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107 Sweet Galette 穂風湊


PDFバージョン  フォルクローレに採用されると見開きの片側に絵がつきます。


 カロス地方は場所によって気候が異なるため、多様な特産品が見られます。例えば、レンリタウン周辺ではメェークルの移牧が盛んで、取れた乳から製造されたチーズを用いた料理が多い傾向にあります。チーズを白ワインで煮込んだフォンデュ・オ・フロマージュ(チーズフォンデュ)が代表例でしょう。キナンシティでは温暖な気候により、オレンジやブドウなどの生産が盛んで、ワインの生産量が多いのもこの地域です。
 このようにカロス特有の食品は、両手に収まりきらないほど挙げられます。またお菓子の種類も豊富なのがこの地域です。マドレーヌをはじめ、表面はかりかりと中はもっちりとやわらかなカヌレに、卵・砂糖・牛乳で作られた生地にさくらんぼを入れて焼き上げたクラフティー。最近ではチェリンボ型のクラフティーなんていうものも売られています。
 そして最も有名なのがガレット・ブルトンヌでしょう。「ミアレガレット」が焼き上げからたった数時間で売り切れてしまうのですから、その人気は素晴らしいものです。バターの香りにサクサクとした食感、そして甘くかつしょっぱい味付け。「ミアレガレット」がブランド品になっているため、ミアレシティのお菓子と思われがちですが、元々はブルターニュ――現在のシャラ・セキタイ周辺の伝統菓子なのです。
 なぜこのような味付けになっているのか、それはブルターニュの気候に関係があります。この地方は比較的冷涼な為、南の地域ほど小麦の育ちがよくありません。けれど広い土地を生かし、メェークルの酪農が行われたのです。12番道路のメェール牧場がその名残ですね。のびのびと育ったメェークルから取れた乳はレンリとはまた違った味わいが楽しめます。
 またセキタイ南部は海に面し、沿岸には塩田が見られます。機械を一切使わず、日光で海水を蒸発させるという伝統的製法で精製された塩はブランド品として他地方にまで輸出されています。この塩を用いていることがガレットのしょっぱさの理由です。
 さてガレットの紹介をしてきましたが、細かな点は場所によって異なります。ミアレは人気なだけあって食べやすいよう味が上手く調節され、シャラは塩味がよく利きその辛さが癖になります。シンオウではクッキーに近い甘い味の厚焼きとなっていて、ポフィンに変わる新しいポケモンのお菓子として注目が高まっています。
 ですが一番のお勧めはクノエのガレットです。菓子作りが得意というクノエジムのマーシュは、他のジムリーダーや四天王と一緒に、作った菓子を持ち寄ってお茶をすることがあると言います。そんな彼女がまれに街で配るガレットにはモモンやマゴなどの果実が使われ、季節毎の風味を堪能できます。
 そんな各地のガレットを食べ比べてみるのはいかがでしょうか。