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  [No.1500] Subject Notes. 投稿者:   《URL》   投稿日:2016/01/11(Mon) 20:20:21   32clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

前スレッド:http://masapoke.sakura.ne.jp/rensai/wforum.cgi?no=1222&mode=allread

元のスレッドが長くなってきましたので、こちらで継続することにしました。
引き続きお楽しみいただければと思います。


  [No.1501] #137350 「シンプルビーム・ザッパー」 投稿者:   《URL》   投稿日:2016/01/11(Mon) 20:22:04   39clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#137350

Subject Name:
シンプルビーム・ザッパー

Registration Date:
2013-07-11

Precaution Level:
Level 1


Handling Instructions:
機器#137350は、ジョウト地方アサギシティ第七支局の低異常性オブジェクトの保管庫に据え付けられた耐火性の金庫に保管してください。実験目的で機器#137350を使用する場合は、事前に様式F-137350-2に必要な事項をすべて記入してワークフローを回付し、支局の監督官から承認を得る必要があります。

機器#137350による影響を受けたオブジェクトは、生成物#137350として登録・管理されます。現在の生成物#137350の一覧は、リストL-137350-3を参照してください。生成物#137350の実験目的での利用については、様式F-137350-3に沿ってワークフローを回付し、承認を得た上で実施してください。ただし現時点において、コンテンツの明らかな相違を除いた特異な性質を示す生成物#137350は存在しないことが分かっています。


Subject Details:
案件#137350は、特定の条件を満たす電子データに対し、不規則かつ特異な事象を引き起こす「光線銃」型の玩具(機器#137350)と、玩具によって異常性が発現した種々のオブジェクト(生成物#137350)、及びそれらに掛かる一連の案件です。

2013年5月中旬頃、ジョウト地方アサギシティ在住の市民から「閉店したはずのゲームショップに複数の不審な人物が出入りしている」との通報がなされました。警察当局と連携の上当該ゲームショップへ突入し、現場の制圧を図りました。ゲームショップ内部に人の気配はありませんでしたが、いくつかの物証から当局が踏み込む数日前まで複数の人間がここにいた可能性が示唆されました。機器#137350はこの強制捜査時に押収されましたが、警察当局が標準的に実施している自動化検査により有異常性オブジェクトと判断されたため、警察当局から管理局へ引き渡しが行われました。この他、十数点のオブジェクトが同時に引き渡されています。

機器#137350は、1985年に任天堂がリリースしたNES(Nintendo Entertainment System)用周辺機器「NES Zapper」に酷似した形状の光線銃型玩具です。本来のNES Zapperに装備されているNESとの接続ケーブルは存在せず、機器#137350は外部からの電源供給なしに単独で動作します。本来存在しているはずの左上の「(C)1985 Nintendo(R) Zapper(TM)」の刻印は存在しません。この他、グリップの底面に油性マジックで「SiMPLE」と乱雑な字で落書きがされています。分解して内部を確認したところ、一般的なNES Zapperと構造上の違いを見いだすことはできませんでした。

機器#137350の異常性は、稼働中のテレビゲームの画面に対して銃口を向けてトリガーを引くことにより発揮されます。トリガーが引かれると、ゲーム画面が約0.2秒(秒間60回描画時で約12フレーム間)フラッシュし、進行状況によらずゲームが一度リセットされます。パーソナルコンピュータ向けゲーム及び近年の「ホーム画面」を備えたコンソールの場合は、ゲームのプロセスのみがシャットダウンされ、自動的に再起動されます。この時、スピーカーからはデフォルメされた銃声のサウンドが発せられます。これは本来のNES Zapperの専用ソフトウェアである「Duck Hunt(ダックハント)」「Wild Gunman(ワイルドガンマン)」で使用されているものと同一のものです。

リセット後のゲームは通常のプロセスに沿って再起動されますが、再起動後のゲームは機器#137350の影響を受ける以前のものから何らかの形で変質しています。変質の度合いは様々であり、一見した程度ではどのような変化が生じたのか判断が付かないものから、完全に別のゲームとして再構築されているものまでが確認されています。

機器#137350の特徴として、全体としてテレビゲームを「シンプル」にするという方向での変化が発生します。どのように「シンプル」にされるかは、実験の対象及び実験時のゲーム内世界の状況により著しく変動します。

以下は収容後に行われた、テレビゲームに対する機器#137350による影響を調査した実験の記録です:


[実験#137350-1]
対象:ポケットモンスター ピカチュウバージョン(1998年/任天堂/ゲームボーイ)
状況:タイトルスクリーン表示中に機器#137350を使用
結果:本来ゲーム上で入手可能なアイテムである「モンスターボール」及びその派生アイテムが一切入手できなくなり、プレイヤーは初期のイベントで入手できるピカチュウのみを使用してゲームクリアを目指すことになります。ゲーム全体が大幅な調整を受け、ピカチュウ単体でほとんどの敵を容易に撃破することが可能になっています。登場人物の一人「オーキド博士」は、プレイヤーに「ポケモンリーグで勝利を収めること」のみを目標として伝え、異常性の無いバージョンで発生するポケモン図鑑を渡すイベントはカットされています。

[実験#137350-2]
対象:ポケモンスタジアム(1998年/任天堂/ニンテンドウ64)
状況:タイトルスクリーン表示中に機器#137350を使用
結果:ゲームから周辺機器である「64GBパック」のサポートが取り除かれ、ゲームボーイ版のカートリッジからのデータ読み込みが一切不可能になります。あらかじめゲーム内に用意されたデータのみを使用してゲームをプレイすることになります。プリセットの携帯獣である「レンタルポケモン」は異常性の無いバージョンと比較して大幅に強化され、ゲームをクリアする上で問題が無い程度の性能が与えられています。

[実験#137350-3]
対象:ニンテンドウオールスター!大乱闘スマッシュブラザーズ(1999年/任天堂/ニンテンドウ64)
状況:タイトルスクリーン表示中に機器#137350を使用
結果:使用可能なキャラクターが「マリオ」に制限され、ゲームモードとして「1P MODE」の「1P game」のみが選択可能な状態になります。残るキャラクターはすべてコンピュータ専用のキャラクターとなり、プレイヤーは通常取り得るいかなる方法を用いても使用することができません。外部機器により強制的にプレイヤーキャラクターを変更した場合、ゲームが即座にハングアップします。

[実験#137350-4]
対象:ロックマン4 新たなる野望!!(1991年/カプコン/ファミリーコンピュータ)
状況:タイトルスクリーン表示中に機器#137350を使用
結果:プレイヤーであるロックマンが本来使用可能なアクションである「チャージショット」及び「スライディング」が使用不可能になり、ゲーム全体のデザインがこれら二つのアクションに依存しない形に改められます。特殊武器の性能が全体的に向上し、スライディングが必須となる箇所は歩行で突破可能になります。

[実験#137350-5-1]
対象:星のカービィ スーパーデラックス(1996年/任天堂/スーパーファミコン)
状況:タイトルスクリーン表示中に機器#137350を使用
結果:一本で表示されていた体力ゲージが6分割され、プレイヤーであるカービィは「コピー能力」が使用不可能になります。また、ダッシュ及びスライディングも使用できなくなります。これらのゲームデザイン変更は、ゲームボーイ版「星のカービィ」に準拠しようとしたものと推定されています。

[実験#137350-5-2]
対象:星のカービィ スーパーデラックス(1996年/任天堂/スーパーファミコン)
状況:ボスキャラクターの一人「デデデ大王」との戦闘中に機器#137350を使用
結果:ゲームにおけるシーンの差異が、機器#137350による影響の出方の差異となって現れるのかを確認するための実験として行われました。リブート後のゲームは一見して正常なものとの差異は無いように見えましたが、各サブゲームに登場するボスキャラクターが例外なく「デデデ大王」に置き換えられていました。これはサブボス(中ボス)を含んだものです。ボスラッシュモードである「格闘王への道」では、18戦すべてで「デデデ大王」が登場します。このことから、機器#137350が使用された際のゲーム内世界の状況により、ゲームに対する影響は変化するということが実証されました。

[実験#137350-6-1]
対象:ドンキーコング64(1999年/任天堂/ニンテンドウ64)
状況:タイトルスクリーン表示中に機器#137350を使用
結果:プレイヤーキャラクターが「ドンキーコング」に固定され、ゲーム内のすべての場面から残る四体のプレイアブルキャラクターの存在が抹消されます。ゲームは「ドンキーコング」が収集可能なアイテムを収集するだけで進行可能となり、クリアのために必要となる収集アイテムの総数が大幅に減少します。他のプレイアブルキャラクターのみが進入可能な箇所に付いては一切進入することができないか、または最低限の進入方法が用意され、ゲームを最後まで進められるように改変がなされています。

[実験#137350-6-2]
対象:ドンキーコング64(1999年/任天堂/ニンテンドウ64)
状況:プレイアブルキャラクターの一人「ディディーコング」を操作中に機器#137350を使用
結果:実験#137350-6-1と類似した結果に終わりました。ゲームは「ディディーコング」単体で最後まで進められるように再構築されます。

[実験#137350-7]
対象:エイブ・ア・ゴーゴー(1997年/ゲームバンク/プレイステーション)
状況:タイトルスクリーン表示中に機器#137350を使用
結果:ゲーム内から「奴隷にされている仲間を救出する」という要素が完全に排除され、純粋なアクションアドベンチャーゲームとしてプレイすることになります。操作性やグラフィック、サウンドに変化は見られません。

[実験#137350-8-1]
対象:アトランチスの謎(1986年/サンソフト/ファミリーコンピュータ)
状況:タイトルスクリーン表示中に機器#137350を使用
結果:プレイヤーは全100ステージ(ゾーン)を順番に攻略していくことになります。クリアすることが不可能なゾーンである「ゾーン42(通称「ブラックホール」と呼ばれる、進入した時点でゲームオーバーが確定するペナルティエリア)」は攻略すべき対象から排除されています。全体的な操作性が大きく向上している他、異常性の無いバージョンではシビアだった時間制限が大幅に緩和されています。

[実験#137350-8-2]
対象:アトランチスの謎(1986年/サンソフト/ファミリーコンピュータ)
状況:ゾーン42到達後に機器#137350を使用
結果:ゲームは常にゾーン42から開始され、プレイヤーはほとんどアクションを起こすことができないままゲームオーバーを迎えます。外部機器によりプレイヤーキャラクターの性能を変更して強引にゾーン42を突破した場合、またはゾーン42以外のゾーンからゲームが開始するように設定した場合、いずれもゲームが即座にクラッシュします。ROMデータをダンプして行われた検査では、ゾーン42以外のゾーンに関するデータがすべて削除されていることが明らかになりました。

[実験#137350-9]
対象:スターフォックス(1993年/任天堂/スーパーファミコン)
状況:タイトルスクリーン表示中に機器#137350を使用
結果:ゲーム全体が2Dの縦スクロールシューティングとして大幅な再構成を受け、ほぼ完全に別のゲームに変化します。カートリッジに搭載されている「スーパーFXチップ」はもはや使用されず、典型的なドット絵で自機・敵機・背景などが描写されます。カートリッジの検査を行ったところ、「スーパーFXチップ」に関連する命令がすべて削除され、利用できなくなっていることが明らかになりました。

[実験#137350-10]
対象:Duke Nukem 3D(1996年/3D Realms/MS-DOS)
状況:タイトルスクリーン表示中に機器#137350を使用
結果:ゲーム中でロックされた扉を開くために必要な「キーカード」がすべて消失し、ロックされた扉はすべてプレイヤーキャラクターの繰り出すキック攻撃により破壊してこじ開けることが可能になります。本来キーカードが存在した場所には、代替として弾薬や回復薬などの消費アイテムが配置されています。

[実験#137350-11]
対象:METAL GEAR SOLID 2 SONS OF LIBERTY(2001年/コナミ/プレイステーション2)
状況:タイトルスクリーン表示中に機器#137350を使用
結果:ボタン押し込みやアナログスティックの倒し具合による操作がすべて撤廃され、一般的なTPSのスタイルに近い操作体系に変更されます。プレイアブルキャラクターの一人「ソリッド・スネーク」が一貫して主人公を務め、シナリオは大幅に簡略化されたものに書き直されます。

[実験#137350-12]
対象:ドンキーコング(1994年/任天堂/ゲームボーイ)
状況:タイトルスクリーン表示中に機器#137350を使用
結果:オープニングステージである「25m」「50m」「75m」「100m」でゲームクリアとなり、以降のステージに進むことができなくなります。この時登場する四つのステージはアーケード版を忠実に再現したものとなり、本来登場する簡略版はプレイすることができません。

[実験#137350-13]
対象:バイオハザード(1996年/カプコン/プレイステーション)
状況:タイトルスクリーン表示中に機器#137350を使用
結果:プレイヤーキャラクターはあらゆる攻撃手段を失い、ゲーム中に登場するクリーチャーを回避していくことが目的のゲームとなります。ボスキャラクターとの戦いはすべてクイック・タイム・イベント(QTE)となり、プレイヤーが自らの手で攻略する要素は失われます。

[実験#137350-14]
対象:R-TYPE FINAL(2003年/アイレムソフトウェアエンジニアリング/プレイステーション2)
状況:タイトルスクリーン表示中に機器#137350を使用
結果:ゲーム全般のストーリー展開が「地球連合軍の一員となり、悪のバイド帝国を倒せ」という極めてシンプルなものに変化します。顕著な相違は三つに分岐する最終ステージで現れます。最終ステージ1では、背景で展開されていたシルエットの男女による性行為の様子がすべてカットされ、最終ボスとの戦闘でも固有のイベントが発生しなくなります。最終ステージ2では、本来複雑な経緯を経て自軍との戦いとなるところが「敵軍が自軍戦力を模した戦闘機を地球に送り込んできた」と大幅に設定が変更され、単純に敵軍を殲滅するだけの展開となります。最終ステージ3は本来のルートからは進入できなくなり、代わりに「チャレンジモード」なる独立したゲームモードとして無条件で選択可能になっています。

[実験#137350-15]
対象:Earthworm Jim 2(1995年/Shiny Entertainment/メガドライブ)
状況:タイトルスクリーン表示中に機器#137350を使用
結果:ゲームの開始時に各ステージで成すべき事が簡潔なメッセージで明確に示されるようになり、ゲーム全体の難易度が相対的に低下します。注目すべき点として、本来三回登場するミニゲームステージ(PUPPY LOVE PART1/同PART2/同PART3)が抹消され、通常のアクションステージに置き換えられていることが挙げられます。

[実験#137350-16]
対象:パックランド(1984年/ナムコ/アーケード)
状況:タイトルスクリーン表示中に機器#137350を使用
結果:操作体系が大きく変更され、主人公である「パックマン」をレバー左右で移動し、ジャンプボタンでジャンプさせるようになります。この変更に伴い、純正の筐体では稼働させることができません。

[実験#137350-17]
対象:スーパーボンバーマン(1993年/ハドソン/スーパーファミコン)
状況:タイトルスクリーン表示中に機器#137350を使用
結果:プレイ可能なゲームはマルチプレイである「バトルモード」に固定され、シングルプレイである「ノーマルモード」はメニュー上から削除されます。「バトルモード」選択時は即座に対戦が開始され、その時コンソールに接続されているコントローラの所有者は常にゲームに参加することになります。本来カスタマイズ可能なゲームのルールは一切変更できず、バトルステージは最もシンプルな「フツウガステキ」が常に選択されます。

[実験#137350-18]
対象:SCP Containment Breach(2012年/インディーズゲーム/Windows)
状況:タイトルスクリーン表示中に機器#137350を使用
結果:舞台となる施設の構造が常に一定となり、自動生成の要素が排除されます。登場するキャラクターはプレイヤーキャラクターと敵キャラクターである「SCP-173」のみとなり、その他のキャラクター及びオブジェクトはゲーム上に存在しなくなります。これらの変更によりゲームの安定性が劇的に向上し、セーブデータのロードに失敗する・ゲーム中にスタックを起こす、理由なくクラッシュするといった事象が発生しなくなります。

[実験#137350-19]
対象:モンスターハンターポータブル 2nd G(2008年/カプコン/プレイステーション・ポータブル)
状況:タイトルスクリーン表示中に機器#137350を使用
結果:アクションゲームとしての性質が失われ、ゲームシステムそのものが一般的なターン制の戦闘システムを持つロールプレイングゲームに作り替えられます。各種のアートアセットやサウンドはすべて流用され、ゲームの展開そのものに変更はありません。マルチプレイ機能は依然として保持されているため、機器#137350による影響を受けた「モンスターハンターポータブル 2nd G」同士でマルチプレイを行うことができます。

[実験#137350-20]
対象:スーパーマリオワールド(2013年/任天堂/Wii U)
状況:タイトルスクリーン表示中に機器#137350を使用
結果:バーチャルコンソール版にて実験。リセット後にゲームがクラッシュし、起動が不可能になる事象が発生しました。Wii Uのバーチャルコンソールが機器#137350の影響を受けた「スーパーマリオワールド」のデータを正常なデータと認識できなかったことが理由と推測されます。この結果から、機器#137350は影響を及ぼすことが可能な範囲がある程度限られている(ソフトウェアのみ改変することができる/仮想ハードウェアをハードウェアと認識し、手を加えない)との仮説が提唱されました。ただし、実験#137350-16ではハードウェア構成を変更しない限り起動できないようゲームが改変された結果が示されているため、さらなる検証が必要です。

[実験#137350-21]
対象:スーパーロボット大戦Z(2008年/バンダイナムコゲームス/プレイステーション2)
状況:タイトルスクリーン表示中に機器#137350を使用
結果:すべての使用可能ユニットの性能が変更され、プレイヤーが終始大幅に有利な状態でゲームを進められるよう改変が行われます。ゲームの演出部分の変更は行われていません。

[実験#137350-22]
対象:Mortal Kombat(2011年/WB Games/Xbox 360)
状況:タイトルスクリーン表示中に機器#137350を使用
結果:ゲームのグラフィック・サウンド部分は異常性の無い「Mortal Kombat」とほぼ同水準ですが、ゲーム性が大きく変化し、アーケード版「Mortal Kombat II(1993年/Midway Games)」に準拠した内容になります。キャラクターからコンビネーション攻撃がすべて削除され、「コンボブレイカー」や「X-Ray Attack」といった新しい要素はゲーム中に存在しないかのように扱われます。

[実験#137350-23]
対象:学校であった怖い話(1995年/バンプレスト/スーパーファミコン)
状況:タイトルスクリーン表示中に機器#137350を使用
結果:ゲーム中から選択肢が消失し、異常性の無いカートリッジで読むことができるほぼすべてのシナリオを一本に統合したシナリオが自動的に流れるようになります。本来互いに繋げることのできない話が含まれているためか、繋ぎとして「これまでの話は夢だった」「これまでの話は空想である」といった典型的なシナリオ上のテクニックが頻繁に使用されるようになります。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1504] #83825 「さがしてください」 投稿者:   《URL》   投稿日:2016/01/17(Sun) 19:45:03   56clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#83825

Subject Name:
さがしてください

Registration Date:
1996-07-25

Precaution Level:
Level 3


Handling Instructions:
市民によるWebサイト#83825の発見を防止するため、一般顧客向けのインターネット接続サービスを提供するプロバイダにアクセス遮断プログラムのインストールを要請しています。現在、およそ90%のプロバイダでインストールが完了しています。プログラムは対象のサイトにアクセスした際に、クライアントに対して強制的にHTTPステータスコード403を返却するよう設定されています。今後のWebサイト#83825取り扱い方針によっては、この措置は変更される可能性があります。

Webサイト#83825の研究に際しては、携帯獣の局員が随伴することが義務付けられています。研究に参加する局員は人間・携帯獣の別を問わず、事前にスクリーニングテストM-83825-1を受けて合格する必要があり、かつWebサイト#83825を決して私的な理由で閲覧しないことを書面で誓約する必要があります。Webサイト#83825への投稿を伴う実験を行う場合、端末は必要なトレーニングを受けた携帯獣が操作しなければなりません。


Subject Details:
案件#83825は、管理者が不明な未知のWebサイト(Webサイト#83825)と、それに掛かる一連の案件です。

1996年6月上旬頃、当局が提供しているインターネット通報サービスに、イッシュ地方セッカシティ在住の男性から「不審なホームページを見つけた」との通報が寄せられました。受信した窓口担当者が初期調査を実施し、いくつかの不審な点が認められました。通報は案件化され、個別の担当者が割り当てられました。

Webサイト#83825は、「捜索願掲示板」というタイトルの電子掲示板サービスを提供するWebサイトです。ドメイン名からの逆引きはサーバがシンオウ地方クロガネシティに存在し、IPアドレスの所有者が独立系の大手インターネットサービスプロバイダである「ベッコアメ・インターネット」であることを示していますが、実際には利用された形跡はありません。ベッコアメ・インターネットに対する聞き取り調査では、Webサイト#83825について何ら情報を持っていないことが明らかになっています。このため、サービス提供者とサイト管理者の間に関連性はないと結論付けられました。

Webサイト#83825が提供している電子掲示板には日々多数の書き込みが行われ、古いスレッドもそのまま保持され続けています。書き込みの大部分はタイトルに沿った「捜索願」であり、失踪者と思しき者の名前や特徴、最後に確認された場所や日付が記載され、いずれも「早く見つけ出して欲しい」「無事でいてほしい」といった嘆願のメッセージが添えられています。その体裁は行方不明者の捜索を呼びかける貼紙のそれに近く、いくつかのスレッドには顔写真が添付されています。

特筆すべき点として、失踪者として捜索が呼びかけられている者は、一切の例外なく携帯獣であることが挙げられます。スレッドに書き込まれたメッセージの文面は人間にも十分理解できますが、その内容は人間の生態とは著しくかけ離れ、むしろ携帯獣のそれと酷似しています。書き込まれている内容から、掲示板の利用者の大部分が携帯獣であると考えられています。

人間はWebサイト#83825にアクセスし、書き込まれているメッセージを閲覧することは可能ですが、新規スレッドを作成したり、既存スレッドにリプライを行うことはできません。これらの操作を実行しようとした場合、掲示板が「利用資格がありません」というエラーメッセージを表示し、投稿を遮断します。一般的なクラッキング手法による投稿制限を突破する試みはいずれも失敗に終わりました。この投稿制限を回避するためには、携帯獣がメッセージの作成及び投稿を行わなければなりません。人間が作成したメッセージを携帯獣が投稿しようとした場合、例えどのように適切な文面であっても「不適切な単語が含まれています」というエラーメッセージが返されます。このエラーメッセージは、人間がタイプしたテキストが一文字でも残存している限り繰り返し表示されます。

以下は、Webサイト#83825から収集されたメッセージの抜粋です:


[メッセージ#83825-113]
投稿者:会員番号6654
メッセージ:
ピカチュウの女の子を探しています。人間が「トキワの森」と呼んでいる森へ遊びに出かけてから、二ヶ月も戻っていません。身長は大人のピカチュウの胸くらい、この間電気を出すことを覚えたばかりの小さな子供です。どうか私の元へ***ちゃんを返してください。***ちゃんの声を聞かせてください。
補遺:
アスタリスク部分には失踪者である♀のピカチュウの実名が記載されていたものの、プライバシーの観点からサイト管理者によって伏せ字にされたことがスレッドのリプライから読み取れます。

[メッセージ#83825-128]
投稿者:会員番号4512
メッセージ:
付き合っていたマリルがいなくなりました。近くを人間が通りがかってからずっと姿を見ていません。人間が落とした桃色のリボンをしっぽに付けていました。見掛けた方は連絡をください。皆さんの力を貸してください。お願いします。

[メッセージ#83825-154]
投稿者:会員番号9865
メッセージ:
息子が遺跡にスケッチをしに行ったきり戻りません。身長は大人とほぼ同じ、背中の足形は添付の画像のものです。スケッチが上手で自慢の息子でした。見た方はどのような情報でも構いませんのでお寄せください。妻がとても心配しています。

[メッセージ#83825-251]
投稿者:会員番号3916
メッセージ:
友達のキャモメを探しています。一人で散歩に出かけたままどこへ行ったのかが分からなくなっています。近所に住んでるジグザグマのおばさんは、人間が友達をアチャモに攻撃させているところを見たと言っていました。二十日も家に戻ってきていません。友達のことを知っていたら教えてください。お願いします。

[メッセージ#83825-267]
投稿者:会員番号11783
メッセージ:
おかあさんをさがしてください
補遺:
当該スレッドには、サイト管理者から「このメッセージはカントー地方シオンタウンから発信されています。情報をお持ちの方はご提供をお願いいたします」との追加メッセージが書き込まれています。

[メッセージ#83825-334]
投稿者:会員番号6659
メッセージ:
友達のジグザグマが五人、続けて同じ人間に誘拐されました。みんな女の子です。この間見つけたときはみんな目がうつろで、草むらの中を何か探しまわっていました。私が呼びかけても何の返事もしませんでした。誰か人間をやっつけてください。私も誘拐されるかもしれないと思うととても怖いです。

[メッセージ#83825-367]
投稿者:会員番号1298
メッセージ:
仲間の失踪が続いています。先日は一度に28人がいなくなりました。会員番号4767さんのところと違って、こちらは死体も出てきていません。この間友人の従姉妹にそっくりな子を見かけましたが、自転車の錆びたブレーキのような金切り声を上げるだけで会話もできませんでした。何かされたに違いありません。それにしても最近書き込みのない会員番号4767さんは無事でしょうか。心配でなりません。

[メッセージ#83825-411]
投稿者:会員番号12476
メッセージ:
オオスバメの女を探してほしい。俺たちの中で一番強くて、みんな頼りにしてるやつだった。それなのに今はもうここにはいない。人間は身勝手だ、どうしてこんなことをするんだ。誰か何とかしてくれ。
補遺:
管理者からの返信があり、「このメッセージは利用規約に反しているため、スレッドを凍結します」とのメッセージが追記されています。メッセージ通りスレッドは凍結され、これ以上のリプライは行えません。

[メッセージ#83825-425]
投稿者:会員番号7548
メッセージ:
公園にある森から書き込んでいます。同じ場所に閉じ込められていたストライクが捕まえられました。外から連れてこられて、二日に一度人間に追いかけ回されていました。あのストライクはここに連れてこられた者たちのリーダーです。どうか見つけて、ここへ戻ってこさせてください。お願いします。

[メッセージ#83825-476]
投稿者:会員番号2378
メッセージ:
トキワ工場から三体のキャタピーが脱走。いずれも職位は女工。情報求む。発見者には報奨金を支払う準備あり。連絡は弊社窓口まで。
補遺:
このメッセージはキャタピーを「女工」と称し、雇用契約を結んでいることを示唆しています。このメッセージの投稿者を別案件として調査対象とするかについては、現在検討中です。


メッセージの送信元を追跡する試みはこれまでのところ成功していません。掲示板は一般閲覧者に送信元IPアドレス/送信元ホストの情報を公開しておらず、該当する情報はサイト管理者のみが保持していると考えられます。

投稿者がいかにして上記のようなメッセージを書き込んでいるのかは不明です。一部のメッセージにはJPEG形式のイメージファイルが添付されていることもありますが(メッセージ#83825-154など)、これらがどのように撮影されたのかも判明していません。画像ファイルはアップロードの過程でメタデータが失われてしまうようで、ファイルからは有用な情報を得ることはできませんでした。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1506] Re: #83825 「さがしてください」 投稿者:ionization   投稿日:2016/01/30(Sat) 23:36:07   28clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

キャタピー…あのアイテム好きでしたが、そういう展開にもってくるとは…だってこれ、
携帯獣にしか操作できないプロパイダなんですよね?
アクセス遮断を行うあたりに、財団自体の黒さも伺えますね。
同じようなテーマの話がスクエアのどこかに載っていたはずなんですが、
一月前に探したらなくなってました。


  [No.1507] #45663 「バーンイン・ガール」 投稿者:   《URL》   投稿日:2016/01/31(Sun) 19:48:51   39clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#45663

Subject Name:
バーンイン・ガール

Registration Date:
1984-06-21

Precaution Level:
Level 2


Handling Instructions:
対象#45663には物理的に接触/干渉することができないため、対象#45663を収容する形でシンオウ地方カンナギタウン第三支局が建設されました。対象#45663はこちらからの働きかけに対し一切の反応を示しておらず、意思疎通は不可能なものと推測されています。対象#45663そのものに危険性は無いと判断されたため、これ以上の収容プロトコルの追加は必要ありません。


Subject Details:
案件#45663は、シンオウ地方カンナギタウン南西部で確認された未知の人型存在(対象#45663)と、それに掛かる一連の案件です。

1984年2月下旬、フィールドワーク中の局員が「透過した姿の女性トレーナーを発見した」と報告しました。事案発生の虞があったため、応援の局員が数名その場へ派遣されました。発見した局員らがその場で簡易的な調査を行い、大まかな性質についての情報が収集されました。差し迫った危険は無いと判断され、本部はレベル2人型オブジェクト標準収容手続に沿った収容を承認しました。

対象#45663は、概ね11歳頃と推測される少女の外見をしています。最大の特徴として、対象#45663は半透明であり、物理的に接触することができません。複数回に渡って実施された接触テストは、いずれも対象#45663と接触者が相互に一切の干渉に失敗するとの結果に終わりました。対象#45663は視覚的に認識することはできますが、実体が存在しないものと考えられています。

対象#45663はどのようなことがあろうと決して動かず、こちらからの働きかけにも一切の応答を返しません。このため、対象#45663とのコミュニケーションは極端に困難か、あるいは完全に不可能です。霊的存在である可能性が示唆されましたが、一般的な霊的存在とコミュニケーションが可能な携帯獣の職員によるテストでも、対象#45663と意思疎通を成功させることはできませんでした。

対象#45663は小型のノートパッドを左手に持ち、真っ直ぐ前を見つめる形で佇んでいます。風貌は一般的な女子ポケモントレーナーのものですが、一部はこのトレーナーの出身がシンオウ地方ではないことを示唆しています。ノートパッドには「三日月→7月13日」とやや乱雑な字でメモされています。このメモがどのような意味を持っているのかは未だ不明です。

一部の局員からは、対象#45663は元となった人物の残像が何らかの形で空間に「焼き付き」、そのまま残されたものではないかとの仮説が示されています。この仮説は対象#45663の性質をすべて矛盾無く説明できることから、現在もっとも有力な仮説であると見られています。

現在、対象#45663の元となった人物について身元の割り出しが進められています。候補として10年以内に失踪し、かつ対象#45663の外見的な条件を満たしている可能性のある263名の失踪者が挙げられていますが、特定には至っていません。現在の案件対応方針は、これら失踪者の中に対象対象#45663と関連のある人物が存在しているかの調査に焦点が当てられています。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1511] #59370 「ポケモン禁止サイン」 投稿者:   《URL》   投稿日:2016/02/06(Sat) 20:19:57   49clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#59370

Subject Name:
ポケモン禁止サイン

Registration Date:
1988-10-25

Precaution Level:
Level 3


Handling Instructions:
オブジェクト#59370は、ムロタウン第三支局の中異常性取得物保管庫のブロック9-Lに据え付け済みの標準的な耐火性の金庫に保管し、金庫を解錠するためのアクセスコードは拠点監督者及び案件担当者のみが知っている状態を保ちます。実験目的でオブジェクト#59370を使用する場合、事前に様式F-59370-1に沿った申請書を提出し、ワークフローを回付しなければなりません。その他の目的のために使用することは許可されません。

オブジェクト#59370と共に収容され、当局にて保護していた参考人#59370は、オブジェクト#59370の影響下にあったことを除き何ら特異な点が無いことが明らかにされました。参考人#59370は現在局員の一人に養子として引き取られ、当該局員の監視下で生活しています。当局施設からの退出に際して、プロトコルUXによる記憶処理及び擬似記憶の移植が行われています。参考人#59370に関連する情報には個人情報が含まれるため、拠点監督者及び案件担当者以外のアクセスはすべて拒否されます。


Subject Details:
案件#59370は、あらゆる携帯獣に対して認識異常をもたらすマークが描かれた立看板(オブジェクト#59370)と、オブジェクト#59370の影響下にあった外見上6歳頃の少女(参考人#59370)、及びそれらに掛かる一連の案件です。

1988年10月下旬、ムロタウン第三支局の通報窓口に「道路沿いの一軒家に少女が監禁されている」との匿名の通報が寄せられました。通報を受けた局員は、直ちに警察当局に通報しました。管理局への通報がなされたことから、何らかの異常事案と関連しているとの懸念が示されたため、標準的な敵対生物鎮圧用装備が与えられた局員数名が同行することになりました。およそ二時間後、通報で示された一軒家に部隊が突入しました。

突入後、警察当局は奥の部屋で毛布に包まった状態の少女を発見しました。少女は衰弱した状態であり、局員からの呼びかけにも満足に応答することができませんでした。現地担当者と司令部は短時間の協議を行い、少女の保護を優先することで双方合意しました。

少女を保護するため部屋へ踏み込んだところ、警察官の一人が不審なマークが描かれた立看板を発見しました。安全のため、当局の局員が対応に当たりました。この時現場には、携帯獣の「ザングース」と分類される局員が同行していました。当該局員は立看板に明らかな異常性があると判断し、その場で簡易的なミームハザードテストが実施されました。現場に持ち込んだ装備により、立看板は何らかの認識災害をもたらす可能性が示唆されましたが、少なくとも人間には何ら影響を及ぼさないことが確認されました。局員は立看板を成功裡に確保し、監禁されていた参考人#59370を保護しました。その後当局により、回収された立看板はオブジェクト#59370として、保護された少女は参考人#59370として再分類されました。

