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70 銭亀石 奏多


PDFバージョン  フォルクローレに採用されると見開きの片側に絵がつきます。


 キキョウシティといえば、マダツボミの塔が有名ですが、「銭亀石」と呼ばれるものがあるのをご存知ですか?
 銭亀石と名前がついているように、石はゼニガメのような亀の形に置かれています。ですが、大きさは二メートルほどあるので、ゼニガメというよりかは、カメックスのような印象を受けます。
 その石は、田んぼと住宅の間に、ぽつんと置いてあります。大きな石の下に、小さな顔に見立てられている石があります。その石には顔が彫られているのですが、とても可愛らしく、温かい気持ちになる表情をしています。
 そんな銭亀石は、何の目的で作られたかは、いまいち分かってはいません。銭亀石はお寺との境界を表す、標石だという説がありますが、こんな伝説も残っています。
 
 昔、このキキョウの盆地は、一帯が湖だったそうです。そして、湖の対岸に二つの村がありました。右の対岸には、鯢(ヌオー)を氏神とした村。左の対岸には、蛇(アーボック)を氏神とした村。
この村の氏神の神様が、ある日争い始めてしまいました。争いは続き、蛇はキキョウの湖の水を吸い、一帯を干上がらせてしまいました。水が無くなったことで、鯢は力を失い、戦いは蛇に軍配が上がりました。
しかし、湖の水が干上がったことにより、湖の亀(ゼニガメ)がみんな死んでしまいました。それを可哀想に思った、鯢の村人は「銭亀石」を造って、ゼニガメの供養をしたといわれています。
銭亀石は、以前は北を向き、次に東を向いていました。そして今は、南西を向いています。しかし、西を向き、蛇の村を睨みつけると、キキョウ一帯は水の底に沈む、と伝えられています。

銭亀石が西を向くことが無いように、蛇と鯢の村は、あるお祭りをしています。「ゼニガメ祭り」というものです。お祭りの中では、様々な種目があり、二つの村、対抗で行われます。
ゼニガメ同士の相撲で、横綱を決める「ゼニガメ相撲」。ゼニガメにまつわる川柳を詠み、順位を決める「ゼニガメ川柳」。ゼニガメを模した毬で行う「ゼニガメ蹴鞠」など。銭亀石の周りで行い、その功をゼニガメたちに捧げるそうです。

蛇の村と、鯢の村の子供たちは、みんなゼニガメのことが好きなようです。初心者用のポケモンでは、ゼニガメが一番人気です。
子供たちは、初心者用のポケモンはゼニガメを貰い、「ゼニガメ相撲」で横綱を貰うことを夢見ているそうです。

みなさんも、キキョウシティに来たときは、少し足を伸ばして、銭亀石を訪れてみてください。きっとその表情に、あなたも癒されることでしょう。