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  [No.236] 夢みるトウトウ☆ハートブレイク 投稿者:CoCo   投稿日:2011/03/20(Sun) 02:55:44   73clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 

 ――そうだ、ポケモンマスターになろう。

 絶対なろう。何がなんでもなろう。どんな手を使ってでもなろう。最悪試合前にチャンピオンや四天王の皆さんが使われる水道に下剤を混ぜて猛烈な便意をもよおさせておきながらなおかつバトルを断れないような状況を作ってでもなろう。
 いいんだ俺はチェレンと違って強くなりたいわけじゃない。ポケモンマスター、イッシュの頂点、それで足りなければ全世界のポケモンバトルのカリスマ、その称号だけあればいい。
 実を言うと、そこまでポケモンが好きなわけでもない。実を言うと。進学が面倒だから旅には出ようと思っていたけど、まあ適当にポケセンで寝泊りしながらバトったりなんだり好きにやっちゃえばいいかなと思っていた。
 しかし、もはや事情が違うのだ。

「トウコってさ、彼氏とかつくらないの?」
 ↑この一言を言うだけでもどれだけの度胸を掻き集めたことか。

「うーん、もう好きな人いるんよねー」
 ↑そしてこの一言にどれだけの衝撃を受けたことか(しかし後に「実はトウヤなんだー」って続いたりしないかなあと一握りの期待を持っていたためまだ石にはならなかった)。

「えっ、誰」
「なに、知りたいの」
「いっ、いや、ちょっと気になるけどさ」
「聞いてもばかにしないでよ?」
「うん」
「……チャンピオン」

 は? 何の?
 って聞くじゃん。聞くよね。普通聞くよね。

「いまは……プロレスかなぁ」

 彼女はまったく素直な顔で言った。

「プロレス……? いまは?」
「うん。このあいだのマキシマム仮面戦で勝ってたゴッド沢村さん」
 知らない。
「強い人が好きなんだよねー。チャンピオンとか。いろいろ勝ち抜いて一番になるってすごくない。かっこいいよねー」

 ものすごい衝撃を受けた。
 頑張るのも勝ちに行くのも面倒だし大変だし辛いしがっついてもみっともないから常に「まずまず」のランクに掴まっていられるよう、それなりの努力とそれなりのサボタージュを掲げてきた自分を一気に否定されたような、というかそういう人タイプじゃないわって言われたような。……いやいやぁ、あくまで好きっつっても憧れレベルなわけだしさぁ、何ら気にする必要は……でも「彼氏」っつって振って「チャンピオン」だよな、つまりどういうこと? まずまずに甘んじてるような男には興味ありませんってこと?

「だからさー、格闘技でも、スポーツでも、ポケモンでもやっぱりチャンピオンだよ」
 俺は半分息をしていなかったので、後に続くトウコの「チャンピオン語り」はほぼ耳から耳へ抜けていってしまった。が、ぎりぎりで鼓膜に引っかかった「カントーのすごいポケモントレーナー」の話だけがやや記憶に残った。チャンピオンを倒しながらもさらなる高みを目指して連盟への参加を断った少年がいるらしいと。それを彼女は「とても素敵だ」と言ったような気がする。
 そして、それぐらいなら出来るんじゃないかと、閃いた。
 正直言って運動は苦手中の苦手である。恥さらし必須の運動会では一週間前から欠かさず雨乞いをする(テニス部に所属していたトウコが短距離走を難なくこなしているなか、みっともなく同級生に抜かされていく自分の姿を彼女に晒すのはものすごく苦痛だった)。勉強も頑張れば少しは違うのかもしれないが、頑張る才能というやつが俺にはないのだ。続かない。
 しかしポケモンならば?
 つまり強いポケモンを捕まえて、そいつを鍛えるだけで、自分はなんら身体を鍛えたり脳を酷使したりする必要はないのだ。なんてラクチンなんだポケモントレーナー、将来は絶対ポケモントレーナーになろうとは前々から思っていたが、先日の適正診断で担任に「ポケモンと息が合っていて素晴しい。トレーナーの素質があるよ」と言われ、実際に模擬戦でも好成績を収めた俺ならば死ぬ気で頑張ってなおかついろいろ……いろいろすれば、チャンピオンを倒すくらいなんとかなるかもしれない。リーグ常設の勝ち抜き戦中継なんか見ても、わりとぎりぎりまで四天王倒してる奴多いし。まだチャンピオンを拝めた奴は見たことがないが、四天王戦なんかもよくよく見てみればポカミスとかで落ちるのばっかりだし、あれなら俺でもいけるかもしれない。少なくとも今まで見た中では、そんなに強いトレーナーって居なかった。どいつもポケモンといちゃいちゃしてるだけ。あの様子ならぜったい俺のほうがバトル強くなれる。
 とりあえず、ポケモンならイケる。ポケモンマスターになろう。そう思った。
 彼女に告白するのはその後にしよう。そうだ、チャンピオンを倒した後、インタビューとかで「彼女にこの勝利を捧げます(キリッ」とか言うのも……いやいや、さすがに痛いか。チェレンじゃあるまいし。
 ともかく全ては明日だ。明日トウコの家に送られてくるポケモンを貰って、トレーナーになる。そしてもう学校に行くことも宿題に追われることもなく自由に旅をして、ジムリーダーぶっ倒しまくるんだ……。


