マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.545] Section-13 投稿者:あゆみ   投稿日:2011/06/24(Fri) 02:32:48   46clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

アスカやチヒロを始めとするポケモンレンジャーの一団は、地下鉄線内に現れた謎のポケモン達をキャプチャしつつ、乗客達が取り残されていると見られる車両にたどり着いた。
「大丈夫ですか?」
アスカ達はヘルメットに取り付けていた電灯を照らして内部の様子を探る。
「お姉ちゃん、見て!」
チヒロが運転席を見つめながら言う。
「うう・・・。」
運転手とおぼしき人物の呻き声がした。
「生存者がいるわ!総員、運転席に!」
アスカの声と共に他のレンジャー達も運転席に駆け寄る。
「あのポケモン、まるで・・・これまで見たことのない・・・やつだった・・・。」
「運転手さん、しっかりしてください!」
「早く運転手さんを安全なところに運んで!あたし達は列車の中も見てみることにするわ。みんなも手分けして探して!」
「はい!」
運転手はどうにか自力で脱出したものの、まともに歩けるほどではない。レンジャー達に両脇を抱えられて駅の方向に向かっていく。それを見ながらアスカ達は車両の中に入っていった。

車両内部もさっきのポケモン達に襲われた爪痕が至るところに残っていた。電灯は消え、あちこちから火花がほとばしっている。
「誰か・・・助けてくれ・・・。」
「ううっ・・・。」
車内はあちこちから乗客達の呻き声が聞こえていた。とっさのことだったらしく、ポケモンを出してバトルする暇もなかったと見ていいだろう。
「落ち着いてください。あたし達はポケモンレンジャーです。乗客の皆様を救出にまいりました。」
「ポケモンレンジャーさん?私たちを助けに来てくれたのですか!」
電灯に照らされた乗客達の顔。それらの1つ1つに未知のポケモンに対する恐怖と怯えの表情がありありと浮かんでいた。
「お願いです。まだ奥にたくさんの乗客のみなさんがいらっしゃるんです。」
「あのポケモン達が私たちを襲った後、後ろの車両にも行ったんです。」
乗客達は口々にその体験を告げる。いつもと何不自由ない生活を送っていたのが突然未知のポケモンに襲撃されたのである。恐怖どころの問題ではないだろう。
「(・・・?)」
チヒロが電灯に照らされた乗客達の姿を見て、ふと疑問に思った。
「皆さんは、これから順番にレンジャーの方達の指示のもと避難してもらいます。さっきのポケモン、もしかしたらポケモンではないかもしれないですが、それらはまたいつ襲いかかるかもしれません。お怪我をなされた方がいらっしゃいましたら、病院で診察を受けてもらうことになります。・・・チヒロ、どうしたの?」
「お姉ちゃん、乗客の人たち、大丈夫そうな人もいればかなりぼろぼろの人もいるよ。さっきの運転手さんもひどくやられてたみたいだったわ。」
言われてみればそうである。薄暗くてよく分かりにくいが、ひどくやられた人もいれば、まだ大丈夫そうな人もいた。この違いはどこにあるのだろう。どこが被害の程度を分けたのだろうか。
「今はそれどころではないわ、チヒロ。確かに気になるところだけど、まずは列車に取り残された人を救出しなきゃね。・・・皆さん、指示に従って列車の外に出てください!」
そう言ってアスカが乗客達に避難を促す。乗客達も、ある者は自力で、またある者はレンジャーに支えられる形で車外に出ていく。
レンジャー達も車内を探して回りつつ、乗客達の救助を行っていく。5両編成の列車、始発列車と言うことからか乗客もさほどいなかったと見られるが、車内のあちこちから助けを求める乗客の声がしており、アスカ達もさっきのポケモンが飛来していないかと言った周囲の状況に気を配りつつ、それに呼応して乗客の救助に当たっていた。
救出された乗客達は順次救急車に乗せられて病院に搬送されていく。コトブキシティの市内は危険と言うことからか、郊外の病院に搬送されていった。
最後部の車両まで見て回り、乗客を残らず救出していくと、さらに後ろは妙なつるでがんじがらめになっており、向こうの様子をうかがい知ることはできなかった。
「(あれがデパートを突き破った草体の根っこね。)」
根っこの回りはあのポケモンが無数に飛び回っており、近づくことは容易ではない。今のアスカ達が近づいたら二次被害が甚大なものになってしまうだろう。
「(あれをどうにかできる方法はないのかしら・・・。)」
アスカは巨大な根っことそれの回りを飛び回るポケモンの姿を遠目で見つめながら思っていた。

〈このお話の履歴〉
全編書き下ろし。


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