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  [No.2193] 英雄の条件 投稿者:きとら   《URL》   投稿日:2012/01/10(Tue) 22:14:38   164clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

「ボクたちを止めるならキミも英雄になるんだ! そう! レシラムと対をなすポケモン、ゼクロムに認められてこそようやく対等になれる! ボクたちを阻止できる! さて、どうする?」

 冬のセッカシティの空気は冷たい。走っても走っても体は暖まらず、肺まで入ってくる冷たい空気に体温は下がって行く。凍った池の上をすべり、目指すのはソウリュウシティだ。
 息が切れて足も重い。それでも走ることは止められない。止めてはいけない。リュウラセンの塔で見たレシラムから感じた威圧感。それを手に入れたN。勝てる気がしない。


「おめでとう! アナタはわれらが王に選ばれました。アナタがこのままポケモンと共存する世界を望むのなら、伝説に記されたもう1匹のドラゴンポケモンを従えわれらの王と戦いなさい。でないならプラズマ団がすべてのポケモンを人から奪い、逃がし、解き放ちましょう!」


 鞄の中には沈黙を守ったままのダークストーンが入っている。重くて体力を余計に消耗する。


「そのダークストーンを手にするということは、わしになにかあったときにNと戦うということだぞ。それでいいのか?」
「Nの望む世界……ポケモンとトレーナーとが切り離される世界を待つというのか?」
「……そうか。いまのがおまえの覚悟なんだな。わかった。こころして受け取れい」

 凍った池に足を取られ、バランスを崩して派手に転ぶ。モンスターボールが転がり、そのうちの一つが開いた。カノコタウンから一緒のダイケンキが見ている。ごめんね、と言ってダイケンキを戻した。
 まわりをみれば、鞄からダークストーンが転がってしまっている。氷にまみれたそれはとても冷たかった。そのまま持ち上げて見つめる。
 鞄の中にダークストーンを入れた。やることが違うから。
「デボラ!」
 懐かしい声に振り向く。緑の帽子とロングスカートの女の子。幼なじみのベルだ。
「ベル!ベルぅー!!!!」
 デボラがベルに抱きつく。小さな子供のように。声をあげて感情を爆発させて。
「わ、わわ? どうしたの?」
「できない、私には出来ない!なんでみんな私に押し付けるの!?Nが私だと言ったから?世界を背負うなんて私には出来ない!出来るわけないのに、どうして!」
「デボラ……」
「私はチェレンみたいに強くない!なりたいものなんてない!あんなレシラムみたいのと戦えないよ!どうしてみんな私に、私に押し付けるの!?」
 ベルは思いっきりデボラを突き放す。そして涙に濡れる頬を叩き付けた。
「甘えないでよ!」
 二人の間に沈黙が流れる。ベルに叩かれた頬を押さえ、デボラはただ彼女を見上げるだけだった。
「……あたし、ヒウンシティでだいじなポケモンをプラズマ団に奪われたことがあるでしょ……その時、デボラはこういったよね。『ベルはポケモンに優しいけど、優しいだけじゃダメ。ムンナをこれ以上怖い目に会わせないためにも強くなろう』って。あの時、デボラがすっごくかっこ良く見えた。だからあたしもデボラに追いつくために強くなった……それなのに何? あたしの友達は、そんな弱い子じゃなかった!」
 ベルの声が曇ってる。手で流れる涙を拭きながらベルは話を続ける。
「プラズマ団のNが、デボラを呼んでる。他に誰も勝てない。勝手なのは解ってるよ!でもプラズマ団がムリヤリポケモンを解放したら悲しむ人ばっかりだよ! だからデボラ!」
 ベルの暖かい手がデボラの冷たい手を握る。
「プラズマ団をとめて!!ポケモンが大好きな人から、ポケモンを奪われないようにして!それがデボラが求める真実とか理想だとおもう……」
「ベル……」
「ごめんね……大変なのにわざわざこんなこといいにきて。本当はデボラのこと、リラックスさせるつもりだったのに……でもデボラなら大丈夫だよ。うん!絶対に大丈夫! あたしが保証してあげる!だから、うん……うまく、いえないけど応援してるよ」
「ベル、ベル……!」
「デボラ、信じてるから。あたし、デボラもチェレンも大好きだよ」
「うん、うん……ありがとう、ベル」
 デボラは立ち上がる。そして体についた雪を払う。
「出来るところまで行く。私に出来るか解らないけど、Nに会ってくる」
「デボラ、がんばれ!」
「うん!」
 デボラは再び走り出す。もう迷いは消えた。心にあった重苦しい思いもいつの間にか消えていた。ベルに手を振って、ただひたすら前に進む。


