clumsy twosome




 俺はあいつが嫌いだ。
 正しく言い換えると、あいつと比べられるのが嫌いだ。
 ポケモンバトルが小学校で一番上手いと誉められ続けていた俺にとっては、高学年の頃にあいつとたまたま出会ったことは、俺の世界の全てが変わる革変的な出来事だった。
 女のあいつと初めて戦ったのは小学校高学年の頃の授業であった。俺のリオルとあいつのロゼリア、授業時間を使いきってまで戦ったのに勝敗はつかず引き分けた。それからも何度か戦うことがあっても決着がつくことはなかったのだ。非常に歯痒いことはしっかり心に刻まれた。
 驚くことに俺とあいつは成績や、ポケモンバトルの腕がまるでコピーしたのかという程拮抗していた。
 ずば抜けていたのが一人だけなら注目される。そこにまったく同じ能力がもう一人現れれば自然と注目度は下がる。出る杭も二本になれば大して目立たなくなる。
 そのために、常に互いに互いを基準とされ、個々に対する評価をしてもらえない。
 そのまま月日は流れ、同じ中学、高校、ついには大学まで今の状態を保ち続けている。
 中学のときまでは比べられることが嫌いなだけだったが、高校に入ってからはついにあいつという人間まで嫌いになってしまった。それまでは話したりすることもあったのに一切口を聞かなくなった。
 大学生になって、サークルではなく部活動でポケモンバトルを続けている。やはりというかあいつも同じ部に入って来て、監督や先輩方からは同期だからとしょっちゅう比べられた。
 あいつがどう思ってるかは知らないが、俺は不快で堪らなかった。俺を俺として見てほしい、ニコイチじゃあ嫌なんだ。
 大学二回生のある日、部活の団体戦のオーダーが決められた。
「――ダブルバトルは桜井。そして最後にマルチバトルは太一と佳奈だ。分かったか」
「はい」
 監督の一声に部員が返事をする。ついに俺がレギュラー入りだ。二回生の春にレギュラー入りだなんてことはなかなか滅多にない。このチャンスを必ずモノにしなければ。
 ただ、至極残念なのはマルチバトルだったということ。俺一人だとまだシングルで戦えないから、マルチに回されたのだろうか。それが納得いかない。そして更に気に食わないことはそのパートナーがあいつ……、佳奈だということ。
 思わず部活が終わってから監督の元に尋ねに行った。どうして俺たちなのか。あいつとは戦ったことはあれど練習でマルチバトルのパートナーさえ組んだことはない。
 しかし監督の答えは簡単だった。
「お前らずっと一緒にポケモンバトルをやっていたんだろ? 個々のポテンシャルも同じくらい高いしプレイスタイルも鏡で写したかのように同じくらいと言っていいほど近い。少し練習すれば順応するさ」
 またか、ああまただ。俺とあいつはニコイチの評価しかされていないんだ。
 そもそもあいつとはまともな会話を交わしてさえいないのにパートナー? 馬鹿馬鹿しい。
「俺は勝つためにお前らを組ませた。お前らはそれに応えればいい」
 監督はそう言って俺の肩を叩き、部室を出ていった。
 オーダーが決まった翌日に、早速練習試合が組まれた。
 対戦相手は同大学のポケモンバトルサークル。しかし一概には格下の相手と言えない。
 サークルとはいえなかなかのやり手が集い、その辺の大学のポケモンバトル部よりも格が一つ二つは上。気を抜けば負けてしまう。
 そのことを考えると、俄然燃えてくる。しかし自分が出るのはあいつとのマルチバトル。
 ああ、どうせうまくいかないんだろう。それで監督から評価を下げられてオーダーから落ちる。いっそそうすれば気が楽になれるはずだ。
 あいつが上で俺が下。それでこの呪縛が解けるならいいじゃないか。……でもそんなことをすれば俺の、プロのポケモントレーナーになる夢は遠ざかる。
