マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
このフォームからは投稿できません。
name
e-mail
url
subject
comment

[新規順タイトル表示] [ツリー表示] [新着順記事] [留意事項] [ワード検索] [過去ログ] [管理用]

  [No.928] Section-18 投稿者:あゆみ   投稿日:2012/03/25(Sun) 16:40:53   42clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

コトブキシティの中心街に出現した草体。それはついにまがまがしい花びらを開いたのだった。
その花からは野に咲く花びらにある美しさなどみじんも垣間見ることはできない。不気味な毒々しい色が見るものを威圧している。それはまるで、この星に与えられた針のない時限爆弾のカウントダウンを意味しているかのごとくそびえ立っていたのだった。
既に中心街からの避難は進んでおり、草体が万一爆発した場合の威力半径の目安となる半径8キロの範囲は、既に民間人の立ち入りは制限されていた。
そして、警察隊やポケモンレンジャーが合同で対策本部を置いているコトブキグリーンパークでは、いよいよ草体爆破のための準備が進められていたのだった。
「・・・この通り、コトブキネットレールのテレビコトブキ前とバンギラスデパートの間が、とりわけ草体の根っこに当たるものが根を張っていると考えられる区域である。ここに張っている根っこを破壊して養分の吸収を抑えることができれば、あるいは草体の種子放射、それに伴う大爆発は避けられるかもしれない。」
作戦部長を務めるのはレンジャーユニオン・シンオウ支部長のセイゾウ。総合指令本部が置かれたポケモンセンターを出て自ら指揮を執ることになった。
「既にコトブキシティとシンオウリーグはこの草体を爆破することを決定している。だが、まず準備段階として、この草体の根っこを破壊して養分の吸収を抑えなければならない。草体の爆破はその後の問題になるだろう。」
アスカやチヒロを始め、レンジャーや警察隊も固唾をのんでセイゾウの指示に耳を傾けている。
「作戦開始は今晩だ。それまでにしっかりと準備してもらいたい!」
「はい!」

そしてその夜、重装備に身を固めた警察隊とポケモンレンジャーが、バンギラスデパート駅の入り口に集結していた。
準備を進めている間にも、草体の活性化は進んでおり、いつ巨大な爆発を起こしてもおかしくないほどになってしまっていた。早く手を打たなければ最悪の事態は免れない。
「・・・配置につけ。諸君、これから草体の根幹部を爆破して、活性化の抑止を行う。だが、この爆破が上手く行くという保証はどこにもない。それでも根幹を破壊しなければ、最悪の事態が起きるのは言うまでもない。だから諸君、今回のミッションは一層の奮闘を要する。そこでだ、レンジャーの方々には今回特別なスタイラーを用意してある。」
そう言ってセイゾウは運ばれた箱からスタイラーを取り出した。――ポケモンレンジャーが使うスタイラーは、普通のキャプチャ・スタイラーのほか、主にアルミア地方に配属されたトップレンジャーが扱うファイン・スタイラーと呼ばれるものがある。だが、セイゾウが取り出したキャプチャ・スタイラーは、ファイン・スタイラーと形は似ているものだが、どこか違う。
「このスタイラーは、ファイン・スタイラーに改良を加えたアルファ・スタイラーと言うものだ。今回、未知のポケモンに対抗するため、コトブキ大学の協力を得て開発されたのだ。使い方は従来のスタイラーと同じで、キャプチャ・ディスクを操ってポケモンをキャプチャしていくことができる。だが、まだ試作段階と言うこともあり、用意されているのは3つだけだ。そこで、後の2つのアルファ・スタイラーを与えるレンジャーをこれから発表する。」
レンジャーたちに緊張した空気が漂う。
「まずはアスカ。」
「はい。」
アスカがセイゾウの元に歩を進め、アルファ・スタイラーを受け取る。
「続いてチヒロ。」
「はい。」
チヒロも続いてアルファ・スタイラーを受け取った。
「・・・2人には、今朝の地下鉄に残された乗客を救助するミッションにおいて尽力してくれた。だから今回はこの2人にアルファ・スタイラーを貸し与えることにする。そのほかの諸君も、今回の任務、しっかりと遂行してもらいたい!」
「はい!」
警察隊とレンジャー達が一斉に答えた。
「・・・では手順を発表する。改札からホーム、そして線路に降り、草体のところに向かう。途中、あの未知のポケモンが現れるかもしれないが、現れた場合は適宜キャプチャしていくこと。そして草体のもとにたどり着いたら、爆弾をセットして離れること。起爆装置はホームに設置されている。全員がホームに戻り次第起爆装置のスイッチを押せ。」
「はい!」
「では、ミッション開始!」
そう言うや警察隊とポケモンレンジャー達は一斉に階段を下りて地下鉄構内に入っていった。果たして、アスカとチヒロはアルファ・スタイラーを上手く使いこなすことはできるのだろうか。そして、草体の活性化を防ぎ、コトブキシティを壊滅の危機から救うことはできるのだろうか。

<このお話の履歴>
全編書き下ろし。


- 関連一覧ツリー (★ をクリックするとツリー全体を一括表示します)

- 以下のフォームから自分の投稿記事を修正・削除することができます -
処理 記事No 削除キー