マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.1478] 金烏の空 下 投稿者:浮線綾   投稿日:2015/12/26(Sat) 19:29:51   34clap [■この記事に拍手する] [Tweet]



金烏の空 下



 モチヅキはホロキャスターから流れてくるニュースにじっと聞き入っていた。
 緑の被衣を被ったキョウキはモチヅキの向かい側でフシギダネを抱え、まじまじとカビゴンの群れのコボク侵攻を見下ろしている。
「……珍しいことだ」
 モチヅキがぼそりと呟いた。ホテルの傍の空を、破壊光線が何本も飛んでいく。
 コボクの石造りの街が崩れつつある。
 ようやくキョウキもモチヅキも、これは単なる珍事でなく、かなり危険な非常事態ではないかと思い至った。
 西門に集中していたコボクの警察はポケモンを繰り出してカビゴンたちに応戦しようとしているが、その巨体に何の躊躇もなく迫ってこられれば、勇猛果敢な警察のウインディもライボルトもレントラーもムーランドもたじろぐしかない。防衛線は押され気味である。怒り狂ったカビゴンの破壊光線が街を蹂躙する。
 キョウキとモチヅキの現在いるホテル・コボクもまた、西門にほど近い位置にある。
 危険だった。カビゴンの西門突破より間もなくホテル内にもアナウンスが響き渡り、すべての客に避難するよう指示が出される。あるいは、腕に覚えのあるトレーナーがいればぜひカビゴン騒動を止めてほしい、とも。
 モチヅキもまた立ち上がりつつ、キョウキを見やった。
「そなたはカビゴンの相手はせぬのか」
 キョウキは肩を竦めただけで、モチヅキの先に立ってそそくさと部屋を出た。


 ホテル一階のロビーは、困惑し狼狽した観光客らによってひどく混雑している。
 受付には取り乱した客が何人も殺到していて、ホテルマンが哀れである。観光客は次々とホテルの者の案内で外へと避難を始めており、キョウキとモチヅキは混み合う階段の半ばで立ち止まってその混乱の様子を見ていた。
 カビゴンの群れの勢いは止まぬらしい。
 破壊光線の発射されるなんとも胸に悪い音、胸の奥を抉るような残酷な鋭い音、ミサイルのようにいくつもいくつも空を切る音がする。
 そして何か巨大なものを破壊し、何か大切だったであろうものが崩れ去る音がする。
 ホテルの地面すら揺れる。そのたびに、ホールを埋め尽くした観光客から悲鳴が上がる。

 コボクタウンの周辺にたびたびカビゴンが出現するという話は、全国的に有名だった。カビゴンは山のきのみを食い尽くし、きのみ畑に何度も侵入を試み、時にはコボクタウンにも食料を求めてやってくる。コボクには、そのカビゴンのための祭りを毎年行ってカビゴンにたらふく食べさせることによる、カビゴンとの共存を選んだ歴史、そしてイメージがある。
 カビゴンがこのようにコボクを実力で襲うことは滅多にない。
 いくら食料のためといっても、ここまで暴れるのは逆にカロリーの無駄遣いである。
 キョウキには、だからこのカビゴンによる侵攻は奇妙にしか思われなかった。食料不足に起因しない、カビゴンの暴れる理由が何かあるとしか考えられない。

 ロビーに詰まっていた観光客がぞろぞろと避難していき、だいぶロビーは空いてきた。
 そこでキョウキとモチヅキは、男に話しかけられた。
「お、やっぱいた。キョウキ、モチヅキ殿」
 先ほどまで二人がホロキャスターで話していた相手、ロフェッカである。
 しかし二人は振り返って、さらにぎょっとした。
 ロフェッカの隣でどこか身を縮めている、老婦人と幼い少女。マフォクシーを連れている。
 モチヅキとキョウキは、ロフェッカよりもそちらの二人に気を取られてしまった。まさかこのような非常事態の中で出会うことになるとは思いもしなかった。
「ミホさん、リセちゃん。観光ですか? 旅行先でこんなことになるなんて、災難ですねぇ」
 キョウキは笑顔で声をかけてみたが、幼いリセはカビゴンの暴虐に怯え切っているし、そしてミホの方は、キョウキよりも、明らかにモチヅキを前にして動揺していた。
 それもそうかとキョウキは思う。ミホにとってモチヅキは、憎むべき裁判官なのだから。