オブジェクト#59370は、表と裏の両面に対して、恐らく携帯獣の「ヒトカゲ」と推定される黒いシルエットの上から交通標識の「車両通行止め」に類似したマークが描かれたアルミ製の立看板です。材質そのものは一般的なアルミであり、不審な点は見られません。少なくとも純粋な人間には一切の異常な性質を発揮せず、直接的に接触した場合や視認した場合においても、何らかの影響を及ぼすことはありません。純粋な人間が取り扱う限りにおいては、自由に持ち運んだり片付けたりすることができます。オブジェクト#59370が効力を発揮するのは、携帯獣並びに携帯獣の因子を持った人間(携帯獣を祖先に持つ場合や、携帯獣の器官を移植された場合が該当します)に対してです。

上述する条件を満たす者がオブジェクト#59370に接近した場合、いかなる場合においてもオブジェクト#59370を超えて前に進むことができなくなります。これは視覚を遮断した場合も同様であり、目を閉じたりアイマスクを装着した状態であっても、オブジェクト#59370が存在するポイントから境界を超えることはできません。複数回行われた実験の結果からは、境界を超えられない理由は心理的なものであり、物理的な障壁が存在するわけではないことが明らかにされています。

描かれているマークに反して、オブジェクト#59370の特性はあらゆる携帯獣に対して発揮されます。これまでに125種137体の携帯獣で自発的にオブジェクト#59370の示す境界を超えさせるためのテストが行われましたが、そのほとんどが失敗に終わっています。視覚を持たない「ズバット」であっても影響を受けたことから、オブジェクト#59370は未知の方法で周囲に影響を及ぼしているものと考えます。

ただし一部に例外があり、飛行可能な携帯獣であれば、オブジェクト#59370が設置されている場所の高度から50m以上上昇すれば境界を超えて前へ進むことが可能です。同じく地面に潜行可能な携帯獣であれば、50m以上潜行することで境界を突破可能です。このテストケースにより、オブジェクト#59370は上下に対してはさほど広くない効果範囲しか持たないことが分かりました。

オブジェクト#59370の正確な効果範囲は分かっていませんが、少なくともオブジェクト#59370の横から100m以内にいる携帯獣は影響を受けることが分かっています。しかしながらこれについても例外があり、携帯獣とオブジェクト#59370の間に何らかの障壁が存在する場合はこの限りではありません。この条件下では、携帯獣はオブジェクト#59370が存在するポイントから境界を超えて移動可能です。これはオブジェクト#59370が収容地点である一軒家に対してのみ効果を発揮し、周囲に影響を及ぼさなかったこととも合致します。以上からオブジェクト#59370は、外見上「一本の道」として認識される範囲内で効果を発揮するものとの仮説が提唱されています。

オブジェクト#59370の出自は分かっていません。同種の立看板が製造された記録は存在せず、製造元を示す刻印などは見つかっていません。一般的な立看板が何らかの改造を受けたとの仮説も示されていますが、現時点ではこれを肯定する根拠も否定する根拠も存在しません。現段階では、同種のオブジェクトが収容されたとの報告もありません。

オブジェクト#59370に描かれているマークを複写して同タイプの立看板へ描写しても、オブジェクト#59370の持つ特性は発揮されません。これは人の手で模写した場合も、オブジェクト#59370の表面をスキャンして作成したデジタルコピーの場合も同様です。オブジェクト#59370の作成時点で何らかの特異な処理が施された可能性が示唆されています。

参考人#59370についてはその後のテストにより、携帯獣の「ラルトス」或いはそのいずれかの進化系(キルリア/サーナイト/エルレイド)に当たる携帯獣と人間のハーフであることが分かりました。オブジェクト#59370の影響を受けていたのは、この性質によるものと結論付けられました。何らかの記憶処理を受けていたのか、参考人#59370は自身の出自について話すことができませんでした。また、身元を示すような物証も発見されていません。

参考人#59370の証言と事件現場から押収した物品より、少なくとも一年以内に何者かによって拉致され、以後発見場所の一軒家にて監禁されていたと考えられています。参考人#59370は自分を拉致監禁した実行犯について「知らない男の人だった」と述べるに留まっています。具体的な特徴については不明なままです。参考人#59370の身元について広範な調査が行われましたが、家族や知人といった関係する人物を発見することはできませんでした。

当局に本件について通報した人物についても調査が進められています。電話記録を確認したところ、当該人物はキンセツシティ近郊の公衆電話から通報を行ったことが分かりました。通報者がどのようにして本件について関知したのか、またいかなる理由でムロタウンから大きく離れたキンセツシティ近郊から通報を行ったのかについては未だ不明なままです。


[1990-06-04 Update]
本案件の担当者から、参考人#59370を養子として引き取りたいとの申し出がなされました。既に必要な調査は終了し、これ以上収容を継続する必要性が無くなっていたため、裁定委員会はこの申し出を受諾しました。収容終了に伴う当局機密情報の漏洩を防ぐため、参考人#59370にはプロトコルUXによる記憶処理と擬似記憶の移植が施されました。出自については、児童擁護施設に収容されていた身元不明の少女というカバーストーリーが使用されました。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1519] #92647 「表示名称書き換え」 投稿者:   《URL》   投稿日:2016/02/17(Wed) 20:27:34   34clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#92647

Subject Name:
表示名称書き換え

Registration Date:
1999-05-12

Precaution Level:
Level 2


Handling Instructions:
現在携帯獣預かりサービスを提供している民営及び公営の計14事業者から、預けられている携帯獣の表示名称が意図せず変更されていないか、また変更されていた場合のパターンが事象#92647と合致するものでないかについて、週次で報告が行われることになっています。案件担当者は報告内容を確認し、事象#92647が発生していないかの判断を行ってください。機密情報保持の観点から、事業者に対して本案件の情報は提供されないことになっています。

事象#92647が発生していると判断した場合、記録日時及び記録者と共に、当該携帯獣の種族及び表示名称を記録してください。表示名称の記録には専用のソフトウェアを使用し、記録誤りを未然に防止します。担当者は表示名称が意味する内容について解析を行うと共に、何らかの知見が得られた場合は直ちに上長へ報告することが推奨されています。


Subject Details:
案件#92647は、携帯獣預かりサービスに保管されている携帯獣の表示名称が不明なタイミングで変化する事象(事象#92647)と、それに掛かる一連の案件です。

1999年4月中旬頃、携帯獣預かりサービス事業者のシステム部門担当者から「監査ログに残っていない操作を確認した」との通報が為されました。通報内容を確認し事案発生の虞有りと判断したオペレーターはその場で証拠保全を指示し、担当者は指示通り発見時の状態で全データを保全しました。その後各種資料のコピー及び携帯獣について当局への引き渡しが行われ、初期調査が実施されました。初期調査によって当該事案が案件として管理すべき性質を持っていると判断され、案件立ち上げが承認されました。

事象#92647は、長期間に渡って預けられている携帯獣について、システム上の表示名称が何らかのルールに沿って意図せず変更される事象です。事象#92647が発生する条件となる預け入れの期間について正確な期間を特定するには至っていませんが、これまで発生した事案については、最短でも六ヶ月以上継続して預けられていた携帯獣が対象となっています。表示名称が変更される携帯獣の種族的な偏りは観測されていません。同一条件を満たす携帯獣が複数存在する場合、すべて変更されるケース/一部のみ変更されるケース/まったく変更されないケースのいずれもが確認されています。名称変更の正確なルールは不明ですが、これまでに使用された文字は例外なく半角英数及び記号、かつ5文字となっています。

変更されるのはあくまで人間が識別のために使用する表示名称のみであり、携帯獣そのものについては一切の変更が加えられないことが分かっています。監査ログに記録がなされないまま表示名称が変更される理由は不明です。これまで収集されたシステム操作ログ及びネットワークログからは、対象の携帯獣について何らかの操作が行われた、あるいはその可能性を示唆する情報、及びログが改竄された痕跡は一切検出されていません。

本稿執筆時点において、事象#92647は計52回確認されています。発生が確認された携帯獣預かりサービス事業者は計12で、こちらに関しても統計的な偏りは観測されていません。以下はこれまでに発生した事象#92647による表示名称改竄記録の抜粋となります。抜粋はすべて「元の表示名称(改竄後の表示名称)」と表記しています:


[事象#92647-1]
・キャタピー(I@III)
・ズバット(II@I@)
・ニョロモ(I@I@@)
・オニスズメ(@IIII)

[事象#92647-9]
・ぽっぽ2ばん(UKKUU)
・ぽっぽ4ばん(KUUUU)
・ぽっぽ5ばん(UKKUK)
・ぽっぽ6ばん(UKKUK)
・ぽっぽ9ばん(UUKKU)

[事象#92647-12]
・みーちゃん(7%777)
・けーちゃん(%7%7%)
・ふーちゃん(%77%7)
・しーちゃん(%77%%)

[事象#92647-15]
・0112(+22++)
・0205(+2222)
・0224(+22+2)
・0312(++2+2)
・0422(+22++)
・0429(22++2)

[事象#92647-22]
・コイキング(*Y***)
・コイキング(Y*Y*Y)
・ヒンバス(*YYY*)
・コイキング(**YYY)
・ヒンバス(**Y*Y)
・コイキング(Y**Y*)


事象#92647が発生した携帯獣の所有者については、親族や近親者から捜索願が出されているケースと出されていないケースが混在していますが、これまでのところ全員が消息不明であることが分かっています。消息不明となった時期と事象#92647が発生する時期の厳密な相関関係は不明ですが、事象#92647が所有者の失踪に関連しているか、あるいは所有者の失踪が事象#92647の発生と何らかの関係があるとの仮説が提唱されています。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1527] #111328 「国境の無い国家」 投稿者:   《URL》   投稿日:2016/03/07(Mon) 21:07:29   31clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#111328

Subject Name:
国境の無い国家

Registration Date:
2005-04-12

Precaution Level:
Level 3


Handling Instructions:
エリア#111328がどこに位置しているかを可能な限り速やかに判断するため、すべての支局には所定の技能を持つニャースまたはペルシアンを最低三体配属させます。ニャース及びペルシアンのトレーナーは週次ごとに一度割り当てられたエリア内でプロトコルMCを実行し、エリア#111328が存在していないかを確認してください。エリア#111328の存在が確認された場合、速やかに書式F-111328-2に必要な事項を記入し、案件担当者へワークフローを回付します。

現在エリア#111328に指定されている地域については、案件担当者へ照会を行ってください。エリア#111328の未検出状態が800日以上継続した場合、本案件のレベル設定見直しを実施してください。その際の判断によっては、プロトコルMCについても併せて見直しが必要となる可能性があります。


Subject Details:
案件#111328は、不明な間隔で所在地が変更される未知の国家(エリア#111328)と、それに掛かる一連の案件です。

2005年3月上旬頃、カントー地方タマムシシティ第三支局の窓口に「見たこともないお金を出すニャースを捕まえた」との申出がなされました。担当者が申し出たトレーナーからヒアリングを実施したところ、トレーナーはタマムシシティ近郊の7番道路で「ネコにこばん」を使うニャースを目撃し、その際通常のニャースが生成するものとは明らかに異なる擬似通貨が現れたことから、ニャースを捕獲し案件管理局まで通報したとのことでした。

一般的なニャースあるいはペルシアン個体は、生息地域で使用されている現行通貨と極度に類似した硬貨状の物体を生成する「ネコにこばん」と呼ばれる技能を習得しているケースがあります。この擬似硬貨は公での使用は認められていませんが、高品質なものは識別が極端に困難かまたは不可能であるため、現状では正式な通貨に混在する形で広く流通しています。反社会的勢力の資金源としても問題視されていますが、抜本的な対策は打てていない状況が続いています。

当初、通報したトレーナーも当局も捕獲したニャースに異常があるとの見方を示していましたが、その後の調査によりニャースには何ら異常は確認されず、加えて捕獲された7番道路から離れた地域でのテストでは一般的なニャースあるいはペルシアン個体と同質の擬似通貨を生成することが確認されたため、ニャースには異常が無いとの見解が示されました。「ネコにこばん」の地域に応じて生成物が変化する性質から、7番道路近郊に何らかの異常性質があるとの仮説が立てられました。

しかしながら調査が開始されてから3日後、7番道路近郊において異常な擬似通貨が生成される事象が見られなくなりました。異常性質が沈静して一週間が経過したため案件の無力化が定期されましたが、その5日後、ジョウト地方コガネシティ近郊にて同一の事象が確認され、別の担当者が初期調査に着手していたことが判明、案件担当者間で情報共有が行われ、合同調査案件として再設定が行われました。この段階で、エリア#111328に関する大まかな性質が明らかになりました。

エリア#111328は、正確な広さが不定な未知の国家です。どのような国家体制が敷かれているのかについてや、国家元首がいかなる存在なのかについては一切分かっていません。一般的な国家としての機能を持つのかに関しても、局員の間で判断が分かれています。

エリア#111328は不定期に移動し、移動するとともに著しく領土の広さが変動します。確認された最小領域は児童公園の砂場と同等、最大領域はジョウト地方コガネシティ全域と同等です。

エリア#111328は「ネコにこばん」を使用できるあらゆる種の携帯獣に対して等しく影響を及ぼし、その時点でエリア#111328となっている地域を国家として認識させる性質を持ちます。エリア#111328内で「ネコにこばん」による擬似硬貨が生成された場合、本来該当する場所がいかなる国家に所属している場合においても、異常硬貨#111328が生成されるという結果をもたらします。この効果以外の異常性質については、これまでのところ一切観測されていません。すべての人間と携帯獣はエリア#111328に自由に入場し、また自由に退場することができます。

異常硬貨#111328は、エリア#111328内でのみ生成される擬似硬貨です。これまでに十七種の硬貨が確認されていますが、どの硬貨が他の通貨に置き換えた際にどれだけの価値を持つのかは不明です。硬貨のうち十一種は既知の金属により鋳造されていますが、残る六種はいずれも未知の金属です。この金属についての分析が別チームによって進められています。硬貨は十四種に未知の文字及び意図の取れない紋様が刻まれ、残る三種にはアンノーン文字の「K」「M」「P」に酷似した文字が刻まれています。これらの意味についても解析が進められています。

エリア#111328は「ネコにこばん」を使用する携帯獣に与える異常な効果によってのみ、その存在を認識することが可能です。エリア#111328の現時点における所在地を識別するため、プロトコルMCが策定されました。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1538] #109108 「ヒワダ第三小学校のホームページ」 投稿者:   《URL》   投稿日:2016/04/02(Sat) 20:14:40   43clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#109108

Subject Name:
ヒワダ第三小学校のホームページ

Registration Date:
2004-07-29

Precaution Level:
Level 3


Handling Instructions:
ウェブサイト#109108を市民が偶発的に閲覧する事例を防止するため、国内の大手インターネットサービスプロバイダには当局の定めるコンテンツフィルタが導入されています。コンテンツフィルタによってウェブサイト#109108がブロックされた回数は月次で集計され、統計的に異常な頻度でブロックが行われていないかを案件担当者が検査します。

ウェブサイト#109108は不定期に未知の手法でコンテンツフィルタを無効化するため、フィルタのアップグレードが必要になります。フィルタの無効化が検知された場合、案件担当者は所定の技術スタッフへ様式F-109108に沿って報告とサンプルの提出を行ってください。通常一週間以内に、インターネットサービスプロバイダに提供するフィルタの開発が行われます。

ウェブサイト#109108が指し示す学校施設(施設#109108)の捜索が続けられています。施設#109108はこれまで得られた多くの証跡から実在しないものと推定されていますが、いくつかの資料は施設#109108がかつて存在した可能性を示唆しています。施設#109108についての情報が得られた場合、速やかに案件担当者へ連絡してください。

案件担当者は、少なくとも直近4年以内に失踪した親族のいない局員から選ばれなければなりません。案件の担当中に親族の失踪が認められた場合、案件担当者を速やかに変更する必要があります。


Subject Details:
案件#109108は、インターネット上で観測される「ヒワダ第三小学校」なる未知の学校施設(施設#109108)のウェブサイト(ウェブサイト#109108)と、それにかかる一連の案件です。

ウェブサイト#109108が始めて観測されたのは、2004年の6月下旬です。ウェブサイト#109108を閲覧した市民から「数年前行方不明になった従兄弟に似た人物が写真に映っている」との申出があり、応対に当たった局員が詳細なヒアリングを行いました。ヒアリングの結果異常性が認められたため上席に報告し、案件として取り扱うことが決定されました。

ウェブサイト#109108は、その内容から施設#109108の公式ウェブサイトと見なされているサイトです。ドメイン名として「hiwada-daisan.ed.jp」が割り当てられていますが、同名の教育機関向け(.ed.jp)ドメインが貸し出された記録は見つかっていません。体裁は一般的に見られる小学校のウェブサイトのものと類似しており、ソースコードからはウェブサイトの開発にアイ・ビー・エムの「ホームページ・ビルダー」のバージョン6.5を使用していることが確認できます。サイトの作りは全体として質が低く、一部のクライアントではレイアウトが著しく乱れます。ウェブサイト#109108を閲覧することによる人体や機器への直接の影響は一切なく、閲覧後の機器や閲覧者に対し特異な事象が発生するケースは確認されていません。

ウェブサイト#109108の特異性は、ウェブサイト内に貼り付けられた写真の被写体として、ウェブサイトの更新から六年以内に行方不明になった市民と同定可能な人物が頻繁に映り込んでいることです。被写体は確認されたすべてのケースで七歳から十二歳程度の児童の姿をしており、他の行方不明者や他の未知の児童と共に学校行事に参加している様子が観測されています。失踪者の本来の年齢に関わらず、被写体となった失踪者は例外なく児童の姿をとっています。

ウェブサイト#109108は不定期に更新され、その都度「学年だより」として学校行事の様子を撮影した写真がアップロードされます。過去にアップロードされた写真はすべて残され、いつでも閲覧が可能です。これまでに確認された学校行事は、運動会・遠足・合唱など一般的に小学校の学校行事として異常性のないものが大半を占めていますが、2001年7月の更新では「精霊流し」、2002年2月の更新では「針供養」といったように、一般的に見て学校行事とは見なされないものが複数確認されています。

少なくとも本稿執筆時点において、ウェブサイト#109108に掲載されている写真及び文章中に、携帯獣及び携帯獣と強い関連のある事項についてはまったく出現が認められません。過去に数回飼育小屋の様子が撮影された写真が掲載されましたが、飼育されているのはいずれもウサギやニワトリといった非携帯獣の生物のみです。現在の学習指導要領では、児童が飼育する生物として携帯獣のみが指定されています。

施設#109108については、入手可能な記録の多くから、実在する学校施設ではないと考えられています。「ヒワダ第三小学校」なる小学校が実在する記録はなく、また過去に設立された記録も存在しません。ただしいくつかの証跡は、「ヒワダ第三小学校」が伝聞や噂話の形で認知されていたことを示しています。その場合「幽霊が集まる小学校」「普通では行くことのできない学校」という文脈で登場し、通常の学校機関としての機能を備えた組織ではないことが読み取れます。

被写体として登場する行方不明者については、特にポケモントレーナーとして活動中に失踪した人物が多く含まれていることが確認されています。その多くは小学校を卒業しておらず、トレーナー資格を取得すると同時に地元を出ていることが分かっています。施設#109108が小学校と思しき施設であることを踏まえ、何らかの関連性があるとの見方が示されています。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1541] #90954 「チェリンボ症候群」 投稿者:   《URL》   投稿日:2016/05/04(Wed) 21:31:05   50clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#90954

Subject Name:
チェリンボ症候群

Registration Date:
1998-10-28

Precaution Level:
Level 0


Handling Instructions:
症例#90954は、最後に確認された時点から20年以上が経過しており、現代では根絶されたとの見方が強まっています。これまでに得られた知見から、症例#90954は精神的な病理の一種であり、いかなる形で発症するのかという疑問は残されているものの、病状そのものに特段の異常性は見られないとの見解が示されています。このことから、本案件については警戒レベルを「0」(無力化済)とします。


Subject Details:
案件#90954は、ある一定の特異な症状を齎す未知の症例(症例#90954)と、それに係る一連の案件です。

症例#90954の存在が確認されたのは、かつてジョウト地方南部に存在したウツフシタウンにおいてです。ウツフシタウンは1976年5月、ジョウト地方ヒワダタウンに吸収される形で市町村合併が行われ、行政区としては現存していません。合併が行われる10年ほど前には全住民が退去し、5年前には郵便番号が抹消されています。ほとんどの建築物は退去時のまま放置されて老朽化が進み、地区全体が廃墟化した状態でした。

1997年10月頃、土地計画の策定のため、ヒワダタウンの行政担当者が旧ウツフシタウン近隣を訪れ、その際廃墟化していた診療所へ踏み込みました。診療所内には当時の医療記録が大量に残されており、担当者は許可を得てそれらを回収しました。回収された資料を確認したところ、未知の症例と思しき症状の記録が多数発見され、当局へ通報がなされました。当局と行政が協議し、各種の資料については当局が収容・管理することで合意しました。

症例#90954は、旧ウツフシタウンでのみ確認されている未知の症候群です。診療所跡で得られた医療記録から、症状はいずれも精神的なもので、身体的・肉体的なものではないと推測されています。発症者は十一歳から六十九歳までで広範に渡っていますが、その多くは十代前半の若年層になっています。症例#90954の具体的な症状は下記の通りです:


(1)初期症状として、右肩の痛みを訴えるケースが大半を占めます。この時検査では異常は見つからず、肩の痛みが身体的なものではないことが分かります。また、確認されたすべてのケースで右肩に痛みを覚えており、左肩が痛むと訴えたケースは見つかっていません。
(2)症状が進行すると肩の痛みは徐々に和らぎますが、それに代わって患者は「右肩の近くに顔がぶら下がっている」と訴えます。顔の詳細はまだ見ることができない状態ですが、すべての患者は右肩の違和感を「顔がぶら下がっている」という形で表現する点に注目する必要があります。
(3)この段階から症状が進行すると、患者は右肩にあるという顔の表情がはっきりと視認できるようになると証言します。この時確認できる顔は、「安らかな表情をしている」と言われることが多く、同時に「自分に似た顔をしている」と証言する患者が大半を占めています。
(4)(3)の状態から症状が進行すると、患者は「顔が自分のことを見ている」と訴え、ほとんどの場合強い抑鬱状態に陥ります。患者は「顔は自分の死んだ双子の兄弟/姉妹の霊だ」といった内容の証言をすることが大多数を占めます。これは症例#90954の特異な症状の一つです。


症状が(4)の段階まで進んだ場合、一般的な抑鬱の症状に対応する投薬治療が必要となります。治療せず放置した場合、鬱状態が継続することによる自傷行為や、最悪の場合自殺に至るケースが確認されています。ただし、適切な治療を行えば回復させることはさほど難しくなく、患者は正常に社会復帰することが可能です。

症例#90954が旧ウツフシタウン近隣でのみ見られる理由については、有力な仮説が立てられていません。他の地域で同種の症例が見られないことは、旧ウツフシタウン近隣に症例#90954を引き起こす何らかの要因が存在する可能性を示唆しています。

一連の症状の特徴は、患者が「自分に似た顔が見える」と訴えることにあります。このことからか、旧ウツフシタウンの診療所では一連の症状に「チェリンボ症候群」という名称を付けて管理していました。当局においても、本案件の特徴は携帯獣の「チェリンボ」と何らかの因果関係を持っている可能性があるとの見解が主流です。しかしながら、症例#90954とチェリンボを結びつける直接的なファクターは存在せず、また旧ウツフシタウンにてチェリンボの生息は確認されなかったため、一部の局員からは「チェリンボ症候群」と名付けた診療所の見方に疑問を投げかける声も上がっています。症例#90954とチェリンボとの因果関係については、その有無も含めて現在も調査中です。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1542] Re: #90954 「チェリンボ症候群」 投稿者:小樽   投稿日:2016/05/04(Wed) 23:09:32   29clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

こんばんは、拝読いたしました!

> 現代では根絶されたとの見方が強まっています
ああーそうなのかーもう根絶されてるのかーと思って読み進めると、これが最後に不気味さを余韻として残しているんだなあと感じました。
発症区域が旧ウツフシタウンに限られるという以外、原因も分かっていない、なぜウツフシタウンに限った一種の風土病の様相を呈しているのかも分からない。根絶されたらしいとは言うけれども、原因が分からないなら将来的に蘇るかもしれない…………と思うと、「不幸な結果になったけどすべて解決しました!」よりも不気味な印象が胸に残りました。

> Handling Instructions
局員への「取扱方」指示の体裁を取っていますが、これを冒頭に提示することで読者にまず物語のフレームを与える役割があるな、と感じます。読者はフレームに沿って次節の Detail を読み込んでいく。フレームが提示された上で読みこんでいくので、“イメージがパッと湧かずするする読めない……”ということもない。公的書類の体裁としての様式美と、読者が読むうえでの実用面、ふたつを兼ね備えているのがこの案件シリーズの骨格なんだなあと、今日改めて感じました。一読して面白いのに、勉強のつもりで解体していくとまた面白い、そういうわけで、ごはさんがタダで身に着けた技術ではないとは分かっていながら「羨ましい」と率直に思ってしまいます(笑

これからもたくさんの流出、楽しみにしています!(


  [No.1546] #67159 「イシツブテ合戦」 投稿者:   《URL》   投稿日:2016/05/19(Thu) 19:38:19   32clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#67159

Subject Name:
イシツブテ合戦

Registration Date:
1991-04-14

Precaution Level:
Level 1 (1991-04-14時点) → Level 0 (1995-12-03時点) → Level 1 (1996-04-07時点) → Level 0 (1997-03-21時点) → Level 2 (1998-09-05時点)


Handling Instructions:
これまでに刊行された資料において「イシツブテ合戦」と呼ばれるゲーム(ゲーム#67159)に関する言及が見られた場合、当該資料を全面的に監査対象としてください。監査の手順は資料M-67159を参照してください。これまでの監査結果はリポジトリに格納されたレポートR-67159群にまとめられています。案件担当者は、レポートR-67159群へのフルアクセス権が付与されます。

[1995-12-03 Update]
案件担当者及び拠点監督者の判断に基づき、当該案件の警戒レベルとしてLevel 0(無力化済/案件管理対象外)が設定されました。所定の保留期間を経て、当該案件は凍結される予定です。

[1996-04-07 Update]
前担当者の退職に伴い新たな案件担当者が割り当てられ、新担当者の再検査により案件が未だ継続しているとの判断がなされました。警戒レベル引き上げの申し出がなされ、裁定委員会はこれを承認しました。警戒レベルはLevel 1に再設定されます。

[1997-03-21 Update]
前担当者の死亡に伴い新たな案件担当者が割り当てられ、新担当者の再検査により当該案件の警戒レベルとしてLevel 0(無力化済/案件管理対象外)を設定することが提起されました。拠点監督者はこれを承認しています。所定の保留期間を経て、当該案件は凍結される予定です。

[1998-09-05 Update]
監査委員会による全案件の検査過程で、短期間に警戒レベル変更が複数回行われている不審な案件として当案件がピックアップされました。案件担当者の変更が行われ、少なくとも五年間は警戒レベルの変更が禁止されます。警戒レベルとして、従前よりも高いLevel 2が再設定されました。取り扱い手順の変更はありませんが、監査で得られた情報からゲーム#67159あるいはゲーム#67159に関わる情報は、当局に対して何らかの情報災害をもたらす存在であるとの懸念が示されています。


Subject Details:
案件#67159は、少なくともカントー地方のほぼ全域で言及される「イシツブテ合戦」なる未知のゲーム(ゲーム#67159)とゲーム#67159に関わるすべての情報、及びそれらに掛かる一連の案件です。

1990年10月下旬、ホウエン地方フエンタウン第三支局からカントー地方ニビシティ第五支局へ赴任してきた局員が、「自分の地元にもイシツブテはいたが、イシツブテ合戦なる遊びは聞いたことがない」と現地局員に発言したことにより、局内で異常性の疑義ありとの提起がなされました。初期調査により、カントー地方在住の局員の多くが「イシツブテ合戦」というゲームの存在やルールについて知識があったにも関わらず、実際に「イシツブテ合戦」を行ったり、あるいは行っている場面を目撃した局員は存在しないことが判明しました。また、当年発行されたカントー地方版の携帯獣図鑑を初めとして多数の資料に「イシツブテ合戦」についての記述が見つかりましたが、実際にゲームを行っている様子を撮影した写真は一切発見されませんでした。案件立ち上げが承認され、担当者の割り当てが行われました。「イシツブテ合戦」というゲームには、「ゲーム#67159」という管理用の名称が付与されました。

ゲーム#67159は、これまでのところカントー地方のほぼ全域で言及されている「イシツブテ合戦」なる未知のゲームです。調査により得られた情報からは、非異常のゲームである「雪合戦」に類似したルールを持つものと推測されています。プレイヤーは概ね2から4のチームに分かれ、互いに携帯獣の「イシツブテ」を投げ合うことにより、相手チームを全滅させることを目的とします。投擲されたイシツブテが直撃したプレイヤーは戦線を離脱し、残っているプレイヤーの応援に回るのが一般的なルールですが、一部の地域では相手チームへ移動してゲームを続行するというローカルルールも確認されています。この場合、すべてのプレイヤーが一方のチームへ移動するまでゲームが継続されます。これらは「雪合戦」とルール的に変わるところが無く、投擲するものが異なる以外は同一のゲームと考えることも可能です。

イシツブテは個体差こそありますが、平均して20kg程度の重量を持ちます。確認されている最小の個体でもおよそ10kgの重さがあり、少なくとも人間が資料で言及されているような「互いに投げ合う」ゲームに用いることは物理的に困難です。また、イシツブテは全身が岩石のような硬質の皮膚に被われており、人間に直撃した場合は同等の重量を持つ岩石が衝突した時とほぼ同等のエネルギーが加わります。これは人体にとって致命的なダメージをもたらすものであり、非常に危険です。これらから、互いにイシツブテを投擲し合うようなゲームは現実的に不可能であり、ゲーム#67159はルールそのものが破綻していると考えられます。

ゲーム#67159の特異な点は、上述した通りゲームとして成立し得ないルールを持つにもかかわらず、カントー地方のほぼ全域で「伝統的な遊び」「一般的な遊び」と認知されている点にあります。ゲーム#67159の市民の認知度は高く、およそ30,000人に対する目的を伏せたヒアリングでは、9割を超える約28,500人がゲーム#67159について知識があるとの結果が出ています。これに加えて、「ゲーム#67159のルールについて不審な点は無いか」という質問を併せて行いましたが、ほとんどの市民はルールの矛盾点について回答することができませんでした。

一方で、「イシツブテ合戦」というワードを伏せた上で「平均して20kgの岩石を投げ合う遊びは可能か」という趣旨の質問を行うと、回答したほぼすべての市民が「不可能である」と回答しています。ゲームのルール自体は同一にもかかわらず、「イシツブテ合戦」というキーワードの有無により認知の仕方が異なっている可能性が示唆されました。このことから、「イシツブテ合戦」には何がしかの情報災害をもたらすファクターが含まれているとの仮説が提唱されました。

ゲーム#67159の正確な起源は不明です。確認された最古の資料は1930年代に執筆された児童向けの遊びを特集した書籍ですが、その書籍には「昔ながらの遊び」としてゲーム#67159が紹介されています。ゲーム#67159に関する言及がカントー地方に限定されている理由も明らかになっていません。同じくイシツブテの生息するジョウト地方・ホウエン地方では、ゲーム#67159に関する言及は確認されていません。今後の案件対応は、ゲーム#67159の起源を特定することと、ゲーム#67159に関する情報が市民にどのような影響を及ぼしているのかを究明することに焦点が当てられます。


[1998-09-05 Update]
案件管理局監査部門による追記:
本案件は過去に二度、ゲーム#67159の情報災害の影響を受けていたと推定される局員により「無力化済」への警戒レベル変更が行われています。いずれも案件棚卸時に管理部門が検知したことで案件終了を免れていますが、一つ間違えば継続対応すべき案件が終了されていた虞があります。このことを鑑み、監査部門判断により警戒レベルを一段階引き上げ、今後少なくとも五年間は終了対象外案件として取り扱います。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1549] #121861 「美味しいみず」 投稿者:   《URL》   投稿日:2016/05/29(Sun) 19:18:28   41clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#121861

Subject Name:
美味しいみず

Registration Date:
2008-08-13

Precaution Level:
Level 2


Handling Instructions:
飲料水#121861は一般的な自動販売機に装填され、異常性の無い商品と混在する形で販売されているケースがほとんどです。市民に対し、飲料水#121861は毒性があるため危険であり、発見した場合は速やかに最寄りの管理局まで届け出るよう、各種メディアを通じて繰り返し呼び掛けています。窓口を通じて回収した、あるいは通報によって自動販売機から接収した飲料水#121861については、必要なサンプルを取得した後手順M-121861に基づいて破棄することになっています。

飲料水#121861の製造元を突き止める試みが続けられています。過去には要注意団体の一つである「アムリタ・ファウンデーション」が製造元であるとの疑義が持たれていましたが、別案件の調査の過程で同団体は本件に関与していないとの見解が示されました。かつてアムリタ・ファウンデーションの傘下にあり、現在は独立した団体となっている「ネクタール飲料株式会社」の関与が疑われています。


Subject Details:
案件#121861は、「美味しいみず」とラベリングがなされた製造元不明のペットボトル飲料水(飲料水#121861)と、それに掛かる一連の案件です。

