マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.161] SpecialEpisode-7(6) 投稿者:あゆみ   投稿日:2011/01/04(Tue) 13:45:38   55clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

SpecialEpisode-7「ロケット団!ナナシマに賭けた野望!!」

(6)

私はついにネイス神殿の中に足を踏み入れていった。
古代人が残した遺跡。その名残は長い間海に沈んでいながらも、色濃く残っていた。普通なら海水で錆びてしまっているかもしれないが、何と言う科学力だったのだろう。ホウエン地方の神話に伝わるグラードン、カイオーガ、レックウザの壁画。シンオウ地方の神話に語られているディアルガとパルキアの壁画。さらにはイッシュ地方の神話にあるレシラムとゼクロム(※)の壁画までもが描き残されていたのだ。
「素晴らしい!陸、海、空を司るポケモン。時間と空間の神と呼ばれるポケモン。そしてイッシュの建国神話に語られるポケモンまでもが今に残されているのだ!」
それらの壁画を見ながら通路を進んでいく。さらに進んでいくと上下左右にせわしなく行き来する立方体のところにたどり着いた。
(これに乗っていけば一番奥までたどり着けるんだな。よし。)
私は恐る恐る乗ってみた。すると立方体はきわめて安定した動作を見せていた。
立方体がたどり着いたのは、不思議な紋章が刻まれた扉だった。この先にはどうやっても進めそうにない。
(待て。ダイヤモンドをここにかざせば・・・。)
私はふと思ってダイヤモンドを扉にかざしてみた。すると、扉が音を立てて開き、奥に続く道が開けたではないか。
そして奥に進む。そこは神殿の中央部。祭壇の間だった。
「ここがネイス神殿の中心部。素晴らしい。古代人の知識はすべてここに結集していたのか。見ろ。私はこの世界の王となるのだ!はっはっはっ・・・!」
古代の民の科学力がなしえたネイス神殿。それはポケモンが使うあらゆる技を増幅してこの神殿から打ち出すことができる装置を備えていたのだった。しかも全方位、あらゆる方向を見渡すことができるヴィジョンを使えばどこに誰がいるのかも一発でわかるのだ。
もうロケット団どころではない。私がこの世界を支配することができるのだ。それも、私の思いのままにだ。
(おや?)
ヴィジョンが海の盛り上がりを映し出していた。そこから大きな鳥のポケモンが飛び出してきたではないか。ルギアだ。オレンジ諸島やジョウト地方に伝えられる、海の神と言われるポケモン。早速お出ましか。
「ちっ、いまいましい。古代文明の技術を集めたネイス神殿。その力を甘く見てもらっては困る!海の神といえど私の敵ではない!食らえ!」
私はダイヤモンドを石版にかざした。するとたちまち強力なビームがルギアに向かって放たれた。
ルギアは攻撃を巧みによける。そして後方のヴィジョンにまた別のポケモンが現れた。ジョウトやカントーに伝わる虹色のポケモン、ホウオウ。だが虹色の翼も私の敵ではない。
「ホウオウもお出ましか。ならこれでも食らえ!」
石版にダイヤモンドをかざすと、水の大砲が勢いよく放たれ、ホウオウを牽制した。
「いまいましい!海の神や虹色の翼が現れようが、この私の敵ではない!」
強烈なビームがルギアを、水の大砲がホウオウを牽制する。だが攻撃それ自体が命中しない。敵も然る者というところだろう。
と、そのときだった。ダイヤモンドが私を貫き、後ろの壁に向かって一筋の光を放ったのだ。
「何だ!?」
後ろを向くと、ダイヤモンドの光は壁を貫き、その向こうに向かって差し込んでいるのだ。この壁の向こうに何があるのだろう。
「この奥にもまだ何かがあるのか。この私にその姿を見せよ!」
すると、どうだろう。壁が独りでに開き、通路が姿を現したではないか。
通路を進むとそこには大きな宝石がはめ込まれていた。ネイス神殿を支えていた、ダイヤモンド、パールと並ぶ第3の宝石、プラチナだった。
「これは・・・!ネイス神殿を支えていた古代の宝石、プラチナか!」
プラチナ。それはネイス神殿の伝説にも記載されていなかった。だが、ダイヤモンドやパールと対になる第3の宝石として、その名はしばしば古代遺跡の文献に登場していたのだ。
「プラチナとダイヤモンドが反応している・・・!この私こそがこの世界を支配する王なのだ!」
そうだ。この私こそが世界を支配するのだ。もうロケット団に縛られている必要などない。ミカサやコイチロウを始め、ここまで足を伸ばしてくれた団員、本当にご苦労だった。
お前達など、もう用はない。