 とはいえうっかりと因縁の相手に巡り会ったとしても、のんびりと会話をしていられる状況ではない。
 カビゴンの群れの進軍と蹂躙は止まらない。フシギダネを抱えたキョウキは、モチヅキ、ロフェッカ、ミホとリセと共にホテルの外へ歩み出た。ホテルから避難する客の、最後の一団である。
 破壊光線が街並みを掠め、近くの建物に激突し、巨大な石のブロックが石畳の上に落下してくる。リセはたまらず祖母のスカートにしがみ付く。
 ロフェッカは、かつてはそのミホとリセを引き合わせる役目を担当していた職員である。どこか呆然自失としているミホを必死に支え、もはやモチヅキやキョウキに軽口を叩く余裕などない。ただコボクの東へ、人波に従って五人も動く。
 その中、ミホの連れていたマフォクシーがふと立ち止まった。
 このマフォクシーは、カビゴンの騒ぎの中も、全く動揺を見せていなかった。まるですべて分かっていたかというように。けれど何かを待つように、時折空気の震えを感じ取りながら、そして縋りついてくるリセを抱き上げることもせずに、ここまで黙々と一行についてきていた。
 そのマフォクシーが急にミホの傍を離れ、西へと立った。
 少女が叫ぶ。
「あ、マフォクシー!」
「あ……!」
 老婦人が止める間もなく、マフォクシーはふわりと跳躍し、もはや人の姿の無い荒れ果てた石畳に立つ。そして迫りくる十体ほどのカビゴンの群れの前に立ちはだかった。
 ロフェッカに支えられていたミホが、悲鳴のような大声を出す。
「何をしているの、マフォクシー!」
「マフォクシー、だめ、かえってきてー!」
「おい、ミホさん、リセちゃんも落ち着け!」
 ホテルから避難する人々に取り残される。ロフェッカやホテルの職員に怒鳴られるも、老婦人と少女は共に来たマフォクシーを置いていくわけにはいかない。必死で呼びかける。
 マフォクシーはカビゴンは見ていなかった。袖のようになった腕の毛皮の中から枝を引き抜き、その勢いで着火させる。枝の先端の炎は赤々と燃え、マフォクシーの瞳は獰猛に輝く。
 モチヅキとキョウキもまた、お義理で彼女たちやロフェッカに付き合い、道の真ん中に立ち止まっていた。二人とも彼女たちとは見ず知らずの相手ではないし互いにそのことを知っているから、モチヅキもキョウキも彼女たちを他人のように見捨てて逃げるわけにもいかなかった。
 緑の被衣のキョウキはフシギダネを抱えたまま、戦闘の意志もなくぼんやりと、迫りくるカビゴン、そして何に向かってやら闘志を燃やしているマフォクシーを見つめていた。


 マフォクシーは、カビゴンに立ち向かうつもり――は無いようだった。であれば即ち、マフォクシーにミホやリセをカビゴンから守ろうと意志は無い。
 何か己の目的がある。
 キョウキには、マフォクシーの見つめているものがなんとなく分かった。
 カビゴンの群れの後方の一頭が、何の前触れもなく、ゆっくりと正面から倒れた。それに気付かないように他のカビゴンたちはずんずんとコボクの中央へと進撃を続けるが、一体、また一体。
 何が起きているのか。背後から攻撃を受けているのか。
 カビゴンが倒れるたびに地響きが起こる。
 キョウキ、モチヅキ、ロフェッカ、ミホ、リセの見つめる前で、カビゴンが一体づつ、地に伏してゆく。
 風が吹いた。
 鋭い紅い風が吹いた。
 マフォクシーが枝に灯した炎に熱い息を吹きかけ、渦巻く火炎を飛ばす。その急な熱風にリセが泣き出した。
 けれどそれも、すぐに冷たい風に切り裂かれた。
 マフォクシーは風の中から現れた紅いアブソルに、一瞬のうちに切り伏せられた。


 老婦人が悲鳴を上げる。
 その悲鳴に怯えて、なおさら孫娘が泣き出す。
 ロフェッカはぎょっと身を竦ませ、モチヅキはただ微かに眉を顰めただけであった。
 キョウキはフシギダネを抱えたまま、四人の後ろの方でぼんやりと、マフォクシーが崩れ落ちるのを見ていた。
 気づくと、コボクの石畳の上にいくつも倒れ伏していたカビゴンの巨体が、一体ずつ消えていっている。
 モンスターボールの赤い光が見える。誰かがカビゴンを片端から捕獲しているのだ。
 色違いのアブソルは、通常の個体よりも一回りも二回りも大きい。その血塗られたような角はねじくれ、石畳に伏したマフォクシーの首に鋭い刃があてがわれて、マフォクシーは怒りに口の端から火の粉を漏らすも身動きが取れない。
 アブソルが少しでも動けば、マフォクシーの命はない。
 ロフェッカはミホとリセを支え、そして大声で怒鳴る。
「――おい! どういうことだ! ルシェドウは何してやがる!」
 その叫びに返答はない。カビゴンの巨躯の向こうで、また一体カビゴンの姿が消える。
 最後のカビゴンの姿が消えて、崩れ切った石畳の上。
 大量のモンスターボールを手にして困惑した様子を見せながら五人の前に現れたのは、赤髪の少年だっただった。