ーーーーーーーーーーーー
ポケモンホワイトをプレイしていて、ここらあたりで私がおいてけぼりになってしまった。
主人公おきざりにしてまわりが盛り上がってるようにしか見えなかったですよ奥さん。
だからきっと主人公はこう思いながらシリンダーブリッジ前のベル戦を戦ってたんじゃないかって思った。

【なにしてもいいのよ】【みんなの主人公はどう思ってた?】


  [No.2196] 俺のブラック螺旋な日記 ※英雄の条件 投稿者:音色   投稿日:2012/01/13(Fri) 23:31:10   144clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 英雄、レシラム、王、ゼクロム、プラズマ団、N、解放、ポケモン、理想、真実。
 自分と同じ名前を冠した塔で、街の広場で、博物館で、観覧車で、電気石の洞穴で、緑の髪をした青年は、黒い竜と飛び去った。
 ラセン、という名前を知った時、ひどくあの青年は目を見開いて、閉じた。螺旋の塔の存在は、雪花の町に着くまでは知らなかった。
 母親にライブキャスターで尋ねた。この名前には、あの塔と何か関係があるのだろうかと。
 画面の向こうで母は一瞬顔を曇らせて、一息ついて話してくれた。
 生まれた時に、双子の兄がいたこと。父親は雪花の出身で、塔について調べていたこと。二人の名前を塔にちなんでつけようとしたこと。
 そして、兄は産声を上げることなく死んだこと。
 難産だったらしい。片方が助かっただけでも奇跡だと、当時は医者が言っていたと、母は苦笑した。
 やっぱり感づいた?その顔は、娘の表情を見て気付いたらしい。無口な娘を持つと、何も言わなくても分かるものね、と呟いて、通信を切った。

 双竜の町へ向かう途中の橋で、ゲーチスは言った。
 王に選ばれた、止めたくば王の言葉の通りに対となる伝説の竜を従えろ。そして戦え。
 その気がないなら、私達は王の号令のもとに人とポケモンを切り離す。
 抑揚を付けた口調で、どこかわざとらしくそう告げて。何も言わない私に対して、黒いトリニティを従え去っていった。

 主張しないから、誰も何も言わないのかもしれないけれど。
 鞄の中のライトストーンを手渡された時、チャンピオンはとても真剣な顔をしていたけれど。
 仮に、私が皆が言う選ばれた英雄であるとすれば。


 それは何かの間違いだろうと、断言してしまおう。
 

 レシラムが目の前に現れたとしても、私は静かに竜の意思を拒むだろう。
 対となる竜がそろうことで、Nと戦うという事が決めつけられるのであれば、私はあえてそれに逆らってしまえば良い。
 

 英雄なんかじゃない。ただの、トレーナー。それが私なのだから。


 チェレンと勝負した。ベルが精いっぱいの励ましをくれた。彼も彼女も旅で何かを掴んだらしい。
 私はどうかと言われれば、まだ何も分からない。
 季節がぐるりと一周めぐっても、まだ見たことのない世界があると知ってるから。
 ボールの中で呑気なジャローダが欠伸をした。何も変わらないこの子たちと別れるなんて、考えたこともないけれど。
 
 ただ、英雄という称号にすべてを預けて、なにもかもをかけて戦えるほど、私は大きくなっていないから。
 四天王の部屋へ続く道。退路は断たれた

「さぁ、行こうか」

 独り言を漏らして、足を向けた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
余談   N戦でレシラム抜きでバトルしたのはガチ。あくまで英雄なんかじゃないよ、という主張の元でバトルしてくれていたらうれしいなぁ。

【うちの主人公はこう思ってた】


  [No.2197] 激しく同意! 投稿者:砂糖水   投稿日:2012/01/13(Fri) 23:49:49   85clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

私の場合、BWはなんていうか、敵から選ばれていることに違和感ありました。
いつもは、行く先々で敵をなぎ倒し、またお前かよ、って思われているのに…。
勝手に祭り上げられて…あれいつものこと?

