弱い。鏡嫌いって……、確かに二人とも鏡嫌いでしたが話の主題ではない。そんなこんなで読む上で最初躊躇った作品。中身が面白いだけあって勿体ないなと。
>長い袖からするりとナイフを取り出して 直前で検査を受けた
という記述があります。この場合なんの検査かわからないのですが、検体番号つけられててそれが行方不明になってたら相当念を押した検査を受けるはず。体の内部を探るタイプの検査なら金属を身に付けることはダメらしいので、そのときナイフは押収されるはず。こんな怪しい連中がナイフ見つけて易々と返すでしょうか。という深読み。
でりでり

☆☆☆
 字数に笑った作品。 ……ある意味、一万字ピッタリより遥かにインパクトがあった。まぁ、そんなどうでもいい事は置いといて。 面白かったです!ポケモンの世界観の中でも特に異色な存在である、例の言い伝え。 それをまさか、字数制限の厳しい一万字のコンテストで使って来るとは……驚きました。淡々と、只管言い伝えで用いられていた語調のままに語られるその物語の内容は、太古の伝承とは打って変わってSF的色彩が強く、最後に導き出される結末の演出もあって、なにやら黙示録めいた雰囲気もあります。中途で入る電子広告や、主人公達の創作を巡るやり取り。 随所に散りばめられたキーを拾って読み解くだけでも十分過ぎるほどのインパクトがあり、全部読み終えたのはあっという間の事でした。時折誤字・脱字の部類が見えましたが、そんなものは瑣末な傷。
 ストーリーや表現技法もレベルが高く、敢えて形式を重視して情景描写を控えていても、それらをふんだんに使った他の作品群に対して、全く引けは取りません。これはもう純粋に、作者の実力だろうなぁ。
 同じスタイルで何か書けと言われても、こればかりは如何足掻いても太刀打ちすら出来る気がしませんね。
 お見事です……ただ、何とか突っ込みどころを探して上げるとするならば、最後に研究所に連れて行かれた辺りで、少しだけ使用していた文体やスタイルに、乱れが出たような気は致します。この辺りは俗に言うアクションシーンですので、形式的な文章で著すのが難しかった為か、少しだけ作者本来の地の文章が、顔を覗かせた雰囲気がありました。
 ……まぁ、それにしたって意中の事柄であるならば、突っ込みどころでも何でもないんですけどね。コンテストと言う特殊な環境の中、敢えてこのような形式の文章で仕掛けて来られたそのチャレンジ精神に、心から敬意を込めて……! ……多分、作者の方には心当たりがあるような気も致しますけれど(苦笑)
クーウィ


<作品情報>
テーマ種別 →鏡作品タグ →【観念的な鏡】【詩的作品】【半児童文学】
ポケットモンスターシリーズの二次創作としての意義 →原作にあった文言を活かしている。問題ない。
テーマの消化度合い →問題ないレベルに達している。
<講評>
 どちらかというと、小説より詩に近い作品と言えます。句読点の代わりに空白と改行を使い、ほとんどの行末が「〜だった」で統一されている点からもその方向性は明らかです。原作で語られている文言を下敷きにしていろいろと世界を広げている感があり、二次創作としては適切な作品になっていると思います。テーマについても、「鏡は真実を映さない(=肉体と精神の乖離)」という形で使われていて、納得のいくものです。 が、どうしても気になる点が。本作品は全体的に平易な言葉(ひらがなの多用がその印象をさらに強めています)で語りかけるようなスタイルになっている、一種の児童文学に近い作品なのですが、端々に様々な理由で作風に合致しない言葉が登場しているのが引っかかります。具体例としては「逆バージョン」(違和感がある)「何処に」(「どこ」に混じって一箇所だけ漢字表記)……等。この作品が誰に向けて書かれたものなのか、首を捻ることが少なくありませんでした。ひらがなの多用による詩的効果を狙うのは効果的な手法ですが、本作品においてはうまく機能しているとは言えない状態です。厳しい指摘となってしまいましたが、独特の世界観を構築する能力については特筆すべきものがあり、頭の中に思い浮かべたものを適切にアウトプットする能力を磨けば、よりよい作品を生み出せることでしょう。今後の更なる活躍に期待しております。
586

☆☆☆
 独特の文体だが、決して奇抜なのではなく、きちんと整えられている秀作。短編小説というよりは、長編詩と呼ぶ方がしっくりくる。内容も面白い。 たまに細かな誤植があるが、それによって本作の根源的な価値は揺るがない。唯一、文房具屋の件。ひとがひとにお願いしポケモンが叶える。これは誤りなのか、詩編としての論理の超越なのかを読み解けなかった。
渡邉健太

☆(作者の為、参加点のみ)
 自作品=駄文
音色








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