 キョウキは緑の被衣の影からその少年を観察する。
 褐色の肌に赤髪、餓えたような水色の瞳。肩には申し訳程度に白地に青線の入ったホープトレーナーの制服を引っかけている。確かにレイアやセッカから聞いた通りの容貌をしている。ミホやロフェッカの動揺ぶりからしても、間違いはない。
 ――榴火だ。


 手にした十ほどのモンスターボールを不器用に次々と袋の中に投げ入れて、ようやく少年は顔を上げた。そして自分のアブソルがどうにも見覚えのあるマフォクシーを組み伏せ、その先にはまた見覚えのある面々が五名ほど揃っているのを目にして、その表情を輝かせた。
「よう。ババァ」
 榴火の呑気な無礼な挨拶に、ミホが全身を戦慄かせる。幼い孫娘の肩だけを強く抱きしめて。
 そのような祖母の反応に全く関心を示さないまま、榴火は静かになったコボクの街並みをのんびりと見回した。
「……ちっとのんびりしすぎちったかねぇ。ま、いっか」
「おいお前、榴火だよな? ルシェドウはどうした? あいつには会ってねぇのか?」
 榴火に声をかけたのはロフェッカである。怒りやら動揺やらで震えるミホと、むせび泣いているリセの二人を支えつつ、榴火をまっすぐ見据えて立っている。なかなか威厳のある頼りがいある立ち姿だった。
 榴火はロフェッカを見やると、どろりと首を傾げた。
「え? あ? 誰? は? え? なに?」
「だから、ルシェドウはどうしたっつってんだ!」
「あ、ルシフェル。そのマフォクシー殺していーよ」
 榴火はロフェッカを無視し、そのような残酷な指示を下す。すると少女が絶叫した。
「い……やぁぁ…………や、やだぁぁぁっ」
「うるっさ。え、誰そのガキ」
 榴火はモンスターボールの詰まった袋を蹴りつつ裸足でぺたぺたと石畳を歩み、少女の方に歩いてくる。リセは涙で頬をぐしゃぐしゃに濡らしながら、祖母やロフェッカの陰に慌てて後ずさる。
 榴火はけらけらと笑って立ち止まった。憐れむような眼差しになった。
 一方で紅いアブソルはマフォクシーの首をかくべく鎌を動かし――動きを止めた。
 アブソルの動きを止めたのは、キョウキのフシギダネである。


 緑の被衣のキョウキは両の二の腕をさすりつつ、嫌そうな顔でロフェッカやモチヅキの両名を見やる。
「はいはい、こうしろってんでしょ。無言で圧力かけないでくださいよ。僕としちゃあ、ポケモンがポケモンを殺すとこを見るのもいいなって思ってたんですけどね」
「ギャハハハッ、何だコイツ狂ってる!」
「君には言われたくないけど」
 キョウキはぼやいて榴火に応じ、そっとフシギダネを手から離した。
 石畳に降り立ったフシギダネは蔓でアブソルを捕らえつつ、キョウキが一同の注目を集めている隙に素早く眠り粉を仕掛け、組み合っていたアブソルとマフォクシーを二体とも眠らせた。そしてさらに素早く巨大なアブソルを蔓で拘束する。
「あ、やられちった」
 榴火は笑いながら、色違いのアブソルをボールに戻した。ミホも慌ててマフォクシーをボールに戻す。
 場に出ているポケモンはフシギダネ一体になった。
 榴火に戦意は見られない。袋の中に入れた十ほどのモンスターボールを揺すって遊んでいる。
 キョウキは微笑んでさらに前に出、赤髪の少年の前まで歩み寄った。ようやくまともに榴火の目を見た。
「…………カビゴンが捕まえたくて、この騒ぎを起こしたのか」
「あー、んー、まあ、そんな感じ?」
 榴火は片手を顎に当て、そして何かを思い出したかのようにくつくつと肩を震わせる。
「つーか、“うっかり”土砂崩れでコイツらの巣にいたゴンベ全滅させてみたらさぁー、なんか急にコイツらが怒り出したからー、隙だらけだったんで捕まえてみました、って感じ?」
「……ああ……つまり君はまた、アブソルの力で、罪なきものの命を奪ったわけだね?」
「土砂崩れだっつってるだろ。オレらは悪くね――よ」
 榴火はげらげらと笑い出した。
 聞いていた通りの人柄だ、とキョウキは内心でのんびりと感動していた。まともに話して通じる相手ではない。ここはもっと彼を知る必要がある。
 キョウキは実験を開始することにした。

