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  [No.833] 第11話「地方大会1回戦」 投稿者:あつあつおでん   《URL》   投稿日:2012/01/03(Tue) 20:42:07   69clap [■この記事に拍手する] [Tweet]


「よし、そろそろ始まるぞ。さっさと準備しな」

「は、はい」

 9月12日、土曜日。俺達はタンバシティ所有の多目的コートに来ていた。もちろん試合に出るためだ。朝日がまぶしいぜ。

 俺達は試合が近かったので、ベンチに陣取り待っていた。周囲の目はひどいもんだ、仕方ないことではあるが。しかし、これに萎縮しちまっている奴が1人。イスムカは表情硬く、辺りにせわしなく目を泳がせている。

「なんだ、緊張してんのか? 頼りねえなあ」

「そ、そんなことはありませんよ。ね、ねえ2人共」

 イスムカはやや震えた声だ。おいおい、頼むぜ。

「ええ、私は落ち着いていますよ」

「オイラも大丈夫でマス」

 それに引き替え、ラディヤとターリブンは中々の強心臓らしいな。ターリブンに至っては鼻の下が伸びてやがる。呑気もここまで来れば、ある種の実力だな。

「……さて、冗談はこのくらいにしとこう。今日の対戦相手は超タンバ高校という新しい学校らしいな。まあ、こちらも人のことを言える程長くやってないみたいだが」

「実力はいか程なのでしょうか?」

 ラディヤが尋ねた。至極まっとうな質問だな。なにせ新しい学校、情報を集めるのは良いことだ。しかし、俺は腕組みし、眉間にしわを寄せながら答えた。

「それがな、どうも中々やってくれるらしい。俺達の学園に対抗心があるみたいで、例の件も奴らとの試合の後に公表されたそうだ。ちなみに、その試合はタンバ学園が勝っている」

「……なんだか、負けた腹いせみたいですね」

 イスムカが上手く反応してくれた。これで俺もスムーズに話を続けられる。

「だな。しかし、それでも俺達は前進するしかない。奴らに、俺達は何度でも蘇ることを教えてやりな」

「はい!」

「承知致しました」

「任せるでマス」

 3人とも力強く返事をし、ゆっくりコートの所定の位置に移動した。午前9時か……そろそろ試合だな。相手も準備できたようで、審判がこう宣言した。

「これより、秋期タンバ大会マルチシングルの部1回戦を始めます。対戦チームはタンバ学園、超タンバ高校。使用ポケモンは最大6匹。以上、始め!」

「いくでマス、ボーマンダ!」

「出番だ、パルシェン!」

 タンバ学園の再起を賭けた勝負の火蓋が切って落とされた。相手の1人目は確か、ムハンマドだったか。各校の1人目は試合前に提示されたから分かるぜ。……そう言えば、向こうの監督の姿が見えないな。今は気にする程ではないが。

 で、こちらの先発はターリブンだ。ターリブンはボーマンダ、ムハンマドはパルシェンが先発である。ボーマンダは、出会い頭にパルシェンを威嚇した。

「パルシェンたあ、いきなり勝負に出たな」

 俺は思わずつぶやいた。パルシェンは近年様々な技の発見により見違える程強くなったポケモンの1匹だ。例えば、スキルリンクの特性からのつららばりやロックブラストは、マルチスケイルを持つ俺のカイリューも耐えられねえ。さて、ターリブンはどう出るか。

「……氷タイプ相手には戦略的撤退でマス、メタグロス!」

 まずはターリブンが動いた。奴はボーマンダを引っ込めると、メタグロスを繰り出した。……良いんじゃねえのか? そんなことを考えていたら、ムハンマドもパルシェンに指示を出した。その声は自信に満ちあふれている。

「からをやぶるだ!」

「な、なんでマスと! か、殻が1枚になったでマス」

 パルシェンは突然蒸気を放つと、外側の殻を粉々に砕いちまった。……これで、また一段とゴースに近づいたな、なんて言ってる場合じゃねえ。からをやぶるはパルシェンの強さを支える技で、守りを犠牲に能力を上げることができる。メタグロスなら1発くらい捌けそうだが、奴の個体は……。

「あ、良く考えれば倒すチャンスでマスね。メタグロス、バレットパンチでマス!」

「……今だ、ハイドロポンプ!」

 ここでターリブンは頬を緩め、メタグロスを突っ込ませた。メタグロスは鋼鉄の弾丸の如く飛び、パルシェンを蹴散らそうと懸命に殴る。だが、守りを捨てた状態でもパルシェンの防御は伊達じゃない。バレットパンチを軽く受け流したパルシェンは、水の槍で反撃。真正面から食らったメタグロスは頭のバツ印の鋼板で弾こうとするものの、その勢いは尋常ではない。550キログラムの巨体は紙切れみたいに吹き飛び、そのまま気絶した。

「メタグロス戦闘不能、パルシェンの勝ち!」

「や、やられたでマスー!」










「試合終了! この試合、6対0で超タンバ高校の勝ち!」

「……なんてこったい」

 完敗だ。弁解の仕様は無い。俺達はさっさと荷物をまとめると、足早にその場を後にするのであった。



・次回予告

来年の飛躍を狙う俺達だったが、そこに待ったをかける奴が現れた。そいつは俺に難題をけしかけてきやがる。まあ、それは所詮一般的な難題。俺は必ず突破してみせる。次回、第12話「危険な事態」。俺の明日は俺が決める。


・あつあ通信vol.77

私は、高校生の頃部活で登山をやっていました。大会もあったのですが、トーナメント形式ではなく、得点で順位を競う形でした。県毎に基準は違いますが、大体速さ、炊事、マナー、読図、天気図、応急措置、知識、計画書、テント設営が対象ですね。得点は小数第1位まで競うので、年によっては0.1点差に泣くこともありました。登山の途中で食べる行動食は大抵飴やお菓子、カロリーメイト等ですが、中にはキュウリやバナナ、キウイ、果てはパイナップル丸々1個のツワモノもいました。

 ダメージ計算は、レベル50、6V、パルシェンやんちゃ攻撃252特攻172素早84振り、メタグロス陽気攻撃素早振り。パルシェンはからをやぶる1回で130族抜き、無振りメタグロスをからをやぶる1回からのハイドロポンプで確定1発となっています。また、メタグロスのバレットパンチではパルシェンを確定1発にできません。



あつあ通信vol.77、編者あつあつおでん


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