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  [No.2150] クラボの木 投稿者:スズメ   投稿日:2011/12/25(Sun) 19:15:42   131clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

ドス、ドスと、思い足音の主について歩く森の小道。
毎日の日課はこの散歩で、前を行くドダイトスはのんびりと散歩を楽しんでいる。

ふと、視界の端にパチリスが写った。
がさごそと、地面をあさっては何かを埋めている。
土を掻き分けるたびにその背中に舞い上がった落ち葉が積もるのを見て、もう秋なんだと実感させられる。
ふと、目の前のドダイトスを見てみた。
・・・何時もどおりだ。
だけど、背中の木の葉っぱは紅葉して、落ち始めていた。
何で。
とりあえず、このままでは葉っぱが落ちて悲しいことになるのは目に見えている・・・どうするか。
そういえば、とポッケの中を探れば、クラボの実が出てきた。
近所のおばさんにもらったはいいが、うちのドダイトスは甘党だし、固さといい味といい人間が食べるには
あまり向いた物ではなかったのでそのままにしていたものだ。
一瞬、パチリスが物欲しげにした気がしたが、気のせいだろう。
ちょっと、とドダイトスを呼び止めて、その背中によじ登る。
無理やり緑色の一部をひっぺ剥がして、クラボのみをねじ込んでから水筒の水をかけておいた。
最近の改良された木の実って奴は、一年中育てられるし実もなるそうだから紅葉することもないだろう。
明日が、楽しみだ。

今日も、日課の散歩だ。
ドダイトスの背中にはクラボの木が育っているものと思いきや、あったのはちっちゃい芽。
もっと早く育てよと悪態をつきながら、今度は栄養ドリンク数種類をブレンドしてかけておいた。
当のドダイトスは、しらんぷり。

朝が来て
今日も日課のお散歩日和。
ドダイトスの背中には、やたらと大きいクラボの芽が生えていた。
何が、あった?
当のドダイトスは、しらんぷり。

次の日、少しだけ 大きくなってた クラボの芽

数日後、もうすぐ 花が咲きそうだよ クラボの木

そして、一週間。
今日もドダイトスは前を行く。
その背中には二本の木が。
一本は、葉っぱが完全に落ちてさびしい木。
一本は、もさもさと見事に茂ってクラボが実ってる。ただし、やたらとでかい。
せっかくだから、クラボを収穫するとするか。
ここまできても無関心なドダイトスを呼び止め、その背中によじ登る。
登って気が付いた。
実のある位置が、少々高い。これでは手が届かない。
ならばと、元々生えていた木に登って採ればいいか。
元々生えていた木はクラボの木に比べて細く、なんか頼りない。
何負けてるんだよと思いつつ足をかけたその瞬間、
世界が一回転した。
地面に転がっていることに気づいたときにはもう、元から何も言わなかった木の成れの果てと、
ここに来てやっと何やってるんだと言いたげな反応を示したドダイトスが自分を見つめていた。

今日もお散歩日和。 ドダイトスは、前を行く。
その背中にはクラボの木。
やったね、クラボが食べ放題だ!
まあ、収穫できないし自分もドダイトスもクラボは苦手だったりするんだけどね。

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