マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.191] Section-4 投稿者:あゆみ   投稿日:2011/02/09(Wed) 18:29:50   49clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

隕石落下から数日、シンジ湖周辺では、警察部隊やポケモンレンジャーが賢明な捜索活動を行っていた。だが、活動の甲斐もなく隕石本体は未だに発見できていなかったのである。
「これだけ探しても見つからないって言うことは、隕石は落下するときに全部燃え尽きてしまったのかなぁ?」
チヒロがアスカに尋ねる。
「その可能性も否定できないわ。だけど、この近くに落ちたって言う情報は、たくさん寄せられているわ。だから、探せばきっと見つかると思うわ。」そのとき、上空に緑色のオーロラが光り始めたのである。
「あれは!?」
「オーロラだわ!」アスカが思わず空を見上げる。「シンオウでもオーロラが見られるのはかなり珍しいわ。どうしたのかしら。」
緑色のオーロラ。それはシンオウよりもさらに北の地方――現在のところゲームやアニメでもそれを明示する地方の名前は取り上げられていないが――でよく見かけられる。これは太陽からの磁気嵐を主な起因としているのだが、多くの場合、シンオウで見られるのは微弱な、それも赤いオーロラである。これほどはっきりと緑色のオーロラが見られるのはシンオウ地方ではかなり珍しいことである。
そこにキャプチャ・スタイラーにボイスメールが入る。
「アスカさんとチヒロさんですね。あなた方にお会いしたい方がいらっしゃるそうです。」
声の主は作戦本部のオペレーターだった。
「あたし達に?」
「はい。今回の隕石とオーロラの関係について、詳しくお話ししたいそうです。」

その人物がアスカ達にコンタクトする場所として指定したのは、作戦本部として設営されたテントの前だった。
アスカとチヒロがしばらく待っていると、白衣をまとった研究者とおぼしき人物が現れた。
「初めまして。私はナナカマド博士の助手をやっているコレキヨと言うものです。」
「あたしはアスカ。ポケモンレンジャーです。」
「同じくチヒロです。」
「今回の隕石ですが、どうも通常の隕石とは違う性質があると思うのです。」
「通常の隕石と違う性質・・・?」
アスカがコレキヨの言った言葉に思わず聞き返していた。
「はい。この隕石はこれだけ探しているというのに未だに本体が発見できない。おそらく普通の人が聞かれたら、大気圏に突入するときに本体のほとんどが燃え尽きてしまったと考えるのが筋だと思います。ですが、私はそうとは思いません。」
「と言いますと・・・?」
隕石が燃え尽きたというわけではない。コレキヨの言葉は1回聞いただけでは信じられるものではなかった。チヒロも思わず耳を疑う。
「私は、この隕石は落下した後、自力で移動しているのではないかと思うのです。」
「えっ!?」
アスカとチヒロは思わず互いの顔を見合わせていた。隕石が自力で移動する。そう言う話をこれまで聞いた人が、一体全体どこの世の中にいるというのだろうか。そもそも普通の人が聞いたら、このコレキヨと言う人物は頭でもおかしくなっているのではと考えるだろう。
「このマップを見てください。」コレキヨはそう言って、携えていたシンオウ地方の地図を広げた。「これは、ここ数日間に発生した、怪奇現象とでも言うべき出来事が起きた地点をまとめたものです。」
それは隕石のニュースと平行して、しばしば流されていることだった。――隕石落下と呼応したのか、シンジ湖周辺ではガラス瓶などがあっという間に消失しているという妙な現象が数件報告されていたのだった。ポケモンレンジャーもこの怪現象を解明するべく、一部のレンジャーをこのミッションに回していたのだったが、どういう訳か手がかりをつかむことができなかったのである。
「どう言う訳か知りませんが、おいしいみずやサイコソーダ、ミックスオレ、モーモーミルクなどを詰めるのに使うガラス瓶や、各所との通信に使う光ファイバー網が、なぜか跡形もなく消失するという現象が、ここ数日のうちに相次いで報告されているのです。」
さらにコレキヨは続ける。
「しかも、この地図を見ていただければわかるかと思いますが、消失ポイントが次第にコトブキシティに近づきつつあるのです。」
すでにコトブキシティの郊外にまでそのポイントは広がっていた。しかも不気味なまでにはっきりと方向が一致しているのである。このまま進むとコトブキシティの中心地に達しかねない。
「チヒロ、この隕石はただの隕石ではないかもしれないわ。気をつけようね!」
「うん。でもお姉ちゃん、あたし、ちょっと怖いの・・・。」
チヒロは表情では落ち着いていることを装いつつも、その心はどことなく不安に彩られていたのだった。

〈このお話の履歴〉
2011年2月6日、ポケ書内ポケボード・ラティアス部屋にて掲載。


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