だが、ミカサやコイチロウなど、ロケット団員の一部はのこのこと自分たちから足を運んでくれたのだ。
だが私はこの神殿の王。直接足を運ぶまでもない。
「ようこそ、諸君。」
「ケイ様!?」
「どこにいるのです!お姿を!」
ミカサとコイチロウの驚く姿が見て取れる。私の姿は下の展望台にも現しているが、この姿は実像ではない。今更本物が姿を見せに行くなどおこがましい。
「お静かに・・・。」
「おい、どうしてケイ様が上から・・・!?」
「どうなされたのです、ケイ様!?」
「君たち、言葉を慎み給え。ネイス神殿の正当なる後継者たるこの私の声が聞こえないのか!?」
団員が驚くのも無理はない。この後に壮大なプレゼントが待っているのだからな。
「ケイ様!気でも狂ったのですか!?」
「姿を見せて!」
「はっはっは。ネイス神殿の復活を祝って、この神殿に秘めたる力を見せてやろうと思う。ルギアとホウオウよ、これでも食らえ!!」
私は石盤にダイヤモンドをかざした。すると黒い闇の固まりが放たれた。
闇の固まりはルギアとホウオウに向かって襲いかかっていく。ルギアとホウオウもエアロブラストやせいなるほのおで抵抗するが、その程度で弾き返せるわけがない。たちまち闇の餌食になってしまった。
「古代人が作り出した、ポケモンを捕らえ、思いのままに操ることのできる空間だよ。これでルギアとホウオウは俺のものになったのだ!」
「ケイ様、やはりあなた様はロケット団の新しい時代を築くのにふさわしいお方です!」
「ロケット団が新しい時代を作るのです!」
お前達、ここまでなって何を言う。・・・もうお前達と構っている時間などないのだ。ここで消えてもらおう。
「お前達のあほ面には心底うんざりさせられる。・・・お前達はもう必要ないのだよ。」
「えっ!?今なんと仰いました?」
命乞いでもするつもりか。
「帰れ!!」
ダイヤモンドをかざすと、団員が立っている足下が開き、そのまま団員達は真っ逆さまに海に向かって落ちていった。今の私にとって、お前達はもうただの足手まといだ。

