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109 創世神話 あきはばら博士


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第一日。 初めに闇と大いなる水があった。神は「光よ。あれ。」と仰せられた。すると光が創られた。
 神はこの光を昼と名づけ この闇を夜と名づけられた。

第二日。 神は「大空よ。水の間にあれ。水と水との間に区別があるように。」と仰せられた。
 大空を造り 大空の下にある水と 大空の上にある水とを区別された。 神は、その大空を天と名づけられた。

第三日。 神は「水は一所に集まれ。かわいた所が現われよ。」と仰せられた。
 かわいた所を地と名づけ 水の集まった所を海と名づけられた 神は「地は植物、種を生じる草、種類にしたがって、その中に種のある実を結ぶ果樹を地の上に芽生えさせよ。」と仰せられた。

第四日。 神は「光る物は天の大空にあって昼と夜とを区別せよ。しるしのため 季節のため 日のため 年のために役立て。天の大空で光る物となり 地上を照らせ。」と仰せられた。
 神は二つの大きな光る物を造られた。大きいほうの光る物には昼をつかさどらせ 小さいほうの光る物には夜をつかさどらせた。また星を造られた。

第五日。 神は「水は生き物の群れが 群がるようになれ。また鳥は地の上 天の大空を飛べ。」と仰せられた。 神は 海の巨獣と その種類にしたがって 水に群がりうごめくすべての生き物と、その種類にしたがって、翼のあるすべての鳥を創造された。
 神はまた、それらを祝福して仰せられた。「生めよ。ふえよ。海の水に満ちよ。地は 地を這うもの 野の獣を生ぜよ。」と仰せられた。

第六日。 そして神は 「我に似るように 我のかたちに 人を造ろう。そして彼らに 海の魚、空の鳥 家畜 地のすべてのもの 地をはうすべてのものを支配させよう。」と仰せられた。
 神はこのように 人をご自身のかたちに創造なされた。神は彼らに仰せられた。「生めよ。ふえよ。地を満たし従えよ。海の魚 空の鳥 地を這うすべての生き物を支配せよ。 見よ。すべての草と 実を結ぶすべての木。また 地のすべての獣 空のすべての鳥 地を這うすべてのもの をあなたがたに与えた。」
 そのようにして神はお造りになったものをご覧になり。よしとされ なされていたわざの完成を決めて 神は眠りについた。

第七日。 神は目覚めた。 気が変わってそこで 新たに思い付いた。
 神は 生える草花 水に生きるもの 翼を持つもの 地を駆けるもの 自らに似せたものの他に もう一つの生き物を創ることに決めた。
 神は「我に似るように 我のちからに 生き物を造ろう。そして彼らは 植物 海の魚 空の鳥 地のすべてのもの 目にみえないもの 天の下に存在するすべてのものに 似せたすがたにしよう。」と仰せられた。
 そうして 森羅万象に似た さまざまな生き物を創造なされた。天と地とそのすべての万象が完成にこの第七日目を祝福した。 そして 神は眠りについた。


 解説:
 これはある地方にわずか記録が残された創世の神話である。
 一般な創世神話はポケモンが神格化されて神と呼ばれ崇められるポケモン達が登場することが主である。我が国でもシンオウの時空神やホウエンの陸海神などが有名である。だがこの神話ではそのようなポケモンの存在が見受けられず、創世者はポケモンではない普遍的な『神』という存在とされている。
 この神話において興味深いことは、人は地球上の全て支配を神より任せられているが、七日目に造られたポケモンは人から支配されることを神から任せられていない。人もポケモンも神を似せて創られたと書かれていることである。
 そこではポケモンの力に神の片鱗を感じながら、それを神格化し崇めることもなく、また支配し隷属することも無く、対等で独立した存在であると信じられていたことが分かる。