【夢みるトウトウ☆ハートブレイク】


 そんなことを考えていたらなかなか眠れず、いつの間にか布団で時間が過ぎていた気がする。
 せいか。寝坊した。
 ぬくぬくと暖かい布団の中からみょうに明るく感じる部屋を見回し、ねみーとか思いながら身体をむくり起こして、何者かの手によって止められている目覚まし時計を見る。
 10:34。集合時刻は9:00。
 うん。過ぎてる(笑)。
 ……笑えねえよ! えっなにお母さん起こしてくれなかったの!? 普段口うるせえくせに大事なときに使えないな畜生! 着替え! 顔! 朝飯! うわああああああああああ



***
【描いてもいいのよ】
【批評していいのよ】


 注意書き。
*原作のキャラクター(主人公、チェレン、ベルなど)が作者のたいへんな曲解を受けて登場します。
*調理済みのポケモンが食卓に出されます。
*登場人物による品のない発言がたびたびございます。
*作者は連載ものを五話以上続けられた経験が生涯通してたった一回しかございません。
*それもそのはず、基本的に見切り発車で今後の展開とかほとんど考えていません。
*黒い雨? ああ、そんなものも降ったね。
*早くも二の舞を踏みそうなかほりがします。

 暇つぶしにホワイトを最初からやり直した結果、このような事態を招いてしまったことをたいへん遺憾に思います。
 読んでしまったみなさま、本当に申し訳ございません。
 勢いでやった。今は後悔している。しかし公開している……。

 とりあえずまずは五話書けるように、頑張ります。
 


  [No.237] トウヤ君の勢いにハートブレイクしました。 投稿者:巳佑   投稿日:2011/03/20(Sun) 03:48:52   47clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

夜分遅く、失礼します……巳佑という者です。まず、作品に一言、叫んでいいですか?
「おもしれぇぇぇ!!!!」

夜中に騒いで申し訳ありません……でも、トウヤ君に一言、叫んでいいですか?
「(自分は弱者で説得力ないですが)ポケモンなめるなよ!!!!」

腹筋に刺激がいきました。タイトルだけでもインパクト大でしたのに、内容までインパクト大!
そしてトウヤ君のポケモントレーナーになりたい動機が……まぁ、気持ちは分かるような分からないような。(汗)
この先トウヤ君は大丈夫なのでしょうか? なんかチャンピオンになる為にあの手この手を使いそうな予感がしまして……でも、トウヤ君に謎の期待をしている自分がここにいます。(笑)



続きを楽しみに待ってます。


乱文失礼しました。(汗)


【チャレン君やベルさんの登場も楽しみにしてます】


  [No.238] 感想がついた驚きにハートブレイクしました。 投稿者:CoCo   投稿日:2011/03/20(Sun) 14:05:31   47clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 
 巳佑さん、感想ありがとうございます。
 シラケた空気になるつもり満々だったので、

> 「おもしれぇぇぇ!!!!」

 嬉しさと驚きでハートブレイクしています。ありがとうございます。

> 夜中に騒いで申し訳ありません……でも、トウヤ君に一言、叫んでいいですか?
> 「(自分は弱者で説得力ないですが)ポケモンなめるなよ!!!!」
 うちのトウヤくんは人や物事をなめるのが趣味みたいです。

> 腹筋に刺激がいきました。タイトルだけでもインパクト大でしたのに、内容までインパクト大!
 全て勢いです。

> この先トウヤ君は大丈夫なのでしょうか?
 大丈夫です。

 続きを楽しみに……だと……
 まさかのお言葉をいただいてしまったので、続きも頑張ってみようかと思います。
 御一読ありがとうございました!
 