2008年6月下旬、市民から「不審な飲料が販売されている」との通報がジョウト地方コガネシティ第六支局に寄せられたことにより、当局は飲料水#121861の存在を認知しました。通報のあった自動販売機は当局により接収され、貯蔵されていた飲料水#121861が回収されました。自動販売機については、本来販売されているべき商品が飲料水#121861に差し替えられていたことを除けば何ら異常性が確認されなかったため、ディスプレイ用のサンプルを正常な商品のものへ差し替えた後、所有者に返却されました。

ほぼ同時期、ホウエン地方第四支局の局員が提出した日報に「近頃『飲む人によって味が変わる飲料水』が販売されている、という噂が流れている」との記載が確認されました。局員にヒアリングを実施したところ、一部のソーシャルネットワーキングサービスにおいて「美味しいみず」とラベリングされた飲料水に関する話題があり、飲む度に味が変わるという情報が複数寄せられていたとのことでした。当該飲料水はジョウト地方コガネシティ第六支局が接収した飲料水と外見的特徴が一致しており、同一の案件であるとの判断がなされました。案件管理はジョウト地方コガネシティ第六支局に一本化され、本格的な調査に着手しました。

局員により実際に飲料水#121861を口にした市民からのヒアリングを実施され、飲料水#121861に関する概要が整理されました。

飲料水#121861は、ほとんどの場合自動販売機に貯蔵された状態で販売され、正常な飲料水を購入する場合と同様の手順で購入することができます。価格は同じ自動販売機に貯蔵されている異常性の無いペットボトル飲料と同額か、または10円低いかのいずれかに設定されています。他の商品より高額に設定されていたケースは確認されていません。飲料水#121861は自動販売機が扱う商品のベンダーを問わずに混入されますが、飲料水以外の自動販売機(食品・煙草・アイスクリームなど)に混入されたケースは未確認です。

外見上、飲料水#121861は一般的なミネラルウォーターとほとんど差異が見られません。透明な液体であり、炭酸ガスの封入は行われていません。ラベルには毛筆体で「美味しいみず」と書かれています。大手ベンダーが販売している「おいしいみず」(ひらがな表記)との類似性を意図した名称と推定されますが、パッケージのデザインは大きく異なっています。当局による検査では、一般的に市販されているミネラルウォーターと成分上の差異は確認できませんでした。

飲料水#121861を摂取した場合、その時口にした人物が「美味である」と感じるものを思わせるフレーバーが口の中に広がるとの証言が得られています。過去に確認された事例では、ミカン・メロン・バナナといった飲料水のフレーバーとして一般的に使用されるもののほか、イチジク・ザクロ・ライチ・キイチゴのような一般的とは言い難いもの、醤油ベースのラーメン・カレーライス・スパゲティペペロンチーノなど、飲料水のフレーバーとして用いられることのない食品の味がしたとの証言が得られています。これまでに確認されたフレーバーのリストは、リストL-121861-1を参照してください。飲料水#121861を口にした市民は、例外なく「美味である」と感じたと証言しています。

同じ容器に入れられた飲料水#121861を異なる人物が口にした場合、それぞれ個別のフレーバーが感じられるとの証言が複数得られています。これは飲料水#121861をペットボトルから別の容器へ移し替えた場合も同様です。この事から、飲料水#121861自体が何らかの作用によりフレーバーを変化させているのではないかとの仮説が提唱されました。

特異なフレーバーを持つことを除き、飲料水#121861そのものに顕著な危険性は確認されていません。ただし、飲料水#121861の味を気に入り、一度口にして以降飲料水#121861のみを飲み続けていた市民が複数名確認されています。これは飲料水#121861が何らかの依存性を有しているのか、或いは単に口にする市民の嗜好に働きかけた結果なのかは定かではありません。当局では依存性のある飲料であると分類しており、全局員に対して一切の摂取を禁止する措置を執りました。また各種媒体を通じ、飲料水#121861を口にしないよう働きかける情報活動を展開しています。

異常な性質を持つ食品を大量に拡散するという手法から、当初から要注意団体の一つであるアムリタ・ファウンデーションの関与が疑われていました。しかしながら、2008年8月初頭に警察機関と合同で実行されたシンオウ地方クロガネシティにおけるアムリタ・ファウンデーション保有施設への強制捜査により、同団体が飲料水#121861の製造・販売に関与しておらず、むしろ市場から排除することを望んでいることを示す無数の証跡が押収されました。押収した資料の中には、飲料水#121861について「ネクタール飲料株式会社」が製造元であるとの記載が成されているものも存在していますが、これが事実かは未だ見解が分かれています。しかしながら、本案件の調査を進める上で重要な情報であると認識されています。

ヒアリングを通じ、複数の市民から「飲料水#121861にはうっすらと紫色が掛かっているいる」との証言が得られています。当局の調査では、飲料水#121861は無色透明であり、何らかの着色が施されているとの結果は示されていません。飲料水#121861が一部の人間に対して軽度の視覚的な情報災害をもたらしている可能性が示唆されていますが、現時点ではこれを裏付ける証跡は得られていません。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1550] #111846 「スペシャリスト・メーカー」 投稿者:   《URL》   投稿日:2016/06/05(Sun) 18:55:35   29clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#111846

Subject Name:
スペシャリスト・メーカー

Registration Date:
2006-06-07

Precaution Level:
Level 3


Handling Instructions:
機器#111846は起動に必要な装置を取り外された状態で、シンオウ地方トバリシティ第七支局の中異常性物品保管庫のブロックB-4に保管されています。当該ブロックには人間の局員のみが立ち入り可能であり、携帯獣の局員は一切の例外なく進入が禁止されています。機器#111846と共に回収された文書#111846に関しては異常性が確認されなかったため、携帯獣の局員を含む案件担当者及びセキュリティクリアランスを得た局員について参照することが許可されています。携帯獣#111846については-1から-74までのナンバリングが設定され、すべてについてモンスターボールからの解放禁止措置が為されています。

機器#111846の製造元と思われる「扶桑電機工業」についての調査が進められています。かつてアムリタ・ファウンデーションに所属していた構成員より、同団体が「扶桑電機工業」と名乗る要注意団体と接触を持っていたことが明らかになっています。アムリタ・ファウンデーションは機器#111846を使用して別の異常なオブジェクトを生成している疑いが持たれており、扶桑電機工業と共に一部の案件について関連があるとの見方が示されています。


Subject Details:
案件#111846は、携帯獣の身体機能・精神機能を広範に作り替える機能を備えた由来不明の機器(機器#111846)、機器#111846の影響を受けたと推定される74体の携帯獣(携帯獣#111846)、並びに機器#111846のマニュアルと思しき文書(文書#111846)、及びそれらに掛かる一連の案件です。

2006年3月16日、シンオウ地方トバリシティ近隣にて不審なプレハブ小屋の存在が確認され、翌3月17日に警察当局と共に強制捜査が行われました。プレハブ小屋からは携帯獣の格納された多数のモンスターボール/スーパーボール/ハイパーボールと共に、電源が取り外され稼働停止した状態の機器#111846が発見されました。ボール群及び機器#111846はその場で押収され、プレハブ小屋と共に当局の管理下に入りました。

機器#111846は、ポケモンセンターに配備されている携帯獣回復装置(「リカバリーマシン」として知られています)と類似した構成の大型機器です。稼働には外部電源を必要とし、通常のリカバリーマシンより容量の大きなACアダプターが取り付けられています。ACアダプターは構造上一般的なものと大きな差異は見られませんが、製造元の刻印が人為的に潰された形跡があります。機器#111846の正面には「FUSOU」と赤いセリフ体でデザインされたコーポレートロゴと思われるシールが貼付されています。

同時に回収された文書#111846には、機器#111846は「スペシャリスト」を製造するための機器であることが記されています。携帯獣が格納されたモンスターボールをセットし、文書#111846に記載された数字17桁のコードを入力することにより、携帯獣を「スペシャリスト」に変換することが可能であることが示されています。モンスターボールは同時に6つまでセットすることが可能です。また、モンスターボールと互換性のある携帯獣格納デバイスはすべて処理可能であると推定されています。

文書#111846には、目的に沿った「スペシャリスト」を製造するためのコードが計317種掲載されています。文書#111846の末尾には「追加サポート」として、文書#111846に掲載されていないさらなる「スペシャリスト」を製造するためのコード集を別料金で提供する旨の記載が見られます。連絡先として複数の営業所の電話番号が記載されていましたが、当局の調べによりこれらの番号が現在は使われていないことを確認しています。

文書#111846に従って機器#111846を操作すると、携帯獣#111846が生成されます。機器#111846及び文書#111846の回収時に合わせて回収されたモンスターボールに格納された携帯獣は、その後の調査によりすべて携帯獣#111846であることが判明しました。これらの携帯獣は概ね野生の個体と推測されますが、一部については過去に盗難届または失踪届が出されたトレーナー所有の携帯獣である可能性が示唆されています。

携帯獣#111846について情報学的検査を行った結果、ある程度の規則に基づく異常性が確認されました。すべての携帯獣は思考を行う器官、人間で言うところの脳に相当する器官が極度に萎縮しています。これは携帯獣が自発的な行動を起こすことを防止するために執られた人為的な措置と考えられています。携帯獣#111846-1から-74は例外なく、最低限の生命維持のための行動と、後述する特異な行動を除き、一般的に期待される種々の行動を取れないか、または取ることができません。

携帯獣#111846-1から-74は、各々の個体ごとに何らかの「技能」を身に着けています。例として、携帯獣#111846-16は外見上携帯獣の「プリン」ですが、一般的なプリン個体が習得し得ない高度な研削加工技術を習得しており、必要な器具/機器を与えることで数世代前の工業機械並の精度と速度で平面研削を行うことが可能です。以下は携帯獣#111846の個体と、それぞれが習得している技能の抜粋です:


[携帯獣#111846-7]
種族:チラーミィ
技能:被覆アーク溶接の技能。産業機械の溶接に特に能力を発揮。技能の発揮にはバッテリー式の溶接機を必要とする。

[携帯獣#111846-22]
種族:マダツボミ
技能:オブジェクト指向言語によるプログラミングの技能。C++のテンプレートメタプログラミングに特化し、同言語及びテンプレートメタプログラミングが許容される開発環境では極めて高い生産性を発揮。他の言語については本来の技能を発揮できず、習熟した人間にやや劣る程度の生産性に留まる。

[携帯獣#111846-24]
種族:サンド
技能:魚介類の調理技能。特に魚類を捌くことに特化している。手元に精巧に研がれた包丁が無い限り動こうとしない。条件を満たした場合、工業機械による処理と同等の生産性を発揮する。

[携帯獣#111846-28]
種族:マリル
技能:携帯獣#111846-28と同一の技能を保持。異なる種族の携帯獣であっても、入力されたコードが同じであれば同一の技能が割り当てられると推測。

[携帯獣#111846-45]
種族:エイパム
技能:塗装に関する技術を習得。一般的なプレハブ小屋程度の大きさの建造物であれば、凡そ20分で塗装を完了する技術を持つことを確認。エイパムは通常手先より尻尾の方が繊細な動きが可能であることが知られているが、当該個体は尻尾は一切使用しない。

[携帯獣#111846-63]
種族:パチリス
技能:小型電子機器の修理に関する技術を習得。確認された修理可能な機器のリストはリストL-111846-63-1を参照。修理された結果、機器が本来備えていない機能が追加されるケースが確認されている。


機器#111846による変換を受けた携帯獣は、その多くが種族的な特徴を喪失する傾向にあります。携帯獣#111846-63は外見上パチリス個体ですが、本来のパチリスが備えている発電・蓄電に関する能力が完全に失われています。これは機器#111846が「スペシャリスト」を生成するに当たり、不要と判断した能力を除去しているものと見られています。

確認された携帯獣#111846はいずれも四肢またはそれに類する器官を備えています。この事は携帯獣#111846に変換可能な携帯獣の種族が限定されている可能性を示していますが、これを裏付ける証跡は得られていません。


[2006-09-11 Update]
かつてアムリタ・ファウンデーションに所属し、当局に保護を求めて出頭した元構成員から本件についての証言が得られました。同団体は機器#111846を使用し、食用に特化した性質を持つ携帯獣#111846を生産していたとのことです。機器#111846にてオリジナルとなる個体を生成したのち、別の機器を使用して当該携帯獣#111846を大量に複写したと証言しています。証言の内容から、この携帯獣は案件#107063で取り扱われているカモネギであると見られています。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1551] #119474 「ふうせんの歌声」 投稿者:   《URL》   投稿日:2016/06/16(Thu) 22:00:26   38clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#119474

Subject Name:
ふうせんの歌声

Registration Date:
2007-11-11

Precaution Level:
Level 5


Handling Instructions:
これまでのところ、事象#119474を止める手段は見つかっていません。事象#119474は事前の観測が困難であり、発生した場合極めて高い確率で大規模な航空機事故を誘発します。事象#119474が観測された場合、対象となった航空機が取ると考えられる進路を可能な限り精緻に予測し、被害の規模を最小のものとするための措置を取らなければなりません。この措置に当たっては、当局の保有するあらゆる人的/物的資材の投入が許可されます。案件担当者は自身の判断により、超法規的措置を取る権限も与えられています。

事象#119474が発生する可能性がある地域(エリア#119474)は、現時点では限定的です。エリア#119474に於けるすべての航空機は当局の監視下に置かれ、事象#119474の発生に際して迅速な対応を取るための態勢が敷かれています。外部からの航空機によるエリア#119474への進入は、いかなる理由があろうとも例外なく禁止されています。


Subject Details:
案件#119474は、大規模な航空機事故を引き起こす未知の事象(事象#119474)と、事象#119474が観測される領域(エリア#119474)、及びそれらに係る一連の案件です。

当局が事象#119474の存在を観測したのは、2007年7月に発生したイッシュ地方北部での航空機事故に於いてです。スカイエア253便墜落事故として知られるこの事故では、事故現場から回収されたボイスレコーダーに何らかの異常性があるとの疑義が調査担当者より掛けられ、事故調査委員会から当局への照会が行われました。当初は異常物品を担当するチームがボイスレコーダーの調査を行っていましたが、調査の過程でボイスレコーダーの機器そのものではなく、記録された音声に異常性があるとの結論がくだされました。

スカイエア253便墜落事故では、パイロットと航空管制官が最後に通信を交わしてから約40分後に機体が墜落しています。その間、航空管制官は複数回に渡ってスカイエア253便のパイロットを呼び出していますが、パイロットからの応答はありませんでした。ブラックボックスから回収されたフライトレコーダーからは、スカイエア253便のすべての機能が墜落の瞬間まで正常に動作し、墜落の直前にはパイロットに繰り返しアラートを発していたことが分かっています。これらの証跡から、スカイエア253便墜落事故は機器トラブルや管制エラーではなく、パイロットに何らかの異常が生じたことが原因であるとの仮説が立てられました。

当局がボイスレコーダーに記録された音声を情報学的に分析した結果、人間の可聴域の範囲外で特異な波長が検出されました。音声の標本パターンとの照合により、波長は携帯獣の「プリン」が発する特殊な鳴き声と一致することが判明しました。この鳴き声は、一般的な人間や携帯獣にはプリンがあたかも歌唱しているかのように聴き取れることから、一般的には鳴き声ではなく「歌声」として認識されています。

プリンの歌声には、人間や携帯獣に対し強い催眠作用をもたらす効果があることが知られています。プリンが持つ技術に依存しますが、能力の高いプリンの歌声が齎す催眠の効果深度は非常に深く、些細なことでは覚醒を促すことはできません。スカイエア253便のボイスレコーダーからプリンの歌声と一致する波長が検出されたことは、スカイエア253便のフライト中に何らかの理由でプリンの歌声が流れたことを意味します。乗員乗客全員が深い睡眠状態に陥り、結果として機体の墜落を招いたと見られています。

スカイエア253便が飛行していた航路は航空機事故が多発していることで知られており、そのほとんどが原因不明のまま、航空機パイロットのヒューマンエラーによる事故として処理されていました。当局は過去に発生した事故記録の提出を各航空会社へ要請し、そのうちの幾つから肯定的な回答及び事故記録の提出がなされました。スカイエア253便の事故と同様の調査を行ったところ、調査を行ったケースではいずれもボイスレコーダーから同様の波長が検出されました。これをもって、当局は波長の発生を事象#119474と定義し、イッシュ地方北部に於ける原因不明の航空機事故の大半が事象#119474によって発生していると結論付けました。案件立ち上げが決定され、担当者が割り当てられました。

当局の調査と並行して進められていた事故調査委員会による現場検証により、スカイエア253便の墜落現場付近から複数のゴム風船の残骸が回収されました。乗客の手荷物にゴム風船は含まれていなかった可能性が高いこと、事故現場から半径200m以内で散発的に発見されたこと、大部分が焼失せず原型を止めていたことから、ゴム風船はスカイエア253便に積載されていたものではないとの判断が示されました。ゴム風船そのものは、異常性のない一般的な製品と同等のものです。

スカイエア253便墜落事故の現場から回収されたゴム風船がいかなる意味を持っているのか、現時点では当局による統一的な見解は出されていません。しかしながら、過去に近隣で発生した航空機事故について、一部の現地住民から「事故が起こる一時間ほど前、人気のない場所から大量の風船が空に向かって飛んでいく光景を見た」との証言を複数得ています。この事象が事象#119474の前兆現象であるとの仮説が立てられています。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1552] #87749 「凍れる望遠鏡」 投稿者:   《URL》   投稿日:2016/06/26(Sun) 19:39:27   23clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#87749

Subject Name:
凍れる望遠鏡

Registration Date:
1997-10-22

Precaution Level:
Level 4


Handling Instructions:
オブジェクト#87749-1から-12は所定の拠点へ分散して保管し、いずれも110cm×71cm×175cmの高セキュリティ金庫へ個別に保管しなければなりません。複数のオブジェクト#87749を同一の拠点に保有することは固く禁じられています。オブジェクト#87749についてこれ以上の実験を行うことは、生態系へ少なからぬ悪影響を及ぼす可能性があるため、裁定委員会による承認がない限り許可されません。

新たなオブジェクト#87749が発見された場合に備え、担当者には強制的にオブジェクト#87749を接収するための公的な権限が与えられています。所有者がオブジェクト#87749の接収指示に従わない場合、担当者の判断により拘束することが認められています。拘束した所有者については、標準手続に基づき別途ヒアリングを実施してください。


Subject Details:
案件#87749は、特定の条件を満たすことである種の携帯獣を無制限に生成できると考えられている由来不明の望遠鏡(オブジェクト#87749)と、それにかかる一連の案件です。

オブジェクト#87749が初めて発見されたのは、1997年6月上旬のことです。カントー地方セキチクシティ東部に位置するゲートの2階に設置されていた望遠鏡のうちの一台について、セキチクシティ在住の市民から当局へ問い合わせが行われました。局員が現場へ出向き、オブジェクトの性質について初期調査が行われました。問い合わせ内容とオブジェクトの性質の一致が見られたため、局員は望遠鏡を回収しました。

オブジェクト#87749は、外見上ニコン社製の観光望遠鏡「20×120」と一致する大型の望遠鏡です。道路間に設けられたゲートなどに数多く設置され、ほとんどの場合百円硬貨を一枚投入することで一定時間利用することが可能になっています。オブジェクト#87749を視認すること、通常の手順に沿ってオブジェクト#87749を望遠鏡として利用することによる対象者への影響は見られません。これは対象者が人間の場合も、携帯獣の場合も同様です。

オブジェクト#87749が異常性を示すのは、利用者によってオブジェクト#87749を通して「西の空」が観察された場合です。条件を満たした場合、利用者はオブジェクト#87749を通して、携帯獣の一種である「フリーザー」が空を飛んでいく場面を目撃します。望遠鏡を覗き込んだ季節や時間帯によらず、オブジェクト#87749を通して西の空が観察された場合、必ずフリーザーが出現します。

このフリーザーはすべて別個体であり、オブジェクト#87749が条件を満たす度に新たな個体が出現します。個体間につながりは見られず、また相互に連携する様子なども見られません。フリーザーがいかなる場所から出現しているのかは不明です。ヘリコプターを用いた出現地点の観察実験では、いずれもヘリコプターが出現を確認できない地点からフリーザーが現れる結果をもたらしました。野生のフリーザーが何らかの理由によって呼び寄せられているのか、オブジェクト#87749が新たに生成しているのかは、未だ結論が出ていません。

出現したフリーザーは非異常性の存在であり、当局により捕獲されたすべての個体は何ら不審な点を示しませんでした。情報化した後に行われた完全スキャンは、フリーザーが一般的な個体と比較して異常でないレベルの差異しか検出できません。このことから、オブジェクト#87749に関連して出現するフリーザーそのものについては、案件管理の対象外とする判断がなされました。

フリーザーは出現と同時に周囲の気温を低下させる性質を持ち、活発な活動は近隣の寒冷化を招くとの研究結果があります。オブジェクト#87749の使用を繰り返してフリーザーが大量に出現され続けた場合、最終的に寒冷化が地球全土に及ぶ可能性が示唆されています。生態系へ重大な影響をもたらす虞があることから、当局ではオブジェクト#87749の危険度を「Level 4」と設定し、オブジェクト#87749の同型機の回収を進めています。当局の活動により、その後11台のオブジェクト#87749が回収されました。これらはナンバリングされ、個別の拠点にて保管されます。

オブジェクト#87749によって出現し、捕獲されることなく野生化したフリーザーについては、その出自を特定する方法が見つからないことから、取扱いについて保留されています。将来的な対応方針についても未定のままです。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1553] #105833 「廃棄された施設」 投稿者:   《URL》   投稿日:2016/07/05(Tue) 21:09:43   23clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#105833

Subject Name:
廃棄された施設

Registration Date:
2003-07-16

Precaution Level:
Level 1


Handling Instructions:
施設#105833の周囲、半径500mは「人体並びに携帯獣に対し有毒性のガスが充満している」とのカバーストーリーが流布され、周囲に当局と無関係な市民が侵入しないための施策が取られています。施設#105833周辺は物理的に進入が困難であり、警備は最小限に止められています。かつて施設#105833内部からは種々の通信を妨害する電波がごく狭い範囲に対し発信されていましたが、現在はすべて停止しています。施設#105833内は既に全域の探査が完了しており、案件担当者は作成済の地図を適切なセキュリティクリアランス保持者に提供することが許可されています。

施設#105833は既に全セクションが稼働を停止しており、異常なオブジェクトが生産されることはありません。施設#105833にて収集されたすべての情報はアーカイブされ、対応するセキュリティクリアランスを保持する局員であれば内容を閲覧することが許可されています。施設#105833より回収された非異常のオブジェクトは、ホウエン地方フエンタウン第二支局に隣接する低異常性物品保管庫のブロックB-6の耐火性金庫に集積されています。オブジェクトを研究目的で使用したい場合、案件担当者並びに拠点監督者から事前の許可を得てください。

本稿執筆時点における当案件の対応方針は、かつて施設#105833を制御していたと思われるサーバーコンピュータ群(機器#105833に指定)の捜索に焦点が当てられています。機器#105833は施設#105833内の全機能を制御していたと考えられ、その性能について強い異常性の疑義が呈されています。機器#105833が破壊された有力または完全な証跡が発見されるか、機器#105833を当局が確保するかのいずれかの条件が満たされるまで、本案件は警戒レベル「1」のまま保持されます。


Subject Details:
案件#105833は、稼働を停止した工場と見られる施設(施設#105833)と施設#105833に設置されていたと推定されるサーバーコンピュータ群(機器#105833)、及びそれらに係る一連の案件です。

施設#105833は2003年5月初頭に当局のフィールドワークチームによって発見され、初期調査により種々の異常性が見られたことから速やかに当局の管理下に置かれました。本来の土地所有者とは連絡を取ることができませんでした。少なくとも五年以内に人間や携帯獣が立ち入った形跡がないことから、施設#105833は放棄されて相当な時間が経過しているものとの推測が立てられています。

施設#105833はホウエン地方フエンタウン北部の山間部に建造された、由来及び目的が不明の工業施設です。施設#105833は山林の奥地に存在し、周囲約700m×700mはすべての木々が伐採されています。地上3階建て、地下6階建ての構造をしており、内部探査により完全な地図が作成されています。一部区域では設備の不良により人体及び携帯獣にとって有毒な物質が漏洩しているため、探査に際してはレベル3対バイオハザードスーツの着用が義務付けられます。

地上部分は事務作業並びに軽作業を行うためのフロアとなっており、休憩室や仮眠室と見られる部屋も確認されています。地上1階部分には「サーバールーム」と表札の付けられた部屋が存在しますが、該当する部屋はすべての機器や用具が撤去されており、サーバーコンピュータの存在は確認できませんでした。事務作業を行うフロアには複数台のコンピュータ端末が残されていましたが、それらはいずれも物理的に損壊されており、またすべての筐体からハードディスクドライブが抜き取られていました。

地下部分は合計26のセクションに分かれています。セクションごとに形状の異なる鋼製の部品を製造していた形跡が見られます。全26セクション中15のセクションからほぼ完全な部品が回収されていますが、部品を組み合わせた最終的な完成形がどのようなものかは明らかになっていません。回収された部品の量から、最終製品は量産を前提として設計されていたことが伺えます。これまでのところ、施設#105833から回収された部品が使用された製品が市場に流通した記録はありません。

地下6階に存在する大広間は、発見時に入り口となるドアがロックされていた唯一のフロアです。位置及び周辺の証跡から、高セキュリティエリアと推定されるセクションになっています。内部には合計52台の培養カプセルが存在し、その全台が破壊されていました。カプセル内部には白骨化した携帯獣の遺体(遺体#105833-1から-52と指定)が残されていました。遺体#105833の種族特定はすべて完了しています。詳細はリストL-105833-4を参照してください。遺体#105833の中に同一の種族は存在せず、また同系統の種族も存在しませんでした。分類や本来の生息地にも規則性は確認されていません。カプセルは中央に存在する大型の装置にケーブルで接続されていますが、装置は人為的に破壊されています。破壊するにあたり、小規模な指向性爆薬が使用されたものと推定されています。携帯獣を収容していたカプセルがどのような機能を果たしていたのかは分かっていません。

内部の配線を辿ると、最終的にすべてのケーブルが地上1階のサーバールームへ接続されていることが分かります。このことから、サーバールームに配置されたコンピュータが施設#105833全域を制御していたものと考えられています。サーバールームには物理的破壊の痕跡が見られないため、何者かがサーバールームに存在した機器を持ち去ったことが示唆されています。施設#105833に関する情報が含まれる可能性が高いことから、当局ではサーバーコンピュータ群を機器#105833と指定し、現在も捜索を続けています。


[2016-02-15 Update]
イッシュ地方ライモンシティ中央図書館の書庫に所蔵されていた書籍に、施設#105833より回収された部品群とすべて合致する特徴を持つ携帯獣のイラストが収録されていることが確認されました。書籍には携帯獣の正式な名称は不明であるとしつつも、人間の手で製造された古代の携帯獣であるとの説明が記載されています。書籍の著者とコンタクトを取る試みが続けられています。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1554] #117202 「未知のノイズ復号器」 投稿者:   《URL》   投稿日:2016/07/10(Sun) 20:16:30   19clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#117202

Subject Name:
未知のノイズ復号器

Registration Date:
2007-02-21

Precaution Level:
Level 2


Handling Instructions:
機器#117202はジョウト地方キキョウシティ第七支局の中異常性物品保管庫に収容し、70cm×120cm×90cmの鉛製金庫に保管してください。機器#117202は常に活性化した状態であり、非活性化する方法は確認されていません。このため、事前承認を受けた実験目的以外での持ち出しは一切禁止されています。

機器#117202を使用して得られた音声記録(音声記録#117202)は記録日時順に整理して保管します。音声記録からテキストへの書き出しは、当局が保有する音声認識装置を使用して自動的に行われます。音声記録の解析に際しては、耐ミーム侵襲機構を備えた専用端末を使用しなければなりません。解析結果はサマリーとしてまとめ、インデックス化して保管してください。


Subject Details:
案件#117202は、ある特定の波長を受信することにより未知の音声記録を再生する携帯ラジオ型機器(機器#117202)と機器#117202により生成された音声記録(音声記録#117202)、及びそれらに掛かる一連の案件です。

機器#117202が発見されたのは2007年初頭のことです。ジョウト地方キキョウシティ第七支局に、キキョウシティ南方にある古代遺跡群「アルフの遺跡」の管理担当者から「八日間の無断欠勤をした職員の家から、不審な声が聞こえてくる」との通報が寄せられました。警察当局とともに局員が当該職員の自宅へ踏み込んだところ、死後三日程度が経過したと推定される職員の遺体と、雑音の混じった音声を再生し続けているラップトップPC、そして機器#117202が発見されました。職員は手首を大型のカッターナイフで切り裂いており、自殺したものと推定されています。司法解剖の結果は失血死で、特段の異常は見られませんでした。

機器#117202は外見上黒い携帯ラジオに見える機器ですが、過去に製造された携帯ラジオと一致するモデルは存在しません。イヤホンジャックに加え、底部にUSB1.1のポートを一つ備え付けています。USBポートは少なくとも128GBまでの外部記憶媒体を認識します。外部記憶媒体以外のUSBデバイスは認識されません。表面は一般的な携帯ラジオ機器と一致する外観をしていますが、既知のあらゆるラジオ放送を受信することができません。機器には接合部が確認できず、またネジ止めがされた部位も存在しないため、非破壊での分解検査は未だ実施できていません。製造元を示す刻印やラベルは存在しませんでした。

職員の自宅からは機器#117202を使用して記録されたと推定される65の.mp3形式の音声記録#117202と、職員が独自に調査した機器#117202の使用方法に関するメモが発見されました。メモからは、機器#117202は古代遺跡群「アルフの遺跡」でのみ放送の受信が可能であること、機器#117202は外部記録媒体への記録を自動的に行うことが確認されました。これは当局がのちに実施した機器#117202に対する試験の結果とも一致するものです。

機器#117202は古代遺跡群「アルフの遺跡」の圏内(詳細な認識範囲については、資料A-117202-3を参照してください)に持ち込むことにより、数秒から数時間のランダムな時間に渡って音声記録#117202を作成し、セットされた外部記録媒体へ書き込みます。一度音声記録#117202を作成した後は、一度アルフの遺跡の圏外へ出なければなりません。圏外へ出た後再度圏内へ入ることで、新たな音声記録#117202が作成されます。音声記録#117202は.wavのフォーマットで作成され、取扱方法については一般的な.wavフォーマットのファイルと変わりません。

アルフの遺跡では、一般的なラジオ機器が不明な理由により一切使用できません。これはアルフの遺跡全域で検知される未知の妨害電波(案件#53802「遺跡の妨害電波」として案件登録済)によるものであることが分かっています。機器#117202はこの妨害電波を受信し、本来の放送に復号しているのではないかという仮説が提唱されています。しかしながらその放送は著しく一貫性に欠け、その大部分が何らかの異常性を内包しています。このことから、機器#117202は案件#53802で管理されている妨害電波をトリガーとして、内部で新たな音声を生成している可能性も否定できません。

押収された音声記録#117202、及び当局が新たに作成した音声記録#117202の抜粋は下記の通りです:


[音声記録#117202-1]
記録日時より、機器#117202が活性化されてもっとも初期に記録されたと考えられる音声記録。記録時間5分46秒。十代前半と思しき少女の「誰か聞こえる人はいますか」から始まり、何者かに監禁されていること、発言者から見て外の世界で大規模な災害や紛争が発生していることが切迫した声で語られている。自身の身の上を述べている最中(この時点で発言者の名前が「ひとみ」であると判明)、何者かが巡回しにきたとの発言を残して記録が終了する。自殺した職員は、この音声記録を聞いたことが発端となって音声記録の収集を開始したものと推定されている。

[音声記録#117202-8]
ガラスの割れる大きな音が記録されている。記録時間7秒。

[音声記録#117202-11]
2008年11月17日時点のカントー証券取引所における26銘柄の株価。記録時間3分13秒。実際の株価との符合性について、将来的に調査が行われる予定。(2008-11-17追記)音声記録#117202-11でアナウンスされた株価は、1銘柄を除いて完全に一致していたことが判明。唯一不一致だった銘柄は、銘柄コード7974で管理される大手ゲーム会社のもの。不一致となった理由は不明。

[音声記録#117202-14]
2002年よりサービスを提供しているMMORPG「ファイナルファンタジーXI」におけるゲーム中イベントの再現音声。記録時間7分21秒。アペンドディスクの一つ「アトルガンの秘宝」を導入することでプレイヤーが攻略可能になるイベント「キモいから名前で呼ぶな」(※原文ママ)が該当。ゲーム中のテキストに概ね一致する形で音声が収録されているが、登場人物の一人「Iruki-Waraki」の性別が女性であることを前提としてシーンが展開されている。「Iruki-Waraki」は本来男性であり、また「Iruki-Waraki」の種族は男性と女性で名前の命名規則が厳格に異なっている設定がゲーム世界の中で一貫して存在するため、矛盾が生じている。

[音声記録#117202-17]
1962年のアメリカ映画「戦艦バウンティ」の吹替版音声。記録時間179分32秒。当該映画作品がこれまでに吹替版として公開された記録は存在しない。現在確認されている中で最長の音声記録。本来.wavフォーマットは4GBのファイルサイズ制限があり、記録時間から考慮して記録不可能と推定されているが、この音声ファイルはファイルフォーマット変換を除く一切の編集が行われておらず、一度の録音で作成されたと考えられている。ソースとなる.wavフォーマットのファイルが削除されているため、この件についての検証は現在保留中となっている。

[音声記録#117202-22]
何かを泡立てる音。記録時間38秒。ヒアリングした局員の証言から、子供がストローを通じて飲み物に空気を吹き込んでいる時の音ではないかとの仮説が提示されている。

