そこはとある森の奥にある一軒の小屋。
その中の囲炉裏がある部屋に、金色の九尾狐が一匹いた。
炭火で暖を取りながら、その狐はあくびを一つあげると尻尾の中から何やら取り出した。
何個かの真っ赤に染まったトゲトゲ形であるマトマの実と、『週刊狐』と載っている一冊の雑誌。
白銀色のかんざしを髪に挿している一匹のロコンが表紙を飾っており、『特集! みたらしフォックスガール!!』と隣に書かれてある。雑誌の表紙には目玉となるようなネタは大きめに書かれてあるようなものだが、もう一つ、大きめに書かれてあるネタがあった。
『イケメンアナザーカラーゾロアーク、池月氏! まさかの七又の疑惑!?』
やれやれといった顔でその九尾狐はマトマの実をかじりながら、その雑誌を開いた。
【特集! みたらしフォックスガール!!】
「んーまいっ! やっぱり団子はみたらしにかぎるでー!」
みたらし団子を頬張りながら、笑顔でそう語ってくれるのはタマムシシティに住んでいる、白銀のかんざしをその髪に挿したロコンの灯夢(ひむ)氏である。今回の取材前後にもみたらし団子を頬張り続けているほどの大のみたらし団子好きの狐だ。
なんでも、千歳生きてキュウコンになる為の試練として人間の学校に通っているという事情を持っているらしい。人間の学校ということは、人間の姿に化けて通っていることなのだろうか? だとしたら、折角だから人間の姿も見せてもらうことにした。
「どうや? とっても可愛いやろ?」
背は150後半で、赤茶の髪の毛を腰まで垂らしていて、三本のクセッ毛が先端を丸めながら頭から立っており、白銀のかんざしももちろん装備されている。そういえばその白銀のかんざしはどこで手に入れたものなだろうかと、尋ねてみる。
「これは……って、なんや! ウチのこの姿には感想はないんかい!」
いや可愛かったが、その白銀のかんざしの方が気になると正直に言った結果、鳩尾(みぞおち)にいいのを一発もらった。狐パンチなんてそんな可愛い名前なんてものじゃない、あれは確かに鉄拳だった。うん、エビワラーも真っ青になるぐらいの威力だった気がする。それにしても、見事なパンチだ。趣味は格闘技なのだろうか。
「人間の姿で襲われたときの防衛手段として、覚えたんや。これ一発で大抵の奴を落とせるからなー。格闘技? まぁ、興味はあるけど」
読狐の諸君の中で、Mな方がいたら、彼女のパンチでもオススメしておく。
さて、どんどんとみたらし団子の串が重なってきて、軽く山ができそうなのだが、灯夢氏がそこまでみたらしに溺愛しているというそこまでの過程をぜひ訊いてみたくなった。
「昔から和菓子系が好きだったんや。ほんで、故郷で昔、母さんに連れていってもらった茶屋があってな? そこで食わせてもらったみたらし団子がめっちゃうまかったねん。そこからやったからな〜、ウチとみたらし団子の恋は」
なるほど、みたらしは灯夢氏にとっては思い出の味でもあるということか。
ちなみに故郷という単語が気になったので、それも尋ねてみた。
「みたらしお代わりっ!!」
あまりのみたらしジャンキーぶりに、折角の質問のタイミングが一気になくなった気がする。灯夢氏が何か言ったかと聞き返してきたけど、いえなんでもないです(棒読み)と返しておいた。
このまま灯夢氏がみたらし団子を食べるのを眺めて終わりかな、後は表紙やその他諸々に使う為に写真撮影をさせていただいて、終わりかなと思っていたが、そういえばまだ訊いてなかったことがあった。
学校に通っている(変わった試練だと思ったがそこは突っ込まない方がいいだろう)ということなので、学生生活などを伺うことにした。