> 主人公おきざりにしてまわりが盛り上がってるようにしか見えなかったですよ奥さん。

私もそんな感じでしたよー、いやほんと。

洞窟のとことか、いやお前勝手に決めんなや!って。




そして音色さんマジパネェ。
かっこよすぎワロタ。
本家ともども拍手テロらせていただきました。


【みんなも書けばいいのよ】


  [No.2198] 面倒なこと 投稿者:西条流月   投稿日:2012/01/14(Sat) 01:45:45   145clap [■この記事に拍手する] [Tweet]



 どうにも面倒くさい。

 お前がもう一人の英雄だとか戦わなければポケモンを開放するぞとか言われた時に思ったのはそれだけだった。
 こちとらこの間野生のポケモンに全滅させられそうになったんだぞ。そんな人間に世界の命運を任せる神経が理解できない。四天王とかチャンピオンとか強いトレーナーは掃いて捨てるほどいるだろう。

 きっとこの石に宿ってるもう一方のポケモンだってそう思っているに違いない。そこいらの草むらでタブンネ狩ってるような人間が実は英雄だとかいうことだってあるに違いない。
 いちいち英雄なんて旗を担がなくても、伝説のポケモンなんていなくても、あいつらのやってることが正しくないと思うなら、止めちゃえばいい。数に任せて強引に抑え込めばいい。

 言いたいことはたくさんあった。
 それでも言わなかった。

 結局は戦いに行くんだ。うだうだ言ってもしょうがない。
 ただ、一つだけ明確にしておきたいことはある。
 単に自分の仲間と別れさせられるなんて選択肢を選べるはずがない。それだけは嫌だから、面倒くさくてもできることがあるならやろうと思っただけだ。
 世界を背負うなんてことに憧れたわけでも、いろいろな人に頼りにされたわけでもない。
 ただそれだけのことだ。
 そう言おうと思ったけれど、恥ずかしくて言えはしなかった。



―――――――――――


いろいろ思ってるからこそ、言えない感じのうちの主人公
【書いてみたのよ】
【好きにしていいのよ】


  [No.2214] 【書いてみた】掴みにいく者 投稿者:巳佑   投稿日:2012/01/21(Sat) 23:50:57   155clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 
 イッシュ地方にあるはライモンシティ。
 ヒウンシティやソウリュウシティに負けないほどの都会を築いており、更には街の一角に遊園地があったりする。そこで有名なアトラクションの観覧車。ゴンドラから見える景色は中々のもんだ。今は夕日が水平線の向こうに落ちようとしていて、紫から群青色への美しいグラデーションが空に描かれていた。間もなく夜がやってくるからか、眼前に広がる地上ではビルの明かりなどがつき始めてきた。
 この観覧車に乗ると思い出す。
 

「ボクは観覧車が好きなんだ」
 あれは半年以上前ぐらいかな。
 いきなり緑色の髪の毛をした男――Nと名乗る男に観覧車を誘われた。
 実はこの男、それ以前にも会ったことが会って……確か、カラクサタウンだったかな? プラズマ団っていう謎の組織野郎の演説が終わったときに、向こうから話しかけてきたよな。第一印象が根暗でなんか電波っぽい感じ。それと、早口で何を言っているのかギリギリでなんとか聞き取れるけど、なんというか若干、自分の世界に入っているのではないかと思う。うん、なんか勝手にこっちが聞きもしてないことしゃべり出していたりするし、うん。私ね、いういうタイプがめっちゃ苦手だ。
 観覧車はどうやら二人乗りじゃないといけないらしく、一人でゆっくり乗させやがれこの野郎と、スタッフの首ねっこを掴んでやりたいところだったが仕方ない。ここで断って変な因縁つけられてもウザいし。私はその誘いに乗ることにした。
 二人でゴンドラに乗るとき、スタッフの顔が赤くなったのを見えた。勘違いしてんじゃねぇぞ、この野郎。
 私とNを乗せたゴンドラが上へと昇っていく。
 