  [No.239] タイトルがすでにホイホイ 投稿者:No.017   投稿日:2011/03/20(Sun) 14:47:51   47clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

とりあえずタイトルに釣られて呼んだ。
トゥートゥーが出てくるのはいつですかw


【追記】
ん? もしかしてトウヤ・トウコのトウ?


  [No.240] これは伸びる 投稿者:あつあつおでん   投稿日:2011/03/20(Sun) 17:49:43   49clap [■この記事に拍手する] [Tweet]


 タイトルの陽気な匂いに誘われて閲覧してみたら、盛大に吹きましたw
 私の作品の主人公もいい加減な理由で旅をしていますが、トウヤ君のそれは潔いくらい適当だと思います。ただ、それだけに成長が楽しみでもありますよね。

 連載板にはこのようなお笑い要素を含んだ作品が少ないので、是非とも続きが見てみたいです。きっと良い作品になりますよ!


  [No.241] 調理済み!? 投稿者:ふにょん   投稿日:2011/03/20(Sun) 21:36:44   46clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

調理済みが食卓にでるって
            まさか
               食べちゃったり?  


なんてことをするんだっ
てヵ ポケモンって食えるの!? と部屋のなかで一人で吹いたふにょんです
たぶん、そーいう意味で言ったんじゃあないと思いますが。そうと信じたいのですが。どーなんでしょーね
とりあえず。次をお待ちしております。


  [No.242] 感想が本編の三倍でハートブレイク 投稿者:CoCo   投稿日:2011/03/22(Tue) 00:28:20   56clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 

 みなさん本当にありがとうございます。
 これだけ言われて一話で頓挫させたら心の底から罵ってくださいね。

>No.017さん
 まずはご一読に感謝を。

> とりあえずタイトルに釣られて呼んだ。
 計画通り

> ん? もしかしてトウヤ・トウコのトウ?
 そうなんです。
 しかしあくまでも見切り発車ですので、この後もしもトゥートゥーが出てきたら間違いなくこちらのレスのせいです。


>あつあつおでんさん
 吹いていただいて実に計画通りです。ありがとうございます。

>  私の作品の主人公もいい加減な理由で旅をしていますが、トウヤ君のそれは潔いくらい適当だと思います。ただ、それだけに成長が楽しみでもありますよね。
 そうですね、しかし成長まで書けるかしら……。

>  連載板にはこのようなお笑い要素を含んだ作品が少ないので、是非とも続きが見てみたいです。きっと良い作品になりますよ!
 ありがとうございます!
 連載板いちしょうもない作品になれるよう粉骨砕身頑張ります!


>ふにょんさん
 お読みいただき嬉しいです、ありがとうございます!

> 調理済みが食卓にでるって
>             まさか
>                食べちゃったり?  
 その まさか です
 そうでないと信じたい程度にポケモンを調理することが倫理的に許せない方はものすごく注意して読んでください。
 から揚げの材料はマメパおや、誰か来たようだ……。


 続きは現在、鋭意執筆中です。


  [No.500] ☆お前のポケモンねぇから! 投稿者:CoCo   《URL》   投稿日:2011/06/05(Sun) 14:15:22   49clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 

 ランニングシューズがなくたって運動神経がなくたって本気を出せばある程度は走れる。
 朝飯も身支度もぶち抜いて家を飛び出すと、後ろからお母さんの「ジャケット裏返しよー!」の声が追いかけてくるがうっせぇそんなの分かってんだよ! 直してる場合じゃねーんだよ! ちゃんと着てほしいなら定時に起こしやがれ!
 角を曲がってトウコん家の玄関にすがりつくと、二階からものすごい騒音が聞こえた。爆発的に鼓膜へ飛び込んできた音声をどうにかしてほどいてみると、ベルの叫び声と豚の鳴き声と何かが割れる音、ドタドタ壁を蹴るような音、そんなもんが何テイクも重なり合って断続的に聞こえる。家が揺れている。
 不意にトウコの声が凛々しく叫んだ。「たいあたりッ!」
 またどんがらがっしゃんと破壊音。
 まさか。
 あいつら……。

 驚くべきは、一階でトウコのママさんが普通にお茶を飲みながらテレビを見ていたことだ。
「おじゃまします」
「こんにちは、みんな二階よ」
「あの、揺れてますよ」
「そうねえ、テレビが見づらいわ」
 揺るぎない人だ。