「あー。九百九十七歳生きて初めての経験やからな、何もかもが新鮮やで。この前とか体育祭っちゅうもんがあってな、中々楽しかったで? 『にほんばれ』したかいがあったっちゅうもんや。面倒くさいから『あまごい』使わせて体育祭を中止しようとした輩がおったかもしれへんけど、ウチには勝てへんようやったな」
意気揚々と自慢話を語る灯夢氏。
とりあえず会話に花が舞い戻った。良かった、まだページの尺が残っていて困っていた……というのは内緒にしておこう。
このままの勢いで得意な科目とか苦手な科目とかも尋ねてみる。
「うーん、ウチ意外と英語できるで? 後は国語の漢文とか古文、あ、後は歴史系も得意やで! それと体育もな」
そりゃあ、九百九十七歳も生きてきたのだから、現場に居合わせたというのもおかしくなさそうだ。
それにしても英語が得意とは意外だと思った。横文字とか苦手そうなイメージがあったのに。
まぁ、反対に体育はイメージ通りというか、今、ここで見せてる活発そうなところから連想できる。
「苦手な科目は数学や。あの数式に、変な絵みたいなもん? あれ苦手やねん」
試しに『1+1』を出してみた。
「それ数学やなくて、算数やろ!」
見事なツッコミ。
「っちゅうか、おんどれはウチのことを馬鹿にしてるんかぁー!!??」
鳩尾(みぞおち)のおまけはいらなかった。
さて、色々と訊いてきたが、後は普段はどういうところに住んでいて、暮らしているかという、少しプライベートに踏み入った質問もしてみた。
最初は不機嫌で答えなかった灯夢氏だったが、みたらし団子を上げたら、機嫌を直して答える灯夢氏。
うん、この狐、ちょろい。
将来がちょっとだけ心配だ。
「実はなー。一人暮らしする予定やったんやけど、その部屋が偶然ダブルブッキングしてあってな。今、同じ学校に通ってる人間の野郎と暮らしてるねん」
ほう、それは気になる情報。
男と女が一つ屋根の下でやることがすごい気になる。
人間とポケモンで種族が違う?
そう思った人にはシンオウ地方にあるミオ図書館に行って、民族系や昔話の本を漁ることをオススメする。
「あの野郎は本当にたわけっちゅうか、なんっちゅうか……うん、ともかく嫌いや」
このロコンにはツンデレというものがあるんだと勝手に期待しておく。
なおも灯夢氏のグチは続いていく。
「この前もウチのみたらし団子を勝手に食べるわ、尻尾を踏むわ、水浴びしとるところを覗いたりとか、みたらし団子を勝手に食べられたりとか、食べられたりとか!」
どうやら灯夢氏の恋人はみたらしで確定のようだ。
とりあえず、なんとなくだけど、その人間の男にはドンマイと言っておこう。
さて、ここまでみたらし団子を頬張りながら取材に答えてくれた灯夢氏。
なんとかページの尺が足りてきたので、ここいらで最後のセリフを決めてもらうことにした。
そこで、今後の抱負とか訊いてみる。
「今年もみたらし団子を食べ続けるで! それとそろそろアイツに鳩尾決めておきたいで」
みたらし団子が本当に好きな灯夢氏の、これからの活躍を期待している。
……色々な意味で。
(取材狐:ロコモーション☆田中)
【イケメンアナザーカラーゾロアーク、池月氏! まさかの七又の疑惑!?】
我ら狐界きってのアイドル、イケメンアナザーカラーゾロアークの池月さん。
そのルックスと、皆から慕われているという頼りになる性格に、今もなお人気上昇中の方ですが……最近、妻子がいるのにも関わらず、他にも七又をかけているのではないかというスクープを手に入れました。
モテる影には浮気ありなのか、そうなのでしょうか。私は池月ファンクラブ幹部の名にかけまして、このスクープを追いかけることにしました。
一匹目:我ら狐界のもふ神である長老(キュウコン)