 そうだ! あいつがいなくても十分戦えるということを見せつけてやれば、きっと監督も俺を見直してマルチではなくシングルで起用してくれるかもしれない。
 大学敷地内のスタジアムを利用して、シングルバトルとダブルバトルに出る先輩方は一足先に試合を始めていた。
 次のマルチバトルのために自分のポケモンを調整する。
 試合形式とはいえあくまで練習なので、使用出来るのはそれぞれ一匹ずつ。俺は兼ねてからの相棒であるルカリオを使うことに決めている。
「太一、佳奈、行ってこい」
「はい」
 監督に背を向けてプレイグラウンドに向かおうとしたとき、あいつのおどおどした視線を感じた。あいつが元より大人しい性格だということは知っている。そのためにはっきりと自分の意見を言わないところが、余計にあいつを嫌いになった原因でもあった。
「何か言いたいことがあったら言えよ」
 振り返ってやや意地悪くきつめの口調で言い放つ。あいつは若干びくついてから呟くように言葉を吐いた。
「えっ、あのっ、……頑張ろうね」
「当たり前だ。邪魔はするなよ」
「そうだね……」
 萎れた植物のように項垂れるあいつを見て、腹の中が煮えくり返りそうになる。俺がなんでこんな奴と実力が拮抗しているんだ。挙げ句の果てには鏡で写したかのような似た者同士だと?
 思わず右手に握っていたモンスターボールを潰してしまいそうなほど力をこめた。
 マルチバトルは2VS2でやるのが一般的なものであり、俺もそう信じていた。
 なのにプレイグラウンドで俺とあいつを待っていたのはサークルの会長、ただ一人だけだった。
 会長の実力はサークルにも関わらずスカウトが訪れることもあるほどの折り紙付きで、うちの部長でもようやっと勝てるか程度のトップクラスのトレーナーだ。
 二対一、どういうつもりかは知らないがこれはあまりにも舐められている。だがこの会長に一人で勝てば評価は間違いなく上がるはずだ。
「よろしくお願いします」
 互いに一礼をしてからボールを構える。ボールを構えるときから既にバトル、心理戦は始まっている。
 審判の始めの合図でグラウンドに四つのボールが投げられる。そのうち会長のボールの一つから、開くと同時に赤い粉塵が巻き起こり、視界を妨げようとする。
 しかしはっきりと見えた。会長のポケモンはエレキブルとモロバレルだ。そしてあいつのポケモンはペリッパー。相性を考えても邪魔だ。
「ルカリオ、正面のエレキブルにボーンラッシュ!」
「ペリッパー、モロバレルに燕返し!」
 互いに相性の良い技を指示し、赤い粉塵の方へ突っ込んだ直後だった。
 ルカリオは何故か急に進む方向を変えてモロバレルの方に突っ込んでいく。何故かと考え、気付く。そうか、あの粉塵はモロバレルにだけ攻撃を誘導する作用を持つ怒りの粉か!
「ルカリオ、止まれ!」
 ようやくわかった。会長はモンスターボールを投げる前からモロバレルに怒りの粉を出すように指示し、モンスターボールが開いたと同時に粉が舞うようになっていたということか。
 しかし既にルカリオはモロバレルにボーンラッシュを放とうと右手を振り上げている。そこに燕返しでモロバレルにかかろうとしたペリッパーが現れたのだ。そのためにルカリオが燕返しを真横から受けて、会長の足元まで弾き飛ばされてしまった。嫌な喰らい方をした。急所に決まったかもしれない。
 くっ、余計なことをしやがって! とにもかくにもこの怒りの粉をなんとかしないと。しかしルカリオのスペックじゃ粉は吹き飛ばせない、としたらどうする。
 答えは一つ。エレキブルの攻撃をなんとか避けつつ先にモロバレルを潰す。
 今エレキブルはペリッパーを潰そうと放電している。丁度いい、壁にでもなってもらうか。
「ルカリオ、間合いに踏み込んではっけい!」
「ペリッパー、暴風で粉を飛ばして!」
 あいつとの指示のタイミングが被る。邪魔だ、うっとうしい!
