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131 人間とともに変化するポケモン リング(HP


PDFバージョン  フォルクローレに採用されると見開きの片側に絵がつきます。



 高度経済成長の時代、テレビ、冷蔵庫、洗濯機は三種の神器と呼ばれ、家事に追われる女性たちの心強い味方でした。もちろん、そう呼ばれる前の時代にはそんなものは存在しておらず、電子レンジなどの家具も、当然その頃にはまだ未登場でした。
 では、現代において電子レンジ、芝刈り機、扇風機、冷蔵庫、洗濯機というフォルムを取るロトムは、かつては一体どんな姿だったのでしょうか?
 例えば炎タイプのロトムは、かまどや暖炉に憑りついて炎を揺らめかせて悪戯を行いました。もちろん、火事にするような大げさないたずらは行うことなく、あくまで驚かす程度の悪戯で満足していたようですが、住まわせてもらっている家に外敵が現れた時には、全力で撃退する守り神的な側面もあったそうです。
 水タイプのロトムは、水車に憑りついておりました。水車に憑りついてぐるぐる回ることで作業の効率を高め、挽いた小麦粉などのおこぼれにあずかっていたそうです。同様に、風車に憑りついた飛行タイプのロトムもいました、こちらも、風力以上の作業をすることで、人間からおこぼれをもらっていたのです。
 草タイプのロトムは、脱穀の道具であるふいごと呼ばれるもみ殻を吹き飛ばす装置や、脱粒の道具である扱き箸、千歯扱きといった農具に宿っておりました。こちらは、かまどと同じく、突然動き出すことで人を驚かすことを楽しんでいたようです。
 氷タイプのロトムはと言えば、雪国での活躍が多かったようです。彼らは、雪国での移動手段となる犬ぞりなどに憑りつき、浮かんでみたりして遊んでいました。時には人間が廃棄したそれらに憑依して浮かべて楽しんでいたこともしたようです。サンタクロースや、北欧で信仰される雷神トールの乗り物も、このロトムの目撃証言が元になっているとする資料も見られます。

 それよりも前。人間がまだ石斧などを使い、裸に近い恰好で洞窟に暮らしていた頃までさかのぼっても、壁画には石斧や火のついた薪に憑りついたロトムらしき姿が描かれるなど、ロトムと人間のかかわりは予想以上に古く、その頃のロトムを復元できないか、また新しいロトムを作り出すことはできないかが、現在の研究者の課題となっているそうです。例えば介護のために電動車椅子に憑依させる試みも行われているのだとか。

 このように、人間とともに姿を変えてゆくポケモンはロトムだけではなく、例えばジュペッタも、ファスナーという便利なものが存在しなかったころは、ただ口元が縫われているだけのポケモンだったそうです。ジュペッタは、ぬいぐるみの材料が綿が主流である地域、時代ではコットンガードが使える個体が大多数を占めますが、詰める素材がポリエステルだったり、蕎麦殻のような素材を使う地域ではその技が使えなかったりするそうです。
 今後、流通するぬいぐるみの素材が、『燃えない、傷付かない、汚れない』といった、夢のような素材になったならば、その頃にはジュペッタが手を付けられない耐久力を持った存在になっているかもしれませんね。