[音声記録#117202-26]
未知のシステムインテグレータ会社で開催されたと推測される定例会の様子を記録した音声。記録時間32分49秒。最初の15分55秒で報告が行われたのち、残りの時間で前者で取り組んでいるとされるプロジェクトについての討議に入っている。討議の最中、頻繁に「スピリチュアル開発モデル」という単語が登場する。「スピリチュアル開発モデル」なる開発手法がこれまで提唱された記録は存在しない。

[音声記録#117202-28]
午後28時67分98秒を告げる時報。記録時間12秒。

[音声記録#117202-31]
ガラスの割れる大きな音が記録されている。記録時間6秒。音声記録#117202-8とは音が異なっている。

[音声記録#117202-37]
音声記録#117202-1の発言者である「ひとみ」による2度目の音声記録。記録時間4分12秒。音声記録#117202-1の記録時点より状況が悪化しており、食料の配給も滞りがちになっていること、既に消滅した国家が複数存在することなどが切迫した口調で語られている。「ひとみ」のいる世界にも携帯獣がいることが示されたが、何らかの理由によりあらゆる携帯獣が人類に敵対し、人類と戦争状態にあるとしている。「ひとみ」はかつてポケモントレーナーとして活動していた、というところで不意に音声が途切れている。

[音声記録#117202-42]
1962年のスティーブ・ローレンスのシングル曲「ゴー・アウェイ・リトル・ガール」の音声記録。記録時間2分22秒。収録後10秒間の空白があり、波形を見ると何らかの微弱な音声が記録されていると思しき形跡が見られる。

[音声記録#117202-45]
テレビ放送の砂嵐を記録したと思われるノイズの音声記録。記録時間16分38秒。別の音声が重複している可能性が指摘されているが、詳細の特定には至っていない。

[音声記録#117202-52]
176回に渡って繰り返される「あなたの助けが必要です」という呼び掛けの音声記録。記録時間24分51秒。呼び掛けはすべて異なる声色・調子で行われており、一部人間には発音が困難な極端な高音域・低音域のものが含まれている。どのような助けが必要なのかは語られていない。

[音声記録#117202-58]
1971年のダニー・オズモンドのシングル曲「ゴー・アウェイ・リトル・ガール」の音声記録。音声記録#117202-42と同一の楽曲だが異なるバージョンのもの。記録時間2分52秒。音声記録#117202-42同様に収録後10秒間の空白があるが、こちらの音声記録の波形データは完全な無音となっている。

[音声記録#117202-65]
音声記録#117202-37に続く「ひとみ」による音声記録。ただ一言「家に帰りたかった、死にたくなかった」とだけ記録されている。記録時間12秒。自殺した職員が最後に作成した音声記録。

[音声記録#117202-66]
ラジオ番組「ポケモンチャンネル」の一部と推定される音声記録。記録時間24分16秒。本来はラジオパーソナリティの「クルミ」がゲストを迎えてインタビューをする形式のトーク番組であるが、当該記録では未知のラジオパーソナリティの「ノエル」がクルミをゲストとして扱う形で番組が進行している。この点を除いては、番組は本来のフォーマットに忠実に沿う形で進行する。機器#117202が当局の収容下に置かれてから初めて作成された音声記録。

[音声記録#117202-74]
合成音声で「TO BE SORRY」とたどたどしく読み上げられた音声記録。記録時間9秒。


機器#117202を保有していた職員の自殺は、音声記録#117202-1、同-37、同-65で発言者として登場した少女「ひとみ」を救うことができなかったためと見られています。一般的な抑鬱状態に起因するものと判断されたため、職員の自殺そのものは異常性のない事案とし、本案件の管理対象外となりました。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1555] #83550 [データ破損] 投稿者:   《URL》   投稿日:2016/07/14(Thu) 22:01:12   43clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

※警告※
案件文書#83550のアーカイブからのデコード時に、一部のデータが欠落しました。欠落箇所は [データ破損] で示される代替テキストに置換されています。

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Subject ID:
#83550

Subject Name:
[データ破損]

Registration Date:
1996-06-23

Precaution Level:
Level 3 → Level 0(2014-07-20時点)


Handling Instructions:
オブジェクト#83550は、カントー地方トキワシティ第十二支局の中異常性オブジェクト収容室37に収容されています。オブジェクト#83550からは生体反応は検出されていませんが、不明なタイミングで移動することが確認されています。収容室は案件担当者及び拠点監督者双方の承認を得て、かつ警備員が同伴した状態でのみ解錠が許可されます。オブジェクト#83550が生体反応のない特異な生命体であることを鑑み、オブジェクト#83550の破壊を伴う検査は倫理委員会の裁定に基づき無期限に禁止されています。この裁定への不服申し立てを行う場合、案件担当者の承認を得なければなりません。

本案件の案件担当者は、オブジェクト#83550について、後述する種族#83550とは完全に別個の存在であるとの明確な認識を持たなければなりません。種族#83550に関する知識を持たないことが推奨されますが、オブジェクト#83550と種族#83550が別個の存在であるという知識があれば、オブジェクト#83550による情報災害は防止することができます。

本稿において種族#83550の名称を記述することは固く禁じられています。過去の版には種族#83550の名称が記載されているものがありますが、特定の版以降はオブジェクト#83550の情報災害の影響を受けて内容が改変されています。二次災害を防止するため、過去の版は暗号化の上アーカイブされています。

[2014-07-20 Update]
当局の倫理委員会の裁定に基づき、案件#83550は管理が終了されます。本案件は案件登録を解除され、現存するすべてのドキュメント並びに資料はアーカイブされます。案件#83550の警戒レベルは「0」に再設定され、これ以上の対応は行われません。オブジェクト#83550として収容されていた携帯獣は、収容終了となり解放されます。

案件担当者及びオブジェクト#83550として収容されていた携帯獣の双方が合意したため、携帯獣は案件担当者に引き取られることとなりました。以後、オブジェクト#83550は一般の携帯獣として取り扱われます。オブジェクト#83550収容中の取り扱いに関して、案件担当者の適切な措置が評価されました。


Subject Details:
案件#83550は管理が終了し、案件登録が解除された案件です。以下のドキュメントはアーカイブされたものであり、案件担当者またはより上位のセキュリティクリアランスを保持する局員のみがアーカイブ化を解除することができます。かつて案件担当者から「変更」以上のセキュリティクリアランスを付与されていた局員については、一律で権限が剥奪されています。

案件#83550は、外見上ある携帯獣(案件の性質を鑑み、便宜上種族#83550と呼称します)に類似した特徴を持った未知のオブジェクト(オブジェクト#83550)と、それに掛かる一連の案件です。

1996年4月下旬頃、当局がトキワシティに設けている複数の窓口に「トキワの森の入り口近くに種族#83550の幽霊がいる」との通報が殺到する事案が発生しました。局員数名が通報のあった地点へ向かったところ、道端に座り込んでいたオブジェクト#83550を発見、成功裏に確保しました。このとき、オブジェクト#83550の性質がある程度明らかになり、後の取扱手順策定に反映されています。オブジェクト#83550の確保時に3名の局員が軽度の情報災害を負いましたが、いずれも数日以内に回復しました。

オブジェクト#83550は、種族#83550を思わせる風貌をした未知のオブジェクトまたは生体です。頭部から着ぐるみのような由来不明の布地を着用し、一般に「落書き」と形容されるような粗雑さの種族#83550の顔が描かれています。布地を引きずるようにして移動し、時折内部から空気を発生させ、風船のように布地を立たせることがあります。目に相当する器官は下部に存在し、布地の下から手または触手と思われる器官が露出しています。

一般的な検査では、オブジェクト#83550から生体反応を検出することはできませんでした。携帯獣である可能性を踏まえた情報化試験は、いずれも失敗に終わっています。得られたデータはオブジェクト#83550が携帯獣また携帯獣の性質を部分的に備えた存在である可能性を示唆していますが、少なくとも現時点でオブジェクト#83550を情報化するための完全な手順は確立されていません。オブジェクト#83550は食事や睡眠を必要としておらず、これまでに要求がなされたこともありません。

オブジェクト#83550の特徴は、対象を「種族#83550に似ている」という認識の元で視認した場合、対象を純粋な種族#83550と誤認させることにあります(事象#83550)。しかしながら外見的特徴の顕著な差異から、事象#83550に巻き込まれた人間及び携帯獣には著しい認識の混乱が生じます。認識異常の顕著な事例として、オブジェクト#83550を「種族#83550の幽霊」と呼称することが挙げられます。事象#83550は、オブジェクト#83550を視認してから少なくとも72時間継続します。

事象#83550は、種族#83550に関する知識を持たないか、種族#83550とオブジェクト#83550を明確に個別のものであると認識している人間または携帯獣であれば発生しません。確保時には四人の局員が立ち会いましたが、その内の一名は他の支局から異動した直後であり、種族#83550に関する一切の知識を持っていませんでした。確保終了後の検査でこの局員のみが情報災害検査で陰性の反応があったことからヒアリングを実施し、オブジェクト#83550の性質が判明しました。

オブジェクト#83550の由来は不明です。種族#83550に類似した外見的特徴を持つ理由も明らかになっていません。外見に由来すると思われる事象#83550の原因も分かっていません。オブジェクト#83550については不明な点が非常に多く、慎重な取扱いが必要となります。オブジェクト#83550は初期収容に当たった局員に対し敵意を示しておらず、局員もオブジェクト#83550の収容に同意したため、案件担当者として割り当てられました。


[2014-07-14 Update]
オブジェクト#83550について、再度の情報化試験を行った結果[データ破損]地方由来の携帯獣であることが明らかになりました。携帯獣学会で携帯獣であるとの承認がなされ、全国図鑑のNo.[データ破損]に種族名[データ破損]として登録されます。この結果を受けて、数日中にオブジェクト#83550の取り扱いについて倫理委員会で協議が行われる予定です。

Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1576] #146915 「小さな窓」 投稿者:   投稿日:2016/07/22(Fri) 20:07:00   43clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#146915

Subject Name:
小さな窓

Registration Date:
2016-07-22

Precaution Level:
Level 5


Handling Instructions:
この案件の警戒レベルは「5:極めて危険」に設定されていますが、例外的にあらゆる局員に文書及び付随する情報が公開されます。すべての局員に対し、本案件に関する情報への「読み取り」のアクセス権が付与されます。当局に籍を置くすべての局員は案件資料を熟読し、本案件の性質を理解することが求められます。本案件を除くその他のレベル5案件については、従前のセキュリティポリシーが継続して適用されます。

事象#146915の発生ポイント/発生日時、及び事象#146915のターゲットとなった携帯獣の種族を記録してください。現時点で事象#146915に対して取り得る対抗措置は確認されていません。事象#146915がすべての携帯獣に対して発生し得るのかは見解が分かれていますが、今後事象#146915の対象が拡大する虞は排除できません。本案件の対応方針は、事象#146915が世界のどの地域で発生し得るか、事象#146915の対象となる条件は何かを突き止めることにあります。


Subject Details:
案件#146915は、「小さな窓」と形容される未知のオブジェクト(オブジェクト#146915)の出現とそれに付随して発生する携帯獣の消失事象(事象#146915)、及びそれに掛かる一連の案件です。

少なくとも当局が把握している限りにおいて、事象#146915の最古の発生事例は2016年07月14日になります。イッシュ地方及びカロス地方に展開する多数の支局に対し、様々な形で「携帯獣が突然消失した」との通報及び報告が寄せられました。通報が始まってからわずか30分で総数が1,000件を越え、当局のレベル6局員は非常事態宣言を出すことを全会一致で可決しました。すべての支局に対し緊急通達が交付され、最低限の保安活動を除きすべての管理局局員に本件の対応に当たることが指示されました。

市民からの通報/各地のポケモンセンターに提出されたトレーナーのレポート/フィールドワーク担当の局員による実地調査などの情報により、2016年07月15日時点で事象#146915の大まかな性質が明らかになりました。その後も情報収集が続けられ、事象#146915に関する情報は精度が高められています。

事象#146915は、現時点では[更新に伴い削除][更新に伴い削除][更新に伴い削除][更新に伴い削除][更新に伴い削除]124種の携帯獣に対して発生し得ることが確認されている、原因不明の消失事象です。そのデータ分布から、携帯獣の全国図鑑番号No.1〜No.151と定義された携帯獣が対象であるとの仮説が提唱されていますが、複数の携帯獣について実際の消失事象が確認できていません。事象#146915が発生した記録の存在する携帯獣の一覧は、リストL-146915-13を参照してください。

事象#146915の前兆現象として、ターゲットになった携帯獣の前方中空にオブジェクト#146915が出現することが確認されています。オブジェクト#146915に直接接触する方法は確立されておらず、直接接触することによる人体並びに携帯獣への影響も未確認です。オブジェクト#146915は概ね8cm〜12cm×13cm〜17cm程度のサイズですが、時折16cm〜20cm×24cm〜28cm程度の大きなものが出現するケースも確認されています。オブジェクト#146915の出現から通常5分程度の間に、ターゲットとなった携帯獣が突然消失します。消失の詳しいメカニズムや、ターゲットとなった携帯獣の転移先などは不明なままです。

オブジェクト#146915が出現した場合、対象の携帯獣を物理的に遠ざける、屋内へ移動させる、あるいはモンスターボールやボックスへ格納するなどの隔離措置を取ったとしても、事象#146915の発生を防ぐことはできません。携帯獣は移動先で消失し、ボックスへ格納されていた場合は一切の記録を残さずデータが削除されます。これは野生の携帯獣に限らず、所有者情報が書き込まれた、つまり捕獲済みの携帯獣であっても例外ではありません。これまでのところ、事象#146915を中断できたケースは確認されていません。事象#146915が発生する前に携帯獣を終了した場合の結果について検証が進められています。

本案件で懸念すべきは、事象#146915が発生する対象が拡大することです。現状においても携帯獣の消失により生態系に有意な影響が生じていると見られる報告が複数寄せられています。対象となる携帯獣の種族が増加した場合、この傾向はより一層顕著なものとなることが予測されます。最悪のシナリオは、確認されているすべての携帯獣が事象#146915の対象となり、世界から大量の携帯獣が消失することによる大規模な生態系の崩壊です。これは人類に対し、種の存続をも内包する重大な影響を齎す虞があります。事象#146915を妨害するための方策があらゆる角度から検討されています。


[2016/08/12 Update]
事象#146915と類似した携帯獣の消失事象が、カントー地方及びジョウト地方の一部で2016年3月から同年4月にかけて数件発生していた可能性が指摘されました。フィールドワーク担当の局員が提出していた日報に記載が見られます。当時は単発の事案と考えられていたため、収集された情報は限定的です。事象#146915との関連性について調査が行われる予定です。

[2[データ破損]/02/27]
事象#146915が人間に対して発生したと見られる事案を複数検知しました。消失した市民の行方は分かっていません。現在の案件対応方針は未定です。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1590] #137629 「異常な食品スーパー」 投稿者:   《URL》   投稿日:2016/12/25(Sun) 20:18:59   35clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#137629

Subject Name:
異常な食品スーパー

Registration Date:
2013-08-12

Precaution Level:
Level 3(2013-08-12時点)→Level 0(2015-12-17時点)→Level 2(2016-02-05時点)


Handling Instructions:
エリア#137629は要注意団体の一つである「アムリタ・ファウンデーション」のフロント会社によって運営・管理されており、当局による査察並びに監査の請求を拒絶しつづけています。社団法人ポケモンセンター管理協会と連携し、エリア#137629に隣接する区域にポケモンセンターが設立されました。ポケモンセンターの事務職員として当局の局員を複数名配置し、エリア#137629及びアムリタ・ファウンデーションの動向を監視します。

[2013-10-11 Update]
要注意団体の一つである「エーテル財団」が近隣に活動拠点を設け、エリア#137629の監視を開始したとの情報が寄せられました。拠点は当局が運営に携わっているポケモンセンター並びにエリア#137629の双方を監視可能な地点に存在しており、アムリタ・ファウンデーション及び当局に対する示威行為の一環と考えられます。ポケモンセンターに局員を追加配備し、エーテル財団側の行動を監視する体制を構築しました。

[2015-07-03 Update]
2015-07-01にエリア#137629にて重大な異常現象が発生(インシデント#137629)し、当局の判断によりエリア#137629へ機動部隊ゼータ-ダイヤモンドが送り込まれました。機動部隊ゼータ-ダイヤモンドによりインシデント#137629は鎮圧され、エリア#137629全域の制圧に成功しました。制圧に際しては、「守り神であるカプ・ブルルの怒りに触れた」というカバーストーリーが適用されます。カバーストーリーの展開のため、観光客に扮した局員が数名追加配備されました。

[2015-07-06 Update]
インシデント#137629を受けて、エリア#137629全域が当局の管理下に置かれました。エリア#137629に残された食品#137629やアムリタ・ファウンデーションに関連する資料はすべて押収済です。現地に保安担当の局員を配置し、エリア#137629の保全を行う予定です。


Subject Details:
案件#137629は、異常な食品を大量に販売する食料品店と関連施設(エリア#137629)とそこで販売されていた食品(食品#137629)、エリア#137629で発生した大規模なインシデント(インシデント#137629)、及びそれらに掛かる一連の案件です。

2013年7月下旬頃、アローラ地方ウラウラ島南部に位置する地方都市において、近隣で活動中の局員が「奇妙な食品を販売している店がある」との情報を地元住民から入手しました。局員が初期調査を行い、情報に一致する食料品店の存在を確認しました。案件の立ち上げが提起され、裁定委員会はこれを承認しました。継続的な監視活動のため、当局は社団法人ポケモンセンター管理協会と連携し、食料品店の近隣に共同でポケモンセンターを設立しました。食料品店及びその関連施設は、エリア#137629と定義されました。

エリア#137629は、アローラ地方ウラウラ島南部に存在する「スーパー・メガやす」という名称の大型食料品店です。表向きは地元企業が運営しているとされますが、当局の調査により、設立・経営には要注意団体の一つである「アムリタ・ファウンデーション」が深く関与していることが明らかになりました。アムリタ・ファウンデーションは以前からアローラ地方全域に組織を展開し、他の地方と同様に(往々にして異常性のある)携帯獣を食品として加工し、配布・販売しています。

実地調査により確認された、エリア#137629において販売されていた食品(食品#137629と指定)の抜粋は以下の通りです:


[食品#137629-1]
「ヤドンのしっぽ揚げ」と銘打たれた冷凍の唐揚げ。ヤドンの尻尾は食用として用いることが可能な部位であるが、当局によるこの食品に対する成分調査は明らかに通常のヤドンの尻尾とは異なる結果を示している。具体的に何を加工して作られたものなのかは明らかになっていない。

[食品#137629-5]
「バニリッチ風ソフトクリーム」として販売されている冷菓。外見上は一般的なソフトクリームのようだが、成分の調査結果からはバニプッチの生体パターンと一致するデータが検出されている。バニプッチを加工して食品として用いている可能性が示唆されている。

[食品#137629-12]
「アマカジ100%ジュース」なる名称で販売されている清涼飲料水。成分の調査結果は、アマカジ由来の成分が約63%、由来不明の成分が約12%、水分が約25%となった。12%に相当する成分の詳細は明らかになっておらず、製品個体ごとに少なくない差異が見られる。

[食品#137629-14]
「アチャモバーガー」と名付けられた菓子パン。パンの間に平たく加工したハンバーグが挟まれている。パンについて特に異常な点は見られなかったが、一般的なものと比較して香料が多く使用されている。ハンバーグに付いては、アチャモの他確認されただけで35種類の携帯獣のデータパターンが検出された。データの破損が激しく、種族の特定に至っていないデータも一部含まれている。


当局による監視では、エリア#137629にて外部から食品の入荷が行われている様子は確認されていません。このことから、食品#137629はエリア#137629内部で生産/製造されているとの見方が示されています。食品#137629の由来を明らかにするためにエリア#137629の監査を実施する必要があり、現在も申し入れを続けています。エリア#137629の運営会社はこれを拒否し続けていますが、地域住民の一部からもエリア#137629が取り扱う食品の安全性について疑義が呈されており、当局はこれと連動して活動を展開しています。

[2015-07-01 Update]
2015-07-01 12:46頃、エリア#137629近隣の住民から「見たこともない生き物がスーパーで暴れている」との通報が他数寄せられ、地元の警察機関が出動する事態が発生しました。ポケモンセンターにおいて救護に当たっていた局員が異常事案の発生の虞ありと報告、最寄りの拠点から機動部隊ゼータ-ダイヤモンドが出動しました。以後、エリア#137629にて発生した事象はインシデント#137629として記録されています。

以下はインシデント#137629の事件記録です:

12:46 - 第一報が当局の管理するポケモンセンターへ寄せられる
12:55 - エリア#137629において重傷を負ったヌメイルが搬送され、治療を受ける
12:57 - ヌメイルのトレーナーの証言から、エリア#137629において異常事案が発生した可能性が示される
13:04 - 負傷した携帯獣及びトレーナーが多数ポケモンセンターへ収容され、異常事案の発生が確定的となる
13:13 - 統括本部より、機動部隊のエリア#137629への緊急出動が臨時承認される
13:22 - 機動部隊ゼータ-ダイヤモンドがエリア#137629に到着
13:24 - エリア#137629内で未知の生物(生体#137629と分類)と接触、応戦開始。生体#137629は「サザンドラを肥大化させたような」と形容されるフォルムを持ち、腹部に口腔のような器官があると報告
13:26 - 生体#137629はエリア#137629内に存在する食品を手当たり次第に消費していると報告
13:32 - 生体#137629との交戦中、アムリタ・ファウンデーションの警備部隊がエリア#137629へ到着、機動部隊ゼータ-ダイヤモンド及び生体#137629と交戦開始
13:38 - 生体#137629がアムリタ・ファウンデーションの警備部隊を襲撃。これにより5名の警備員並びに戦闘に当たった携帯獣が死亡、2名の警備員が重傷を負い、警備部隊は撤退。機動部隊ゼータ-ダイヤモンドは被害軽微のため交戦を継続
13:47 - 機動部隊ゼータ-ダイヤモンドの構成員の一人が生体#137629から携帯獣に酷似した反応があると報告
13:59 - 生体#137629について携帯獣のタイプ分類が判明。サザンドラと同様のパターンを検出
14:17 - 構成員の一人が使役していたミミッキュが生体#137629に致命打を与える。生体#137629の生命反応が停止
14:21 - 生体#137629の死体が消失
14:38 - エリア#137629における異常現象が沈静化したことを確認
14:53 - 機動部隊ゼータ-ダイヤモンドにより、エリア#137629全域の制圧完了が報告される
16:34 - 当局によるエリア#137629の確保及び隔離が完了

インシデント#137629は、エリア#137629にて突如出現した生体#137629が引き起こしたものと考えられています。生体#137629がどのような経路でエリア#137629に現れたのかは分かっておらず、生体#137629の詳細についても不明です。しかしながら機動部隊ゼータ-ダイヤモンドによる交戦中の記録から、生体#137629は未確認/未知の携帯獣との見方が大勢を占めています。

エリア#137629は当局の管理下に置かれ、アムリタ・ファウンデーションがエリア#137629にて展開していた活動について調査が行われる予定です。インシデント#137629については、アムリタ・ファウンデーションの行為が近隣で信仰されている土着神である「カプ・ブルル」の怒りに触れたものであるというカバーストーリーが適用されます。カバーストーリーの適用は成功し、現在のエリア#137629の保全安定化に寄与しています。


[2015-11-29 Update]
エリア#137629の異常特性は完全に消滅したと考えられ、保全体制の縮小ならびに警戒レベルの引き下げが案件担当者より提起されました。裁定委員会はこれを承認し、警戒レベルの引き下げを承認しました。引き続き監視体制は保持しますが、一部の局員については別案件への配置転換が実施されます。

[2016-02-07 Update]
2016-02-05早朝、アローラ地方の司法当局の介入により、当局のエリア#137629の所有権が剥奪されました。司法当局にて活動を行っている現地局員の情報から、司法当局の介入はエーテル財団が関与していると見られています。案件担当者の対応方針は、エリア#137629におけるエーテル財団の活動を監視することに重点を置きます。

[2016-04-11 Update]
エーテル財団から派遣されたと見られる職員とその関係者によりエリア#137629の一部が改築され、アローラ地方における風習の一つ「島巡り」で用いる施設として再利用されるとの情報が現地局員より寄せられました。当局ではこれを、エーテル財団によるエリア#137629の実効支配を強めるための活動と見ています。エリア#137629の監視は継続されます。



Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1591] Re: #137629 「異常な食品スーパー」 投稿者:ASPEAR   投稿日:2016/12/27(Tue) 06:20:01   36clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

おお、久しぶりな気がする新作乙です!
私はサンムーンは未プレイなのですが、これはプレイ後に読むと楽しみが増しそうな創作です……!

作中において土着の守り神が起こしたとされる出来事が、実際は未知の生物が起こしたものだったという視点は面白いです。
「プレイヤーの得られる情報がすべて事実とは限らない」という視点は、このレポートやサンムーンに限らず、創作物全般で重要になると思います。
後々矛盾点が出る可能性があるという危険をはらんでいますが、むしろ作品間の矛盾を解消するテクニックとして使われることもあり……
(私が案件コンペに出たのも元々はそんな動機でしたし……)

腹に口がある太ったサザンドラのような生物、今でこそ「アクジキング」という名がついてますが、
管理局では「生体#137629」と呼ばれていたり、エーテル財団では"UB05 GLUTTONY"と呼ばれていたり、
団体によって別々の呼び方をされているのはまさに未知の存在という気がして楽しいです。

作中においてポケモンの正式名称がつけられる過程は不明(私が知らないだけかも)ですが、
例えばポケモン学会のようなお偉いさんたちが真面目に話し合って「マッシブーン」みたいな名前を考えているのかと想像すると笑えてきます。

あと、インシデント#137629にて、しれっとポケモンがポケモンを殺している記述が入っているのが気になりました。
健全なイメージのあるポケモンバトルでも、事故やら故意の結果などでそういったことが起こり得るというのは不思議な気分です。


  [No.1595] #119302 「キリンリキの夢」 投稿者:   《URL》   投稿日:2017/01/29(Sun) 19:29:37   31clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#119302

Subject Name:
キリンリキの夢

Registration Date:
2007-10-22

Precaution Level:
Level 2


Handling Instructions:
インターネット上のSNSや掲示板等で事象#119302に関する言及が確認された場合、案件担当者は発信者にコンタクトを取り、事象#119302についてヒアリングを行ってください。ヒアリングの結果は標準書式のレポートへ記録紙、案件別サーバへ保管してください。レポートには個人情報が含まれるため、案件別サーバへのアクセス権は案件担当者及び案件担当者が承認した案件副担当者のみに付与されます。個人情報を削除した版については、当局の定める情報管理手続きに基づく外部出力及び持ち出しが可能です。

事象#119302と携帯獣#119302との関連性について調査してください。携帯獣#119302は超能力を行使することが広く知られていますが、事象#119302のような現象を引き起こすとの研究結果は未だ確認されていません。携帯獣#119302については、最適な環境に整備された保護区のあるキキョウシティ第三支局に12個体が保護されています。これらは当局の定める倫理規定に基づいた上で、研究目的に使役することができます。


Subject Details:
案件#119302は、不特定の人間(対象#119302)が睡眠中に見る夢の中に自身を携帯獣の「キリンリキ」であると知覚させる未知の存在(オブジェクト#119302)が現れる事象(事象#119302)と、それに掛かる一連の案件です。

事象#119302の存在が確認されたのは、2007年9月上旬頃のことです。局員が記録した日報を事務担当者が整理していた際に、複数の「キリンリキが出てくる夢を見た」という記録が見つかりました。記録した各担当者を招集してヒアリングを実施したところ、事象としての一貫性が確認されたため、担当者が割り当てられた上で案件立ち上げが決定しました。初期調査の過程で、事象#119302と特徴が一致する夢を見たと証言する市民が複数確認(いずれも対象#119302に指定)され、それぞれからヒアリングを実施しました。

事象#119302の特徴は、対象#119302が睡眠中に見る夢において、自身を携帯獣の「キリンリキ」であると知覚させる未知の存在であるオブジェクト#119302が出現することです。オブジェクト#119302の特筆すべき点として、オブジェクト#119302自体はキリンリキの姿を伴って現れるわけではなく、異なる姿で夢の中に登場するということが挙げられます。

端的に言うと、オブジェクト#119302はキリンリキの姿をしているわけではありませんが、夢を見ている人間に自身を「キリンリキである」と知覚させる性質があるということです。事象#119302の発生以前に対象#119302がキリンリキに関する知識を得ていなかった場合、対象#119302がオブジェクト#119302をどう認識するのかは不明です。

対象#119302へのヒアリングの結果、事象#119302は一般的な夢と比較して覚醒後も記憶を保持しやすいとの傾向が現れています。確認された事象#119302におけるオブジェクト#119302の姿形、及び特徴についての抜粋は以下の通りです。


[事象#119302-1]
オブジェクト#119302の容姿:
対象#119302の居住地近隣の公園にある折れ曲がった枝を持つ大樹。
オブジェクト#119302の特徴:
対象#119302はオブジェクト#119302を目にして「言いようのない悲しみに包まれた気がした」と証言しましたが、覚醒後は特に感情の変化はなく、オブジェクト#119302が対象#119302に対してどのような作用をもたらしたのかは分かっていません。

[事象#119302-2]
オブジェクト#119302の容姿:
対象#119302の祖母。故人。
オブジェクト#119302の特徴:
対象#119302は、オブジェクト#119302は自分を遠くから見ていて、声を掛けることはできなかったと証言しています。

[事象#119302-6]
オブジェクト#119302の容姿:
対象#119302がかつて在籍していた幼稚園を来訪した移動動物園にて交流した、一般的な個体よりやや小柄な♀のコリンク。
オブジェクト#119302の特徴:
オブジェクト#119302はこちらをゆっくりと追跡し、壁や段差を「無視するように」して覚醒するまで追跡を続けてきたとのことです。

[事象#119302-11]
オブジェクト#119302の容姿:
対戦格闘アクションゲーム「ストリートファイターII」に登場するキャラクターの一人「ザンギエフ」。
オブジェクト#119302の特徴:
対象#119302に対し「ジルベック錠剤」なる未知の医薬品を繰り返し服用するよう薦めた、という証言を得ています。「ジルベック錠剤」がオブジェクト#119302と何らかの関係を持つのかは定かではありません。

[事象#119302-17]
オブジェクト#119302の容姿:
数年前まで使用していた折りたたみ式の携帯電話。
オブジェクト#119302の特徴:
対象#119302はオブジェクト#119302を「キリンリキである」と同時に「鏡である」と認識していたとのことです。夢の中で見た自分の顔はまったくの別人でしたが、違和感を抱くことはなかったとも証言しています。


いずれの事象#119302においても、事象#119302を経験した市民はオブジェクト#119302を「キリンリキである」と認識していました。覚醒後はオブジェクト#119302の容姿について述べることができ、それが本来のキリンリキの姿と乖離していることも認識できますが、夢の中ではオブジェクト#119302を明確に「キリンリキである」と認識していた点で一致しています。

事象#119302の発生原因は不明です。事象#119302を経験した市民には共通点が見られず、事象#119302に関連すると推測されるような経験/出来事についても確認されていません。市民の中にはキリンリキとの遭遇経験を持つ者も含まれていましたが、経験のない市民も多数事象#119302を報告しており、本来のキリンリキとの関連性については未だ明確になっていません。

オブジェクト#119302が自身をキリンリキであると他者に知覚させることの原理や、その理由についても分かっていません。オブジェクト#119302が単一の存在なのか、同種であるが個々に異なる存在なのか、或いは相互に何ら関係がないのかも明らかではありません。ただしいくつかの証言は、オブジェクト#119302が一貫した単一の存在である可能性を示唆しています。

スリーパーやムシャーナといった人間の夢に干渉できる能力を持つ携帯獣の局員を案件担当者に割り当て、オブジェクト#119302に対して対話を試みるという計画が提案されています。この計画は現在検証フェーズに入っています。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1596] #113452 「発掘する者」 投稿者:   《URL》   投稿日:2017/02/04(Sat) 19:47:08   37clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#113452

Subject Name:
発掘する者

Registration Date:
2005-12-14

Precaution Level:
Level 4


Handling Instructions:
非異常のウリムーと携帯獣#113452を外見で判別することは不可能であり、未収容の携帯獣#113452が多数存在していると推定されています。案件担当者並びに収容チームに割り当てられた局員は、野生のウリムーを確認した場合速やかに手順ガランサス-Dを実行し、対象のウリムーが非異常か否かを確認してください。ウリムーが行動#113452によってオブジェクト#113452を地中から発掘した場合、対象を携帯獣#113452として直ちに捕獲、収容してください。捕獲後はジョウト地方フスベシティ第六支局まで移送してください。

収容された携帯獣#113452はモンスターボールへ格納の上、定期的な健康診断を除いては外部へ解放しない措置を取ります。外部へ解放する場合、携帯獣#113452が地面を掘ることができない室内またはコンクリート等で舗装された床のある場所で実施してください。決して地面を掘ることが可能な場所で解放してはいけません。

携帯獣#113452が発掘したオブジェクト#113452は、ジョウト地方フスベシティ第六支局に併設された中異常性物品保管庫のブロックC-12に、それぞれタグ付けを行った上で保管してください。オブジェクト#113452を使用した実験を行う場合、事前に案件担当者及び拠点監督者の承認を得た上で、複数名の立会いの元で実施してください。携帯獣#113452に新たなオブジェクト#113452を発掘させる試みは、予期しない事案を引き起こす可能性があるため承認されません。