 事実ルカリオがモロバレルの傍まで踏み込んだとき、突如荒々しい風が巻き起こりルカリオはモロバレルごと暴風を受けることになってしまった。
 風に耐えるため両腕で目を塞いでいたが、腕の隙間からかろうじてグラウンドの様相を探る。
 怒りの粉やモロバレルは上方に吹き飛ばされ、ルカリオはかろうじて飛ばされないように地面に貼り付き堪えている。だがエレキブルの姿が見当たらない。
 そして風が止み、両腕を離してグラウンドに目を戻した瞬間だった。
「今だ、エレキブル、穴を掘る!」
 突如ルカリオの足元からエレキブルの黄色い腕が飛び出しそのまま右腕がルカリオの鳩尾を捉えた。
「しまっ!」
 そのままバランスを崩してよろけるルカリオに、エレキブルは雷パンチで追撃しようと右手を下げる。
「ペリッパー、エレキブルにハイドロポンプ!」
 そこにすかさずモロバレルとサシで戦っていたペリッパーがモロバレルを振り切り、口から激しい水流を轟音と共に放つ。それは今にもルカリオに追撃せんとするエレキブルを襲おうとした。
 が、ハイドロポンプがエレキブルに直撃したと見えた刹那、エレキブルの姿が掻き消えた。影分身か。そう気付いたときは既に手遅れだった。ハイドロポンプはそのままエレキブルの奥にいたルカリオにヒット、そしてグラウンド端まで吹き飛ばされてしまった。
 審判はすかさず旗を振り上げてルカリオに戦闘不能の判定をとる。
「なっ、そんな!」
「エレキブル、雷パンチ」
 再び地中から現れたエレキブルが、今度はあいつのペリッパーを捉えようとしたが、なんとか急上昇して回避。と、思われたがそこも読まれていたらしい。
「今だモロバレル。ソーラービーム!」
 ペリッパーが空に逃げるのを予測してたのか、モロバレルが指示したと同時に激しい光線がペリッパーを襲う。糸が切れた凧のようにペリッパーが落ちていくのを確認してから審判が戦闘不能の判定をとった。
 なんだよ、邪魔ばっかしておきながらこのザマか。それにしてもいいところを見せるどころかこれじゃ最悪の結果じゃないか。こんなんじゃシングルどころかレギュラー落ちもありえる。そんなことになってたまるか……!
 苦笑いさえ出来ず、体の内側で怒り、呆れなど多種多様な不快感が混ざりあう。
「ありがとうございました」
 震える声を絞り出して一礼をする。プレイグラウンドを下りてから、あいつが泣きそうな声で謝りだす。
「ごめんね……」
 その一言でここまで堪えてきた俺の怒りのダムが決壊した。
「ごめんねじゃねぇよ」
「え?」
「お前が自分勝手にするからお前のペリッパーのワザばっかり食らってるだろうが。ポケモン動かすならまだしも本当に俺の邪魔しかしてねぇだろ。ふざけんな!」
 俺の罵声にびくついたあいつの目には、涙がにじみ始めている。それが余計に俺を怒りに駆り立てる。泣いたらいいと思うな……!