 二階へ上がると、部屋の入り口でチェレンがこめかみを押さえつけていた。
「何やってんだお前」
「ふがいない自分を悔やんでる」
「そうか」
 悩める眼鏡は置いておいて部屋を見渡す。
 すばらしい惨状だった。家具が何もかも暴れ倒している。傾いた本棚からはだいたいの本が、引き出しが吹っ飛んだタンスからは衣服類が床に散乱していたため思わず下着の影を追ってしまった。なかった。
 埃の舞うなか、きゃあきゃあしながらベルは爬虫類に指示とも悲鳴ともつかないものを飛ばしていた。わけもわからず壁だの棚だの窓枠だのを駆け回る草蛇を、トウコのきびきびした声にしたがって子豚が追いかける。追いかけながらカーペットをぐちゃぐちゃに引きずった。
「たいあたりーっ」
 豚のほうが蛇のすばしっこいのを読んで壁の一角へ突進した。ちょうど走りこんできた爬虫類を壁との間にむぎゅうと潰し込んだのを見てベルがものすごく叫んだ。蛇が目を回して床に倒れ伏し、それでやっと騒動は終わった。
「ツタージャ……!」
 駆け寄ったベルが悲惨な顔でへなびた草蛇を持ち上げた。が、そいつはやられた割にはぴんぴんしている。ギュルルと思いっきり腕の中でバク転して尾っぽで飼い主の帽子を叩き落としてみせた。
「あだっ」
 倒れたベルをにゃははと笑いながらトウコが起こす。八重歯たまんね。
「すごい……すごい、すごい、すごぉい!」
 帽子を拾い上げついでに蛇を落としてもたつきながら連呼する。ベルの声は無駄にでけーので寝起きの頭にはちと響く。
「ポケモンったらこんなにちっちゃいのに! すごいね!」
「すごいねえー」
 ああトウコも笑ってら。眩しいなァ。
 部屋は目も当てられない有様だけどな。さすがに室内でポケモンバトルはないわ。
「それより二人とも、周りを見t」
「でもポケモンもだけど、トウコもすごい! ポカブと息ぴったりだったよ!」
「えへ、ありがとー」
「二人とも、話を聞k」
「ほんと模擬戦で自分のヨーテリーに手噛まれたどっかの眼鏡とは格が違うね!」
 注意しかけたどっかの眼鏡は、ベルによって的確に地雷を踏み抜かれて崩れ落ちた。
「違う、あれは直前にモモンの天然水をこぼしていたせいで……」
「へええ、チェレンったらトイレ入ったあと手とか洗わないタイプぅ?」
「違う!」
 ああ、トウコが豚抱いてけったけた笑ってら。屈託ないなァ。部屋ぐっちゃぐちゃにされても笑顔でいられる揺るぎないところがお母さん似だなァ。
「トウコ、おはよう」
 とりあえず爽やかな朝に笑顔は欠かせない。挨拶するたび友達増えるね。
「おはよートウヤ。どうしたの?」
「うん、華麗に寝坊」
「おめでとー」
 何がめでたいのかわからないけど可愛いからいいや。
「もうみんな選んじゃったよ。ベルがツタージャで、チェレンが青いタヌキ。あたしポカブね」
「へー」
 まあ眼鏡でいじめられ屋という点では青タヌキを所持する条件を十分にクリアしてるよなあいつ。
「ところでトウコ、俺のは?」
 何気なく投げた言葉だったが、そいつは意外と勢いよくトウコの額に刺さり、彼女を硬直させた。
 同時に空気も凍りついた。
「えっ」
「えっ」
 俺のポケモンは? と続ける前に同じトーンで返さないでほしい。何もいえなくなる。
 うすら寒いものを背筋に感じ、部屋中に散らかった衣類やら本やらを慎重に踏み越え(それでも踏んだシャーペンがきゅうしょにあたって悶絶した)、なんとか机のそばに転がっていた巨大なプレゼントボックスの前に辿り着き、それを引っくり返してみた。
 紙が一枚ぺらりと出てきた。
「緑のへびがツタージャ、赤いぶたがポカブ、青いラッコがミジュマルです。仲良く選んでね! アララギ」
 そうか。あれはタヌキじゃなくてラッコだったか。
 ところで俺のポケモンは?

「自業自得だよ。遅刻するほうが悪い」
「トウヤ正拳」
「ガッ」
 右拳に眼鏡が食い込む感覚。チェレンはたおれた。

 とりあえず分かったのは、アララギのクソババアには仲良く選ばせるつもりの欠片もなかっただろうということだけだ。



「どうしようトウコぉ、チェレンがしんじゃったよぉ」
「教会で蘇生させてもらえばいいんじゃないかな?」