「うーむ。そういえば、最近、なんか楽しげにどこかに行こうとしているのを見かけたような気がするのう」
池月氏といえば長老のお弟子さんでもあります。
まさか師弟愛とかあったりするのかが気になり、思いきって尋ねてみます。
「う〜ん? 何を想像しておるんじゃ、娘よ。やましいことでも想像しているのではないじゃろうなぁ?」
流石は長老、こちらの考えはお見通しということですか。
確かにお約束の言葉から借りますと、夜の修行とか修行とか修行とか……いけない、これ完全に長老ペースですよね。
とりあえず、恥ずかしながらも本当のことを言っておきました。
長老に隠しごとは通用しませんし。
「まぁ、ノーコメントで。よろしくのう」
長老のニヤニヤとした顔がとても印象的で意味深な感じがします。
とにかく真実は謎の奥に消えてしまったわけですが、もしかしたらという線は消さないでおきます。
二匹目:トレーナーシュカさんの相棒狐、ひばなさん(キュウコン)
「いけづきさん? あぁ、色違いのゾロアークになら声をかけられたけど……」
なるほど、声をかけられたのですか。
もしかしてナンパというものなのですかね、どんな風に声をかけられたのかとても気になります。
「え、ただ道を訊かれただけだよ? その後はあなたにも、もふ神様のご加護がありますようにって言ってたね」
どうやらナンパをしていない模様なのですが。
これは七又なんてデマだったということなのでしょうか。
「それにしても、あのいけづきさんっていうゾロアーク。すごい目をキラキラさせていたような気がするなー。それと別れるとき、わたしの右手に口をつけてきたよ」
挨拶代わりのキスはキスとしてカウントしません。
べ、別に、う、うらやましいなんて思ってませんからね、えぇ、思ってませんとも。悔しいとか妬ましいとか憎いとか……ちょっとそこのカゲボウズ、いきなり出てきて、私になつかないでください。困ります。
それにしても、それでその池月さんに対して、ひばなさんはなんとも思わなかったですか?
こう、胸がドキドキしたとか、苦しくなったとか、チクチクするとか、熱くなったとかありませんでしたか?
「え、別になかったけど?」
私だったら鼻血の大量放出で死にそうなのですが。
三匹目:トレーナーモモコさんの相棒狐、あかねさん(ロコン)
「……あのゾロアーク? 道を尋ねられたけど」
また道を尋ねるパターンですか。
なるほど、道を尋ねるところから何気なく入っていって、それから一気に相手をおとすというナンパの高等術(?)をしたのかもしれませんね。
「……いきなり手を握られた。正直、嫌だった」
手を握られたなんて、そんな幸せなこと……私だったら狂喜乱舞しているところです。
他にも池月さんに何かされたりのかとかが気になりますね。
「……顔が近かった。邪魔だった……道を尋ねられたこと以外は全部忘れた……あ、でも、これは覚えている」
なんかイライラしているような感じがあかねさんから伝わってくるのは気のせいですか。
無表情なんですけど、なんか殺気を漂わせているのが、こう本能的に察したといいますか。
「……別れぎわに右手にキスをしようとしてきたから……『かえんほうしゃ』を放っておいてやった」
挨拶代わりのキスぐらいはもらってもバチは当たらないと思いますが。
……だから、そこのカゲボウズ!
私は別にうらやましいとか、憎いとか思ってませんから!
舌なめずりをするのを止めてください!
四匹目:キャンピングカーに住んでいるゾロアークさん
「え? 青いゾロアークですか? あぁ、はい。ここにやってきたことありますよ」
また道をお尋ねするパターンなのでしょうか。
私にもそういうシュチエーションが来ればいいのにと思ったのはここだけの話ですよ?