「前々からずっとそうだ。お前さえいなかったら! 俺はもっと注目されてたんだ! お前なんか!」
「太一ィ!」
 あいつを責め立てる俺を割くように監督が怒鳴る。俺は顔だけ監督の方を向けた。互いに睨み合う形相だ。他の部員達がそれぞれの活動を止めて何があったのかとこちらを向く中、あいつは泣きながらどこぞへ駆け出して行った。そうだ、いっそそのまま帰ってくるな。
「太一、ちょっと来い」
 監督は打って変わって落ち着いた声で俺を呼びつける。仕方なく俺は監督の方へ歩いていった。



 監督にロッカールームまで連れられた。今ここにいるのは俺と監督の二人だけだ。
「どうして普段と違って冷静に周りを見ずにがむしゃらにやったんだ」
 怒鳴ったときからようやく冷めてきたところに、監督が静かに問いかけてきた。
 あいつなんかいなくても自分一人でやって見せると息込んだのに、むしろそれが焦りとなって冷静に対処することが出来なかった。正直にそう言うのは俺の安いプライドが許せない。その上火に油を注ぐことになるため言いづらい。何と言おうかずっと迷っていると、監督が先に答える。
「どうせお前はシングルで出たいがために手柄を一人占めしようと躍起になったんだろ」
「……はい」
 消え入るような声で答える。まったくもってその通りだ。分かっているならわざわざ聞かないで欲しい。馬鹿にされているように聞こえて、余計に惨めに感じてくる。しかし、監督が言いたかったことはそれとは違ったようだ。
「そのやる気は結構だ。だが問題はそこじゃない。……なんで俺が怒ってるか分かるか」
 監督の目は据わっていた。冷静に俺を見つめている、その視線が不快だった。
「俺が怒鳴ったからですか」
「人の事を考えないからだ」
 俺の目をじっと見つめる監督に思わず視線を逸らして足元を見つめる。
 やや検討違いの回答だったが、何にしろ俺が怒られるだけなんだろう。俺が悪いことは分かってるんだから説教なんてせずに早く解放してほしい。
「お前のせいで佳奈は泣いた。それだけじゃない。お前のせいで部員やサークルの人達、そして俺の気分も害した。分かってるか太一」
「はい……」
 怒鳴ったことは確かに反省している。だからといってあいつのゲームメイクが下手くそなのは変わりない。
 一方的に怒られるのは理不尽だ。そう口にしようとしたが、監督が先手を取った。
「お前はどうして佳奈を理解してやろうとしない。佳奈はお前のことをあんなに考えているのに」
「は?」
 我ながら間抜けな声が出た。どうしてそうなる、まさかあいつは監督に何か仕込んだのか。
「分からないようだな。そんなようだからお前をシングルのオーダーに入れなかったんだ」
「全然分かりません。どうしてそうなるんですか」
 監督の言いたいこと、言っていることが理解に欠ける。なぜそれがシングルにも繋がるのかが分からない。
「……他人の気持ちもロクに分からないようなやつが、ポケモンとぴったり息を合わせるシングルをこなせる訳がないだろう」
 それはそれで納得した、だけどあいつが邪魔をしたことは違う。
「他人の気持ちなら、あいつだって俺の邪魔ばっかり」
「まだ分からないのか!」
 予想していなかった突然の怒号に思わず驚き左足を一歩下げてしまう。
「自分が何を使うかさえ言わないお前に、佳奈はしっかりお前が何を繰り出すかを予想して最善のポケモンを起用した」
「えっ?」
 最善のだと? 俺のルカリオをことごとく妨害したあのペリッパーが最善?
