たった一言




 宅配便が届いた。綺麗な青い箱。配達員のペリッパーによると、贈り主は僕の隣で眠っているポケモンとのこと。
 箱を開けると、1枚の紙が入っていた。そこには、足形文字で一言だけ書かれていた。たった一言。しかしその言葉は、今までの冒険を甦らせた。
 感慨に耽っていると、贈り主が目を覚ました。彼は、僕が贈り物を手にしているのに気付くと、顔を赤らめ俯いた。そんな彼に僕は言った。紙に書いてある言葉と、同じ言葉を。

 そらのおくりもの――それは「ありがとう」を伝えるどうぐ。




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