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30 千鳥から雷切へ リング(HP


PDFバージョン  フォルクローレに採用されると見開きの片側に絵がつきます。



 古今東西に名刀と呼ばれるものは数あれど、実際に強大な敵を倒したとして有名になる刀と言えば、ランセ地方にある『雷切』と呼ばれる刀に勝るものはそう多くはないのでしょうか?
 ピカチュウの尻尾を模したのこぎりのような形状をしたこの刀は、材料となったエアームドの羽を得るに当たり、一年の歳月を風雨の中に野ざらしにしても錆びる事のない優れた羽のみを用いたと伝えられています。これはエアームドの千羽に一羽の確立でしか取れないと言われる代物のため、それを基に作られた刀を千鳥と呼称しました。
 さて、その千鳥という刀。猛将と名高いランセ地方のブショーであるドウセツの所有物であったとされ、イクサの際には人・ポケモンのわけ隔てなく眼前の敵を数多く打ち倒し、どれだけ血を浴びても錆びず、折れず、切れ味が保たれたとされています。

 そうして千鳥が斬って行った中でも最後にして最大とされる獲物はイクサの中で出会った敵ではなく、木陰で雨宿りをしていた最中に突如表れた雷神でした。
 ある年の夏の暑い日、ドウセツは自身が持つ館の敷地内にて、大木の木陰で昼寝をしていました。その時、にわか雨が降り注いだために、ドウセツはそのまま雨宿りをすることとなります。その時、一人雨を凌いでいるドウセツをみ見て、雷神(ボルトロス)は悪戯心が沸き上がったのでしょう。
 雷神は欲求の赴くままにドウセツを雷で襲いますが、明確な攻撃の意思を持って行われた行動は寸前に殺気を読まれてしまい、電光石火の如き速度で宙を舞ったドウセツに一刀両断されてしまったそうです。
 雷神を斬り、血を浴びてなお錆びずに輝きを保っていた千鳥は、その影響からか雷を帯びた刀となり、以後その名を雷切と改名しました。その刀の威力たるや、落雷によって下半身を患ってしまったドウセツが輿に乗って指揮をとり戦うようになってからも、刀が届かぬ距離まで雷の刃で敵を切ったという逸話が残されています(ただし、輿を乗せていたポケモンが非常に強力で、単にそちらの武勲とする説もあります)。

 その刀は娘であるギンチヨに受け継がれ、彼女もまた雷鳴轟く剣を手にイクサバを駆け抜け、夫であるムネシゲ以上の戦功をあげたという。夫婦仲が悪かったことで有名な二人ゆえ、夫婦喧嘩の際にも飛行タイプを用いるムネシゲ相手には大層重宝したとか。