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12 天井渡り  リング(HP


PDFバージョン  フォルクローレに採用されると見開きの片側に絵がつきます。



 太陽を象徴するポケモンといえば、皆さんは一体何を思い浮かべるでしょうか?
 例えば、ジョウト地方に住む方ならばホウオウ、ホウエン地方に住む方ならばグラードンやソルロックと答えることでしょう。
 では、シンオウ地方では? これが、結構答えられない人が多いのですが、シンオウではヒードランと言うポケモンを太陽に見立てるのが一般的です。

 昔、地球の形というものが、球形をしているなんて誰も考えもしなかったころ。今では、バトルフロンティアが建設され、バトルの聖地となっているハードマウンテンの周辺に住む人々は、空は巨大なドーム状になっていると考えておりました。
 そして、太陽というものは、途方もなく巨大なヒードランが、その巨大なドームの天井を這い回っている姿であると考え、夜は同じく途方もなく巨大なクレセリアが優雅にドームの天井付近を飛んでいるものなのだと考えたそうです。
 ハードマウンテンに住んでいるヒードラン達はその子供とされて、それはそれは敬われた存在でした。

 洞窟を這い回るヒードランの姿を、まるで虫タイプのポケモンのようだと忌避する方もいますが、ヒードランを太陽神と考えていた人たちにとっては、天井を這い回る姿がむしろ神々しさの象徴であり、クレセリアと一緒に描かれた絵画や壁画も多数残っています。
 日食の日は、その二種のポケモンが天空で男女の営みを行うものと考えられ、子宝や夫婦仲の改善が望める吉兆とされていて、この地域では日食が観測できる日はコンドームが無料配布されるくらいには男女の営みが多くなるというのですから、この地域に根付いた信仰の深さを物語ります。

 そんな信仰が高じた結果、ドーム状の建物の壁や天井に楔を打ち込み、そこを男女で渡ることで恋愛成就の祈願が行われるようになりました。
 毎年、打ち込まれた楔を手がかりに、仲の良い恋人や夫婦が壁や天井を這い回る姿。下から眺めていると、最初は不気味かもしれませんが、実践してみれば非常に大変なので、不気味だ何だと考えている余裕もなくなることでしょう。
 かつては落っこちてしまえば怪我をしてしまうこともあったので、参加自体が勇気の象徴とされていましたが、今ではエスパータイプのポケモンが万が一に備えて待機しています。落ちてもいいので、カップルで記念に参加してみるだけでもいい思い出になると祭りを主催する神職のおじいさんは語ります。

 バトルゾーンと呼ばれるこの島に訪れ、バトルフロンティアやリゾートエリアで目一杯観光したあとは、ハードマウンテンのふもとにある寺院にて恋愛祈願をしてみてはいかがでしょうか? ハードマウンテンはパワースポットとしても名高い場所。きっと、貴方たちの仲にご利益があるはずです。