 キョウキはくるりと背後を振り返った。
「では、彼の祖母であるところのミホさん、彼に何か一言おっしゃってみますか?」
 老婦人に無茶振りをする。
 品の良いスーツに身を包んだミホは、マフォクシーの入ったボールを握りしめたまま可哀想なほどに震えていた。ロフェッカに支えられてやっと立っているが、美しく化粧を施した顔面は蒼白である。何も見えていないようだった。
 榴火はにやにやしている。
 キョウキは諦めて、続いてリセに視線をやった。
「リセちゃん、この赤髪のお兄ちゃんはね、君のお兄ちゃんなんだよ、君のお母さんの息子ではないけど。……うーん、ごめん、まだリセちゃんには難しかったかな?」
「え、なにソイツ、あの女の娘? うっわ、マジで? 二人目? なんだぁ……あとで殺そ」
 榴火がそのように言うものだから、リセはますます怯えて石畳にぺたりと座り込んだ。
 キョウキも軽く笑いながら、次は黒衣のモチヅキに目をやった。
「じゃあ、モチヅキさん。意に沿わず無罪判決を下してしまったトレーナーさんに向かって、何か一言」
「…………キョウキ」
「いや、僕の名前を呼ばれましてもね」
 すると、不愛想なモチヅキをまじまじと眺めていた榴火がぽんと手を打った。
「あ、クソ裁判官!」
「……無礼な」
「いやーどうもありがとーねー。おかげでオレはフリーダム、やりたい放題ですよ。ほんとにアンタのお・か・げ――……って言うと思った? 馬鹿じゃん? なんでアンタさぁ、オレのこと死刑にしなかったわけ? ほんと何で?」
 モチヅキはただただ背筋を伸ばし、ゆったりと腕を下ろし、無表情で榴火を見つめている。
 榴火は笑いながらまくし立てた。一歩前へ出る。
「やだなぁオレ、死ぬためにアイツ殺したのに。ほんと絶望的だわ。ルシェドウとかあんなクソ弁護しやがってマジで糞だわ。あー死にてー」
「君って情緒不安定?」
 キョウキが口を挟むと、榴火はにこりといい笑顔になった。

「あ、なんだオマエ、四つ子じゃん! マジで死ねよ、クソ四つ子!」
「君の中で『クソ』ってのは、安定の接頭辞なんだね」
 榴火はにやにやと笑ってキョウキのすぐ傍まで来た。キョウキの肩に腕を回し、キョウキの顎や首筋に馴れ馴れしく触りながらその耳元で囁く。
「あー死にたい。なあオマエら四つ子の誰でもいいからさ、ちょっとオレの首、ぱーんって刎ねてくんない? いやーすぐ終わるよ。……気持ちよーく、逝かしてよ」
「気色悪いなぁ。自分でおやりよ、この腰抜け。鋭い鎌を持ったポケモンをいっつも侍らせてるくせにさ」
 キョウキも緩い口調で応えた。榴火の耳障りな笑い声が耳朶を掠める。
 榴火は肩を組んだキョウキを足で小突くようにして、モチヅキやロフェッカやミホやリセから数歩遠ざかった。
「なんかオマエさ、他の奴らと雰囲気違くね?」
「レイアとセッカの事かな。僕らは性格はバラバラだからね」
「なんかオマエならマジで人殺せそうな気ィすんだよね」
「光栄だね」
「だろ、ほれ、やってみ? ――こんな感じでさぁ!!」
 榴火は嗤い、両手でキョウキの首を絞めた。
 そのまま体当たりでも食らうようにして、キョウキは背後から押し倒される。キョウキは石畳に頬を叩き付けた。その急激な重心の崩れと重みと痛みと息苦しさに怯む間もなく、緑の被衣が剥ぎ取られる。
「あはっ、ぶっはははは、ぎゃははははははははっ……死ねよ」
 獣の牙が獲物の頸椎を、頸動脈を探り当てるように。
爪の長い榴火の褐色の指が、愛おしむように首筋に吸い付いてくる。
馬乗りになった榴火は、笑顔でキョウキの扼殺にかかる。
 キョウキの視界がすっと暗くなる。
「死ね…………死ねよ…………死ぬんだ…………死んでいい」
 甘い囁き声が聞こえる。
 キョウキの視界で最後まで、空の太陽が白く微睡んでいた。




 次にキョウキが気づいたのは、清潔な病院などではなく、城館のようだった。
 石の天井、石の壁。橙色の薄暗い灯りに揺らめいている。
 客間の寝台に寝かされているのか。
 ここがどこなのかとキョウキが推理を巡らせるのを遮るかのように、枕元にいたフシギダネがキョウキの黒髪にそっと鼻先を寄せてくる。キョウキは重い頭を動かさず、ぼんやりと相棒を見つめていた。
 そして目だけを動かしてキョウキの視界に入ったのは、青い領巾を袖に絡めた腕でゼニガメを抱きしめた、今に泣きそうな顔をしたサクヤだった。


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