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  [No.1851] 【四コマ風味】 おつきみだんごっ! 投稿者:巳佑   投稿日:2011/09/13(Tue) 00:05:43   92clap [■この記事に拍手する] [Tweet]


【今宵は満月なのです】

 空を見上げれば、そこにはまん丸なお月様。
 思わずウットリしそうな綺麗な姿に、わたしの足どりは怪しくなる。

「あ、ミミロップ! ボーッとしながら歩くと危ないって!」
 丸刈りで背の高い殿方――ご主人の声にハッと気がついたわたしは足をピタっと止める。
 
 ふぅ〜危ない、危ない。
 わたしがご主人に「ありがとう!」の意味を込めて一鳴き上げると、ご主人はやれやれといった感じな苦笑いを向けてくれた。

 わたしはミミロップ
 お月様とお団子とご主人が大好きな、茶色いうさぎポケモンです。 



【やっぱり月より花より団子?】

 今、私とご主人は十五夜の月見をする為に団子の準備をしていまして。
 ご主人がお団子を作って、それを縁側まで持っていってます。

 お供え物などをするときによく使われる木製の台に、お団子がピラミッド状に積み上がっています。
 先程みたいによそ見をすると、手元を狂わせて、お団子を取りこぼしてしまうから注意なのです。

 それにしても、なんて美味しそうなお団子なのでしょうか……。
 流石、ご主人様は器用です……ゴクリと喉を鳴らしてしまって――。

「あ、コラ! ミミロップ! 勝手につまみ食いするなって!」



【良い子の皆へ。食べ物で遊んではいけません。その1】

 縁側に団子を乗せた木製の台と、飲み物が入ったグラスが二本。
 それといくつかの小皿がありまして、それぞれしょうゆ、つぶあん、きなこが入っています。

「好きなものにつけて食べればいいから」
 訝しげな瞳を向けたわたしにご主人はそう教えてくれます。なるほど。

 あぁ……美味しそうな団子なのですが、こう綺麗なまん丸を見ていますと、なんだかウズウズしてきます。
 何故かは分からないのですが……綺麗なまん丸な団子が雪玉に見えてきて――。

 あ、思い出しました! 雪合戦です!



【良い子の皆へ。食べ物で遊んではいけません。その2】

「こら! 食べ物を投げるなぁ!」

 わたしが放った最初の投球は見事にご主人の頬に当たりました。
 ご主人がキッとした鋭い目付きでこちらを見ながら口を開いたのと、わたしが手を滑らしたのはほぼ同じでした。

「まったくぅ!? んむ? ☆%#*%%&!!??」 

 わたしの投げたお団子がご主人の口の中にスッポリ入っちゃいました、てへっ☆  



【ぴよぴよ】

「%&#☆!!」
 あれ、ご主人が胸元をたたいてなんだか苦しそうな顔をしていますね。
 もしかして……喉に詰まっちゃったとかですか!?

 あわわ! ど、どうすれば……!? 
 パニック寸前のわたしがとっさに取った行動は――。

 ご主人の胸元にピヨピヨパンチ一発!! 

 重い音が鳴った後、ご主人はうなだれ「あ、ありがとう」と呟いています。
 た、助かって、本当に良かったです……それと食べ物で遊んでしまって、ごめんなさい。



【ようやく月見】

 ご主人がとりあえず飲み物を飲んで一回落ち着いた後、ようやく月見が始まりました。 
 
 まん丸なお月様を覗きながら、つぶあんをつけたお団子をもぎゅもぎゅ。

 お月様が完全に顔を出しているのも好きですが、途切れ途切れに流れて来る雲に薄らかかる姿も神秘的でとても好きです。

 顔を月に向けながら、手は団子の方に動かして――同じく団子に手を伸ばしたご主人の手に触れました。



【月のお伽話】

 ドキリとわたしの胸が打ったのとご主人の手が離れるのはほぼ同じでした。
 ご主人は恐らく真っ赤になっているわたしの顔は見えておらず、お団子をもぎゅもぎゅしながら月を眺めています。