「いえ、いきなり勧誘されたというか、あ、これどうぞ」
おぉ、美味しそうなオレン漬けですね。お言葉に甘えていただきます。
中々、甘酸っぱくてさわやかな味です、もぎゅもぎゅ。
それにしても勧誘という単語も気になるところですが、何の勧誘をされたのかと尋ねてみます。
「えぇっと。もふもふパラダイスに連れていきたいとか言われましたね……まぁ、私にはここで待っている人がいたりとかで離れることはできませんが……その、まぁ、機会があればぜひ行ってみたいなぁって思ったりしました」
なるほど、世界をもふパラにする為に、池月さんは日頃努力していることがうかがえますね。
私も言われてみたいですね……『今宵、あなたをもふりにきました』なんて言われた日にはもう私、昇天しそうです。
さて、そんな夢見ごごち(実際に起きてくれないですかね、本当に)はさておき、今回は色々と訊けそうな感じだったので、他にも何か池月さんに何かされなかったのかを尋ねてみます。
「えっと、とても色男だったんですが……その楽しかったというか、なんというか。」
なんかオレン漬けがやけに甘酸っぱさを増してきた気がするのですが。
なるほど、あなたも私たちの同志ということですか、そうですか。
今日からライバルということで一つよろしくお願いします。
五匹目:神出鬼没の美イタチ、あんにんどうふさん(コジョンド)
「ん? 青いゾロアークでアルか? 確かに会ったでアルぜ」
狐ポケモン以外の方にも手を出すという噂の池月さん。
確かに、異姓が声をかけたくなるほど美しいコジョンドさんですが、なんかやけにテンションが高そうなお方ですね。
「いやぁ、あのゾロアーク、新技を編み出したときにちょうどいいところにきたでアルよ」
新技という単語から思いっきり危険な香りがします。
けれど、ここは思いきって、どんな技なのかを教えてもらうことにしました。
なんか胸が高鳴ってきました。
「よっしゃ、いくでアルぜ、ワタシの波動、うおおおおおお!」
あれ、なんか想像していたのと違うのですが。
あんにんどうふさんは右手を胸に当てて、何やら力を溜めています。
徐々に波動と思われし青いオーラが、キーンという甲高い音と共にあんにんどうふさんの右手に集まっていきます。
「目指すでアルぜ、いすかんだる! 『はどうだん』からの『はどうほう』発射でアル!!』
そう叫んだ後、あんにんどうふさんが思いっきり右手を思いっきり前へと振りますと――。
遠くから地響きを伴う大爆発音が響きました。
「うむ、戦艦に比べたらまだまだ威力が足らないでアルぜ。もっと精進にしなければでアルよ」
技って、そっちの技でしたか。
てっきり異姓を落とす為のテクニックかと思っていた私の胸のトキメキを返してください。
むしろ寿命が縮んだのですが、どうしてくれるんですか。
後、数十センチずれていたら、私に直撃してましたよ、これ。
というか、これ、池月さんにもやったんですよね? すっごい心配なのですが。
「あぁ、あのゾロアーク、もろ受けだったアルよ」
本当ですか、それ。
あの技を受けたらただじゃ済まないような気がするのですが。
「いやぁ、あのゾロアークやるでアルよ。その後、立ち上がってスマイルしたでアル。ここで死ぬわけにはいかないと言っていたでアルね」
流石、池月さん、素敵です、かっこいいです、最高です!