Subject Details:
案件#113452は、地中から非異常性あるいは異常特性を持つアイテム(オブジェクト#113452)を発掘する動作(行動#113452)を行うウリムーの異常個体(携帯獣#113452)と、それらに掛かる一連の案件です。

2005年11月下旬頃、ジョウト地方を中心に携帯獣の保護を行っている非政府組織から、当局に対して「その場にあるはずがないものを掘り起こすウリムーを保護した」との通報が寄せられました。当局は当該非政府組織よりウリムーを引き取った上で収容し、初期調査により通報された通りの異常特性が確認されたため、この携帯獣と異常物品を収容するための案件立ち上げが行われました。

携帯獣#113452は、外見上一般的な個体と一切の相違が見られないウリムーです。生態や習性、食性などについても一般的なウリムー個体と顕著な違いは見受けられず、後述する行動#113452を行うことを除いては非異常性の個体と差異は無いと考えられています。

行動#113452は、携帯獣#113452が取る動作の一つです。携帯獣#113452が不意に地面を掘り始め、その後三十分以内にオブジェクト#113452を発掘するというものです。行動#113452の開始後は、外部から行動#113452を妨害(モンスターボールへ格納する、物理的に携帯獣#113452を移動させる等)しない限り、必ずオブジェクト#113452が発見されます。これまでに観測された事例において、オブジェクト#113452が発掘されなかったパターンは確認されていません。

行動#113452の発生には3つのパターンが存在しますが、発生後に携帯獣#113452が取る行動と、最終的な行動#113452の結果に相違は見られません。第一のパターンは、所有物を紛失/遺失した経験のある人間が携帯獣#113452の3メートル以内に接近することです。第二のパターンは、何らかの物品を欲しいと考えている人間が携帯獣#113452の3メートル以内に接近することです。第三のパターンは、第一及び第二のパターンの条件を満たさないにもかかわらず携帯獣#113452が不意に行動#113452を開始するというものであり、開始のための正確な条件は分かっていません。いずれかのパターンに基づく条件が満たされ、かつ携帯獣#113452が「地面を掘削できる」と判断した場合、行動#113452が開始されます。

オブジェクト#113452は、携帯獣#113452の行動#113452によって掘り起こされるアイテムであり、異常特性を持つケースと非異常性のケースが混在しています。これまでに確認されたオブジェクト#113452のリストは下記の通りです:


[オブジェクト#113452-1]
袋詰めにされたヒメグマドール。状態は新品と同様で、異常特性は確認されず。これまでに発見された中で最古のオブジェクト#113452である。発見した非政府組織の職員の証言によると、携帯獣#113452の発見時にオブジェクト#113452-1が既に掘り起こされた状態だったとのこと。近隣を通りがかった市民に反応して動作#113452が行われたと推測されている。

[オブジェクト#113452-2]
ステンレス製の水筒。中には冷たい紅茶が詰められており、いくら消費しても量が減らない異常特性を持つ。紅茶について異常は見られず。携帯獣#113452による動作#113452によって発見されたのち非政府組織の職員が個人的に保有しており、その後本人の申し出により当局が収容対象とした。当該職員からヒアリングを実施したところ、職員は「紅茶が飲みたいと思っていた」と語ったため、この職員がトリガーとなって動作#113452が行われたと結論づけられている。

[オブジェクト#113452-3]
プラスチックケースに収められたCD-R。ディスクにはAdobe社のソフトウェア製品である「Adobe Acrobat」の最新版が収録されていたが、本来製品に施されているプロテクトがすべて解除された上で、非異常性の製品には存在しない機能が複数追加されていた。オブジェクト#113452-2と同様、職員が同ソフトウェアを求めていたことが理由と判断。

[オブジェクト#113452-4]
キーホルダー付きの鍵。発見した非政府組織の職員が在住するマンションに対応した鍵。鍵は意図した通りマンションの共用玄関と自宅の扉を解錠できるが、それに加えてマンションの敷地内に存在するあらゆる扉を解錠できる異常特性を持つ。職員の子供が数日前に鍵を紛失しており、携帯獣#113452がそれを読み取って掘り起こしたものと推測。

[オブジェクト#113452-5]
アルミ性の箱に詰められた、毒属性を持つ携帯獣に対しても意図した効果を発揮する致死性の猛毒が封入された注射器10本。非政府組織の職員が不在の際に掘り起こされたオブジェクト#113452であり、このオブジェクト#113452の発見により非政府組織から当局へ通報がなされた。

[オブジェクト#113452-6]
糸電話の形状をした未知の通信機器。糸は地面につなげられており、具体的な全長は不明。耳に当てると一般的な電話の発信音が聞こえる。当局と非政府組織による収容手続きが行われている最中、携帯獣#113452が掘り起こしたもの。携帯獣#113452が収容違反を起こそうとした可能性があると見られ、即座に糸を切断して収容。破壊されたにもかかわらず、現在も電話の発信音が聞こえる状態である。

[オブジェクト#113452-7]
日焼けした状態の書籍「シンオウぶらりひとり旅」。著者は「守田 博彦」、出版社は「明星出版」、出版年は1978年となっている。該当する書籍は発行されたことが確認できず、内容には実際のシンオウ地方における地理から大きく乖離した記述や写真が多く見られる。携帯獣#113452の収容が行われる二週間前に退職した非政府組織メンバーの自宅から発見された。当該メンバーは現在行方不明となっている。


オブジェクト#113452は携帯獣#113452による行動#113452でのみ取得できるようで、携帯獣#113452が行動#113452を開始した直後に携帯獣#113452をモンスターボールへ収容し、当局の手で同じ場所を採掘した場合は、すべてのケースにおいて一切の物品を見つけることができないという結果に終わっています。このことから、携帯獣#113452がオブジェクト#113452を生成している可能性が強く示唆されています。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1597] #113064 「クリムゾン・ガーデン」 投稿者:   《URL》   投稿日:2017/02/13(Mon) 19:53:39   34clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#113064

Subject Name:
クリムゾン・ガーデン

Registration Date:
2005-10-30

Precaution Level:
Level 3


Handling Instructions:
エリア#113064の周囲1kmは立ち入り禁止区域として封鎖し、人間及び携帯獣が進入できないよう常時警戒を維持します。エリア#113064への進入を試みた人間は例外なく拘束し、進入した理由についてヒアリングした後、必要に応じてプロトコルUXによる記憶処理を実施の上解放してください。

エリア#113064内に出現したオブジェクト(オブジェクト#113064)及び携帯獣に近似した生体(生体#113064)については、都度回収すべきかを判断の上、必要に応じて回収を行ってください。回収したオブジェクト#113064並びに生体#113064はエリア#113064から少なくとも20km以上離れた支局にて保管し、異常特性の有無について確認します。異常特性が確認された場合、エリア#113064における事象と関連性があるかを確認してください。

エリア#113064の起源を探る試みを続けてください。エリア#113064はかつて異常特性を保持していないことが確認された時期があり、ある特定のタイミングで現在の状態へ遷移したものと考えられています。エリア#113064が異常特性を発現させた時期及びその原因について調査し、レポートへ取りまとめてください。


Subject Details:
案件#113064は、さまざまな異常現象(事象#113064)が頻繁に発生する廃棄された公園(エリア#113064)、エリア#113064で確認されるオブジェクト(オブジェクト#113064)並びに各種の携帯獣に近似した生体(生体#113064)、及びそれらに掛かる一連の案件です。

エリア#113064はカロス地方ハクダンシティ南部にある公園で、都市計画の一環として1990年代後半に閉鎖された経緯があります。ハクダンシティの行政担当者に対するヒアリングから、閉鎖された時点ではエリア#113064には何ら異常な点は見られなかったことが明らかになっています。一方現在エリア#113064にて発生する各種の事象#113064については、当局の調査で少なくとも2002年頃から市民の間で目撃されていたことが分かりました。

エリア#113064にはかつて公園として利用されていた際に設置された遊具及び公共施設(休憩所及びトイレ)が残置されており、それらは公園が閉鎖された年代から見て一致するレベルで風化/老朽化の兆候を見せています。すべての遊具及び公共施設には、携帯獣の「フシギダネ」「モンジャラ」「マダツボミ」系統の身体器官と近似した構造を持つ蔓状の生体が絡み付いています。当局による複数回の除去にも関わらず、除去されて十二時間以内に蔓状の生体は完全に再生します。生体は切断すると人間の血液に類似した赤色の液体を流出させますが、成分分析の結果は著しく異なっていました。

事象#113064は、エリア#113064で発生する特異な事象です。事象#113064の発生は完全に不定期で、確認された限り37分から46日の様々な間隔を空けて発生しています。事象#113064には特異なオブジェクトであるオブジェクト#113064、外見上携帯獣に酷似した生体である生体#113064の出現と消失が伴うケースが存在します。

オブジェクト#113064及び生体#113064については、いずれか一方が出現するケース、両方が出現するケース、いずれも出現が確認できなかったケースのすべてが確認されています。また、出現後に一切の痕跡を残さずすべて消失するケース、一部を残して消失するケース、すべてのオブジェクト#113064及び生体#113064が残置されるケースのいずれもが確認済です。これらの出現物の由来は不明です。

以下はこれまでに当局が確認した、エリア#113064における事象#113064の記録の抜粋です:


[事象#113064-1]
確認日時: 2005-10-20 23:09
事象詳細: エリア#113064に進入した市民が撮影した動画で確認された事象#113064。当局が記録している中で最古の事象#113064。敷地内に赤色のバケッチャが64体(生体#113064-1-1から-1-64に分類)出現し、腹部から赤色の光を放っている。撮影時に市民は生体#113064-1について視認しておらず、撮影した動画を後日確認した際に映り込んでいたと証言。後に実施した当局による調査では、生体#113064-1については例外なく消失していたが、バケッチャ由来の南瓜の種子(オブジェクト#113064-1-1から-1-28に分類)が残されていた。オブジェクト#113064-1について異常性は確認されず。

[事象#113064-2]
確認日時: 2005-10-24 16:28
事象詳細: 当局がエリア#113064に監視カメラを複数台配備してから初めて確認された事象#113064。葉に相当する部分が赤色化した6体のナゾノクサ(生体#113064-2-1から-6に分類)が、廃棄された遊具の一つである滑り台を降りている光景が映像に記録されていた。記録された時間帯は監視を担当する局員が交代のため持ち場を離れており、生体#113064-2を直接視認することには失敗した。

[事象#113064-3]
確認日時: 2005-10-25 05:44
事象詳細: 赤色の花を持った13体のフラベベ(生体#113064-3-1から-13に分類)が突如としてエリア#113064に出現し、その後ほぼ同時に一斉に生命活動を停止した。生体#113064-3はすべて回収された。後に実施された情報化試験による生体#113064-3の分類は、全個体が「シェルダー」と判定されるという結果に終わっている。

[事象#113064-4]
確認日時: 2005-11-02 08:09
事象詳細: 監視に当たっていた全局員が「一般的な個体の七倍近い大きさの巨大な赤いフシギバナ(生体#113064-4-1に分類)」を目撃したと証言。映像記録には何ら異常は見られず、後に実施された調査では生体#113064-4-1の実在を示す痕跡は何一つとして発見されなかった。映像記録は途中で乱れており、データを確認したところ、08:34以降のデータがすべて「003」のパターンの繰り返しで埋められていたことが判明した。機材の入れ替えを実施。

[事象#113064-5]
確認日時: 2005-11-02 22:56
事象詳細: エリア#113064の奥にある手洗いのすべてのトイレから、蔦状の生体を切断した際に流出するものと一致する赤い液体が溢れるという事象が発生。液体は40分近く流れつづけた後、土壌に浸透する形で消失。直後に行われた調査で、手洗い周辺の土は乾燥していたことが判明。トイレに赤い液体の痕跡は残されていなかった。

[事象#113064-6]
確認日時: 2005-11-07 13:27
事象詳細: 遊具や施設に絡み付いている蔦状の生体で編まれた136個のリース(オブジェクト#113064-6-1から-136に分類)がエリア#113064の広範囲に渡って降り注ぐという事象が発生。オブジェクト#113064-6はすべて回収されたが、16時間後に保管していた倉庫からすべて消失していたことが発覚。倉庫に備え付けていた監視カメラの映像を確認したところ、オブジェクト#113064-6が自然集合して赤いモンジャラ(生体#113064-6に分類)を構成し、その後突如として消失したことが分かった。生体#113064-6の行方は不明。

[事象#113064-7]
確認日時: 2005-11-10 17:22
事象詳細: 監視に当たっていた局員のうち数名について、衣服のポケットに赤い未知の種子(オブジェクト#113064-7-1から-19に分類)が不明なタイミングで入れられていた。全局員を召集の上オブジェクト#113064-7を回収、一部をサンプルとして保管し、残ったものは焼却処分した。

[事象#113064-8]
確認日時: 2005-11-12 07:01
事象詳細: 局員が持ち込んでいたラップトップ端末の内蔵ハードディスクに、エリア#113064内で赤いスボミーに如雨露で水を与えている8歳前後の少女を撮影した画像ファイルが278枚追加されていた。画像ファイルは外見上全ファイルが完全に一致するにも関わらず、ファイル比較ソフトウェアを使用した検証はすべてが著しく異なるファイルであるとの結果を示した。画像ファイルをすべてCD-Rへ書き込んだ後、オリジナルのファイルは消去した。

[事象#113064-9]
確認日時: 2005-11-30 21:18
事象詳細: エリア#113064の中央付近の地中から赤いヒマナッツ(生体#113064-9-1から-6に分類)の群れが姿を表し、携帯獣の「タマタマ」のような動きをしながら21分間に渡ってエリア#113064内を徘徊する事象が発生。その後生体#113064-9は沈黙し、生命活動を停止したことが確認された。情報化試験による判定結果は、対象は一貫して「携帯獣ではない」というものになっている。


事象#113064の内容は発生する都度著しく異なりますが、そのほぼすべてに関して、赤い色をした携帯獣と思しき生体またはオブジェクトが関与していることは特筆すべきことです。案件担当者からは、事象#113064と何らかの関係があるとの仮説が提起されています。

Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1598] #128435 「ポリゴンの島」 投稿者:   《URL》   投稿日:2017/02/20(Mon) 20:59:28   23clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#128435

Subject Name:
ポリゴンの島

Registration Date:
2010-09-13

Precaution Level:
Level 2


Handling Instructions:
エリア#128435は、危険度は低いと判断されるものの明確な異常性のある携帯獣#128435が生息していること、不定期に消失したのち観測地点が変更されること、異常2点を鑑み、警戒レベルを「2」と設定します。エリア#128435には計2台のGPS発信器を常に配置し、出現が観測された際は速やかに上陸の上調査を行います。調査の結果新たな知見が得られた場合、速やかに案件担当者へ報告してください。

エリア#128435での探索活動は、観測後から最長でも十六時間以内にすべて完了させることが義務付けられます。探索計画が達成できない見込みの場合、調査を中断して離脱することを優先します。十六時間以上の滞在は、探索者に予期せぬ事態を引き起こす可能性が示唆されています。エリア#128435からは飛行能力を持つ携帯獣に搭乗することで問題なく離脱することが可能であるため、探索に当たる局員はホウエン地方の定めるレベル6トレーナー免許の保持者のみで構成されます。

携帯獣#128435は探索初期に6個体が捕獲されました。これまでのところ、当局の収容に対して協力的な姿勢を見せています。携帯獣#128435と同族の局員を通じ、携帯獣#128435の起源を探る試みを続けてください。これまでに得られた知見に付いては、案件別サーバのレベル2セキュリティクリアランス保持者が参照可能なフォルダに格納されています。


Subject Details:
案件#128435は、ホウエン地方の海域において不定期に出現と消失を繰り返す島(エリア#128435)と、エリア#128435で発見される軽度の異常性を持った携帯獣(携帯獣#128435)、及びそれらに掛かる一連の案件です。

エリア#128435が発見されたのは、2010-09-07になります。ホウエン地方キナギタウン所属の局員が、ペリッパーの局員5名にに近隣を哨戒させていた際、1名がそれまで確認されていなかった島を発見したことを報告しました。局員は速やかに局員を編成して島へ上陸し、三時間程度の初期調査を実施しました。局員はエリア#128435が突如出現したことを鑑み、不明なタイミングで消失すると予測、探査に当たった他の局員とも議論し、GPS発信器を2台設置しました。この判断はエリア#128435の効果的な収容に貢献し、初期調査を担当した全局員に特別褒賞が与えられました。

エリア#128435は、不定期なタイミングでホウエン地方の海域に出現し、その後最長でも24時間後には消失する小島です。出現と消失を繰り返すこと、後述する携帯獣#128435が生息していることを除けば、特異な性質は確認されていません。エリア#128435が初めて確認されたのは2010-09-07ですが、それ以前から存在していたことを示唆する複数の証跡が発見されています。

エリア#128435における初期調査の過程で携帯獣の「ポリゴン」が3体捕獲され、当局の収容下に置かれました。捕獲されたポリゴンはキナギタウン第一支局の情報管理部門へ移され、情報化による完全な監査が行われました。その過程で複数の異常性が確認されたため、ポリゴン個体はそれぞれ携帯獣#128435-1から-3へ分類されました。

携帯獣#128435は、エリア#128435に生息している野生のポリゴン個体です。ポリゴンはシルフカンパニー社が開発した人工の携帯獣であり、その製造はすべて同社が保有する研究開発施設において行われています。情報流出を防ぐため、すべてのポリゴン個体には固有の製造番号が付与されています。トレーナーがポリゴンの所有権を放棄した場合、ポリゴンは自動的にシルフカンパニーのサーバへ伝送される仕組みが組み込まれています。

しかしながら、携帯獣#128435はこれに合致しません。ポリゴンの製造番号が記録されているべきデータエリアはすべて「0」で埋められており、製造番号の特定に失敗しました。また、所有者情報が存在しないにも関わらず、ポリゴン個体がシルフカンパニーのサーバへ伝送されることもありません。シルフカンパニーによるブラックボックステスト(局員が携帯獣#128435の素性を伏せた状態でチェックを依頼)では、携帯獣#128435について一部のロジックが変更されている可能性が示唆されましたが、シルフカンパニーが保有するコードベースとの比較結果は99%の一致との結果が示されました。

ポリゴンは、メタモンと同一の区画へ収容された場合に、ポリゴンのタマゴが発見されるケースが確認されています。当初はこの事例に該当するとの見方が示されましたが、後に行われた検証により、タマゴから孵化したポリゴンについては親に相当するポリゴン個体と同様の製造番号と所有者情報が設定されることが分かりました。この動作はシルフカンパニーの予期していなかったものですが、現在流通している最新バージョンのポリゴンでも同じ事象が発生することが確認されています。

携帯獣#128435の由来は不明です。エリア#128435内で自然発生したのか、何者かが意図的にエリア#128435へ携帯獣#128435を投棄したのか、或いはその他の理由により出現したのか、明確な原因は定かではありません。


[2010-09-18 Update]
2010-09-15時点で、エリア#128435において携帯獣の「ブニャット」の生息が確認されました。エリア#128435における携帯獣#128435以外に生息が確認された初の携帯獣となります。捕獲された個体は既知の異常性の無いブニャットと有意な差異が確認されなかったため、エリア#128435に生息するブニャットに付いては本案件の管理対象外とする方針が検討されています。しかしながら、16人の局員を動員したエリア#128435全域の徹底的な探索にも関わらず、ブニャットの進化前の形態である「ニャルマー」個体を発見することはできませんでした。この件に関する評価は現在保留されています。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1600] #105860 「星祭り」 投稿者:   《URL》   投稿日:2017/05/06(Sat) 20:54:18   30clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#105860

Subject Name:
星祭り

Registration Date:
2003-07-19

Precaution Level:
Level 3


Handling Instructions:
案件担当者はエリア#105860外に在籍する局員のみがアサインされ、イベント#105860の発生前後のみエリア#105860内で活動する事が許可されます。案件担当者はエリア#105860内における年間滞在時間が336時間を超える事が無いよう注意を払ってください。年間滞在時間が上限に達した場合、当該案件担当者は解任され、別の局員が割り当てられます。

エリア#105860においてイベント#105860を抑止することは現実的ではなく極めて困難であるため、案件担当者はイベント#105860がどのようなプロセスを経て開催されるか、イベント#105860においてどのような事象が発生するかを記録することに従事してください。イベント#105860発生の兆候がエリア#105860以外で観測された場合、イベント#105860を企画した人物を例外なく拘束し、イベント#105860について尋問してください。ただし本稿執筆時点までに、このプロトコルが実行された記録はありません。

これまでの観測結果から、イベント#105860そのものは市民に対して顕著な悪影響を及ぼさない事象のみで構成されているとの意見が大勢を占めています。この観測結果は、エリア#105860の住民がイベント#105860に対して違和感を覚えないこととも矛盾せず一致します。ただし、イベント#105860については開催を重ねるごとに観測される事象が変化または増加しているとの指摘があり、継続して観測する必要があります。

イベント#105860の起源を探る試みが続けられています。案件担当者は、エリア#105860においてのみイベント#105860が観測される理由、そしてイベント#105860が発生し始めた正確な時期について調査を行ってください。何らかの知見が得られた場合、とりまとめを行った上で本稿をアップデートしてください。


Subject Details:
案件#105860は、ある特異なイベント(イベント#105860)とイベント#105860で確認される種々の事象(事象#105860)、事象#105860を経て生成される種々のオブジェクト(オブジェクト#105860)、イベント#105860が発生すると指定された所定のエリア(エリア#105860)、及びそれらにかかる一連の案件です。

イベント#105860が発生することが確認された最古の時期は、2000年頃になります。イベント#105860が異常な現象であるとの指定が遅れた理由は、エリア#105860内に在籍する局員がイベント#105860がもたらす情報災害を被っていたことによるものと推定されています。2000年以前にイベント#105860が発生していた記録はありませんが、当局が観測できない形でイベント#105860そのものは起こっていた可能性が指摘されています。

イベント#105860は、エリア#105860において発生する特異な事象です。イベント#105860は例外なく7月1日に開始され、7月7日に終了します。これ以外の時期に発生した記録は存在しません。また、エリア#105860以外のあらゆる場所において発生したという事実は確認されていません。収集された情報から、イベント#105860はエリア#105860において、7月1日から7月7日にかけて発生するものと推定されています。

エリア#105860において、イベント#105860は「星祭り」と呼称されています。2000年以前に開催された記録が一切存在しないにも関わらず、エリア#105860内においてイベント#105860は歴史ある祭事として認識されています。この事から、イベント#105860に関する情報、或いはイベント#105860そのものが、エリア#105860内に在住する市民に対して認知異常を引き起こしている可能性が示唆されています。2000年以前の開催について市民にヒアリングした場合、ある程度の類似性を持った、しかしながら細部において現在のイベント#105860とは異なる祭事に関する証言が得られます。この情報に何らかの意味があるのかは分かっていません。

これまでに確認されている、イベント#105860において発生する、または過去に発生した事が確認されている事象は下記の通りです:


事象#105860-1:
概ね9歳程度までの子供を対象に、紙片(オブジェクト#105860-1に指定。エリア#105860内では「短冊(たんざく)」と呼称されています)に自身の願い事を書かせるという催しが各地で開かれます。願い事の書かれた短冊は樹齢25年以上の樹木の枝に吊るされ、7月7日まで飾られたままにされます。特筆すべき点として、7月8日を迎えた時点ですべての短冊が一斉に消失します。

事象#105860-2:
あらゆる年代の人間が、自身にとって得意な方法(例:紙粘土を捏ねる、木を彫る、プラスチック製のブロックを組み上げる等)を用いて、伝承上の携帯獣である「ジラーチ」の像(オブジェクト#105860-2に指定)を作り上げます。「ジラーチ」の容姿は一般的に認知されているものと一致します。製作された像は近隣の催事会場に集められ、人々は幸運を祈願して像に祈りを捧げます。事象#105860-1における紙片同様、7月8日を迎えた時点ですべての像が一斉に消失します。

事象#105860-3:
2001年以降に見られるようになった事象です。事象#105860-1及び-2に関連する催事に加えて、特技の一種である「日本晴れ」が行使できる携帯獣が集められ、一斉に「日本晴れ」を繰り出すという催しが行われます。当局が目的を伏せたヒアリングを実施した結果、この行為は「空を晴れさせて星をよく見えるようにするため」という理由に基づくものとの回答が得られました。

事象#105860-4:
2001年以降に見られるようになった事象です。あらゆる年代の女性が集まり、「エリア#105860に古くから伝わる」とされる木製の糸紡ぎ機(オブジェクト#105860-4に指定)を使用して組紐を製作します。組紐は製作者にとって親しい人に親愛の情を示すために手渡され、それ以外の用途で使われる事はありません。糸紡ぎ機がエリア#105860において古くから伝わるということを証明する資料は発見されておらず、事象#105860-4が初めて観測される以前に用いられていた記録も存在しません。

事象#105860-2A:
2003年以降に見られるようになった、事象#105860-2に代わる事象です。市民が各々の手段でジラーチの像を製作することに変わりはありませんが、ジラーチの像における顔に相当する部位に「目」が存在しなくなり、代替として腹部に開いた状態の単眼が作り込まれます。事象#105860-2からこのような変化を遂げた理由は不明です。


エリア#105860は、イベント#105860の発生が確認されている唯一の地域です。ホウエン地方ムロタウンの全域が指定されています。案件管理の過程でイベント#105860の発生がエリア#105860以外でも確認された場合、ホウエン地方ムロタウンはエリア#105860-1に再分類される予定です。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1601] #147398 「『転載元不明』」 投稿者:   《URL》   投稿日:2017/05/13(Sat) 20:38:46   26clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#147398

Subject Name:
『転載元不明』

Registration Date:
2016-09-16

Precaution Level:
Level 3


Handling Instructions:
過去に取得されたオブジェクト#147398のデジタルコピーは、案件別サーバに1024bit以上の鍵を使用して暗号化した上で保管してください。閲覧に際しては、適切なセキュリティクリアランスを持つ案件担当者及び案件副担当者に対して、当局の定めるレベル3認識保護装置を搭載したデバイスでのみ閲覧が許可されます。

オブジェクト#147398と非異常性のイラストを識別する自動化手順は確立されていません。案件副担当者はレベル3認識保護装置を装備した端末を使用し、ソーシャルネットワーク上で話題を集めているイラストが無いかを監視してください。オブジェクト#147398と推定されるイラストを発見した場合、手順M-147398-1に基づき本来の製作者を割り出す作業を行い、手順M-147398-1がすべて完了しても製作者が特定できなかったイラストをオブジェクト#147398に指定してください。オブジェクト#147398に指定されたイラストはデジタルコピーを取得した後、標準プロトコル「権利者削除」を実施してください。


Subject Details:
案件#147398は、ある特定の経路でのみ出現する製作者不明のイラスト(オブジェクト#147398)と、それに係る一連の案件です。

少なくとも2015年中頃から、明らかに人間または携帯獣の手によって描かれたにも関わらず、製作者が実在しない、または不明とされるイラストが、ソーシャルネットワークサービス内で広く共有されるという事例が確認されていました。対象となるイラストは、その大部分について他者が権利を持つイラストを無断転載する自動化されたアカウント(bot)によってネットワーク上に拡散されていました。複数の事例を取りまとめた上で、当局は案件化を決定しました。

オブジェクト#147398の特徴は、いかなる方法においても製作者を突き止めることができないという点にあります。イラストには製作者の名前やアカウントIDが記されているケースがしばしば見られますが、それらの情報はいずれも無効であり、該当する製作者は見つけることができません。アカウントについてはそのすべてが存在せず、サービス提供元の調査においても過去にアカウントが利用された記録は見つかりません。

オブジェクト#147398は、無断転載を行う自動化アカウントによってネットワークサービスへアップロードされる形で出現し、その後他のアカウントに伝播しながら自身の拡散を続けます。拡散の過程で非自動化アカウント(一般的な利用者が存在するアカウント)によって転載が行われるケースも確認されていますが、非自動化アカウントが発端となってオブジェクト#147398の拡散が開始されたというケースは確認されていません。

自動化アカウントの管理者にヒアリングを実施したところ、ほとんどの場合において「別のアカウントがアップロードしたファイルをコピーしてアップロードした」という回答が得られます。コピー元を辿る試みは成功しておらず、複数のアカウント間で矛盾した経緯となるか(相互に相手が最初のアップロード者であると証言する)、管理者不明のアカウントに辿り着くかのいずれかの結果に終わっています。これまでのところ、最初のアップロード者を突き止めることができたオブジェクト#147398は存在しません。

過去に確認されたオブジェクト#147398は一切の例外なく、視認した人間に対してオブジェクト#147398を拡散させようと働きかけるレベル3認識災害の特性を持っています。この特性はオブジェクト#147398に描かれている内容によって作用する仕組みが異なり、個人や社会に対する問題提起を目的としたイラストはある種の使命感や義務感を、愛嬌のあるキャラクターや携帯獣が描かれたイラストは単に「広く共有したい」という感情を、通常想定されるレベルを超えて強く惹起させます。いずれにせよ、オブジェクト#147398が自身を拡散させようとすることに違いはありません。

オブジェクト#147398の製作者は不明です。すべてのオブジェクト#147398が同一人物の手によって製作されているのか、異なる複数の人物によって製作されているのかも判断が分かれています。一部の局員からは、非異常性のイラストがオブジェクト#147398に変質したとの仮説が提起されています。この仮説については、現在副担当者二名が実証を進めています。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1602] #122342 「電話ボックスの利用者」 投稿者:   《URL》   投稿日:2017/05/22(Mon) 20:57:31   24clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#122342

Subject Name:
電話ボックスの利用者

Registration Date:
2008-10-08

Precaution Level:
Level 3


Handling Instructions:
事象#122342が発生している電話ボックス#122342を確認した場合、局員は事象#122342が終了するまで近隣をレベル1封鎖の状態に置き、事象#122342が外部から妨害されないよう対応してください。レベル1封鎖に際しては本案件のレベル3セキュリティクリアランスが使用できます。事象#122342が終了し次第、レベル1封鎖は解除してください。事象#122342が発生した電話ボックス#122342の管理番号を記録し、各リストへ反映させた上で電話局へログの提出を命じてください。

事象#122342が確認された電話ボックス#122342の一覧は、リストL-122342-2を参照してください。過去に事象#122342が確認された電話ボックス#122342は、その後も事象#122342が断続的に発生する傾向が見られます。電話ボックス#122342には近隣の支局に駐在する局員を巡回担当者に割り当て、週次で事象#122342が発生していないかを検査します。過去に発生した事象#122342の一覧は、リストL-122342-1を参照してください。

本案件では、管理用に下記のリストを作成・管理します。

リストL-122342-1: 確認された事象#122342のリスト
リストL-122342-2: 事象#122342が発生した記録が存在する電話ボックス#122342のリスト
リストL-122342-3: 事象#122342に関与した記録が存在する携帯獣#122342のリスト
リストL-122342-4: 電話局から入手した事象#122342に関連するアーカイブファイルのリスト


Subject Details:
案件#122342は、種族不定の携帯獣(携帯獣#122342)が電話ボックス(電話ボックス#122342)を使用して未知の連絡先へ通話を試みる事象(事象#122342)と、それに掛かる一連の案件です。

事象#122342が観測された最古の時期は、当局が把握しているもので2006年7月頃となります。市民の一人から「携帯獣が電話ボックスに入って誰かと話をしている」との通報が寄せられた記録があり、その際は単発の事案として対応に当たった局員が日報へ記録することに留めていました。しかしながらその後複数回に渡って同様の事案が確認されたため、局員から情報が収集された上で単独案件として立ち上げることが決定されました。

事象#122342は、電話ボックスへ入った携帯獣#122342が未知の連絡先へ通話をするという事象です。通話時間は事象の都度大きく異なり、最短で27秒、最長で36分14秒に及んだ記録が存在します。通話時間の長短を決定する要因は不明です。過去の事象#122342においては同一種の携帯獣#122342が複数回の事象#122342に関与していたものも存在しますが、通話時間には顕著な差異が見られます。少なくとも、携帯獣#122342の種族が事象#122342の長短に関連している可能性は低いと推測されます。

事象#122342が発生した電話ボックスは電話ボックス#122342に指定されます。電話ボックス#122342は事象#122342が発生している間のみ、外部からの干渉を受け付けなくなるという特性を示します。外部から扉を開く事ができなくなるだけでなく、器具や各種の重機を使用しても損壊する事ができません。この特性は事象#122342の終了と共に消滅し、以後電話ボックス#122342は事象#122342が再び発生するまであらゆる異常特性を失います。

携帯獣#122342は、電話ボックス#122342にて事象#122342を発生させていると見られる携帯獣です。これまでの観測において、物理的に受話器を掴む方法が無い携帯獣、例えばディグダやテッポウオなどの種族による事象#122342は確認されていません。しかしながら、触手を用いるモンジャラや超能力を用いるケーシィなどの事例は複数確認されていることから、事象#122342に関与する携帯獣は何らかの方法で受話器を掴む事が可能な種族に限定されるものと見られています。

事象#122342によって具体的に何が起きているのかは不明です。連絡先は常に電話ボックス#122342に設置された電話番号自身を示すため、携帯獣#122342がどのような存在と通話しているのかは調査不可能な状態が続いています。電話局から入手した通話記録は、電話ボックス#122342に設置された電話機が事象#122342の発生中に通話中であった事を示していますが、すべての事例において一貫して音声信号はまったく記録されていません。通常予想される外部からの雑音なども記録されません。多くの記録について通話時間は事象#122342の観測時間とほぼ一致しますが、一部の記録に関しては事象#122342の終了後も通話が続いていたとされるものも存在しています。