だが今度は飛行艇の団員達が邪魔だ。
案の定ポケモン達を出して神殿に攻撃しているが、ルギアやホウオウの攻撃でもびくともしないこのネイス神殿、お前達が束になってかかったところで全く痛くもかゆくもない。
「はっはっは、その程度の攻撃で私に刃向かおうというのか。おもしろい!」
私は石盤にダイヤモンドをかざす。と、強烈なビームが飛行艇に向かって一直線に放たれた。
ビームの直撃を受けた飛行艇は大爆発を起こして墜落していく。
「はっはっはっ。人やポケモンがみんなゴミくず同然だ!私に刃向かうとこうなるのだ!」
そうだ。今やこの私にかなうものなどいるわけがない。しかしそこに、またしてもあの小僧一行が現れたのだ。
小僧一行は6人に増えていた。ミカサやコイチロウが点の穴で見かけたという年上の男。そしてもう1人、ノースリーブの長いドレスを着た、ツインテールを輪っかにした特徴的な髪型の女だった。
「お前、よくもほかの団員を!」
「おとなしくダイヤモンドを返して!」
「お前のしたことは許されることではない!そのダイヤモンドを今すぐ返すんだ!」
「あなたはロケット団の幹部に居座る資格も、いやポケモントレーナーとしての資格もないわ!」
「四天王としてだけじゃない。一人の人間として、あなたを許すことはできないわ!」
「今すぐこの神殿を元に戻して!そしてダイヤモンドを、おとなしくあたし達に渡して!」
6人とも必死になってほざいている。だがそれはどうだろうか。
言いながら私はダイヤモンドを石盤にかざした。するとルギアとホウオウが姿を現した。ダイヤモンドの力で私の思いのままに操ることができる。
「行け、ルギア、ホウオウ!」
ルギアははかいこうせんを、ホウオウはせいなるほのおを放って小僧達に襲いかかった。小僧達はルギアとホウオウを解放するつもりなのか、サーナイトやメガニウムに続いて、エーフィ、ニドキング、エルレイド、カメックスと、一番のパートナーとおぼしきポケモンを続々繰り出してきた。
「サーナイト、サイコキネシスで打ち返すんだ!」
「あたしも行くわよ!エーフィ、サイコキネシス!」
「エルレイド、サイコカッター!」
「メガニウム、はっぱカッター!」
「ニドキング、ヘドロばくだんだ!」
「カメックス、ハイドロポンプよ!」
ポケモン達は強力な技を繰り出してルギアとホウオウ、そして私の持つダイヤモンドを狙っている。だがこの程度の技では大したことはない。
さらに小僧はガバイト、小娘はビブラーバを繰り出す。2対8という圧倒的不利な状況だが、所詮進化の第2段階にあるポケモンだ。ルギアとホウオウごときにかなうわけがない。
「こしゃくな!行け、ルギア、ホウオウ!」
ルギアのハイドロポンプとホウオウのじんつうりきがガバイトとビブラーバを吹っ飛ばす。
「負けるな、ガバイト!」
「ビブラーバ!」
「所詮伝説と呼ばれるポケモンには、どのポケモンもかなわないのだよ。やれ!」
それでも立ち上がろうとするガバイトとビブラーバに対してルギアはハイドロポンプ、ホウオウはだいもんじを繰り出す。お前達が束になったところでこの神殿はお前達のものにはならない。まだ分からないのか。
だがガバイトとビブラーバが突然白く光り始めた。進化だ。見る間に姿を変えていき、ガバイトはガブリアス、ビブラーバはフライゴンに進化したのだった。
「行くよ、ガブリアス!ハイドロポンプを跳ね返せ!」
「行くわよ!フライゴン、だいもんじを跳ね返して!」
ガブリアスとフライゴンはハイドロポンプとだいもんじを受け止めてしまったではないか。
「あたしも協力するわ!エーフィ、ハイドロポンプをサイコキネシスで跳ね返して!」
「私も行くわよ!メガニウム、だいもんじにエナジーボール!」
さらにサイコキネシスとエナジーボールが加わり、ハイドロポンプとだいもんじは容赦なく跳ね返されてしまう。
「何をするんだ!?」
「今よ、カメックス!ハイドロポンプ!」
そこにツインテールを輪っかにした女がカメックスにハイドロポンプを出した。私の右手にハイドロポンプが命中、ダイヤモンドが手からこぼれてしまった。
「お願い!今度こそ取り返すのよ、メガニウム!つるのムチ!」
「させるか!」