改めて、狐界のトップアイドルの底力を感じさせてもらいました。
「この技はもっと磨いておくでアルぜ。また受けに来て欲しいでアルよ」
だが断っときます、はい。
六匹目:鳩尾キラーの異名を誇る関西狐、灯夢さん(ロコン)
「ん? あぁ、そのゾロアークやったら、声をかけられたときがあるで」
ふむふむ、ここでもまたナンパですか。
何かされたことはないかと尋ねてみます。
そこの隠れているカゲボウズ、変に準備とかしなくていいですから、黙っていてください。
「まぁ、いつもどおりその尻尾をもふらせてください言うてきたから、鳩尾一発殴っておいたわ☆」
ニッコリとした笑顔でそう語る灯夢さんがなんか怖いです。
それにしても、またダメージを負うようなことを。
池月さんは結構、体を張っているのですね。私たちも見習わなければいけないところかもしれません。
「あぁ、そういえば、団子屋に行ってくるから、失礼します! とか言うてたな〜」
ふむふむ、団子屋さんですか。
また気になるフレーズが飛び出てきましたね。
そういえば、七又情報の出所の後一つは団子屋なんですが、一応、尋ねておきます。
「和菓子屋本舗幻想黒狐やで」
なるほど、ありがとうございます。
早速行ってみることにします。
あぁ、それと今回の特集ページへの出演、ありがとうございました。
後輩のロコモーション☆田中が迷惑をかけていたら、すいません。
七匹目:『和菓子屋本舗幻想黒狐』初代店長の狐、クロミツさん(ゾロア)
「んあ? 青いゾロアーク? ナンパ好きな男? あー、それなら、そんな奴もいたかもしれねぇなぁ」
確かに、人に化けていたかもしれませんからね、なんせ街の中ですし。
しかし、我が社の情報網を甘く見てもらっては困ります。
「団子買うまでの順番待ちのときとかに、やけに女に声をかけていた奴がいたっていう話を店員から聞いたぜ」
ふむふむ、もしかしたらここをナンパスポットとしていたかもしれませんね。
なんとか、その店員から聞いたという話の内容をもっと教えてもらうよう頼んでみます。
「えっと、確か、いつでももふもふできる世界に興味はありませんかー、だった気がするなー。まぁ、灯夢ちゃん一筋な俺には関係ねぇ話だけどな!」
ここでもしっかりとお仕事をなさる池月さんがかっこよすぎて、私、失神しそうです。
それで、その後、池月さんはその女性に何かやったりとかしていないとか尋ねてみます。
「ん? 団子買ったら、もう帰っていったぜ?」
あれ、進展なし?
あ、いや、もしかしたら団子をごちそうさせてから落とすという方法かもしれませんね。
きっとそうに違いない。流石にこれ以上の情報はここから出そうにないですが、ここからが本番になりそうですね。
これから、この後の池月さんの足取りをしっかり調べなければ。
しかし、まずは腹ごしらえをしておかなければ。腹が減っては戦はできませんし!
とりあえず、注文しておきます。
「ん? 何にするんだ?」
みたらし十セットよろしくお願いします。
【今回の池月氏の七又疑惑に関する結果発表】
とりあえず、今回の池月さんの七又疑惑に関する結果発表をしますと。以下の通りになります。
・長老とは深い深い深い師弟愛があるかもしれない。
・ひばなさんにその気はないらしい、ただし池月さんはどうだか不明。
しかし、アリかナシかと言われたら、ナシの可能性が高い。
・あかねさんは全くその気はないらしい、ただしこれも池月さんはどうだか不明のまま。
しかし、アリかナシかと言われたら、ナシの可能性が圧倒的に高い。
・キャンピングカーのゾロアークさんはなんかトキメいている感じ。
このままうまくいけば池月さんと進展があるかもしれない可能性アリ。
・あんにんどうふさんは問題外、強いて言えば、あの技は色々な意味で危険。
・灯夢さんは全くその気はないらしい、ただしこれも池月さんはどうだか不明のまま。
もしかしたら、クロミツさんとのガチバトルは免れない可能性アリ
・『和菓子屋本舗幻想黒狐団子』で団子を買った後、誰と交際したのかは不明。
ただいまその件に関しては情報収集中。
以上のようになります。
ということでますます謎ばかりが深まっていくという今回の結果となりました。
池月ファンクラブ幹部として、この雑誌の池月さんに関するページは私が担当となっているのですが、ファンとしては池月さんの名前が広がって喜んだり、モテモテな感じが取材を通して分かってちょっとジェラシーを感じたりで、複雑な心境です。
まぁ、この心境に関しては私に限った話じゃないですけどね。
奥さんとか特に複雑な心境を持ちそうですし。
さて、今回はここで筆を置かせてもらうことにします。
また池月さんの特集のときを楽しみにお待ち下さいね。
池月さんファンクラブ幹部の名にかけて、全身全霊、スクープさせてもらいますから!