「あ、そういえば月といったらこんな話があるなぁ」
 ご主人は月に顔を向けながら、わたしに語ってくれます。

「昔ね、俺たちがいる星と月がケンカして、縁が切れそうになったときにミミロルやミミロップといったウサギポケモン達が美味しい団子を作って、二人(?)を仲直りさせたんだって」 

 わたし達の先祖様たちが……今、こんな素敵な夜をくれているんだなぁ……と感謝しながら団子にわたしは手を伸ばしました。



【お伽話からの】

「それで、団子は月とこの星を結んでくれたことから、団子……まぁ、餅だけに縁をくっつけるっていう縁起のいい食べ物になったんだよな」

 縁をくっつけてくれる、その言葉にわたしのお団子を持った手が一瞬止まります。

 今、食べているお団子もこうやってご主人との縁をくっつけてくれるものなんだと考えたら、胸の鼓動が早くなってきまして。
 わたしはご主人を呼ぶ為に一声鳴きました。

「ん? なに? ミミロップ――」



【月も顔を真っ赤にさせて】

 ご主人がわたしに振り返るのと同時にわたしはお団子を口に入れまして。

 一気にご主人との距離を縮めまして。

 ご主人の唇とわたしの唇が重なりまして。

 わたしはご主人のお口の中にお団子を置きました。
 縁がもっともっと強く結ばれることを願いながら。



【きっと今夜はお楽しみで(以下略)】 

 ご主人は驚いた拍子にお団子を飲み込み、そして縁側の床に倒れ、わたしがご主人の上を覆う形に。

「ミミロップ、まさか……」
 顔は真っ赤になってますし、もうばれてますよね。
 わたしのこの気持ち……ご主人と番になりたいほど大好きな気持ち。

「でも、お前」
「きゅう?」
「確かオスだったはずじゃあ……」

 愛に性別なんて関係ありませんわ! とわたしは一声鳴きました。
 今宵はあの満月に見せ付けるほど……うふふ。



【書いてみました】
 
 
 今夜20時頃、月見しながらみたらし団子でも食うかなと思い、近場のコンビニに行く途中で思いついた物語です。多分……掲載しても(主に後半)大丈夫のはず(汗)
 今宵の月が沈まぬ内に書かねばと思い、筆を急がせた所存でございます。
 最後のオチに驚いた方がいたら、嬉しい限りです。(ドキドキ)

 ちなみに月に関しての昔話は私の想像です。
 お月見団子のことを考えていたら、思いつきました。(ドキドキ)
 

 ありがとうございました。


【月見団子と月見酒をもぎゅもぎゅして(以下略)】
【何をしてもいいですよ♪】

     


  [No.2324] うさぎ と おだんご と おつきさま と 投稿者:巳佑   投稿日:2012/03/27(Tue) 06:30:17   65clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 この世では、夜のとばりが下りて真っ暗になりますと、ルナトーンという月のポケモンが宵の町を照らしていました。
 夜道では暗闇に紛れて、野生のポケモンが人間を襲おうかと意図をくるくるとめぐらしますが、全ての悪事はルナトーンの光で明るみになり、人間たちはその光のおかげで宵の世界を生きることができていました。

 しかし、ある日のこと。
 町でたくさんの酒を胃に流し込み、見事な千鳥足を舞う二人の男が肩組みしながら夜空を見上げました。
 二人とも黒ヒゲを蓄えた顔に、鼻は真っ赤に染まっています。
「たしかに、夜はあかるいけどよぉー! 昼間に比べたらぁ、おなごの姿がよく見えねぇことべよー!」
「そうだ、そうだ、ほろ酔いの娘をよく見せろー! 見せろー!」
「おう、相棒、これはあれじゃねぇかべぇ?」
「なんだい兄弟」
「月の野郎は抜けがけしてんじゃねぇのかって思うんだべぇ!」
「なんでい、ひっでぇ話だなぁ。夜を照らしているついでに娘を覗き見かよっ」
「ちっげぇべ相棒。月の野郎はおなごを覗き見しているついでに夜を照らしているんだべぇ」
「そいつはもっとひでぇなっ!」
 二人の男はガハハと下品に笑いますと、夜空に向かって、こう叫びました。

