【018】レックウザのタマゴ 作:鶏

 ☆2 ☆☆12 ☆☆☆16 =74


☆☆☆
 面白かったです!じじいにしてやられるストーリー、レックウザのタマゴというタイトルの罠。それから、主人公の設定がとても好みでした。

☆☆☆
 テーマはタマゴと思われる。誤字脱字誤用及び話の流れに不自然な点は見当たらなかった(5/14時点)。テーマのタマゴは話のなかで重要なポイントであり、存在感があった。以上の点から☆☆☆とした。これは評価と関係ないが、いくらバトルをいっぱいしていたといえど、ノギクがああもホイホイ空の柱をのぼるのには違和感があった。また、装備を整えたにもかかわらず、使ったものが自転車だけというのももったいない。できればあるもの全てを使ってのぼってほしかった。
あつあつおでん

☆☆☆
 最初読んだ時は正直イマイチだなーと思っていたのですが、もう一度読み返すとしっかり踏み固めながら築くように一文一文を描いていることに気付いて、こりゃ凄いなぁ、と笑空の柱での冒険感がいいですね。ゴーストと落ちる床の二重の追手から高速で逃げる疾走感。上に上に昇っていく展開って何となくアツい気がします。何だかんだで好きなことをはっきり持っている主人公。何かを成すには得意なことを伸ばすのが一番なのでしょうね。気になるところがあるとするならば、自分の心情を表わすのにやけに客観的な描写がなされている部分です。「私は短くも壮大な旅の記憶を語ろうとする。」という文。「壮大な」って自分で言うのか……とちょっと上がってたテンションが萎えてしまったのが残念です。ありがとうございました。
乃響じゅん。

☆☆
 お題:タマゴ(物理的)
 レックウザを倒してしまったじじいにはすごいの一言。……しっかし、殺してしまって、万一グラードンとカイオーガが目覚めたらどうするのか(汗)野暮なツッコミすみません。ただ、「全てを終えた」ということが、この作品ではバトルの強さだけを象徴してしまっているのが気になります。人生は様々。バトルやコンテストという競うものがすべてではないと感じます。そこがちょっと気に食わない(苦笑)とはいえ、熱いテキストに惹かれたので、最終的にこの評価に落ち着きました。
レイニー

☆☆☆
 グッと来た文【「こいつはじいさんのバシャーモの子どもだね。一丁前にフェザーダンスなんて覚えちゃって」】じじいに騙されたの一言に尽きます。(汗)まさかレックウザさんと戦って、その証まで残していくとは。(汗)そして最後のシーン、家に漂っていた暗い雰囲気をあそこまで変えるとは。あのじじい、油断ならねぇ。(汗)あのタマゴはノギクさんへの何かキッカケになるようにと願いながらの、じじいからの最期のプレゼントだったのかなぁ……と思いました。『――あぁ、やっぱり、そういうことなんだろうな』という一文からの場面転換、そして手に汗を握るスリリングな空の柱攻略の描写にドキドキが止まらなかったです。
巳佑

☆☆☆
 思わず黒マントを纏い、盗んだマッハ自転車で走り出したくなるようなお話でした。ところどころに挟まれる小ネタと小気味いい響きの連続についつい惹き込まれてしまい、なおかつ、>「使ってる」わたしは嘘をついた。ここらへんの微妙な気持ちの揺らぎぐあいがぐっとくるのがもう。ダイゴ泣かす。
カレー屋さん

☆☆
 ポケモンを使った描写が上手く使われており、ポケモン小説らしさを強く感じた。また、夢を追いかけるのも地に足を付けて生きるのも面倒くさいというのを、合間に居る主人公を用いることによって上手く書けていた。主人公が受け身にいることがあり、話の中心のいないように感じたので一歩引いて見てるという点で読者に近いなぁと思った。
西条流月


