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103 ラ・フラム 奏多


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 風車で有名なフウジョタウンだが、もう一つ有名なものがある。それは、歴代のカロスの王が戴冠式を行ったといわれる教会、ノートルダム大聖堂だ。この教会は、シャルトル大聖堂やアミアン大聖堂と並び、カロス内のゴシック様式の建築の最高傑作と称される。
なんといっても、この教会の見どころは、門から塔の上にまであるファザードの多くの彫刻の優美さであろう。ファザードというのは、建築物の正面のデザインの事であり、最も目につく場所であるため重要だとされる。ノートルダム大清掃と同年代の建築物の彫刻は、人間がメインに造られているのに対し、ここではポケモンと人間の協調が前面に押し出されて造られているのが、特徴だといえる。
 特に有名なのは、聖母マリアの物語を描いた、「微笑みの天使」であろう。この微笑みの天使は、トゲキッスを擬人化して作られたものだといわれている。優雅に広げられている翼と、その手にある一つのタマゴ。そのタマゴには、三角形の模様があり、それがトゲキッスを表しているという。ほかにも、最後の審判や、予言やイエスの十二人の弟子の物語の彫刻も描かれている。
 そしてこの大聖堂の、もう一つ有名な見どころ。それは、ステンドグラスだ。ゴシック様式の建築物において、ステンドグラスで作られた円形の窓を、バラ窓と呼ぶ。聖母マリアのことを「奇(くす)しきバラの花」と呼ぶため、教会でのバラ窓は、聖母マリアのことを暗示しているものだ。この大聖堂のステンドグラスは、世界で美しいステンドグラスベストスリーに入るほど素晴らしいものである。私個人の意見としてはには、正面のカロスの伝説のポケモンと三千年前の王の伝説を描いた壮大なステンドグラスよりも、西側にあるイーブイとその進化系を描いているものの方が好みだったりする。
 ところで、この大聖堂には、カロスを他国から守り抜いた聖女、ジャンヌ・ダルクも訪れている。ジャンヌと共に、この地を訪れたシャルル七世は聖別を受け、正式な王位後継者となったのだ。ジャンヌは、炎タイプのポケモンを連れていたという伝説があり、カロスのために戦った。だがその後、ジャンヌは炎の中で悲劇の死を迎えることとなるが。
 後世になって、この大聖堂にあるバラ窓が一つ作られた。炎タイプのポケモンと共に、炎の戦場で旗を持っている、美しい少女が描かれている。題は、「ラ・フラム」といい、カロスの言葉で炎を表す。その少女こそジャンヌ・ダルク。彼女を国の英雄として、多くの人に知ってもらうために造ったという。ギャロップにまたがり、キュウコン、ウインディ、マフォクシー、ファイアローなどのポケモンを従えている姿はとても力強く、美しいものだ。このバラ窓は、カロス国内でも一、二を争う人気のものだといわれている。
 あなたも、フウジョタウンに訪れた際には、ノートルダム大聖堂の隅々まで観光するのをおすすめする。