 やーい!
 やーい!
 べぇーすけ! 
 べぇーすけ!
 宵の町より
 酔いの小町がお好みかぁー!?
 おなごや夜道は用心して歩を進め
 月の明かりは
 鼻の下が長い送り狼の閨(ねや)ぞ
 もしも抱かれてしまったら
 二度と朝日を拝めないぞ

 まずいことに、この男達の歌は大きく響いていき、やがてはルナトーンの耳にまで届く始末に。
 もちろん、滑稽にされたことに怒ったルナトーンは二度とこの世の宵を照らすことなどするもんかと断言してしまいました。
 さぁさ、大変なことになりました。
 このままルナトーンがどこかへと去っていってしまえば、再び、この世の夜は外が真っ暗に染まってしまいます。
 これでは夜遊びどころか、おちおち外に出歩くことさえもままなりません。
 暗闇に紛れた野生のポケモンがいつ襲いかかってくるか分かったものではなかったからです。
 
 町の人々や、流石に二人の男もどうしよう、いかがしようと困っていたときのことでした。
 どこからともなく、たくさんのうさぎが現れました。
 茶色の体に、綿あめのようなもこもことした毛を身につけたうさぎポケモン――ミミロルとミミロップです。
 そのうさぎ達は木製の杵(きね)や臼(うす)を持っており、臼を地面に置きますと、杵を臼に向かって振り落とし始めました。
 臼の中には何かが入っているようで、うさぎ達が杵を振り上げるときに白く伸びるものが現れます。
 それは真っ白なお餅でした。

 はいやお月さま
 ほいやお月さま
 そんなに顔を真っ赤にさせたら
 爆ぜ(はぜ)てしまいんす
 宵を照らすあなたの光は
 酒をこぼす盃(さかずき)のよう
 うさぎも酔って
 ニンゲンも酔って
 あなたも酔って
 みんなみんな
 好い(よい)仲間ではないか  

 うさぎ達が歌いながら、または踊りながら餅をついていきますと、まずは二人の男が歌いながら踊りだします。
 それからこの祭のような賑わいに、町に住まう人間達が引き寄せられ、同じく歌いながら踊りだします。
 そして、最後にルナトーンもうさぎ達と人間達の真上で踊りだします。
 先程まで、鬼のような顔を見せていたのに、あら不思議。
 ルナトーンは笑顔を浮かべていました。

 怒りたい気持ちをぺったんこ
 みんなの仲をぴったんこ
 好い仲間のしるしとして
 お団子食べれば
 みんな良い笑顔
 
 歌い踊り終われば、ちょうどいい塩梅(あんばい)にお団子ができあがりました。
 その味に人間達はほっぺたが落っこちそうになり、うさぎ達は耳が伸びそうになります。
 もちろんルナトーンにもお団子が手渡されました。
 どうぞとお団子を差し出したうさぎはなんとも美しいミミロップで、顔を真っ赤にさせたルナトーンは爆発しました。
 あれま大変と、急いで人間とうさぎ達はお団子を使って、ぴったんぺったんとルナトーンを直します。

「なんだ、やっぱりお月さんもオイラたちと一緒だべな!」

 その男の言葉に人間達もうさぎ達も、そしてルナトーンも楽しげに笑いました。
 
 


【書いてみました】
 
(一応)前置き:このルナトーンはスケベクチバシ先生ではありません。

『おつきみだんごっ!』内で出てきたお伽話を作ろうと思って、今回の物語を考えました。
 月見団子って、地球と月の縁をくっつける為に供えるものでもあるのかなぁと考えながら書いていき……。
 結局、星と月がケンカではなく、悪口を言われた月がグレそうになるといった感じになってしまいましたが、一応、『おつきみだんごっ!』から生まれたということで、こちらの記事に付けさせてもらった所存でございます。
 
 それにしてもお団子って不思議ですよね。
 本当に縁をくっつける力がありますよね、きっと。
 だって、人間と鳩尾キラーのロコンとかも(以下略)
 そうですねぇ、そのロコンにはみたらし団子をあげれば……おや、誰か来たようd(ドカバキャグシャ!)


 ありがとうございました。

【何をしてもいいですよ♪】