 パンチの効いた、インパクトのある作品でした。 純粋にお話として面白かったですし、アイデアに溢れた描写に加え、各所に嵌め込まれたギャグやキーも、十分過ぎるほどの働きをしてくれていました。 字数の割に内容が濃かったのもグッド!が……哀しいかな、綴られた物語を担っている文章が、なかなかに安定していない。
 語りたい事柄が分からない訳ではないのですが、色々なテーマが乱立し過ぎており、一見するとどれが本当に焦点を当てたい本命なのか、非常に掴み辛いです。
 『書きたいや読ませたいが多すぎる』の、まさに典型例と言った感じ。
 ……描くテーマに、はっきりとした優先順位をつけるべきだったでしょうね。描写にしてもそうで、最初の反感や反抗を描いていたシーンから、塔を昇るまでは良かったのですが……その後の頂上でのシーンは、些か説明不足のような気が致します。
 ……あそこでは、疾走感の後の反動を表現しようとしたのだとは思いますが、それまでに疲労を示す描写が一切盛り込まれていませんでしたから、いきなりそこで崩れ折れられても、『?』が出るだけで全く感情移入が出来ませんでした。確かに酸素不足や息切れなど、必要と思われるキーは打ち出されてはおりましたが……それにしたって唐突に過ぎて、急にまぶたが重くなるほどのピンチに陥られても、読み手としては首を傾げるばかりです。 描きたいものが複数ある時は、やっぱり予め体系立たせて、常に先手を打って種を仕込んでいかないと、なかなかスムーズに繋がってはくれないものです。シーンやメッセージ、それにキーとなる諸要素の一つ一つはとても印象が強いものでしたから、もっと丁寧に接合していけば、必ずや素晴らしい作品になった筈。
 アイデアや骨格は優れていただけに、更に全体を俯瞰して、斑の無い仕上げを施して欲しかったですね……総括すれば、非常に野心的な内容の作品だったと言う感触。 試み自体は十二分に魅力的でしたので、後はどれだけバランスよく仕上げるか。
 その為に、残りの二千字を使うべきだったと思います。素材的には、☆☆☆も十分狙えたのは間違いありません。
 ……一万字でも足りないような内容とボリュームでしたが、その点では実に惜しかった。
クーウィ

☆☆☆
<作品情報>
テーマ種別 →タマゴ
作品タグ →【物理的なタマゴ】【一.五人称的文体】【全作品中最速】
ポケットモンスターシリーズの二次創作としての意義 →完膚なきまでの二次創作。私がどうこう言うまでもない。
テーマの消化度合い →おじいちゃんに敬礼。私がどうこう言うまでもない。
<講評>
 ベタではないけれど先の読める構成と、口語体による流れるような語り口が絶妙にマッチしていて、全作品中でも長い部類に入るにも拘らず凄まじくスピーディに読める、そんな作品でした。前半のコメディタッチなシーンと、中盤〜後半にかけてのシリアスなシーンのメリハリがきっちりついていて、スムーズに読めてかつ作品の空気が変わったことを感じ取れました。個人的には、テンポのよさでは全作品中最速かと思います。
 突っ込むところは特にありません。最後に「レックウザのタマゴ」が孵るシーンで、タマゴわざを用いてたったの一行で「おじいちゃんの夢」を描ききって見せたシーンで心地よい敗北感に包まれました。私負けましたわ!(回文)。もはや何も言うことはありません。私もこんな作品を書けるようになりたいものです。僭越ながら、今後の更なる活躍に期待しております。
586

☆☆
 テキストはいいし、テンポもいいが、やや空回りか。静から動のシフトがあまり上手くいっていない印象を受ける。急にアクセルを踏んだのでかなりスリップして、タイヤの荒れが気になる。前回投稿のあった「フレアドライブ」のテキストがすっきり整ったような作品か。こうした勢いのある内容の場合は、むしろ崩壊したテキストの方が説得力が出る。 自己申告している通り、旅路はすっとばしている。途中遭遇した野生のポケモンをなぎ倒すにしても、近所でブイブイ言わせていた程度のポケモンでそこまで通用するものだろうか。そこに疑問符を挟ませないだけの勢いが、この作品にはなかった。そういう整合性を超越して、読者に飛び込んで行く力強さがない。 ひとつお気に入りのワードが、“わんぱくポニータ”。これは「じゃじゃ馬」という意味でいいだろうか。とても面白い。
渡邉健太

☆☆☆
一読目:いいなぁ、このスピード感というか読みやすさ。前回のフレアドライブを連想させる。パッチールみたいにふらっふら、なんて言い方大好き。ぬおーぬおーっな空気の中のじゃじゃ馬ポニータ!?とか笑えるところもいっぱい。好きだなこれ。
二読目:黒マントの系譜(爆)とにかくさくさく行けて楽しいねこれ。二回目なのにそう思う。ただこのノギクちゃんは超人か。初めて空の柱にトライしてルートが分かってもいないのに一発で頂上まで行けるもんなのか。まぁいいか。あとキクノさんババァって駄目だよそんなこと言っちゃ。若いころはきっと美人だったんだから。
三から八読目:ところで瀕死状態のポケモン手ボールに入れて捕まえられないの?じいさんレックウザ殺しちゃったみたいなことになってるけどタマゴなんかより、いやタマゴもだけど、レックウザボールに入れて持って帰って『おいこらジジィ倒してんじゃねーか!』とか罵倒の一つでも浴びせればよかったのに。
九から十読目:まぁなんだかんだ言いつつ、ものすごく面白かったです。ただまぁ、ちょっと行き追い付きすぎな気もするけども。☆3つで。脱字発見『レックウザを捕まることが目的。』→『レックウザを捕まえることが目的』では?
音色