「佳奈はお前がどうせエースポケモンのルカリオを出すと予想してペリッパーを出したんだ。相性を考えてみろ」
 ルカリオの弱点は炎、地面、格闘。そうか、確かにペリッパーならその弱点を補完出来るがそんなもの偶然だ。
「実際にさっきの試合でもそうだ。お前のルカリオがボーンラッシュを使えるのが分かってたからエレキブルを任せ、ペリッパーはモロバレルを攻撃しようとした。むしろ怒りの粉と予測せずに何も考えずに突っ込んだお前が悪い」
 先のバトルを反芻する。確かに俺は無鉄砲に突っ込んだ、冷静に分析だったら分かっていたかもしれない。監督の指摘は正しい、だからこそそう言われると何も言い返せなくなる。さらに監督は追撃を加える。
「怒りの粉と気付いた佳奈は、お前がスムーズに動けるようにモロバレルごと暴風で吹き飛ばそうとした。なのに自力でなんとかしようと踏み込むからああなる。まあ最後のハイドロポンプは向こうのエレキブルが一枚上手だったが、そもそもルカリオがあんなピンチになったのを作り出したのはお前だ」
 監督の言っていることにおかしいことなどなく、むしろ理にかなっている。途端に自分が惨めで矮小に思えた。いいとこを見せようとしたのにむしろ自分が足を引っ張っているだけだったなんて。自嘲しか出来ない。
「これを読んでみろ」
 監督がまだ新しい黄色のB5ノートを渡してくる。表紙には小さな文字でマルチバトルメモと書かれていた。その下には小さいあいつの名前が書いている。ややためらったが表紙をめくり、中を読む。そこには白地のノートが真っ黒に見えるほどびっしり書き込まれていた。
「これは、俺のポケモンの……」
 俺の手持ちのポケモンとそのワザ、さらにそのポケモンと合わせれる自分のポケモンとコンビネーションが一匹ごとに大量に書き連ねられている。
 正直にすごいと思った。たった一日でこんなに書いただなんてにわかには信じれない。が、あいつはそれをやってみせた。ああ、こんなに凄い奴だったのか。
「お前が佳奈を毛嫌いしていることも、その理由も知っている。だがな、どうしてその境遇を嫌悪する? むしろ喜ぶべきじゃないのか? 自分のポケモンバトル人生を賭けて争える最高の仲間、ライバルに出会えたことをな」
 ライバル……。そんな風に考えたことなんて一度もなかった。俺はただ自分のエゴのせいで勝手にあいつを嫌な奴と決めつけて一方的に嫌っていたが、それがあまりに幼稚というか愚かしく思えた。
 ああ、自分が嫌になる。今までいろいろとひどいことをし過ぎた。もう手遅れだ。
「あいつは常に周りに気をかけてやれる心の広いやつだ。太一、今から謝りに行け、大丈夫だ」
 俺の心を見透かした発言だった。ようやく監督の目をきちんと見た俺に、監督がようやく笑顔になって俺の肩を右手で強く叩く。
「ちゃんと戻って来いよ」
「……はい!」



 スタジアムの入り口前の階段にあいつはいた。
 膝を抱えて俯いて、なんとなくだが近寄り難い。
「あの、さ……」
 強情で意地っ張りな俺だから、なかなか素直に切り出せない。
 でもこのままだと俺は何も変わらないし、あいつも顔を上げない。
「ごめん」
 あいつは顔を上げなかった。泣かしたのにこれ一言で納得いかないのは確かだ。あいつの隣までなんとか足を運ぶ。
「お前がせっかく俺のためにいろいろやってくれたのに、俺、それを無視とかして勝手にやって迷惑かけた上に怒鳴ったりして本当にごめん」
 相変わらず固まったままのあいつだったが、左手がそっと伸びてきて俺のジーンズを静かに握る。
「俺のパートナーはお前しかいないんだ! だからもっ、もう一度……。もう一度俺と一緒に組んでくれ! 頼む、いやっ、お願いします!」
 とっさに口から出た一言だった。ようやく顔を上げたあいつは、まだ戸惑いの表情が浮かんでいる。
「……こんな私でいいの?」
「当たり前だ。小さい頃からお前はずっと俺の最大の好敵手なんだ! 俺も頑張ってお前のこともっとちゃんと考えるからっ……」
 そう言うと、あいつは顔を真っ赤にして涙の跡も残っていたくせに幸せそうに微笑みだす。
「うん、喜んで」
 そう言うと何が悲しいのやらまた泣き出し、俺のジーンズに顔をうずめた。
 この先が思いやられるな、と思いながらも俺は、しばらく黙って付き合うことにした。
 きっとバトルだけでなく互いに正直になれないところも、鏡のようにそっくりなのかもしれない。




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