あー、みたらし団子うめぇーです。
あ、ちょっと、そこのカゲボウズ! 残りの一本を横取りしないでください!
というか、まだいたのですか、この子っ。
(取材狐:佐山雅 きゅう(さざんが きゅう))
やれやれ、もてるのも大変なものだと思いながら九尾狐がマトマを片手にのんびりと『週刊狐』を読んでいると、玄関の方から声が聞こえた。
九尾狐がその雑誌を再び尻尾に入れて、玄関の方に向かうと、色違いのゾロアークが何やら包みを持ってそこに立っていた。隣にはそのゾロアークの妻であるキュウコンと息子のロコンがいる。
なんでもその色違いのゾロアークが言うには、おいしい団子屋さんでみたらし団子を買ったから一緒にお茶をしましょうということで、九尾狐は尻尾を振りながらその親子を招き入れた。
囲炉裏がある部屋で、山吹色に染まった和風な小皿にみたらし団子を置いて、和菓子に合いそうなせん茶も用意すると、九尾狐達は食べ始める。
中々いい焼き具合で、タレも申し分ないと、九尾狐の喉がご満悦だと鳴いたときだった。
色違いゾロアークが、隣に座っていた妻の口元についた団子粒をペロっと舐めて取ってあげた。
色違いのゾロアークは優しく微笑んで、妻は頬を赤くさせながら困ったような笑顔を浮かべる。
「妻一筋なのは分かるが、いやぁ、モテるというのも考えものかもしれんのう。大変じゃよな、池月」
それは心の中で呟きながら、その九尾狐は温かくその夫婦を見守っていた。
この夫婦がずっと幸せでありますようにと。
そう願いながら。
【おまけ】
タマムシシティの街外れの方にある楓荘というアパートの一室にて。
「なぁ、お前。どうしたんだ、その団子の山」
「取材させてやったら、ほうびにもらったんや、やらんで?」
同居人が驚いている様を楽しむかのように、そのロコンはニカっと笑っていた。
【書いてみました】
『週刊狐という雑誌で、灯夢ちゃんの特集や、池月さんの七又疑惑特集を書いて欲しい!』という、akuroさんのリクエストを受けまして、今回、書かせてもらいました。灯夢さんの特集もそうですが、まさか池月君の浮気疑惑話を自分が、ここで書くときがやってくるとは想像にもしなかったです。(ドキドキ)
えっと、チャットとかで危ないフラグを建てて(今回の物語も少し、怪しい部分がありますが)しまっている自分ですが、やっぱり『もふパラ』の作者として、そして個人として、池月君とエリス夫妻には幸せになってもらいたいなぁと思って、あのような話の結びとなりました。池月君はエリスが一番なんです! と私からも(説得力は保証できませんが)言っておきますね。ただし、フラグ建築士という名前をいただいた以上、またチャットとかで私も危ないフラグを建ててしまうかもしれませんが、そのときはよろしくお願いしますね。(苦笑) まぁ、池月君を強くさせる為のものだと思っていただければ(以下略)
それと、灯夢さんに関してはネタばれにならない程度にああいった感じとなりましたが、いかがだったでしょうか?
楽しんでいただけたら、幸いです。
ちなみにロコンが千歳超えるとキュウコンになれるという勝手な設定は、千年の時を経た狐は九つの尾を持った天狐になるという、昔に読んだどこかの書物からきています。
改めて、リクエストをくれて、ひばなさんとあかねさんを貸してくれました、akuroさん。
和菓子屋本舗幻想黒狐、クロミツさん、キャンピングカーのゾロアークさんをお借りしました、きとらさん。
自分を信じて、池月君を預けてくれた、イケズキさん。
そして、ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました!
この場でありますが、これからも『もふパラ』をよろしくお願いします。
それでは失礼しました。
(追伸:作業中、『池月』君という文字を『流月』さんと空目しまし(以下略))
【何をしてもいいですよ♪】
【池月君はエリス一筋なんです♪】