現在の案件対応方針は、事象#122342のサンプルを収集する事と携帯獣#122342の連絡先並びに連絡内容を把握する事に加え、事象#122342の発生要因となる電話ボックス#122342の撤去を進める事が推奨されています。電話局と連携し、事象#122342が発生した電話ボックス#122342を優先的に撤去する対応が進められています。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1603] #131216 「不安定な群れ」 投稿者:   《URL》   投稿日:2017/08/05(Sat) 20:50:45   19clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#131216

Subject Name:
不安定な群れ

Registration Date:
2011-08-01

Precaution Level:
Level 2


Handling Instructions:
群体#131216はその性質上継続的な収容が困難であり、確保及び保護の手順は制定されていません。案件担当者は市民から寄せられた群体#131216の発見報告、並びにフィールドワーク中に遭遇した都度、可能な限り群体#131216の生態を観察並びに記録してください。過去に収集された群体#131216の生態に関する記録は、案件別サーバの高セキュリティディレクトリに格納されています。案件担当者は当該ディレクトリへのアクセス権を持ち、必要に応じて関係する局員に情報を展開することができます。

過去に群体#131216が出現した個所をプロットしたマップを文書D-131216-1として作成・管理します。文書D-131216-1は群体#131216の発見の都度更新し、群体#131216の観測地点に関する法則性の解明に使用されます。文書D-131216-1より何らかの知見が得られた場合、案件担当者は速やかに上長への報告を行ってください。文書D-131216-1の更新は本案件の管理終了まで継続されます。

群体#131216における個体#131216への接触は原則として行わないでください。個体#131216について特異な点は観測されておらず危険度は低いものとの推定が成されていますが、当局の接触した個体#131216は例外なく群体#131216としての性質を失うことが確認されています。接触の結果特性を失った個体#131216については、特段の収容措置を執る必要はありません。必要に応じて捕獲することも可能ですが、過去に捕獲された個体#131216に関してはいずれも異常な性質を持たず、短期間で解放される結果に終わっています。


Subject Details:
案件#131216は、ある特定の携帯獣(個体#131216)の集団(群体#131216)が見せる特異な性質と、それに掛かる一連の案件です。

群体#131216の存在を当局が認識したのは、2011年6月上旬のことです。カントー地方トキワシティ第七支局の局員が提出した業務日報に、「異様な動きをするコラッタの群れ」に関する証言を複数の市民から得たとの記載が成されました。局員が証言した市民らにヒアリングを行ったところ、いずれも同一の事象を指している可能性が高いとの見解が示され、案件の立ち上げが提起されました。案件立ち上げは承認され、当該局員が案件担当者にアサインされました。

群体#131216は、携帯獣の「コラッタ」が形成する群れです(以下コラッタを「個体#131216」と記載)。概ね10体から20体の個体#131216によって形成され、具体的な数は群体#131216の観測の都度変動します。過去の事例では最少で5体の、最多で36体の個体#131216による群体#131216が観測されています。群体#131216を形成する個体#131216の数による群体#131216の性質の変化は確認されていません。

群体#131216の顕著な特異性は、一般的なコラッタ個体とはかけ離れた動きをする点にあります。通常のコラッタ個体は、時折ランダムな動きが混ざることはあれど、概ね直進を主体とした規則的な動きをします。しかしながら群体#131216を形成する個体#131216は、ほとんどの場合直線的な移動を行わず、極めて不安定な経路を辿って移動します。特筆すべき点として、群体#131216を形成する個体#131216は例外なく同じ動き方をします。これは群体#131216を形成する複数の個体#131216間の距離が常に一定に保たれていることを意味します。結果として、移動するパスは不安定にもかかわらず、群れとしては極端に統制の取られた動きが観測されます。

群体#131216の移動パスに関する詳細は未だ解明されていませんが、群体#131216は「風にあおられる」ような動き方をしているとの証言が数名の市民から得られています。ある程度の強さの風が吹いた場合、風の方角に向かって群体#131216が歩いていくという光景が複数回確認されています。局員の一部は、群体#131216の移動パスを確定する要素として風が関係しているとの見方を示しています。

もう一つの特異な性質として、群体#131216は突如として消失することが挙げられます。ただし過去の観測事例において、群体#131216が直接消失する瞬間を確認できたケースは存在しません。いずれも群体#131216の観測が何らかの理由で中断された(群体#131216から視線を外した、群体#131216の観測中に瞬きをした等)後、再度の観測を試みたものの該当する群体#131216を発見できなかったという形で顕在化します。案件副担当者より、群体#131216を観測する者が居なくなったことをトリガーとして、群体#131216が瞬時に消失しているとの仮説が示されました。これは逆説的に、群体#131216は自身を観測する外部存在を認識している可能性を示唆しています。

過去に行われた群体#131216に対する調査の過程で、群体#131216を形成する個体#131216を群体#131216から引き離すというテストが行われています。しかしながらこのテストの結果は、個体#131216が特異性を失い、一般的なコラッタ個体と比較して何ら差異の見られない振る舞いのみをするようになるという結果に終わっています。過去に確認された群体#131216は例外なく個体#131216のみによって形成されていますが、個体#131216そのものには何ら特異な点が見当たらないことから、群体#131216の異常な性質がいかなる理由によってもたらされているものかを調査することが困難になっています。現在は個体#131216ではなく群体#131216にフォーカスを当て、異常性の解明に向けたアプローチが続けられています。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1604] #148530 「忘れられていた世界」 投稿者:   《URL》   投稿日:2017/08/13(Sun) 19:46:42   28clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#148530

Subject Name:
忘れられていた世界

Registration Date:
2017-01-25

Precaution Level:
Level 5


Handling Instructions:
オブジェクト#148530-1が存在するポイント#148530は非異常性の鍵により三重に施錠し、外部の人間並びに携帯獣を決して侵入させないよう厳重に警備してください。事前に書式F-148530-1に沿って作成・申請された計画に基づくものを除いて、オブジェクト#148530を使用した実験は一切認可されません。実験計画は事前に承認者のレビューを受ける必要があり、承認者が却下した場合実験は認可されません。実験から得られた知見は書式F-148530-4に基づくレポートに取りまとめ、案件別サーバに暗号化の上保管します。

ポイント#148530全域及び周辺500mまでの地点について、携帯獣の「クレッフィ」の存在を検知するための低密度スキャン波が常時展開されています。低密度スキャン波がクレッフィの存在を検知した場合、現地に常駐する保安要員が直ちに検出地点まで向かうことになっています。クレッフィが野生だった場合は捕獲の上ポイント#148530から少なくとも直線距離で10km以上離れた地点へ移送され、トレーナーが帯同させていた場合は当該トレーナーを確保の上事情聴取を行います。トレーナーがクレッフィを意図的にポイント#148530内へ帯同させたことが判明した場合、詳細についてヒアリングを行ってください。

エリア#148530内の探査により作成された探査記録#148530は、案件担当者およびレベル6以上のセキュリティクリアランス保持者のみが閲覧を許可されています。案件担当者が本案件のアサインを解除された場合、またはレベル6以上のセキュリティクリアランス保持者がその権限を剥奪された場合、プロトコルUXに基づく記憶処理を受けることが義務付けられています。探査記録#148530は当局の情報公開ポリシーの適用除外を受け、本案件が無力化されない限り一切の情報公開がなされず、また文書そのものの存在についても無期限に秘匿されます。


Subject Details:
案件#148530は、ある地域に存在する廃屋(ポイント#148530)に据え付けられた扉(オブジェクト#148530-1)とオブジェクト#148530-1に対応する鍵(オブジェクト#148530-2)、並びにオブジェクト#148530-1を通じて侵入することが可能な領域(エリア#148530)、及びそれらに係る一連の案件です。

ポイント#148530が発見されたのは2017年1月25日、オブジェクト#148530-1の存在が確認されたのは2月上旬頃となります。ポイント#148530の近隣は土地所有者である近隣の住人によって立ち入りが禁止されていましたが、当該住人が一か月ほど前から行方が分からなくなっていることを受け、警察当局が捜査を行っていました。捜査の過程でポイント#148530付近で失踪した可能性が示唆され、またそれに関連して異常な事象が関与している虞有りとの見方が示されたことから、ポイント#148530について案件管理局が接収、管理下に収めました。

オブジェクト#148530-1は、所々が錆びついた鉄製の扉です。ステンレス製のドアノブが取り付けられており、ドアノブには鍵穴が存在します。鍵穴に外見上特異な点は見られませんが、未知の原理によりオブジェクト#148530-2以外の挿入を物理的に受け付けない性質を持っています。これは鍵穴に対して非異常性の鍵や針金を差し込むことができず、オブジェクト#148530-2のみが開錠/施錠に対応していることを意味します。

オブジェクト#148530-2は、オブジェクト#148530-1に対応する異常な鍵です。携帯獣の一種である「クレッフィ」が一度でも保持した鍵は、例外なくすべてオブジェクト#148530-2となり、オブジェクト#148530-1の開錠/施錠に使用することが可能になります。オブジェクト#148530-2に変化しても本来の鍵としての性質は保持されたままです。一度オブジェクト#148530-2となった鍵は永続的にその性質を保持し、非異常性の鍵へ戻す方法は発見されていません。オブジェクト#148530-1をオブジェクト#148530-2を使用して開錠することにより、エリア#148530へ侵入することが可能になります。

エリア#148530は、オブジェクト#148530-1をオブジェクト#148530-2を使用して開錠することにより進入することができる異常な領域です。エリア#148530は現状オブジェクト#148530-1からのみアクセス可能であり、他にアクセスするための方法は確認されていません。また、オブジェクト#148530-1を通過する以外の方法でポイント#148530へ戻る方法も見つかっていません。

エリア#148530は地球とほぼ同一の環境(大気/重力/光量等)であり、人類や携帯獣は支障なく活動することができますが、土壌や大気のサンプルから得られた構成成分は地球のそれと僅かな差異を見せています。空は灰色で覆われていますが雲は見えず、観測した局員からは「雲一つない青空を灰色に塗りつぶしたかのよう」との証言が得られました。エリア#148530にて証跡として撮影された写真が、局員の証言を裏付けています。

エリア#148530内には何らかの生物が生息していると思しき痕跡が多数確認されましたが、生物との接触は果たせていません。また、高度な技術が用いられた人工物も多数発見されていますが、これらはいずれも起源不明であり、いかなる経緯で制作されたのは明らかになっていません。

エリア#148530の探査記録の抜粋は以下の通りです:


探査記録#148530-1:
2017-02-04記録。探査に当たった局員は4名。探査に要した時間は02:21。使用したのはポイント#148530に残置されていた鍵(オブジェクト#148530-2-1に指定)。エリア#148530の性質を把握するための初期調査として、周辺の土壌や大気のサンプルを収集。サンプルを分析して得られた情報から、エリア#148530は地球とほぼ同一の環境であると判断。探査は問題なく完了。

探査記録#148530-2:
2017-02-07記録。探査に当たった局員は3名。探査に要した時間は00:12。使用したのはオブジェクト#148530-2-1。同一のオブジェクト#148530-2を使用して進入した場合に、エリア#148530にどのような変化が生じるかを確認する目的で実施。結果、前回の探査時と同一地点に出現した。状況についても前回の調査時から変化が見られず。このことから、同一のオブジェクト#148530-2を使用した場合、オブジェクト#148530-1を経由して同じ地点へ移動できるとの仮説が提唱された。探査は問題なく完了。

探査記録#148530-3:
2017-02-07記録。探査に当たった局員は3名。探査に要した時間は00:38。使用したのは局員が帯同させているクレッフィから同意を得て入手した鍵(オブジェクト#148530-2-2に指定)。オブジェクト#148530-2の種類を変更することによる変化を観測する目的で実施。結果、探査記録#148530-1及び-2で観測された場所とは異なる地点に接続されたことを確認。探査記録#148530-1及び-2の接続地点はポイント#148530に酷似した廃屋の屋内だったのに対し、この探査では放棄されたと見られる学校の教室に残置された用具入れへ接続された。以後、オブジェクト#148530-2ごとにどの地点へ接続されるかを記録することが義務付けられる。探査は問題なく完了。

探査記録#148530-4:
2017-02-12記録。探査に当たった局員は5名。探査に要した時間は03:11。使用したのは当局で生成した鍵(オブジェクト#148530-2-3に指定)。接続地点は内部が荒廃したポケモンセンターと見られる建物。内部からいくつかの資料及び物品が持ち帰られ、解析を担当するチームへ回された。ポケモンセンターより外へ出ておよそ2km圏内の探索も行われたが、周囲にその他の建築物は見当たらず。北方は山岳地帯となっていた。探査は問題なく完了。

探査記録#148530-5:
2017-02-24記録。探査に当たった局員は4名。探査に要した時間は02:53。使用したのは当局で生成した鍵(オブジェクト#148530-2-4に指定)。接続地点は競技用バトルフィールドと見られる施設の整理口。中央のバトルフィールドにて、携帯獣の「サイドン」に酷似した骨格を持つ生物の白骨化した遺体が発見された。遺体の一部が持ち帰られ、解析を担当するチームへ回された。施設内にて残置されていたカレンダーが発見され、暦について地球と同じものが使用されているとの仮説が有力視される。カレンダーは「1996年」のものであった。探査は問題なく完了。

探査記録#148530-6:
[アクセス拒否]

探査記録#148530-7:
[アクセス拒否]

探査記録#148530-8:
[アクセス拒否]


[2017-06-29 Update]
エリア#148530の探査について、裁定委員会はこれ以上の実施を許可しない方針で一致しました。オブジェクト#148530-1及び-2は無期限の管理下に置かれ、探査記録#148530-6から-8をレベル6セキュリティクリアランス保持者以外すべてのアクセスを遮断する設定を追加します。案件担当者はオブジェクト#148530-1及び-2の保全のみを行い、それ以上の対応は行ってはなりません。

探査記録#148530-6から-8に関して、当局の定める手順に基づくデータ抹消を行うことが提案されています。この提案は現在保留されています。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1605] #144124 「キテルグマ大量発生中」 投稿者:   《URL》   投稿日:2017/08/29(Tue) 19:09:31   23clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#144124

Subject Name:
キテルグマ大量発生中

Registration Date:
2015-09-03

Precaution Level:
Level 2


Handling Instructions:
案件担当者はイベント#144124に関する証言や記述を収集し、イベント#144124が確認された時期及び場所を記録してください。得られた情報は案件別サーバの専用ディレクトリに暗号化の上保管します。可能であれば、イベント#144124が実際に発生していることを確認してください。これまでのところ、イベント#144124に関連して何らかの事件/事案が発生したという記録は存在しませんが、イベント#144124の性質を鑑みて、当局として今後も観測を続ける必要があると判断しています。

イベント#144124に出現する携帯獣#144124もしくは携帯獣#144124を模した存在(対象#144124と総称)について調査を続けてください。写真や動画の解析結果から、対象#144124は実在する携帯獣#144124と異なる性質を持つと推測されていますが、現段階では仮説の域を出ていません。案件担当者は対象#144124に対して接触を試み、性質についての解明を進めてください。


Subject Details:
案件#144124は、実際に発生しているのかが定かではない異常なイベント(イベント#144124)とそこに登場するある携帯獣(携帯獣#144124)または携帯獣#144124を模した存在(携帯獣#144124を内包する形で対象#144124と総称)、及びそれらに係る一連の案件です。

イベント#144124の存在を当局が把握したのは、2015年8月上旬頃のことです。当局がインターネットサイトに設けているフォームから「キテルグマが都心に集まっている」との通報が寄せられました。通報者は証跡として、携帯獣の「キテルグマ」と見られる存在が都心部の公園に集結している様子を撮影した写真を併せてアップロードしていました。通報を受けた局員が最寄りの支局へ緊急連絡を行い、機動部隊の即時展開を視野に入れた対応体制が確保されましたが、写真が撮影されたと思しき地点にキテルグマらしき存在の姿はありませんでした。市民からのヒアリングでもキテルグマらしき存在についての情報を得ることはできず、二時間後に体制は解除されました。通報者から追加のヒアリングを行おうと局員がコンタクトを試みましたが、発信元を突き止めることはできませんでした。投稿記録からは、現在使われていないIPアドレスからの投稿であったことのみが判明しています。

これと時期を前後して、ソーシャルネットワークサイトのトラフィック監視をしていた局員が「大量のキテルグマが商業施設内を歩き回っている」写真を発見し、当該写真が多くのユーザによって拡散されていることを観測しました。局員は商業施設からほど近い支局へ概要を取りまとめて通報を行いましたが、商業施設内を巡回していた局員からは「キテルグマらしき存在の姿はまったく見当たらない」との報告を受けました。その後当該写真を含む記事が次々に消失し、最終的にトラフィックが計測できなくなるレベルまで情報量が低減しました。

以上の2事案が同時に発生した状況を鑑み、前者の対応に当たった局員によって案件の立ち上げが提起され、翌日裁定委員会は立ち上げを承認しました。

イベント#144124は、公園や商業施設、或いはバスターミナルなどの人の往来が多い場所において、携帯獣の「キテルグマ」らしき存在(対象#144124)が大量に(最少のケースで21体)集合した様子が観測される事象です。得られた証跡からは、対象#144124は通りがかった市民と握手をしている様子や、列を形成して歩いている様子などが確認されています。これまでのところ、対象#144124が市民や携帯獣に危害を加えるような様子は確認されていません。また近隣のポケモンセンターや警察当局への照会においても、対象#144124に危害を加えられたという通報が寄せられた事例は確認されていません。

イベント#144124の特徴として、イベント#144124を実際に視認/目撃したという事例が確認されていない点が挙げられます。イベント#144124はインターネットサイトへの写真または動画のアップロードという形でのみ顕在化し、直接確認された事例は存在しません。また、一度写真や画像がアップロードされると、無数の自動化されたアカウントによりそれらが広範囲に渡って拡散されるという追加の事象が確認されています。これまでのところ、大本の写真または動画をアップロードしたアカウントの追跡はすべて失敗に終わっており、源流を突き止めることはできていません。

以下は、過去に確認された、または後の検証でイベント#144124と認められた実例の抜粋です:


イベント#144124-1:
2015-08-10発生。カントー地方タマムシシティ東部の公園に出現、多くの市民と交流している様子を撮影した写真がソーシャルネットワークサイト「Twitter」にアップロードされた。撮影された写真には少なくとも27体の対象#144124が存在している。写真に映り込んでいた市民のうち数名は実在し、当局のヒアリングにも応じたものの、当該時間帯にキテルグマまたはそれらに類するポケモンと接触した事実はないことが確認された。

イベント#144124-2:
2015-08-10発生。カントー地方クチバシティ南部の商業施設内に出現。市民が両脇に並んで道を作り、その中央を計34体の対象#144124が整列して歩いている様子が撮影されている。写真はソーシャルネットワークサイト「Instagram」にアップロードされたが、当該アカウントは写真のアップロードから二時間後に消失。それ以前のポストも確認されていない。このことから、イベント#144124の情報を拡散することのみを目的としたアカウントであると推定されている。

イベント#144124-3:
2014-12-24発生。ホウエン地方キンセツシティの商業施設に出現。サンタクロースまたは携帯獣の「デリバード」のいずれかを模した風貌の対象#144124が、市民に詳細不明の箱を手渡している様子が動画で撮影されている。案件立ち上げに伴う過去事例の検証過程でイベント#144124に分類されたもの。動画投稿者へのコンタクトは失敗。動画に撮影されていた市民にヒアリングを試みたが、イベント#144124-1でのヒアリング結果と同様、当該時間帯にキテルグマまたはそれらに類するポケモンと接触した事実はないことが確認された。


イベント#144124については動画または写真でその存在が確認されるのみで、実際に発生している事象なのかは判断が分かれています。現在の案件対応方針は、イベント#144124が実際に発生していることを前提として策定されています。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1611] #143408「だいふくテレビジョン」 投稿者:   《URL》   投稿日:2017/10/01(Sun) 21:49:34   30clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#143408

Subject Name:
だいふくテレビジョン

Registration Date:
2015-06-12

Precaution Level:
Level 4


Handling Instructions:
全国のインターネットサービスプロバイダに対し、Webサイト#143408へのアクセスを遮断するための設定を導入するよう定期的に通知してください。アクセス遮断の設定は不明なタイミングで解除されることが分かっており、Webサイト#143408からの映像#143408が流出する原因となっています。案件担当者はインターネットサービスプロバイダから提供されるアクセスログを監査し、Webサイト#143408へアクセスした市民がいないかを確認してください。アクセスしたことが確認できた場合、必要に応じて利用者へ日案リングを実施することが認められています。

確認された映像#143408はナンバリングの上オリジナルのファイルを取得し、当局の定める標準アルゴリズムに基づいて暗号化したうえで案件別サーバの専用ディレクトリへ保管してください。保管した映像#143408には、取得日時/記録時間/撮影日時/撮影されたオブジェクト#143408/その他特記事項を記載したサマリを付与します。映像#143408そのものに情報災害の特性は含まれていないことが確認されていますが、調査目的で視聴する場合は情報災害遮断フィルタを組み込んだ閲覧専用デバイスを使用する必要があります。

オブジェクト#143408は例外なく回収の対象となり、回収後はジョウト地方エンジュシティ第四支局へ移送しなければなりません。ジョウト地方エンジュシティ第四支局の局員は移送されたオブジェクト#143408を中異常性物品保管庫のブロックCへ移動し、オブジェクト#143408の種別ごとに分類の上サンプルを保管してください。既にサンプルが存在するオブジェクト#143408であり、かつ個体ごとの特性が確認できない場合、手順M-143408-2に沿って焼却処分します。焼却後のオブジェクト#143408は低異常性廃棄物として取り扱う必要があります。

Webサイト#143408を閉鎖するための試みを続けてください。これまで再三にわたってWebサイト#143408へのアクセスを遮断したにもかかわらず、Webサイト#143408を完全に閉鎖させることはできていません。このことから、Webサイト#143408そのものにも何らかの異常性があるとの見方が示されています。Webサイト#143408へのアクセスを封じ込めるとともに、Webサイト#143408の性質について調査を続けてください。

上述したすべてのオブジェクトに関与していると見られるWebサイト#143408の管理者である対象#143408について、コンタクトをとるための試みが続けられています。案件担当者が対象#143408へのコンタクトに成功した場合、本案件について詳細なヒアリングを行ってください。


Subject Details:
案件#143408は、インターネット上に開設された特異なWebサイト(Webサイト#143408)、Webサイト#143408にて放送される映像(映像#143408)、映像#143408にて「レビュー」される異常な物品(オブジェクト#143408)、映像#143408に登場する未知の人物(対象#143408)、及びそれらに係る一連の案件です。

2015年4月下旬、当局が設けているインターネットからの窓口に「不審な物品を紹介している動画サイトがある」との通報が寄せられました。通報者が提示したアドレスから局員がWebサイト#143408へアクセスし、記載された内容とほぼ一致する異常な物品を紹介するビデオが多数確認されたことから、得られた情報を取りまとめて案件立ち上げを申請、三日後に立ち上げが承認されました。現在は五人の副担当者が本案件に携わっています。

Webサイト#143408は、動画投稿サイトの「YouTube」に設けられたチャンネルのひとつです。チャンネルは「だいふくテレビジョン(Dai-Fuku Television)」なる名称で呼称され、2009年6月に設立されたことが分かっています。しかしながら設立後長らく動画投稿はなされておらず、確認された最古の映像は2014年11月27日に投稿されたものです。チャンネル購読者数(サブスクライバー)は本校執筆時点で165,189人であり、当局の度重なる妨害措置にも関わらず、現在も購読者数は増え続けています。YouTubeを所有するGoogle Inc.から提供された情報によると、Webサイト#143408の購読者は2015年2月を境に急激に増加しているとのことです。これはWebサイト#143408が映像を掲載し始めた時期とほぼ重なる形となります。

投稿されている映像#143408は、いずれも「商品のレビュー」という体裁をとっています。これは数年前からYouTube内で数多く投稿されている動画のスタイルと合致します。一般的なレビュー動画と異なる点は、映像#143408でレビューされるものが、例外なく何らかの特異性を持つ物品のみとなっていることです。一般的な物品、あるいは非異常性の物品がこれまでにレビュー対象として選ばれた事例は確認されていません。

映像#143408でレビューされる異常な物品を、当局ではオブジェクト#143408と総称しています。オブジェクト#143408はそれ自体が異常性を持つ物品か、非異常性の物品であると判断されるケースでもその実在が確認されていません。映像#143408はオブジェクト#143408について概ね5分程度の時間を使い、概要の説明/物品使用の実演/評価という一連の流れに沿ってレビューすることが様式化しています。これは一般的な非異常性物品のレビュー動画の体裁に類似したものです。

以下はこれまでに確認されたオブジェクト#143408の抜粋です。


[オブジェクト#143408-11]
映像#143408のタイトルは「ビリリダマ型モンスターボールを使ってみた!」。名称の通り携帯獣の「ビリリダマ」の外見をしたモンスターボールであり、投擲した携帯獣に対し電気ショックを与えて弱体化させてから捕獲プロセスに入る特性を持つ。このような商品が製造・市販された記録は存在しない。

[オブジェクト#143408-18]
映像#143408のタイトルは「フリーザーの冷凍唐揚げを食べてみた!」。希少な携帯獣である「フリーザー」の肉を食品に加工して唐揚げとして調理したものとのこと。動画内で投稿者は「肉がパサパサしているが、五十年間保存できるのはポイントが高い」と評価している。

[オブジェクト#143408-23]
映像#143408のタイトルは「フシギダネの種を育ててみた結果……」。一般的な植物の種子に見えるが、生育すると携帯獣の「フシギダネ」が果実として大量に出現するというもの。投稿者は「フシギダネがたくさん欲しい人におススメ」とのコメントを残している。

[オブジェクト#143408-26]
映像#143408のタイトルは「新型自撮り棒を買ってきた!」。スマートフォンに装着して使用するセルフィースティックだが、撮影された対象が携帯獣として写真に登場するという異常性を持つ。当局にて案件#142453として立ち上げ・管理されている製品がオブジェクト#143408-26と一致することが判明、得られた情報を案件#142453の担当チームへ連携した。


映像#143408に登場する人物は、動画投稿者である対象#143408と指定されています。外見上特徴のない二十代後半の男性と見られていますが、これまでの調査では対象#143408に該当する人物は発見されておらず、対象#143408を特定するための情報も得られていない状態です。現在の案件対応方針は、対象#143408を特定することに焦点が置かれています。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1613] #117333 「海から来た子供」 投稿者:   《URL》   投稿日:2017/10/22(Sun) 17:18:14   28clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#117333

Subject Name:
海から来た子供

Registration Date:
2007-03-08

Precaution Level:
Level 2


Handling Instructions:
対象#117333とホスト#117333は紐付けて管理し、両者が個別に行動することがないかを監視する必要があります。監視はカバーストーリー「親切な隣人」を適用した当局のエージェントが担当します。エージェントからの報告を受け、案件担当者は対象#117333及びホスト#117333に特異な点または異常の兆候が見られないかを確認してください。何らかの兆候が確認された場合、必要に応じて対象#117333及びホスト#117333を当局の管理下に置くことが許可されます。

これまでに得られた情報から、対象#117333そのものに異常な点は見られないことが分かっています。対象#117333は一般的な携帯獣個体と同一の情報パターンを示し、精神感応や心理操作を使用している痕跡は認められていません。当局の定める倫理規定に基づき、何らかの特別な理由が見出されない限り、対象#117333へ危害を加えることは禁止されています。これは現地で活動するエージェント及び内勤の案件担当者双方に適用されます。ただし、例外規定が適用される場合はこの限りではありません。

ホスト#117333は初期段階において心理的に不安定な情動を見せるケースが多々あります。現地で活動するエージェントは、ホスト#117333を監視しつつ、対象の心理状態がある程度安定したことを判断してから接触しなければなりません。また、ホスト#117333に対し不安定な情動を引き起こすような言動は控えてください。過去にホスト#117333を意図せず刺激したことにより、対象#117333より攻撃対象とみなされたケースが確認されています。

現在管理対象となっている対象#117333とホスト#117333の組は、リストL-117333-1を参照してください。


Subject Details:
案件#117333は、ある条件を満たした人間の元に携帯獣の一種である「プルリル」(以下対象#117333)が出現する事象と、対象#117333と初めて接触した人間(ホスト#117333)が対象#117333に対して特異な情動を以って接する事象、及びそれらに係る一連の案件です。

この案件と同一視される事案は、確認された最古のもので2001年8月頃に市民によって確認されています。当時は単発の事案として処理され、案件化されることはありませんでした。また、報告対象になった対象#117333及びホスト#117333についても記録は残されていません。その後、2006年末頃から2007年初頭にかけてほぼ同一の事案が複数報告されたことから、個別案件として管理することが決定されました。案件担当者と必要なリソースが割り当てられ、本格対応が開始されました。

対象#117333は、後述するホスト#117333の前に現れる携帯獣の一種「プルリル」です。出現するプルリル個体はホスト#117333毎に異なり、対象#117333同士が特別にコミュニケーションを取っていたり相互に干渉するような様子は見られません。対象#117333は、ホスト#117333から特異な認知をされることを除けば一般的なプルリル個体と何ら差異は無く、単独での特異性は見られません。対象#117333は、ホスト#117333によって特異な認知をされることを以って当局の管理対象となっています。

ホスト#117333は、対象#117333のプルリル個体を「自分の子供」と認識します。自身に対応する対象#117333以外のプルリル個体は、「携帯獣である」と正しく認識することができます。ホスト#117333は対象#117333のみを自分の子供であると認識し、その他のプルリル個体を誤認識することはありません。ただし例外的に、異なるホスト#117333に対応する対象#117333については「他人の子供」と認識します。ホスト#117333同士は対象#117333を特異な個体と認識するようで、互いのコミュニケーションに祖語を来すことはありません。

ホスト#117333は対象#117333を積極的・献身的に養育し、すべてのケースで良好な関係を築いています。家族をはじめとする周囲の人物はホスト#117333が精神に異常を来したと認識し、医療機関の受診を推奨したり、或いは強制的に受診させようとするケースが多く見られます。多くの場合人間関係に支障をきたし、対象#117333との一対一での生活を強いられることになります。このため多くのホスト#117333は経済的に困窮しており、経済的な支援を持ち掛けることは当局のエージェントがホストへ接触するにあたって有効な手段となっています。

これまでに確認されているホスト#117333はいずれも女性であり、直近半年以内に子供を流産した経験があることが確認されています。このことが対象#117333を「自分の子供」と認知する要因となっているとの仮説が提起されていますが、現時点では直接これらを結びつける証跡は見つかっていません。この仮説は現在も検証中です。


[2017-05-12 Update]
ホウエン地方ムロタウンにて、当局による観測開始から初となる男性のホスト#117333が確認されました。ホスト#117333-56に分類されたのは地元住民である八歳の少年であり、♀のプルリル個体と一致する風貌の対象#117333を帯同させています。支局長の近親者と交友関係があることを踏まえ、専任のエージェントが監視に割り当てられました。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1614] #120165 「ひとかげ」 投稿者:   《URL》   投稿日:2017/12/10(Sun) 19:59:18   27clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#120165

Subject Name:
ひとかげ

Registration Date:
2008-01-30

Precaution Level:
Level 4


Handling Instructions:
使用していないオブジェクト#120165並びにオブジェクト#120165を使用して撮影した写真が記録された情報媒体は、案件担当者が指定する高異常性物品保管庫の所定のブロックに集積し、70cm×190cm×100cmの耐火性金庫に保管します。金庫のセキュリティキーは案件担当者と拠点監督者が保持し、双方のキーを同時に使用しない限り開錠できない状態を保ちます。

プロトコル・ダンデライオンに基づく調査結果は秘匿すべき個人情報を含んでいるため、案件担当者並びにレベル4セキュリティクリアランス保持者以外のアクセスを遮断する措置を取ります。案件担当者が当案件より離任することが決まった場合、プロトコルUXに基づく記憶処理を受ける義務が課せられています。プロトコルUXに基づく記憶処理に不具合の生じる虞のある局員は、当案件の担当者に割り当ててはなりません。

案件担当者は週に一度、各拠点に駐留する案件副担当者からプロトコル・ダンデライオンに基づく調査結果を受領し、結果をレポートへ取りまとめます。レポートでは、プロトコル・ダンデライオンの実行結果を分類し、事象#120165が確認され分類が「レッド」または「カーマイン」となった個人について、リストL-120165-12へ氏名及び調査時点の居住地を記録します。リストL-120165-12は自動暗号化措置を施し、局内ネットワークから物理的に遮断された端末に保管します。

オブジェクト#120165に指定されたデジタルカメラは現時点で46機存在し、それぞれオブジェクト#120165-1から-46に分類されています。当局の管理外にあるオブジェクト#120165が発見された場合、いかなる状況であっても速やかに接収してください。これまでのところ、当局は計34機のオブジェクト#120165を接収しています。

当局の管理していないオブジェクト#120165により撮影されたデジタル写真がネットワーク上で拡散された事例が複数回確認されています。案件担当者は、インシデント発生時に情報保全第二部へ速やかに通報し、当該デジタル写真をネットワークから削除するとともに、デジタル写真そのものを含む関連情報を精度の低いねつ造またはデマであるとのカバーストーリーを展開します。カバーストーリーの展開に当たっては、情報保全第二部の専任局員が対応に当たってください。


Subject Details:
案件#120165は、未知の異常特性を持つデジタルカメラ(オブジェクト#120165)と、オブジェクト#120165を用いて撮影された写真に見られる特異な事象(事象#120165)、及びそれらに係る一連の案件です。

