マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.1174] No.01 リーダーは茶色い 投稿者:こまめ   投稿日:2014/03/22(Sat) 16:05:44   28clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

「シャティアーーーン!!」
木でつくられたドアが、バンと勢いよくあく。
扉を開けたのはブースター。その後ろにサンダースとニンフィアがいる。
サンダースは静かに立ち、ニンフィアは鏡を見ながらしきりにピアスの位置を直していた。
部屋の中は散らかっている。
ベットの上に青いヘルメットと、金色のメダルの様なものが付いたスカーフが無造作に置いてある。窓にはカーテンがひかれ、テレビはつけっぱなし。中央にあるこたつの上には皮の剥いたみかんがのっている。
「・・・・・・・なに。」
ベットの上で何かが動いた。
その拍子に、ヘルメットが軽い音を出しながら床に落ちる。
青いスカーフを頭にのせながら顔を出した生き物は、しんせつポケモンのグレイシアであった。怪訝そうに顔をしかめ、ベットの横からこちらを見つめている。
「『なに。』じゃなーーーい!!なぜこない!なぜ集会にこない!」
ブースターが大きな身振りをつけながら、大声で言う。
グレイシアは顔を引っ込めた。
おびえているようにも、バカにしているようにも取れる。
「・・・・・・・集会、いらない。」
「なに!?」
グレイシアの小さなつぶやきに、ブースターは大声で返す。
グレイシアは今度はもう少しはっきりした声で言った。
「集会、いらない。話し合う事、ない。そもそも、リーダー、いない。」
ブースターは言葉に詰まった。
最初のふたことは言い返せる。だが、最後の言葉―『リーダー、いない』は事実なのだ。
「・・・・・・・。」
グレイシアは黙った。
ブースターも黙った。
サンダースはおろおろしたように頭をかき、ニンフィアはまだピアスを直していた。
部屋に静かな空気が流れる。ただ、テレビの音が響いていた。
ブースターが口を開いた。

夜の始まりごろに降り始めた雪は、いよいよ本格的になり始めていた。
しんしんと振り続ける雪を、僕は窓からのぞいていた。
その中に小さいころ大好きだった、ヒーローアニメの登場ポケモンを思い描く。
氷を操るグレイシア。冷静・クールな性格で、でも実は仲間思い。
それは僕の進化形でもあった。グレイシアにあこがれ、なんどフロストケイブに行きたいとねだったことか。お母さんには迷惑をかけたな・・・。
そんな事を考えていると、本当に雪の中にグレイシアが見えるような気がした。
思い出ってすごいな。
近づいてくるように見えるグレイシアを見ながら、僕は素直にそう思った。
――――え?
グレイシアが窓をたたいてから、ようやく僕は疑い出した。
え?え、ちょっとおかしいだろ。え?
なに平然とした顔で窓叩いてんだこのグレイシア!
僕は慌てて玄関へ走る。
ドアを蹴り飛ばすようにして開け、雪の世界へ飛び出す。
窓の方を見ると、グレイシアはさっきと同じ顔で氷の柱を作っていた。
やばい!!
そう思ったのとほぼ同時に、グレイシアは窓に柱をぶつけた・・・。


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