☆☆☆
 きたー! うおおおお!!! これはとても満足させていただきました。素晴らしい! 面白い! こんなにボリュームあってたった8000字!? わたしは意味がわかりませんでした。
 なんといっても目がまるで離れない。再読するときでさえ、オチがわかっているはずなのに初読するかのように興奮していました。 キャラクターがいいですね。味がある。そして地の文のノギクの語り口調がなおさら良かった。
 淡々と進んでいるように見えて、緩急がついている。盛り上げるところは盛り上げて、落ち着かせるとこは落ち着いて。見事です。
 タイトルのセンスもすごいなーと思います。いや、見事に本文内容を含んでいてネタバレにならない。このセンスください。それ以外もください。変なこと言ってごめんなさい。
 とかいうのはしょぼい口上で、わたしが言いたいことは本当に面白かった。ってだけです。なんかもうありがとうございます。 >>オオスバメなんかは、わたしのカバンから傷薬を取り出そうとしている。
 とかいいながら >>オオスバメが取り出したのは傷薬ではなかった。
 これはさすがに突っ込みたい。どっちやねん!
 それと空の柱の頂上からは普通に空を飛んで帰りましたが気流とか大丈夫だったのでしょうか。 最後に、ノギクが空の柱に行っていた時間、幼なじみがリーグ制覇した時間、じじいが死んでおやじや知らない人が集まった時間がちぐはぐのような気がしました。
でりでり

☆☆
 少々饒舌すぎるようにも感じるが、特に冒頭、スピードと勢いがあり調子のいい文章。でもじじいとか、おやじとかの連発は、結構耳障りに感じる(^^;)>レックウザを捕まるのが目的。「え」が抜けている>傷薬はわたしを回復させてくれるだろうか。そんなことを考えていて、オオスバメが取り出したのは傷薬ではなかった。文章のつながりがおかしく感じられる。「そんなことを考えていたが、」等ではどうか。
サトチ

☆☆☆
  おじいちゃんがレックウザを倒しちゃったり、幼馴染がチャンピオンになっちゃったりするので、悪く言えば設定が大げさである。だから、そのへんは好みが分かれるかもしれない。しかし、この小説に書かれたメッセージを伝える意味では、いやーこれはないわー、さすがにこれは無理だわーってくらいの設定を持ってきたのは正解だったのかもしれない、とも思う。以下、私の解釈だが、この小説を読んで思ったことをつらつらと思ったことを書くことにする。
 皆々様には経験がないだろうか。友達、家族、あるいは知っている誰かでもいい、その誰かがある日、言うのだ。皆に向かって宣言するのだ。
「おれは○○になる!」「おれは○○を成し遂げる!」と。
 それはかなり突拍子も無い絵空事、空の柱の上での出来事のような雲の上の話だ。夢物語だ。その誰かはそんな話を嬉々として語るのだ。そして、あなたや私はそれを冷めた目で見つめている。それを鼻で笑うのだ。
「何言ってるんだ、こいつ」「お前になんか無理だ」「できるわけが無い」と。 そうなのだ、たいていは出来ずに終わることが多い。最初の勢いはどこへやら。煙のように夢は消えてしうのだ。私達はああやっぱりねって冷めた目でそれを見てる。
 でもたまに出ちゃうことがある。本当にやってのける奴が現われることがある。 その時我々はどんな風に反応するのだろうか。「ああ、あいつには才能があったんだなぁ。あいつは特別なんだよ。才能があるんだよ」なのか。それとも、「あいつができたなら俺にもできるのかもしれない。俺ができないと思いこんでいただけなのかもしれない」と、殻をやぶるのか。
 この小説の主人公はどうやら後者だったみたいだけれど、私達はさ、どうなんでしょうね。 あいつは才能あるから、特別だから、と殻にこもっているのか、あるいは……。 この小説を読んだときに、自分ならどうだろうってちょっと自問した。
 なんかいろいろ理由つけて、動いていないだけなんじゃないの。行動起こしてないんじゃないのって、そう考えて私はちょっとドキっとした。
お題:タマゴタグ:一人称、レックウザ、アチャモ、黒マントの系譜
地方:ホウエン
死亡:あり
No.017

☆(作者の為、参加点のみ)
 拙作になります。以下、作者の痛いカイセツ自己満足でいいから、描写されない内的テーマを作品の中に盛り込みたかった。時間の経過、生死、井の中の蛙大海を知らず。などなど。ずっと同じ場所に止まり、やがて死ぬのを待つしかない存在のレックウザと、ずっと同じ場所に止まる権利を得て死んだ爺さんの対比。死にゆく者と生まれる者の対比。死ぬこと生まれることの上に流れる時間について。対比することによりノギクちゃんみたいに読んだ人が何か考えてくれたら嬉しいなって思いました。以上、書けなかった言い訳でした。長々とすみません。









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