2007年9月下旬、シンオウ地方トバリシティ第一支局にて、市民から「デジタルカメラで撮影した写真に奇妙なものが写り込んでいる」との申し出がありました。局員が撮影に使用されたデジタルカメラ及び撮影されたデジタル写真を回収し、初期調査を実施しました。調査の結果後述する事象#120165の発生が確認されたため、担当した局員が案件の立ち上げを申請、裁定委員会は翌日案件立ち上げを承認しました。

案件の立ち上げ後、複数の支局で事象#120165が過去に発生していたことが報告され、担当者判断で回収されていた物品及び情報資産が案件担当者の元へ集められました。それに伴い事象#120165が持つ性質の分析が進み、案件の警戒レベルが「4」に再設定されました。

事象#120165は、オブジェクト#120165で撮影された人物について、未知の条件に基づいて影が携帯獣の「ヒトカゲ」のようなフォルムとして描写される事象です。通常影は生成元となる人物のシルエットが投射された形状を取りますが、事象#120165が発生している人物についてはその限りではありません。確認できるのは一般的に知られる「ヒトカゲ」のフォルムに基づいた影であり、元となった人物の影は反映されません。

事象#120165はオブジェクト#120165で撮影されたデジタル写真にのみ発生する事象であることに注意してください。事象#120165が発生している対象であっても、オブジェクト#120165を通さず直接影を視認した場合、通常通り本人のシルエットが投射されていることが確認できます。よって、事象#120165が発生するかどうかは、オブジェクト#120165を使用して確認する必要があります。

オブジェクト#120165で撮影されたデジタル写真に複数の人物が写り込んでいた場合、事象#120165が発生するかは対象の性質に依存します。これは同じデジタル写真に撮影された被写体について、それぞれ事象#120165が発生する被写体と発生しない被写体が混在することを意味します。他方、過去に一度でも事象#120165が確認された被写体については、いかなる条件においてもオブジェクト#120165を使用してデジタル写真を撮影する限り事象#120165が発生し、発生有無が変わることはありません。これは事象#120165が発生しないパターンについても同様であり、一度事象#120165が発生しなかった被写体について条件を変更することで事象#120165が発生したケースは未だ確認されていません。

プロトコル・ダンデライオンは、事象#120165の発生条件を特定するために定められました。目的を秘匿した状態で、サンプリングされた市民についてオブジェクト#120165による撮影実験を行います。事象#120165の発生が確認された場合は「レッド」、発生の疑義が持たれた場合(撮影時のアングルにより事象#120165の発生有無が確認できない等)は「イエロー」、事象#120165が明示的に発生しなかった場合は「グリーン」に分類されます。分類結果は厳重に保管され、所定のセキュリティクリアランス保持者以外はアクセスが遮断されます。

事象#120165が何を意味しているのかは定かではありません。人影として携帯獣の「ヒトカゲ」が写り込む理由や、事象発生の条件も未だ明らかにされていません。事象#120165が特定の集団に属している、或いはある共通する属性を持つ人物に対して発生するといったデータも得られていません。人間と携帯獣の境界に掛かる案件と見做されるため、事象#120165の性質特定を急ぐ必要があると考えられています。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1615] #134474 「動く森林火災」 投稿者:   《URL》   投稿日:2017/12/24(Sun) 19:03:03   25clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#134474

Subject Name:
動く森林火災

Registration Date:
2012-08-12

Precaution Level:
Level 4


Handling Instructions:
オブジェクト#134474は、アローラ地方ウラウラ島中央部に存在する砂漠地帯にて当局の建設した収容施設の管理下に置かれます。回収されたオブジェクト#134474はナンバリングされ、相互接触がなされないよう少なくとも200メートル以上の距離を置いて収容します。これまでに計3体のオブジェクト#134474が回収され、それらはオブジェクト#134474-1から-3のナンバリングがされています。

オブジェクト#134474の持つ性質上、対象は常に砂漠地帯へ係留しておく必要があります。例え研究目的であったとしても、オブジェクト#134474を施設外へ出すことは許可されません。オブジェクト#134474を用いた実験を行う場合、書式F-134474-1に基づき事前申請を行い、完全なテスト計画書を合わせて提出する必要があります。テストによって得られたエビデンスは、案件別サーバに暗号化の上保管してください。

これまでに行われた実験から、オブジェクト#134474を非異常性の手順を用いて無力化することは極めて困難か、または不可能であるとの結論が得られています。オブジェクト#134474を無力化することを目的として、当局の管理する異常性物品を用いた実験を行うことが検討されています。


Subject Details:
案件#134474は、顕著な異常特性を持つ携帯獣に近しい存在(オブジェクト#134474)と、それに係る一連の案件です。

2012年6月下旬頃、当局と部分的な協力関係を結んでいる団体組織「エーテル財団」のエージェントから、オブジェクト#134474に関する情報が寄せられました。財団は当初オブジェクト#134474の保護を試みたとのことですが、調査の結果財団の保護下に置くことは困難と結論付けられ、これまでに得られた情報と併せて当局への収容を要請してきました。当局がこれを受諾したことにより、財団からオブジェクト#134474並びに関連情報を譲渡されました。その後当局と財団はアローラ地方ウラウラ島中央部の砂漠地帯に共同で収容施設を建設し、オブジェクト#134474の収容体制を確立しました。

エーテル財団が作成したレポートによると、財団の職員がオブジェクト#134474を発見したのは2012年2月12日で、当初は重傷を負った携帯獣であると見做されていたとのことです。時間経過と共にオブジェクト#134474は異常特性を発揮し始め、収容していた財団の施設や資産に損害を与えたほか、同類と見られるオブジェクト#134474-2及び-3を呼び寄せるといった敵対的姿勢が見られるようになりました。財団内部ではオブジェクト#134474を継続して収容すべきとの意見も見られましたが、アローラ支部の拠点監督者により、当局への譲渡が決定されました。

オブジェクト#134474は、全身に重度の火傷を負った携帯獣の「ドダイトス」に類似した存在です。外見的特徴は一般的なドダイトス個体と一致していますが、携帯獣向けに開発された種々の機器は対象を携帯獣であると認識することができず、モンスターボールやボックスへの移動は成功しません。この性質から、情報化による完全試験は未だ実施できていない状態です。

オブジェクト#134474の持つ異常特性として、背中に当たる部位が常に激しく炎上していることが挙げられます。その様子は森林火災に例えられ、一般的なドダイトス個体の背中に存在する植物類が燃え上がっている様子を観察することができます。この火災は未知の理由により鎮静することができず、また時間経過により弱化することもありません。水や薬剤の散布による鎮火の試みは、オブジェクト#134474の炎上をより激しくする結果を招きました。オブジェクト#134474は自分自身の背中が炎上していることを認識しており、また火災を広めようと動く傾向があります。エーテル財団がオブジェクト#134474を収容したのも、アローラ地方メレメレ島北東部にて大規模な森林火災が発生した際に、逃げ遅れた携帯獣を救助していた最中のことだったとの報告が存在しています。

大規模な火災を容易に引き起こす性質を持っていることから、オブジェクト#13447は非常に危険です。現在の収容プロトコルは、オブジェクト#134474が物理的に火災を引き起こすことのできない場所を収容拠点とすることで確立されています。オブジェクト#134474は知性を持ち、また人類に対してとても敵対的です。同種のオブジェクト#134474を呼び出すことで収容違反を誘発させようとしたことから、当局並びに財団の管理下から逃れようとしていることが伺えます。オブジェクト#134474の収容違反が発生した場合、致命的な大規模火災を引き起こす虞があることから、オブジェクト#134474は収容プロトコルの遵守が最優先事項として挙げられています。

当局はこれまでに3体のオブジェクト#134474を収容していますが、これはオブジェクト#134474が3体のみ存在すると言うことを意味しません。現時点で未収容となっているオブジェクト#134474が存在するという前提のもと、当局の管轄地域内で発生した火災並びに森林火災に関する情報が集積されています。それらに未だ収容されていないオブジェクト#134474が関与していることが認められた場合、緊急収容計画が策定されることになっています。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1616] #137972 「フェアリー・システム」 投稿者:   《URL》   投稿日:2017/12/24(Sun) 19:51:26   31clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#137972

Subject Name:
フェアリー・システム

Registration Date:
2014-09-21

Precaution Level:
Level 1


Handling Instructions:
機器#137972と拡張機器#137972はそれぞれ異なる低異常性物品用の汎用金庫に保管し、開錠に必要な暗証番号を案件担当者と副担当者がそれぞれ設定します。機器#137972と拡張機器#137972は相互に接続されていない限り、異常な性質を発揮することはありません。機器#137972に対応するその他の拡張機器#137972の存在が示唆されており、今後拡張機器#137972の回収に成功した場合、拡張機器#137972について再分類が行われる可能性があります。


Subject Details:
案件#137972は、ある限定的な特異性を持つ機器(機器#137972)及びその拡張機器(拡張機器#137972)、及びそれらに係る一連の案件です。

2014年8月中旬、カロス地方ミアレシティ北東部に位置する建物の管理者より、かつての入居者が残置した物品を確認及び回収してもらいたいとの依頼が寄せられました。該当するテナントが要注意団体の一つである「エーテル財団」の活動拠点であったことから、当局は専任の回収チームを派遣して作業に当たらせました。物品の接収は成功裡に終了し、残置されていた物品はすべて当局が回収しました。機器#137972及び拡張機器#137972は、この回収作戦の実行時に発見されたものです。

機器#137972は外見上ヒューレット・パッカード社製のラップトップ型コンピュータ「HP Pavilion g4-1000」モデルと一致する電子機器で、動作させるためには一般的なACアダプターを用いた給電が必要になります。機器#137972にはマイクロソフト社のオペレーティングシステム「Windows 7」の英語版がインストールされており、一般的なWindows 7端末と同様に使用することができます。当局によるハードディスクの検査ではWindows 7のインストールされた領域の外に異なるオペレーティングシステムがインストールされ、起動するシステムを任意に選択可能にするデュアルブート仕様となっていた可能性が示唆されていますが、Windows 7のインストールされた領域以外のディスクはすべてゼロフィル処理が行われており、具体的なシステム構成を突き止めることには失敗しました。

機器#137972が持つ左側のUSBポートには、既知のあらゆるデバイスと一致しない未知のカードリーダー装置が取り付けられています。カードリーダー装置は機器#137972と構造的に一体化しており、非破壊的に取り外すことはできません。機器#137972に搭載されたマザーボード及びWindows 7は、カードリーダー装置を「リムーバブルデバイス」と認識しています。これは一般的なカードリーダー装置に対する振る舞いと同一のものです。

拡張機器#137972は機器#137972のカードリーダー装置に挿入可能なカード型のリムーバブルデバイスであり、こちらも既知のリムーバブルデバイスと一致するものは確認されていません。拡張機器#137972の端子部分の構造は一般的なSDカードに類似していますが、非異常性のSDカードリーダーでの拡張機器#137972の読み取りテストはいずれもデバイス不良エラーにより失敗に終わっています。このことから、拡張機器#137972はSDカードをベースとした媒体ではありますが、エーテル財団が何らかの目的をもって構造に改変を加えたとの見方が示されています。

機器#137972に拡張機器#137972が挿入されると、Windows 7はリムーバブルデバイスに関連付けられた「ar_b1035.exe」というアプリケーションを自動的に起動します。ar_b1035.exeは起動後に拡張機器#137972に対する読み取りテストを行い、テストをパスした場合はサブウィンドウを開き「#17: verified / certified.」という文字列を表示します。文字列表示後のar_b1035.exeは待ち状態に入り、これ以上の変化を見せません。ar_b1035.exeは通常のアプリケーション終了手順でいつでも終了させることができ、システムにおける位置づけは一般的なアプリケーションソフトウェアと変わりません。また、終了後もar_b1035.exeがインストールされたパスを指定することにより、手動で実行させることが可能です。

拡張機器#137972を挿入した後の機器#137972に見られる特異性は、一般的な携帯獣用のデバイスのほぼすべてが、機器#137972を「フェアリータイプを持つ未知の携帯獣」と認識するようになることが挙げられます。多くのモンスターボールは活性化した機器#137972に対して投擲されることにより、通常の捕獲プロセスの実行を試みます。これは携帯獣でない生体/物体に対して投擲した際には顕著に異なる挙動です。確認された事例すべてでモンスターボールは機器#137972に対してプロセスを完遂することができず、機器#137972の捕獲は失敗します。モンスターボールに記録されたログからは、機器#137972を携帯獣として認識しつつも、対象が携帯獣としての要件を満たさないことから捕獲プロセスが異常終了したことが確認できます。

フェアリータイプの携帯獣と誤認されることを除き、機器#137972及び拡張機器#137972に特異な性質は確認されていません。また、拡張機器#137972が挿入されていない機器#137972に関しては、先述した特異性も発揮されません。機器#137972の電源を落とし、拡張機器#137972と個別に保管することで容易に異常性を喪失させることが可能です。現在の収容手順はこの性質に基づいて策定されました。

拡張機器#137972を挿入した際のメッセージから、当局が未確認の拡張機器#137972が存在し、機器#137972に対して異なる異常性を与える機能を持っている可能性が示唆されていますが、これまでのところ拡張機器#137972に類する異常な物品が回収された記録は存在しません。

現在の案件対応方針は、エーテル財団が機器#137972及び拡張機器#137972を開発/保有していた目的について探ることに焦点が当てられています。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1618] #128650 「魔法の家」 投稿者:   《URL》   投稿日:2018/01/04(Thu) 22:41:15   24clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#128650

Subject Name:
魔法の家

Registration Date:
2010-10-08

Precaution Level:
Level 4 (2010-10-08時点) → Level 0 (2016-04-27時点)


Handling Instructions:
エリア#128650はその特異な性質から、当局による直接的な収容は極めて困難です。このため、案件担当者がエリア#128650の居住者である住民#128650-2及び住民#128650-3と定期的に連絡を取り合い、エリア#128650の特異性を発現させている住民#128650-1を継続監視する代替の収容手順が策定されました。この収容手順はエリア#128650の特異性が失われるまで継続されます。住民#128650-2と住民#128650-3の実子である住民#128650-4及び住民#128650-5については、当局による監視の下で寄宿制の学校へ通学させています。

住民#128650-1については3年ほど前から案件担当者に対して種々の体調不良を訴えており、また住民#128650が持つ性質から近代医学に基づく医療措置を受けることも不可能であると考えられるため、当局から具体的なアクションを起こす予定はありません。これまでに得られた情報から、住民#128650-1の死去をもって、エリア#128650の特異性は失われるとの見方が示されています。


[2016-04-27 Update]
2016-04-20をもって住民#128650-1は老衰のため死去し、それと同時にエリア#128650は特異な性質を喪失しました。エリア#128650における資源の利用制約はなくなり、高度な電子機器を含むすべての資源が利用可能になります。エリア#128650に於ける特異性の消失をもって、当案件の警戒レベルは「0」に再設定されました。

エリア#128650は事後検査のため一か月間管理下におかれ、その後事象#128650の再発が確認されなかった場合、当局より住民#128650-2に返還される予定です。エリア#128650の返還に際しては、現存する住民#128650全員(-2, -3, -4, -5)に対してプロトコルUXに基づく記憶処理が行われます。


Subject Details:
案件#128650は、ある異常性を持った一軒家及びその近隣(エリア#128650)、エリア#128650内に居住していた五人の人間(住民#128650)、並びにエリア#128650に於いて発生していた事象(事象#128650)、及びそれらに係る一連の案件です。

2010年9月上旬、住民#128650-2から当局へ「子供が家を出たまま帰らない」と通報が寄せられました。警察機関ではなく案件管理局へ直接通報がなされたことが当局の注意を引き、住民#128650-2にヒアリングを実施しました。ヒアリングによってエリア#128650及び事象#128650について情報が得られ、エリア#128650が当局の管理下に置かれることとなりました。住民#128650-4及び-5については、コガネシティ第三支局所属のフィールドワーカーが一時保護の上警察に引き渡していたことが分かり、警察当局より当局へ身柄が移管されました。

エリア#128650は一貫する異常性を帯びた165平方メートルの空間です。エリア#128650における異常性は事象#128650として分類され、その根本的な起源はエリア#128650における住民の一人である住民#128650-1にあると突き止められました。住民#128650-2から-5については、住民#128650-1と直接の血縁関係にあるにもかかわらず、事象#128650やそれに類する事象を発生させる能力を保持していません。

住民#128650-1はエリア#128650に居住する七十六歳の女性で、住民#128650-2の母親に相当する人物です。住民#128650-2は住民#128650-2の実の娘で、住民#128650-3とは婚姻関係にあります。住民#128650-4及び-5は住民#128650-2及び-3の間に生まれた実子で、それぞれ十歳の女性と八歳の男性です。住民#128650-1を除き、すべての住民#128650が当局の管理下に置かれることを了承しています。また住民#128650-4及び-5については、保護者である住民#128650-2及び-3と当事者である住民#128650-4及び-5両者からの申し出により、エリア#128650に戻るのではなく寄宿制の学校へ転校する措置が執られました。この措置は、当局の倫理委員会の承認に基づくものです。

事象#128650は、事象が発生している区域内に於いて(恐らくは)1950年以前に実用化されていなかった物品が一時的に機能を喪失して利用できなくなるという事象です。事象#128650の対象となるのは物品が実用化されていなかったケースであり、物品個々の製造年ではないことに注意してください。例えば2010年に製造された一般的な鉛筆については、「鉛筆」という概念そのものは1950年時点で存在していたことが明らかであるため、影響を受けることなく使用することができます。また、1950年以降に出生した人物についても、エリア#128650内で問題なく活動することが可能です。この点は住民#128650-1を除く住民#128650が全員1950年よりも後に出生したことからも証明されています。

以下は案件担当者が住民#128650-2と共にエリア#128650に対して物品を持ち込み、利用の可否についてテストを行った結果の抜粋です:


[ケース番号1]
対象物品:ゼブラ社製の油性ボールペン
利用可否:利用不可。ボールペンは芯を出すことができませんでした。芯を出したまま持ち込まれたものについては、インクが十分残っているにも関わらず紙への筆記ができませんでした。エリア#128650から退出した直後から正常に利用可能になったことを確認しました。

[ケース番号4]
対象物品:Apple社製のスマートフォン「iPhone 3G」
利用可否:利用不可。電源を投入したまま持ち込まれたiPhone 3Gは即座にシャットダウンされ、エリア#128650内部での再起動の試みはすべて失敗に終わりました。エリア#128650からの退出後は再び正常に稼働しましたが、シャットダウン時のログは記録されていませんでした。

[ケース番号11]
対象物品:プラスチック製のストロー
利用可否:利用不可。未知の原理によりストローの機能が失われ、液体を吸い上げられなくなっていることが分かりました。無作為に選ばれた13本のサンプルすべてで同一の事象が発生しました。エリア#128650からの退出後、すべてのストローが正常に利用できることを確認しました。

[ケース番号12]
対象物品:森永乳業製アイスクリーム「ピノ」
利用可否:利用不可。持ち込まれた「ピノ」はいかなる手段を用いても容器から取り外すことができませんでした。あらかじめ容器から出しておいたものについても、実験に当たった局員が「鉄のように固い」とコメントし、摂食できませんでした。この実験結果から、事象#128650は食品に対しても作用するとの知見が得られました。

[ケース番号16]
対象物品:1950年以降に開発・販売されたカレールーを使用したカレー
利用可否:利用可能。カレーの概念自体は1950年以前に確立されていたことが理由と推定されます。

[ケース番号17]
対象物品:ケース番号16の調理時に使用したカレールー
利用可否:利用不可。エリア#128650内においてカレールーはケース番号12と同じ理由で容器から取り出せず、あらかじめ取り出しておいたものについても利用できませんでした。対象のカレールーが市販されたのが1960年代以降であることが理由と考えられています。

[ケース番号18]
対象物品:ケース番号16で調理したカレーをプラスチック製の容器に盛り付けたもの
利用可否:利用不可。持ち込んだ直後に未知の理由によりカレーが食器から滑り落ちました。プラスチック製の食器は1950年以前に実用化されていなかったことが原因と推定されます。

[ケース番号26]
対象物品:電池駆動の針式腕時計
利用可否:利用不可。腕時計の概念は1950年以前に確立されていましたが、電池駆動のものは1960年代になるまで実用化されていなかったためと見られます。

[ケース番号28]
対象物品:ぜんまい動力による針式腕時計
利用可否:利用可能。このタイプの腕時計は1950年時点で実用化されていたためと見られます。

[ケース番号29]
対象物品:1950年代の仕様に基づき2000年代に製造されたぜんまい動力による針式腕時計
利用可否:利用可能。製造年は事象#128650に直接関与するものではないことが明らかにされました。


エリア#128650における事象#128650の性質により、住民#128650-2から-5は1950年代当時の水準で生活することを余儀なくされていました。住民#128650-4及び-5はこの生活環境に対して非常に強いストレスを感じており、エリア#128650を出る直接の原因になったと局員に語っています。エリア#128650で居住していた際は友人を家へ呼ぶこともできなかったと語っていることから、エリア#128650について住民#128650以外に知識を持っている人物はいないと考えられます。住民#128650-4及び-5は当局局員が勤務する寄宿制の学校へ転校させられました。

住民#128650-1は少なくとも2004年頃から「近頃は便利になりすぎた」と周囲に語っており、近代化された生活を嫌悪していたとの複数の証言を得ています。いかなる原理により事象#128650が発生しているのかは定かではありませんが、事象#128650の性質を鑑みてその発生に住民#128650-1が深く関与していると見られています。

事象#128650の「所定の道具を使用できなくする」という特徴から、事象#128650については携帯獣の技能の一つ「マジックルーム」に類似した性質を持つと考えられています。正確な性質については今後さらに調査が行われる予定です。


[2016-04-27 Update]
住民#128650-1の死後エリア#128650に残置された物品の一部について、事象#128650の影響下に長期間置かれ続けたため性質を変貌させた虞のあるものが確認されました。該当する物品については当局が押収し、ジョウト地方エンジュシティ第六支局の中異常性物品保管庫へ移送/保管しています。これら物品の詳細については、押収時に作成された目録L-128650-4を参照してください。今後エリア#128650内で同様の物品が発見された場合、収容措置を執ると共に目録L-128650-1を更新してください。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1619] #99535 「インサイド・アウトサイド」 投稿者:   《URL》   投稿日:2018/01/05(Fri) 19:37:11   32clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#99535

Subject Name:
インサイド・アウトサイド

Registration Date:
2001-07-16

Precaution Level:
Level 3


Handling Instructions:
事案#99379にて回収されたオブジェクト#99535群については、イッシュ地方セッカシティ第四支局の中異常性物品保管庫へ移送の上、標準的な耐火金庫に収容する形で保管されています。金庫のセキュリティロックは案件担当者と副担当者が個別に設定し、開錠に際しては両者が同時にセキュリティコードを入力しなければなりません。明確な理由のないオブジェクト#99535の持ち出しは、当局の情報管理手続きに基づき禁止されています。

オブジェクト#99535に関連すると見られる参考人#99535の行方を追ってください。これまでに実在する人物と関連付けが行われた参考人#99535の一覧はリストL-99535-3を、関連付けが完了していない参考人#99535の一覧はリストL-99535-4を参照してください。参考人#99535の関連付けに成功した場合は、リストL-99535-3及び-4をそれぞれ更新してください。更新は案件担当者のコミットを以って完了となります。

回収済みのオブジェクト#99535に対するあらゆる試験は禁止されています。過去に発生した事例から、オブジェクト#99535は潜在的に当局に対して敵対的な姿勢を持っていると考えられています。オブジェクト#99535が所持者に与える認識異常/情報災害については未知の点が多く存在していますが、オブジェクト#99535への接触を避けることにより少なくともそれらのミームハザードに曝露する危険性は最小限に留めることが可能です。


Subject Details:
案件#99535は、外見上人間の子供と見られる生命体が格納された携帯捕獲装置――所謂「モンスターボール」(オブジェクト#99535)と、オブジェクト#99535内部に存在する人物と一致する一般市民(参考人#99535)、及びそれらに係る一連の案件です。

2001年6月末頃、イッシュ地方セッカシティ近隣を散策していたポケモントレーナーより「子供が閉じ込められたモンスターボールを見つけた」という通報が寄せられました。後にオブジェクト#99535に指定されるモンスターボールは合わせて21個発見され、そのすべてについておよそ八歳から十四歳頃と見られる子供が格納されていました。対応に当たった局員がすべてのオブジェクト#99535を回収し、格納された子供の救助を試みましたが、この時点での救助はすべて失敗に終わりました。異常事案発生の虞ありと見做され、局員の報告に基づき案件立ち上げが決定されました。この時点で、モンスターボールはオブジェクト#99535-1から-21に分類されました。

オブジェクト#99535は、外見上一般的な「モンスターボール」に見える球状の物体です。構造は非異常性のモンスターボールと変わりないように見えますが、上部から透けて見える内部には人間の子供に類似した未知の生命体が格納されています。子供は着衣のまま仰向けに寝転ぶ形で格納されており、いずれも目を閉じていて意識がないように見受けられます。ボールに存在する情報表示用のボタンを押下すると、格納されている子供に関する詳細な情報(本名/トレーナーID/住所/年齢/血液型等)を得ることができます。これらの情報はいずれも正確なものであると立証されています。

非異常性のモンスターボールは中央のボタンを押下することにより展開し内部に格納された携帯獣を解放することができますが、オブジェクト#99535はその機能が欠如または故障しているか、または初めから設計に組み込まれていません。これまで行われた457ケースの解放テストすべてについて、オブジェクト#99535はいずれも内部の子供を解放しませんでした。

本件については初動対応に当たった局員が引き継ぐ形で案件担当者に割り当てられ、当該局員もこれを了承しました。その後の調査により、オブジェクト#99535のうち-6/-9/-13/-18/-21について、内部に格納されている人物と一致する人物が割り出されました。当該人物はいずれもポケモントレーナーであり、その全員が失踪中であることが判明しています。オブジェクト#99535に格納された人物が失踪したポケモントレーナーであることが確定的となったため、オブジェクト#99535を破壊して内部の市民を救出する申請を裁定委員会に提出しています。


[2001-08-11 Update]
案件担当者によるオブジェクト#99535の破壊試験は却下されました。

[2001-08-21 Update]
案件担当者は計画を修正の上、裁定委員会に再申請を行いました。

[2001-08-30 Update]
案件担当者によるオブジェクト#99535の破壊試験は却下されました。

[2001-09-06 Update]
案件担当者は計画を修正の上、裁定委員会に再申請を行いました。

[2001-09-26 Update]
案件担当者によるオブジェクト#99535の破壊試験は却下されました。

[2001-10-02 Update]
案件担当者は計画を修正の上、裁定委員会に再申請を行いました。

[2001-10-14 Update]
案件担当者によるオブジェクト#99535の破壊試験は却下されました。

[2001-10-18 Update]
案件担当者は計画を修正の上、裁定委員会に再申請を行いました。

[2001-10-27 Update]
案件担当者によるオブジェクト#99535の破壊試験は却下されました。

[2001-10-30 Update]
案件担当者は計画を修正の上、裁定委員会に再申請を行いました。

[2001-11-08 Update]
案件担当者によるオブジェクト#99535の破壊試験は却下されました。

[2001-11-10 Update]
案件担当者は計画を修正の上、裁定委員会に再申請を行いました。

[2001-11-29 Update]
案件担当者によるオブジェクト#99535の破壊試験は却下されました。

[2001-11-30 Update]
案件担当者は計画を修正の上、裁定委員会に再申請を行いました。

[2001-12-09 Update]
案件担当者によるオブジェクト#99535の破壊試験は却下されました。案件担当者はこの裁定を不服とし、倫理委員会に上申を行いました。

[2002-01-14 Update]
案件担当者による倫理委員会への上申は却下されました。案件担当者はこの裁定を不服とし、倫理委員会に即日再申請を行いました。

[2002-01-20 Update]
監査部門により、裁定委員会及び倫理委員会への上申が極端に多い案件として本案件がピックアップされ、案件担当者に対するヒアリングが実施されました。案件担当者は監査部門の担当者に非協力的な態度を取り、オブジェクト#99535は速やかに破壊されなければならないと繰り返しました。精神状態が職務遂行に著しい問題を来たすレベルで悪化しているとの見方が示され、案件担当者は当該案件から別案件へ転任させることが決定されました。案件担当者にはプロトコルUXに基づく記憶処理が施され、ホウエン地方トウカシティ第十五支局へ異動となりました。

[2002-02-06 Update]
前任担当者の離任に伴い、新しい案件担当者が割り当てられました。前任担当者はオブジェクト#99535がもたらすミームハザードに曝露した状態で報告書を作成した虞があり、新任担当者はオブジェクト#99535に接触した履歴のない局員が選ばれました。新任担当者は情報災害防止機構を搭載した端末を使用して前任担当者が作成したレポートを複写し、改めてその内容の検証を実施しました。

検証の結果、オブジェクト#99535-6/-9/-13/-18/-21に格納されているとされた参考人#99535はいずれも実在する人物ではありますが、失踪中との情報はなくいずれも容易にコンタクトを取ることに成功しました。それぞれの参考人#99535にヒアリングを実施し、オブジェクト#99535との関連性について調査が行われましたが、有意な情報を得ることはできませんでした。参考人#99535の全員について、オブジェクト#99535との関連性を明確に否定しています。

[2002-05-09 Update]
収容中のオブジェクトに対する定期検査により、オブジェクト#99535-14(およそ9歳頃に見える少女が格納されている)について、情報表示部全域に以下のテキストが繰り返し記述されているのが確認されました。

 
 こ こ か ら だ し て
 

このテキストは以前の検査時点では表示されておらず、オブジェクト#99535-14に何らかの性質変化があったものと見られています。

[2002-06-11 Update]
収容中のオブジェクトに対する定期検査により、オブジェクト#99535-7(およそ12歳頃に見える少年が格納されている)について、情報表示部全域に以下のテキストが繰り返し記述されているのが確認されました。

 
 ぼ く を そ と へ だ し て
 

オブジェクト#99535-14とほぼ同様の変化を見せたため、案件担当者の指示により定期検査を日次化することが決定されました。

[2002-06-17 Update]
オブジェクト#99535-7及び-14に対応する参考人#99535-7及び-14とコンタクトを試みましたが、案件担当者によるコンタクトは失敗に終わりました。案件担当者はオブジェクト#99535-7及び-14の即時無力化を裁定委員会に申請しました。

[2002-07-09 Update]
案件担当者によるオブジェクト#99535に対する無力化の申請は却下されました。

[2002-08-12 Update]
案件担当者はオブジェクト#99535を無断で持ち出し、小火器を用いて破壊することを試みました。セキュリティ担当者が錯乱状態の案件担当者を拘束し、すべてのセキュリティクリアランスが剥奪されました。オブジェクト#99535に破損の兆候は見られません。案件#99535には新たな担当者が割り当てられる予定です。


Supplementary Items:
以下は認識異常/情報災害部門に在籍するコウヅキ研究員が付記した、オブジェクト#99535の性質に関する提言です。


[コウヅキ研究員の提言]
オブジェクト#99535に関連して発生した2件の事案については、いずれも案件担当者がオブジェクト#99535を破壊しようとした点で一致を見ています。この結果から、オブジェクト#99535には接触した対象に自分自身を破壊させようとする認識異常または情報災害を齎すとの見方が可能です。初期の担当者は「内部の人間を救助するため」、後任の担当者は「オブジェクト#99535を無力化するため」と理由は異なっていますが、最終的に至った結論がオブジェクト#99535の破壊であることは特筆すべき事項と言えます。

現在の取扱手順はオブジェクト#99535の主体をモンスターボール型の機器にあると定義していますが、上述した性質を鑑み、オブジェクト#99535の実体は内部に格納された人型生命体である可能性を指摘します。モンスターボール型の機器はオブジェクト#99535の真の実体である人型生命体を収容するために使用されており、内部の人型生命体が収容を突破することを試みているのだとすれば、オブジェクト#99535が自分自身を外的要因によって破壊させる情報災害を引き起こすことにも説明が付きます。内部の人型生命体は非常に危険な性質を持っている可能性があり、モンスターボール型の機器はそれを封じ込めているという見方ができるということです。オブジェクト#99535に曝露した直後から、案件担当者が本来であればコンタクト可能な対応する参考人#99535を認識できなくなる事象が双方の事例に於いて発生している点も特筆すべきでしょう。

ただし、別の懸念点もあります。一部の参考人#99535から得られたヒアリングデータから、微弱ながらオブジェクト#99535に類似したミームハザード特性を持つデータパターンが検出されています。これは現段階に於いて参考人#99535を直ちに収容する根拠とはなりませんが、少なくともフィールドワーカーを配置して監視を継続する理由にはなり得ます。仮に参考人#99535が異常特性を持つ人型生命体の場合、一転して疑うべきは内部の人型生命体ではなくやはりモンスターボール型の機器という結論に至ります。この場合、参考人#99535についても追加調査が必要になると考えます。

いずれにせよ、オブジェクト#99535の「内」と「外」の関係性が確定するまでは、オブジェクト#99535を用いたあらゆる試験/実験は無期限に延期されるべきです。


  [No.1620] #121634 「『案件#121634 「ピカチュウのなつやすみ」』」 投稿者:   《URL》   投稿日:2018/01/06(Sat) 19:36:19   33clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#121634

Subject Name:
『案件#121634 「ピカチュウのなつやすみ」』

Registration Date:
2008-07-18

Precaution Level:
Level 3

Handling Instructions:
映像#121634に対応する管理文書#121634が新たに発見された場合、映像#121634について管理文書#121634に基づくテストを可能な範囲で実施の上、管理文書#121634が虚偽と見做された場合は本案件の付帯資料としてアーカイブの上管理してください。本案件は映像#121634と管理文書#121634に関連する案件の最上位に位置付けられます。仮に管理文書#121634の記載が正しいケースが確認された場合、別個の案件番号が付与されることになっています。

