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  [No.1199] 5.リオールと骨 投稿者:焼き肉   《URL》   投稿日:2014/09/19(Fri) 23:18:14   55clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
タグ:リオル→ルカリオ

 サンギぼくじょうにリオルがいるって聞いた時は、ずいぶん粘った。ルリリヨーテリー(牧場主の夫婦さんたちのじゃない、)ルリリメリープメリープメリープコダックコダックノコッチヨーテリーヨーテリーヨーテリー……。

 クタクタになって、やっと草むらの影にリオルのたれ耳(だと思ってた部分)を見つけた時には、私の服とか
髪とか顔は草まみれになってた。もしこの時にガーディのワンディがいたら『草くさいな』って感じで鼻をふん
ふん鳴らされてたかも。

 その時のわたしは頭のお団子まで草がくっついてても、ベタベタする草の実がスカートにくっついてても全然
気にならなかった。 

「見つけたー! 青いたれ耳わんこ!」

 わんこだと信じて疑わなかったリオルを、やっとのことで見つけたうれしさいっぱいだったから。

 リオルは、草まみれのわたしが喜んでいるのに気がついたのか、耳──頭から垂れてる黒いとこじゃなくて、
てっぺんについてる体と同じ、青い耳──をピクピクさせて、変な顔をしていた。

 その時初めて、リオルの頭の横に垂れてる黒い何かは耳じゃないということを知った。
 その後ポケモンずかんを見て、犬ポケモンじゃなくて「はどうポケモン」だということも知った。

 ○

 わたしに慣れてくれたころ、リオルはルカリオに進化した。進化したら目立たない耳がピーンと伸びて、そっ
ちが耳だとわかりやすくなった。
 
 リオルの時からこんな感じだったら、わたしも間違えずに住んだのに。ヒュウちゃんに耳の位置を間違えたって
ライブキャスターで言ったら、マンガみたいにゲラゲラ笑い転げた。ひっくり返ったせいでライブキャスターか
らヒュウちゃんの姿が消えて、しばらく笑い声だけが聞こえてた。酷い。

 それに耳の下から垂れ下がっていたアレも二つから四つに増えたから、そういう意味でももう耳とアレを間違
えることはないと思う。

 本当にアレはなんなんだろう。トロピウスの顎の下にみのってるフルーツみたいなものかな? って思ったけ
ど違うみたい。引っ張ってみたかったけど絶対痛いし二度と生えてこないだろうからやめた。

 でもバトル中、動くたびにアレも一緒に動いてるのを見ると、こう……背後から引っ張ってみたい気持ちが…
…ダメダメ、昔似たようなことしてミルホッグのキョロの仲間を驚かせちゃったじゃない。
 
 なんなんだろう、って言えば、ルカリオの分類もそうだ。見た目的にはぜったいワンコだと思うんだけど、図
鑑での分類は「はどう」ポケモン。

 でんきとかかくとうみたいなタイプとはまた違う、ポケモンの種族の分類の仕方は、一番目立つ特徴を元に分
けられるみたい。

 ミネズミがいかにもネズミ! って感じにあのプクプクほっぺにごはんを詰めたり、そのものズバリミ「ネズ
ミ」って言われてるのに「みはり」ポケモンって言われてるのもそういう理由からみたい。確かにミルホッグの
キョロは、ミネズミの頃ずっとキョロキョロしてたもんね。

「ねえねえリオール、あなたってわんこじゃないの? それとその耳の下についてる黒いのはなんなの?」
「くわん?」

 関係ないけどわたしのルカリオはリオールって名前だ。リオルが訛っただけじゃねえかというのはヒュウちゃ
んの意見。

 リオールははどうでなんとなくこっちの言ってることがわかったみたいなんだけど、さあ? って感じに首を
ブンブン振られた。

 一刀両断。

 一刀両断するのは、あいてのポケモンだけでいいんだよ。

 それより遊ぼうよ、って感じに、リオールは顔をわたしのむねに押しつけてきた。胸のトゲトゲがちょっと痛
い。わたしはこっそり耳の下にぶらさがっているアレを触ってみる。

 なんていったらいいのかな……鉄を触ったような感じ。ヒオウギの見晴らし台の手すりとかと触ってる時の感
触が似てる。頭とか耳は生き物って感じにあたたかくてやわらかいから変な感じ。 純粋なはがねタイプじゃな
くて、かくとう・はがねタイプなことも関係してるのかな。

 頭のアレと同じ色のお手手も握ってみたら、やっぱり鉄みたいに硬かった。これで相手を殴ったりしてるわけ
かーって思うと、強いわけだなあと納得してしまう。

 ○

 まさに鋼! って感じで硬いリオールのお手手だけど、わたしはどっちかっていうと、あのお手手で戦う技じ
ゃなくて、別の技をよく使わせてる。

「リオール、ボーンラッシュ!!」
「くわーん!!」

 洞窟の中、わたしの指示する声と、リオールのよく響く鳴き声が響き渡って、それからリオールは右手を空中
に掲げた。

 薄暗い洞窟が一瞬照らされ、次の瞬間リオールは一本の長い骨を右手に握っていた。
 長い足が洞窟の硬い地面を蹴る。
 手に持った長い骨が、離れたところに立ってるガントルに直撃した。
 一発!

 本当ならここでノックダウンするはずのガントルは、ふらつきながらも体を硬い地面に寝かせることはなかっ
た。

 ──特性・がんじょう。

 洞窟を探検していると、効果抜群でレベルに差がある技でも一撃では倒れない、このがんじょうなガントルが
いっぱい出てくるから、結構やっかい。でも。

 二発!

 両手で握り直したリオールのボーンラッシュが、見事連続攻撃を決めた!
 元々レベルに差があったガントルは、そこでクラクラと体のバランスを崩して倒れた。
 二回ヒット。
 ガントルはがんじょうなポケモンだから、二回攻撃してやっと倒れてくれる。

「お疲れさま、リオール」
「くわん!」

 骨を握ったまま、勇ましく鳴いてみせるリオールは本当にカッコいい。剣と魔法で華麗に戦う、ファンタジー
小説の勇者様みたい。名付けるならそう、『波動の勇者』って感じ。これわたしが考えたんだよ。我ながらカッ
コいい。

 シュウウン、っと骨が消える。これ本当にどういう仕組みになってるんだろう。

 わざマシンを使えばサイコキネシスも覚えられるルカリオには、エスパータイプのポケモンと同じ性質もある
っていうから、そういう能力で骨も作ってるのかなあ。

 リオールにはやっぱり骨が似合うと思う。だってわんこに似てるし。アララギ博士は「他に分類するなら、キ
ツネや天狗じゃないかしら」って言ってたけど、やっぱりわたしは、はどう以外で分類するなら、ガーディとか
と同じわんこだと思う。だって懐っこくてむじゃきだし。

 わたしとしては、ふといホネを持たせてあげたいくらいなんだけどなー。ルカリオであるリオールに持たせた
ところで、全然意味ないんだけど。

「ねえねえ、リオールはやっぱりわんこなんでしょ?」
「くわん?」

 さあ知らない、って感じに、リオールは首を傾げた。わんこを押しのけてはどうポケモンの枠に入っているだ
けあって、リオールは他のポケモンより意思疎通がしやすい。

 けど、リオールも知らないことを聞いたところで、前と同じ。
 答えは返ってこない。
 ボーンラッシュ覚えるし、わんこだと思うんだけどなあ。


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