四天王のメガニウムがつるのムチを繰り出す。お前達にダイヤモンドとプラチナは渡さない。だがつるのムチの方が一歩早かった。
「待て!」
私は必死になってつるのムチにしがみつく。そうこうしているうちにダイヤモンドがつるのムチからこぼれ、高く宙を舞った。
「ああっ!ダイヤモンドが!」
「僕が取りに行く!」
たちまち小僧がダイヤモンドをキャッチ。小僧の手にダイヤモンドとパールが渡ってしまった。だが私にはまだもう1つある。そうだ、プラチナだ。
「そのダイヤモンドを確かに持ってろ!ダイヤモンドがなくても、私にはまだこの宝石がある!ネイス神殿を支えるもう1つの宝石、プラチナがな!」
だがダイヤモンドが小僧の手に渡ってしまい、ルギアとホウオウは急に表情を変えていくではないか。見る見るうちにルギアとホウオウの怒りが収まっていく。まさか・・・。
「このネイス神殿は滅びぬ。何度でもよみがえる!人とポケモンの共存を超えたネイス神殿こそ、人とポケモンの進化の理想型なのだ!」
そうだ。ネイス神殿は何度でも蘇る。人とポケモンの進化の理想型だったネイス神殿。それの王者は私だ。私に刃向かうと言うことがどうなるか、お前達も見ていただろう。
私はバンギラスを繰り出した。ダイヤモンドとパールを取り返すのはお前の役目だ。
「バンギラス、はかいこうせん!」
バンギラスははかいこうせんを繰り出して小僧達に襲いかかる。だが・・・。
「サーナイト、サイコキネシス!」
「エルレイド、サイコカッター!」
「エーフィ、でんじほう!」
小僧達もサイコキネシスやサイコカッター、さらにはでんじほうを放って応戦する。しかし勢いが強すぎた。バンギラスは後ろのプラチナの柱まで吹っ飛ばされてしまい、勢いで柱からプラチナが落ち始めたのだ。
「バンギラス、プラチナを!」
「メガニウム、もう1度つるのムチ!」
バンギラスがプラチナに飛びつく。だがつるのムチの方が早く、プラチナもまた小僧達の手に落ちてしまった。
「ほう、お前達がその宝石を使うというのか。だがお前達が使って何になる!」
お前達にこの宝石の使い道が分かるというのか。時間を与えよう。
小僧、小娘、イブニングドレスの女が宝石を1つに重ね合わせる。お前達の宝石の使い方というのを見せてもらおう。だが次は私の番だ。
「ダイヤモンド!」
「パール!」
「プラチナ!」
「その力を解き放って!!」
「ギャーアアス!!」
「ギャシャーッ!!」
小僧達の声とルギア、ホウオウの声が1つに重なる。と、次の瞬間、宝石から今まで見たこともない強烈な光が発せられたのだった。
「ああぁっ、がぁ!」
私にとってその光はあまりに強すぎた。強烈な光をまともに受けた私は目が見えなくなった。単にくらんだだけなのか、それとも失明してしまったのか。
「あぁぁ!目が、目がああぁぁ!!」
どこともなく壁伝いに歩いて行く。だがもう何も見えない。
「あ、あぁ!目が、あっああああ、あぁぁぁ!!」
手で壁伝いに歩いていたが、私は足場が落ちているのに気づくわけもなく、そのまま真っ逆さまに落ちていったのだった。

瓦礫とともに海に向かって落ちていくのが私にも分かる。両手、両足をばたつかせているのが分かるが、私の意識も次第に遠ざかっていく。
(サカキ様・・・。ナナシマでの任務は失敗でした・・・。)
ロケット団がナナシマで進めていた野望。そして私の野望もまた、瓦礫とともに崩れ落ちていったのだった。
(だが、ジョウトの伝説にあるシント遺跡。あの遺跡につながる伝説が、ジョウト地方に眠っている。私の後の任務は、ジョウトの幹部がやってくれるだろう・・・。)
そこで私の意識は完全に遠のいていった・・・。

(※)「レシラムとゼクロムについて」
この物語は概ねChapter-19からChapter-22までの期間であり、本編を書いていた当時はハートゴールド・ソウルシルバー発売直後だったため、ブラック・ホワイトの情報は全く出ていませんでしたが、ここでは壁画にレシラムとゼクロムの絵が描かれていたものとします。

SpecialEpisode-7、完。


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