管理局データベースのブロック33-Cは他のデータベースよりも精密なログ採取を行う設定が追加されます。情報管理部門は週次の定期メンテナンス時に、データベースのブロック33-Cにおけるログ取得設定が変更されていないことを少なくとも2名以上の複眼で確認してください。管理文書#121634はデータベースのブロック33-Cに予兆なしに追加されることが分かっています。案件担当者以外が未知の管理文書#121634を発見した場合、速やかに案件担当者へ報告することが求められます。

管理文書#121634が当局局員により作成されたものでないことを確認してください。標準手順M-99761に基づき電子文書の監査を行い、ファイルシステムに記録された所有者/作成者/更新者を記録することにより確認プロセスは完了します。確認プロセスによって得られたログファイルは管理局データベースのブロック21-Dへ別途保管してください。管理文書#121634の出現するブロック33-Cに保管してはなりません。


Subject Details:
案件#121634は、当局が管理する案件データベースの所定のブロックに不定期に出現する作成者不明の案件管理文書(管理文書#121634)と、発見されたすべての管理文書#121634が異常特性を持つオブジェクトだと主張する映像作品(映像#121634)、及びそれらに掛かる一連の案件です。

管理文書#121634が初めて観測されたのは、2008-02-14 16:34時点です。システム管理者によるメンテナンス時にデータベースのインデックスに登録されていない状態のまま保管されている孤立した案件管理文書が発見され、通常の連絡経路に沿って拠点監督者に報告されました。拠点監督者はシステム管理者にデータベースのロックとオフライン化を指示し、この操作は10分以内に正常に完了しました。抗ミーム汚染措置が施された専用端末に未知の案件管理文書を移動の上閲覧したところ、案件管理文書自体からは異常性が確認されませんでした。臨時の収容プロトコルが確立され、文書は高セキュア環境のサーバへ移動させられました。

管理文書#121634は、当局が作成/管理している案件管理文書と合致する書式/形式に則って作成されたと思しき電子ドキュメントです。管理文書#121634は常に「案件#121634」について記載され、名称として「ピカチュウのなつやすみ」が設定されます。他の案件番号/案件名称が設定されたものはこれまでのところ確認されていません。これに加えて、管理文書#121634はいずれも「映像#121634」という特異性を持つ映像に対する取扱手順と案件詳細について記載されています。これまでに計35の管理文書#121634が作成され、管理文書#121634-1から-35に分類されています。これらの管理文書#121634は当局における正規の管理文書として認可されません。

映像#121634は、すべての管理文書#121634並びに案件#121634において、1998年に上映された短編映画である「ピカチュウのなつやすみ」を指しています。これはいずれも明確にタイトルが指定されており、当局の推論に基づくものではありません。管理文書#121634は「ピカチュウのなつやすみ」を程度の違いはあれど異常または危険な映像であると指摘しており、現実的な収容手順について記載しています。

管理文書#121634の記載内容に反して、映像#121634に指定された「ピカチュウのなつやすみ」についてはこれまでのところ何ら異常な兆候を見つけ出すことができていません。例として、管理文書#121634-12は特定の条件下において映像#121634を視聴した場合に人体に顕著な悪影響を及ぼす事象について記述され、管理文書#121634-29は所定の状況下で映像#121634を放送した場合にレベル7-現実崩壊シナリオが発生する虞があることを示していますが、いずれも当局の検査に於いて虚偽の内容であるとの見方が示されています。

以下は、これまでに当局の案件データベースに作成された管理文書#121634の抜粋と、その記載内容の要約です:


[管理文書#121634-1]
警戒レベル: 5
取扱手順: あらゆる媒体に記録された映像#121634を回収し、研究目的のサンプルを残してすべてを破壊することを指示しています。
案件詳細: VHS媒体に記録された映像#121634を民生用のビデオ機器で再生した際、21:03時点に存在する1フレーム間の画像(赤い背景に黒い直方体が描かれています)が人間並びにあらゆる携帯獣に致命的な認識災害をもたらすと記載されています。文書には加工された当該画像が添付されていました。検査により、VHS媒体に記録された映像#121634にそのような画像は記録されていないことが分かりました。

[管理文書#121634-2]
警戒レベル: 4
取扱手順: 管理文書#121634-1と同様の記載がなされています。
案件詳細: 映像#121634を少なくとも50人以上の10歳以下の児童に対して同時に視聴させた場合、児童全員の意識が「池上博人」と名乗る7歳の少年のものに置換されます。管理文書#121634-2は児童を被験者#121634と分類しています。同一の場所に複数の「池上博人」が出現することにより、被験者#121634は例外なく極端なパニック状態に陥ります。管理文書#121634-2は映像#121634によって被験者#121634となった児童を少なくとも25,126人収容していると記載しています。これまでの調査で、映像#121634に管理文書#121634-2のような効果は確認されていません。

[管理文書#121634-5]
警戒レベル: 4
取扱手順: この管理文書における映像#121634は、その顕著な自己増殖性から収容不可能であるとされています。
案件詳細: インターネット上の動画共有サイトにアップロードされた映像#121634を視聴した人間(対象#121634に指定)は、自身の経験したもっとも有意義な「夏休み」について空想を巡らせるようになります。対象#121634が72時間以内にプロトコルUX-レベル3以上の記憶処理を受けなかった場合、空想した「夏休み」を求めて居住地を離れます。この時対象#121634は映像#121634を視聴した機器を持ち出し、同じ異常特性を持つ映像#121634の完全なコピーをインターネット上の動画共有サイトへ不定期にアップロードし始めます。失踪した対象#121634を追跡する試みにはことごとく失敗した旨が記載されています。

[管理文書#121634-7]
警戒レベル: [なつやすみ]
取扱手順: ただ「[なつやすみ]」とのみ記載されています。
案件詳細: ただ「[なつやすみ]」とのみ記載されています。
補足: この管理文書#121634で定義されているはずだった映像#121634には顕著な情報の破壊特性があり、本来の内容が喪失した可能性が示唆されています。

[管理文書#121634-12]
警戒レベル: 5
取扱手順: 管理文書#121634-1と同様の記載に加えて、研究目的であっても映像#121634を視聴することを禁じる文言が追加されています。
案件詳細: 映像#121634を累計3時間以上視聴した人間は、その時点で外見的特徴を除くあらゆる生物学的特徴が携帯獣の「ピカチュウ」と同等のものに置換されます。端的に言えば、外見に関する情報のみが元の人間であり、内部構造は(顕著な矛盾を孕んでいるにも拘らず)ピカチュウに変化するということです。この影響を受けた人間は対象#121634と分類されます。管理文書#121634-12はこれまでに3,118体の対象#121634を収容していると記述しています。

[管理文書#121634-17]
警戒レベル: 1
取扱手順: 管理文書#121634-1と同様の記載に加えて、研究目的であっても映像#121634を視聴することを禁じる文言が追加されています。管理文書#121634-12とは記述内容が異なっています。
案件詳細: 映像#121634は実害が無いにもかかわらず繰り返し異常なオブジェクトとして市民から通報される旨が記載されています。実害が無いと定義しているにも関わらず、案件担当者には映像#121634の積極的な破棄を指示しています。
補足: 文書の体裁は映像#121634に対する詳細な言及を避け、本来の性質を隠匿しようとしているように見受けられます。レベル5以上のセキュリティクリアランス保持者は付帯資料にアクセス可能との記載がありますが、付帯資料は出現しませんでした。

[管理文書#121634-24]
警戒レベル: 4
取扱手順: ただ「[データ破損]」とのみ記載されています。
案件詳細: ただ「[データ破損]」とのみ記載されています。

[管理文書#121634-29]
警戒レベル: 6
取扱手順: 案件#121634を適切に収容するための取扱手順が制定できておらず、事態の収拾に向けた活動が行えない旨の記載がされています。暫定措置として、あらゆる媒体に記録された映像#121634を破棄することが指示されています。
案件詳細: 未知の技術によりレベル7-現実崩壊シナリオが予測され、その根本的な原因となるのが映像#121634であるとされています。2028/07/18 09:00よりあらゆる映像端末に映像#121634が放送され、視聴したすべての生物(携帯獣を含む)が映像#121634に取り込まれて喪失すると記載されています。案件担当者は、2018/07/18までに映像を視聴可能なあらゆる端末を破壊するための大規模作戦の展開を裁定委員会に諮っている旨を記載しています。裁定委員会は計画の詳細についてさらなる検討が必要としつつも、作戦自体について肯定的な見解を示しています。当局の危機予測システムはこのような事象を観測していません。


これまで確認された管理文書#121634-1から-35の内容は、少なくとも現状で検証可能な範囲についてはいずれも正確ではありません。管理文書#121634-29のように未来に発生する事象について言及したものも複数存在していますが、それらが実際に起こり得る兆候は確認できていません。

管理文書#121634の実情に関する仮説は2件提起されています。一つは管理文書#121634は未知の存在が当局をかく乱する目的でデータベースに作成しているというものです。現時点でひとつとして正当性を検証できた管理文書#121634が存在しないことがその根拠です。もう一つは管理文書#121634が現在の時間軸/次元軸とは異なる当局によって作成されたものであり、何らかの理由により当局の存在する時間軸/次元軸に流出しているというものです。この文書の流出が偶発的なものなのか意図されたものなのかは判断が分かれています。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1621] #80023 「砂山の守り人」 投稿者:   《URL》   投稿日:2018/01/07(Sun) 20:04:04   32clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#80023

Subject Name:
砂山の守り人

Registration Date:
1995-05-12

Precaution Level:
Level 1


Handling Instructions:
本案件の案件副担当者には、レベル1以上のセキュリティクリアランスを持つ所定の携帯獣職員が割り当てられます。割り当て可能な携帯獣職員については、リストL-80023-1を参照してください。現在の副担当者には、オオタチのレベル2局員が割り当てられています。

携帯獣#80023には本人の了解を得て常時稼働する小型GPS発信機を装着しています。案件担当者は対応するGPS受信機を使用することでいつでも携帯獣#80023の正確な位置を確認することができます。携帯獣#80023のGPS発信機には、事象#80023が発生した際に出発/到着地点と出発/到着時刻を記録する機能が追加でセットアップされています。このログはGPS受信機からも参照可能です。

案件担当者が定期的に携帯獣#80023の位置を確認すると共にGPS機器が正常に稼働していることを確認すること、案件副担当者が携帯獣#80023に対してヒアリングを行うことを除いては、現状では追加の対応は必要ありません。


Subject Details:
案件#80023は、小規模な空間歪曲能力(能力#80023)を持つ一体の携帯獣(携帯獣#80023)と、それに係る一連の案件です。

携帯獣#80023は♂のボスゴドラで、外見的に非異常のボスゴドラと区別がつきません。身体能力や行使可能な技能についても、一般的なボスゴドラ個体から逸脱するところはありません。気質/性格についてもまた同様で、携帯獣#80023は山を縄張りとして生活しています。縄張りとなる山を荒らす者に対しては敵対的な姿勢を見せ、戦いを挑んでいくこともあります。その一方で、単に山を見学に訪れた人間や携帯獣、あるいはゴミ拾いや植樹をするなど山にとってプラスと考えられる行動を取る人間や携帯獣に対しては友好的に接します。

この携帯獣#80023が持つ特異性は、人間や携帯獣が海岸の砂浜や公園の砂場などで「砂山」を作成し、作成者以外がそれを損壊しようとした際に発現します。対象が砂山の損壊を試みた時、能力#80023が発動します。能力#80023は一種のテレポーテーション能力であり、これにより対象のおよそ半径3メートル以内の場所に携帯獣#80023が前触れなく出現します。携帯獣#80023は怒りを露わにして対象を捕獲し、速やかに砂山を荒らすことを止めるよう強く警告します。これまで確認された事例すべてで、この時点で対象は砂山に手を出さないことを誓約します。これは対象が人間であっても携帯獣であっても同様です。砂山の安全が確保されると携帯獣#80023は満足して対象を解放し、出現時と同様に突如として消失します。

携帯獣#80023はホウエン地方ムロタウン北部に位置する山を住処としており、そこからおよそ半径5キロメートル以内が能力#80023の有効範囲内と見られます。圏内で砂山の損壊を検知すると、能力#80023が自動的に発動するようです。携帯獣#80023はこの事象に困惑した様子を見せておらず、むしろ有用であると認識しています。携帯獣#80023は砂山の保護を重要な仕事だと考えていて、その任に当たっている自身に誇りを持っているようです。

同時期に砂山の損壊事案が複数の箇所で発生すると、携帯獣#80023はきわめて正確に先に発生した事案の解決に向かいます。自分の到着前に砂山が全損してしまった場合などで保護に失敗した場合は、損壊した人物を威嚇して強く叱責するとともに、砂山の作成者を(ボスゴドラ由来の強大な腕力で傷つけてしまわないよう)ごく弱い力で抱きしめ、砂山が損壊された悲しみを慰めながら、自身で砂を集めて砂山を修復します。砂山が元通り修復されると、携帯獣#80023は一声鳴いて(案件副担当者のヒアリングにより、これは「次はもっと早く来るよ」と言っていることが分かりました)から能力#80023を発現させてその場を離れます。

一連の事象に於いて、携帯獣#80023は砂山を損壊する対象に向けて攻撃的な姿勢を露わにしますが、実際に攻撃した事例は確認されていません。これまで発生したケースでは対象はいずれも携帯獣#80023の威容を受けて砂山の損壊を即時停止し、携帯獣#80023の指示に忠実に従います。仮に携帯獣#80023の指示を無視して砂山の損壊を試みた場合、携帯獣#80023は対象を攻撃する可能性こそありますが、自発的な攻撃は一度も確認されていません。

砂山の損壊を試みる対象についてはほぼ例外なく敵対姿勢を露わにする携帯獣#80023ですが、唯一の例外となるのが砂山の作成者自身によるものです。砂山の作成者自身が砂山を元の砂地へ戻す行為について、携帯獣#80023は決して妨害することはありません。砂山がおよそ92%喪失した時点で、第三者が砂山だったものに接触しても携帯獣#80023は出現しなくなります。ただし、同じ砂場で再度砂山が作成されると、その砂山は再び携帯獣#80023の監視/保護対象となります。

以下は、案件副担当者による携帯獣#80023に対する定期ヒアリング記録の抜粋です。このヒアリングは第十四回目であり、案件副担当者と携帯獣#80023の間に十分な信頼関係が構築されていることを前提としてください:


----------

案件副担当者:
[携帯獣#80023の愛称]さん、今週はいくつの山を守ったんです?

携帯獣#80023:
ざあっと16ってとこか。山を傷付けるヤツぁ、おらが許しちゃおかねぇ。

案件副担当者:
もうすっかり「決め台詞」になっちゃってますね、それ。

携帯獣#80023:
おらでもちっとは格好付けたくなることくらいあるさ。ああ、そうだそうだ。縞模様の姉ちゃん。こないだ頼まれたこと――

案件副担当者:
ありがとうございます。[携帯獣#80023の愛称]さんが、どうやって山から砂場へ移動しているかについてですね。

携帯獣#80023:
んだ。ただ、おらにもよく分からねぇだ。山が壊されてるって思うと、ふっと頭ん中にその風景が浮かんできて、そのすぐ後にゃその場所にいるだ。

案件副担当者:
となると、[携帯獣#80023の愛称]さんが自分で移動する場所を決めているわけではないみたいですね。

携帯獣#80023:
そうだろうなぁ。おらと違って、他の山守(*1)たちにゃこんなことできねぇからなぁ。けんどよ、前から言ってる通り、おらはこいつに感謝してるだ。

案件副担当者:
誰かの作った山を守ることができるから、そうですよね。

携帯獣#80023:
かぁーっ、姉ちゃんに言われるとちぃとこっぱずかしいな。だけんどその通りだ。ちっこいとは言え山は山、壊されるのは辛抱ならねぇ。

案件副担当者:
ですよね。あの……一つだけ気になるんですけど、訊いてもいいですか?

携帯獣#80023:
ん、いいだ。訊いてくれ。

案件副担当者:
大したことじゃないんですけど……山を作った人が山を壊すのは、止めないんです?

携帯獣#80023:
んだ。そいつは止めやしねぇ。

携帯獣#80023:
山ができたからにゃ、いつか壊れる時も来る。作ったやつが壊すのは、そりゃ仕方ない。おらの山だって神さん(*2)が作った。おらは神様の代わりに山を守ってるだけだけん、神さんが壊す言うなら、その山は壊れるのが道理だ。


*1……やまもり。ボスゴドラの同族に対する一般的な呼称です。
*2……ここで述べられている「神様」は特定の宗教上における信仰対象と言うよりも、より通俗的な「偉大な存在」を指しているように見受けられます。

----------

携帯獣#80023の性質を鑑み、当局の管理する収容房への収容は困難及び不要と判断されたため、携帯獣#80023については今後も継続監視することで対応するものとします。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムはありません。


  [No.1627] #150365 「『Violet Wailordは君に死を賜う』」 投稿者:   《URL》   投稿日:2018/05/04(Fri) 20:22:01   36clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#150365

Subject Name:
『Violet Wailordは君に死を賜う』

Registration Date:
2017-08-25

Precaution Level:
Level 5


Handling Instructions:
事象#150365の発生を確認した場合、事象#150365が選出したターゲットについて標準手続きによる情報収集を行い、対象#150365として指定してください。対象#150365はフィールドワーカーによって監視され、事象#150365の進行状況について記録されます。事象#150365において対象#150365が実行を試みるタスク#150365については、いかなる場合においても進行を即時停止させなければなりません。タスクの妨害に失敗したケースについては、事案報告書F-150365-1の様式に沿って報告する必要があります。個々のタスクについては、事象#150365に子番号/孫番号を付与して管理されます。事象#150365-9における13件目のタスクは、事象#150365-9-13として管理されます。

事象#150365の発生後にオブジェクト#150365から対象#150365に向けて送信された種々のデータ(テキスト/画像/映像)は情報#150365として管理してください。一件の事象#150365について複数の情報#150365が送信されることが通例となっているため、各々の情報#150365は子番号/孫番号を付与して管理します。事象#150365-11における4件目の情報#150365は、情報#150365-11-4として管理されます。情報#150365には強度の情報災害特性が含まれるために、これらの情報#150365の実例は、レベル5セキュリティクリアランスを保有する局員のみ閲覧することが許可されています。閲覧に当たっては、情報災害防止措置が施された専用端末を使用しなければなりません。

オブジェクト#150365の追跡は、レベル5セキュリティクリアランス保持者による専任のチームが担当します。チームにアサインされた局員はオブジェクト#150365の発信元を突き止める取り組みを継続してください。適切なセキュリティクリアランスを保持しない局員については、オブジェクト#150365に関するアクションは全面的に禁止されています。勤務時間外にオブジェクト#150365に接触した場合、速やかに案件担当者に報告してください。報告を受けた案件担当者は、局員からオブジェクト#150365に関する情報をヒアリングしてください。

対象#150365がオブジェクト#150365より受領した物品#150365については、これまでのところ顕著な特異性は認められていません。対象#150365との接触方法を鑑みて、物品#150365が回収されることはありません。物品#150365が何らかの特異性を示した、或いはその可能性を示唆した場合、プロトコル・ブロッサムに基づいて物品#150365は当局によって接収されることになっています。これまでのところ、プロトコル・ブロッサムが発令された記録は存在しません。

収集された対象#150365に関する情報には、レベル5セキュリティクリアランスを保有する局員のみがアクセスできます。当局とは直接関係のない個人を特定可能な情報が含まれるため、アクセスに当たっては当局の定める標準的な情報管理手続きに従う必要があります。


Subject Details:
案件#150365は、明確な選定理由が不明な市民(対象#150365)が認識する未知の存在(オブジェクト#150365)、オブジェクト#150365との接触から始まる連続した事象(事象#150365)、事象#150365においてオブジェクト#150365から伝送される種々のデータ(情報#150365)並びに種々の物品(物品#150365)、及びこれらに係る一連の案件です。

少なくとも2013年頃から、利用者数の多いソーシャル・ネットワーク・サービスにおいて、本案件に関する情報が確認されていました。情報は「『青のホエルオー』を見つけると危険なゲームに参加できる」というような形で流され、それに興味を抱いた利用者が「青のホエルオー」を捜索する、という流れで拡散された経緯があります。これに一致する、または類似した情報が確認されたSNSとしては、本稿執筆時点で「Twitter」「Facebook」「Instagram」「微博」などがあります。これらより利用者数の少ないSNSにおいても「青のホエルオー」に関する情報が展開された可能性があります。

オブジェクト#150365は、「紫のホエルオー」が撮影された出所不明の写真です。「青のホエルオー」ではありません。写真は一般的なJPEGフォーマットで作成され、多くの場合解像度は1024x768、Exifをはじめとするメタデータは記録されていません。元はより大きな解像度だったものが縮小された形跡が見られます。自発的な意思に基づいて「青のホエルオー」を探す過程でオブジェクト#150365を視認し、かつ未知の理由により対象として選ばれた人間は対象#150365となり、直後に事象#150365が開始されます。

事象#150365は、オブジェクト#150365から対象#150365に向けて実行するよう指示される「自殺ゲーム」であり、またオブジェクト#150365から伝達される「タスク」の総称です。タスクはテキスト/画像/映像のいずれかの形式で対象#150365へ送信され、オブジェクト#150365はタスクを実行するよう対象#150365に指示されます。ゲームはこのタスクをクリアすることで進行し、また新たなタスクが割り当てられるという形で継続されます。

事象#150365のゲームにおける具体的なタスクの抜粋は以下の通りです。


[事象#150365-11-2]
形式:画像
内容:「午前4時10分に起きて無音のテレビを20分視聴しろ」

[事象#150365-4-3]
形式:メール
内容:「自分の腕に消えない傷痕を付けろ」

[事象#150365-42-6]
形式:映像
内容:「家族を一人殴れ」

[事象#150365-7-10]
形式:インスタントメッセージ
内容:「ビルの屋上の縁を目を閉じて歩け」

[事象#150365-15-12]
形式:インスタントメッセージ
内容:「近くの食料品店でチョコレートを万引きしろ」

[事象#150365-22-18]
形式:画像
内容:「学校の窓を四枚叩き割れ」

[事象#150365-34-24]
形式:映像
内容:「かつて自分に苦痛を味わわせた人間に血液で書いた手紙を送れ」

[事象#150365-1-30]
形式:メール
内容:「学校の屋上から飛び降りて死ね」


事象#150365が進行するに連れてタスクの内容はより困難になり、反社会的かつ暴力的な性質を帯びていく傾向にあります。対象#150365はあらゆる手段を講じてタスクを実行しようとし、それに際して周囲と衝突や軋轢が発生します。タスクを29回達成すると、オブジェクト#150365は自殺することを最後の指示として与え、以後対象#150365とは接触を持たなくなります。この時点で事象#150365は終了するものとみなされています。

対象#150365がタスクを達成するたびに、オブジェクト#150365は「褒美」として物品#150365を対象#150365に与えます。過去に確認された物品#150365としては、食料品/玩具/筆記用具/現金/プリペイドカードなどがあります。これらはいずれも非異常性の物品であり、基本的に容易に入手が可能なものです。一部に非売品が含まれていたケースが存在しますが、それらは単に非売品という形で市場に流通しているに過ぎません。

オブジェクト#150365は自分の意思を持っているかのような振る舞いをすることが確認されています。対象#150365に対して「『青のホエルオー』は簡単に見つかるが、俺のような『紫のホエルオー』はそうそう見つからない。お前はよほど運が悪いらしい」とメッセージを送るほか、タスクの実行に失敗した対象#150365に対して「失敗したから終わりだと思うか? 成し遂げられるまで死のゲームは終わらない」と伝達し、同じタスクに再チャレンジすることを促します。結果として、事象#150365の完遂まで決してゲームは終わらず、対象#150365は例外なく自殺に至ります。

事象#150365に巻き込まれた対象#150365が例外なく自殺に至っていることから、本案件は最優先に収容を試みる必要がある案件として管理されています。本案件に関係する情報を得た局員は速やかに案件担当者へコンタクトを取り、情報提供を行ってください。


Supplementary Items:
本案件に付帯するアイテムが1件存在します。適切なセキュリティクリアランスを保有する局員に限り、付帯資料にアクセスすることができます。


  [No.1628] #150365付帯資料1 投稿者:   《URL》   投稿日:2018/05/04(Fri) 20:23:46   24clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

Subject ID:
#150365

Subject Name:
『Violet Wailordは君に死を賜う』

Registration Date:
2017-08-25

Precaution Level:
Level 2


Handling Instructions:
事象#150365の発生を確認した場合、事象#150365が選出したターゲットについて標準手続きによる情報収集を行い、対象#150365として指定してください。対象#150365はフィールドワーカーによって監視され、事象#150365の進行状況について記録されます。事象#150365において対象#150365が実行を試みるタスク#150365については、いかなる場合においても進行を妨害してはなりません。タスクの実行に失敗したケースについては、事案報告書F-150365-1の様式に沿って報告する必要があります。個々のタスクについては、事象#150365に子番号/孫番号を付与して管理されます。事象#150365-9における13件目のタスクは、事象#150365-9-13として管理されます。

事象#150365の発生後にオブジェクト#150365から対象#150365に向けて送信された種々のデータ(テキスト/画像/映像)は情報#150365として管理してください。一件の事象#150365について複数の情報#150365が送信されることが通例となっているため、各々の情報#150365は子番号/孫番号を付与して管理します。事象#150365-11における4件目の情報#150365は、情報#150365-11-4として管理されます。局員が情報#150365にアクセスすることによる案件管理の阻害を防止するため、これらの情報#150365の実例は、レベル5セキュリティクリアランスを保有する局員のみ閲覧することが許可されています。閲覧に当たっては、当局の定める標準機能を備えた汎用シンクライアント端末を使用することができます。

オブジェクト#150365の追跡は、レベル5セキュリティクリアランス保持者による専任のチームが担当します。チームにアサインされた局員はオブジェクト#150365の活動を阻害しないよう注意を払ってください。適切なセキュリティクリアランスを保持しない局員については、オブジェクト#150365に関するアクションは全面的に禁止されています。勤務時間外にオブジェクト#150365に接触した場合、速やかに案件担当者に報告してください。報告を受けた案件担当者は、人事部門まで報告してください。専任のチームが局員にカウンセリングを実施します。

対象#150365がオブジェクト#150365より受領した物品#150365については、これまでのところ顕著な特異性は認められていません。対象#150365との接触方法を鑑みて、物品#150365が回収されることはありません。物品#150365が何らかの特異性を示した、或いはその可能性を示唆した場合、プロトコル・ブロッサムに基づいて物品#150365は当局によって接収されることになっています。これまでのところ、プロトコル・ブロッサムが発令された記録は存在しません。

収集された対象#150365に関する情報には、レベル5セキュリティクリアランスを保有する局員のみがアクセスできます。当局とは直接関係のない個人を特定可能な情報が含まれるため、アクセスに当たっては当局の定める標準的な情報管理手続きに従う必要があります。


Subject Details:
案件#150365は、一定の条件を満たしている市民(対象#150365)が認識する未知の存在(オブジェクト#150365)、オブジェクト#150365との接触から始まる連続した事象(事象#150365)、事象#150365においてオブジェクト#150365から伝送される種々のデータ(情報#150365)並びに種々の物品(物品#150365)、及びこれらに係る一連の案件です。

少なくとも2013年頃から、利用者数の多いソーシャル・ネットワーク・サービスにおいて、本案件に関する情報が確認されていました。情報は「『青のホエルオー』を見つけると危険なゲームに参加できる」というような形で流され、それに興味を抱いた利用者が「青のホエルオー」を捜索する、という流れで拡散された経緯があります。これに一致する、または類似した情報が確認されたSNSとしては、本稿執筆時点で「Twitter」「Facebook」「Instagram」「微博」などがあります。これらより利用者数の少ないSNSにおいても「青のホエルオー」に関する情報が展開された可能性があります。

オブジェクト#150365は、「紫のホエルオー」が撮影された出所不明の写真です。「青のホエルオー」ではありません。写真は一般的なJPEGフォーマットで作成され、多くの場合解像度は1024x768、Exifをはじめとするメタデータは記録されていません。元はより大きな解像度だったものが縮小された形跡が見られます。自発的な意思に基づいて「青のホエルオー」を探す過程でオブジェクト#150365を視認し、かつ一定以上の希死念慮を抱いていると認められる人間は対象#150365となり、直後に事象#150365が開始されます。

事象#150365は、オブジェクト#150365から対象#150365に向けて実行するよう指示される「社会復帰プログラム」であり、またオブジェクト#150365から伝達される「タスク」の総称です。タスクはテキスト/画像/映像のいずれかの形式で対象#150365へ送信され、オブジェクト#150365はタスクを実行するよう対象#150365に指示されます。プログラムはこのタスクをクリアすることで進行し、また新たなタスクが割り当てられるという形で継続されます。

事象#150365のプログラムにおける具体的なタスクの抜粋は以下の通りです。


[事象#150365-11-2]
形式:画像
内容:「午前6時に起きて部屋の窓を開けろ」

[事象#150365-4-3]
形式:メール
内容:「見えるところに「自分のしたいこと」を書いた紙を張り付けろ」

[事象#150365-42-6]
形式:映像
内容:「家族と顔を合わせて話をしろ」

[事象#150365-7-10]
形式:インスタントメッセージ
内容:「部屋の外に出て風景を見ろ」

[事象#150365-15-12]
形式:インスタントメッセージ
内容:「近くの食料品店でチョコレートを購入しろ」

[事象#150365-22-18]
形式:画像
内容:「***(教職員の個人名)に考えていることを打ち明けろ」

[事象#150365-34-24]
形式:映像
内容:「かつて世話になった人間に直筆の手紙を送れ」

[事象#150365-1-30]
形式:メール
内容:「幸せに生きてから自殺以外の方法で死ね」


事象#150365が進行するに連れてタスクの内容はより困難になり、協調性や社会性を必要とする性質を帯びていく傾向にあります。対象#150365はあらゆる手段を講じてタスクを実行しようとし、それに際して周囲と社交性の獲得に際して必然的に起こりうる衝突や軋轢が発生することがありますが、これは通常の情動に基づいたものであり、事象#150365やオブジェクト#150365が攻撃性を引き出しているという性質のものではありません。タスクを29回達成すると、オブジェクト#150365は天寿を全うすることを最後の指示として与え、以後対象#150365とは接触を持たなくなります。この時点で事象#150365は終了するものとみなされています。

対象#150365がタスクを達成するたびに、オブジェクト#150365は「褒美」として物品#150365を対象#150365に与えます。過去に確認された物品#150365としては、食料品/玩具/筆記用具/現金/プリペイドカードなどがあります。これらはいずれも非異常性の物品であり、基本的に容易に入手が可能なものです。一部に非売品が含まれていたケースが存在しますが、それらは単に非売品という形で市場に流通しているに過ぎません。

オブジェクト#150365は自分の意思を持っているかのような振る舞いをすることが確認されています。対象#150365に対して「『青のホエルオー』は簡単に見つかるが、俺のような『紫のホエルオー』はそうそう見つからない。お前はよほど運が悪いらしい」とメッセージを送るほか、タスクの実行に失敗した対象#150365に対して「失敗したから終わりだと思うか? そんなことは無い。何度だってチャレンジできるんだ」と伝達し、同じタスクに再チャレンジすることを促します。結果として、事象#150365の完遂まで決してプログラムは終わらず、対象#150365は例外なく社会復帰に至ります。

事象#150365に巻き込まれた対象#150365が例外なく正常な社会復帰に至っていることから、本案件は継続的にオブジェクト#150365を監視する体制を取るが、具体的な収容は実行しない案件として管理されています。本案件に関係する情報を得た局員は速やかに案件担当者へコンタクトを取り、情報提供を行ってください。

これまでのところ、オブジェクト#150365が語る「青のホエルオー」の実在は確認されていません。


Supplementary Items:
以下は本案件の統括担当者が記載した、オブジェクト#150365に関する性質及び公開ドキュメントの記載に関する注釈です。

オブジェクト#150365の性質にはいくつもの顕著な異常性が認められ、本来的には当局が収容すべき存在と言えます。しかしながら、その異常性は一貫して市民の社会復帰をサポートし、人生を平穏なものにする手助けをすることにのみ使われています。オブジェクト#150365は異常ではありますが危険ではなく、彼または彼女が起因となって何らかの事件・事故に発展したケースは確認されていません。オブジェクト#150365の存在は多くの市民を救いこそすれ害するものではなく、また当局に対する敵対的な姿勢も見られません。このことから、当局では長い議論を経て、オブジェクト#150365は監視対象とはしますが収容対象とはしないという判断を下しました。

一般局員に向けて公開されている文書の記述が本質と大きく異なっていることに疑問を持たれた局員もいるかと思います。これは、局員からオブジェクト#150365への必要以上に干渉することを予防するための措置です。オブジェクト#150365を危険な存在、案件担当者以外は接触すべきでない存在とすることにより、オブジェクト#150365による対象#150365の社会復帰支援を妨げさせないことを目的としています。また前段の取扱手順の記載については、オブジェクト#150365が局員に接触したということは当該局員が強い希死念慮を抱いていることを示すものであり、それは当局が直ちに当該局員を支援しなければならないことを意味することによるものです。

最後に、担当者より一言申し添えておきます。オブジェクト#150365は異常ではありますが、危険ではありません。このような取り扱い方針もまた、当局のポリシーとして矛盾しないものであることをご認識いただければと思います。