戻る
------------

68 サンタクロース、その容姿の変遷  No.017(HP


PDFバージョン  フォルクローレに採用されると見開きの片側に絵がつきます。


 サンタクロース[Santa Claus] は、12月24日、クリスマスの前日であるイヴの夜に子供達のへプレゼントを持って現れるとされる伝説上の人物である。本来の発音は「サンタクローズ」が近い。
 元々は西欧の宗教の聖人であるニコラウスがその原型と言われており、貧しい家の煙突に靴下に入れた金色に光る玉を投げ入れたというエピソードから「夜、煙突から家に入り、靴下の中にプレゼントを入れる」という伝承が生まれた。
 その容姿は白い髭をたっぷりと蓄えた太り気味の男性老人で、白のトリミングのある赤い服、ナイトキャップを身につけている。空を飛ぶソリを八頭立ての冬のメブキジカに引かせ、アシスタントに二、三羽のデリバードを連れているという。
 けれどその容姿やお供のポケモンは最初から決まっていた訳では無く、時代が進むにつれて徐々に確立されてきたものだ。確かに昔描かれた絵を見るとサンタの服は青だったり、緑だったり、痩せていたり、若かったりとまちまちである。
 モンスターボールが赤と白で構成されている為か、サンタクロースのカラーはシルフカンパニーがサンタに赤白の衣装を着せて大々的に広告を打った為であるという俗説も広く流布しているが、実際に浸透した年を調べると、同社が最初にサンタで広告を打ったその十年前にはすでに赤と白のサンタは確立されていて、俗説が誤りである事の証左となっている。またコーラの販売で有名なポケ・コーク社にも似たような俗説があるがこちらも否定されているようだ。
 では実際にはどうかというと、1822年、『子供たちのお友達』という本が出版され、ここでメブキジカにソリを引かせたサンタが登場した。また、1849年に出版された『クリスマスの前の晩』では挿絵として赤い服を着て袋を背負ったサンタとお供のデリバードが描かれた。絵をつけたテオドア・C・ボイドは「サンタの服と大きな袋ははデリバードを参考にした」と語っている。さらにカントー・ジョウト地方などで1900年代発行された『子供之友』では現代とほぼ同じイメージのサンタが描かれている事が確認出来る。ただ、メブキジカは地方のポケモンに合わせたのかオドシシに変更されている。このメブキジカポジションには地域性があり、地方や街によってポニータやギャロップだったり、ドードリオだったりする。更に南半休では夏にクリスマスが来る為、サンタは常夏の海からラプラスやホエルオーに乗って現れ、お供にサニーゴやナッシーを連れている。
 そして現在においてはサンタクロースやそのお供のイメージは更に多様になってきている。最近のクリスマスカードを見るとサンタが人間の姿を捨て、ポケモンになっているといったパターンがしばしば見られる。それはアシスタントであるデリバードがサンタとして昇格している場合もあれば、ツンベアーやユキノオーなどの雪国をイメージしたポケモンに置き換わっている事も多い。また赤のイメージからか、ラティアスやバシャーモを見立てる事もある。最近はミミロップやサーナイトなども人気が高く、皆が好きなポケモンをサンタにして楽しんでいるようだ。
 余談だが、古くはプロイセンと呼ばれた地域の伝承によれば、サンタクロースにはデリバードとは別に、サンタの姿そっくりのアシスタントがいるらしい。本来のサンタがデリバードと共にその年一年良い子にしていた子供達にプレゼントを配るのに対し、件のそっくりなアシスタントのほうは悪い子の所に行き、石や灰の入ったプレゼントや、お菓子に見せかけたポケモンの糞を渡すという。これはゾロアークが化けたもので「黒いサンタ」と呼ばれているそうだ。本物のサンタさんにプレゼントを貰いたい子は良い子にしていましょうネ。