「……最初に言っておくよ。ボクがプラズマ団の王様だ」
 エイプリルフールはまだだぞ。
 そんな感じでシラネっていう顔したけど、Nは勝手に話を進める。
 プラズマ団の王様としてどうとかこうとか、自分はこうしたいとか。
 なんというか、ねぇ、本当にウザかった。なんだ、コイツは。何を勝手に語ってやがるんだ。
 私だって女の子だぜ?
 胸のトキメキなんか鼻から期待してなかったけど、ここまでムードフラグをぶっ壊してくるとなると、呆れを通り越してイライラを覚える。
 そして長かったような観覧車がようやく終わり、私とNがゴンドラから出ると、入り口にプラズマ団の二人が「N様」と言ったときに私の目は丸くなった、と思う。本当だったのか、それ。
 そして、Nは自分の理想を語り、こう言った。
「ボクはチャンピオンを超える」
 うん、この辺で私のイライラ度は臨界点を突破したわ。
 Nの胸ぐらを掴んで、顔をグイとこちらに近づけさせ、こう言い放ったのを覚えてる。

「てめぇだけがチャンピオンを目指してるわけじゃねぇぞ、この野郎」

 最初はNの言葉なんてよく分からなかった。
 いきなりポケモンの解放とか、なんちゃらかんちゃら。
 おまけに自分の正体を明かしてくるときた、もう訳ワカメである。
 他人のことを理解してやれという言葉もあるかもしれないが、こんな奴のことを考えているだけでイラつく。
 最初は本当にNに対しては見下していたというか、そんな風に見ていた。


「…………」
「お前さ、本当は怖いんだろ? な、怖いんだろ?」
「こ、怖いわけけけななないぞ、ここここのエリートトレーナーで、ああああろうもの、全っ然、こわくなど」
「めっちゃ、足震えてんですけどー」
 そして今、時刻は間もなく夜のライモンシティ遊園地。
 私は一人のエリートトレーナーであるナツキという男と一緒に観覧車に乗っていた。 
 こいつ、本当は高いところが苦手なくせに、無理に隠そうとしている。
 バレバレなんだよ。
 まぁ、そこはあえて言わずに、ナツキのテンパり具合を見て楽しむのが私の最近起こったプチマイブーム。
 ほんと、コイツおもしれぇな。

 その後、観覧車から降りたときのナツキの顔色悪さがどこまでひどかったかは言うまでもない。 

「ま、サンキューな。おかげでめっちゃ楽しめたわ」
「ききき、きみは絶対、色々な意味で楽しんでいただろうっ!?」
「ん? なんだよ、アンタはつまんなかったのか? あぁ、そうか、そうだよな観覧車はやっぱり怖――」
「断じてちがーーーう!!!」
 ナツキとそんなやり取りを交わしてから、私は「本当にサンキューな」と一言残しながら、ナツキにサイコソーダを一本投げると、遊園地を後にした。
 もあんとした夏独特の気だるくなりそうな空気を感じながら、私は夜空を仰ぐ。都会の夜空は高層ビルとかがチカチカと騒いでるもんだから、星が黙ってしまって、全く見えない。ちぇ、流れ星がこの間に流れてきたりとかしたらどうしてくれんだ、という割とどうでもいい悪態をつきながら歩き続ける。

 あれからまた旅を続けていく中で、何度も何度もNに会った。
 もうコイツ、ストーカー罪ということでジュンサーさんに通報しようかなって思ったときもあった。だって、こんなに偶然なのっておかしすぎるでしょ、流石に。これがストーンをもらったもの同士の運命なんて言ったら……まぁ、ちょっと響きは悪くないかもだけど。
 しかし、なんだろうな、Nと会っていくとな、これだけは分かったんだよ。
 
 アイツも何かと戦っているんだろうなぁって。
 自分のやりたいことを見つけたいっていうベルや、バトルマニアの域を越したいらしいチェレンや、もちろん強くなりたいっていう私と同じでさ。
 アイツも何かと戦っているんだよな、きっと。
 ポケモンに対して、自分には何ができるとか。
 ポケモンにとって一番の幸せってなんだろうかって模索してんだよな。
 お前も私達と一緒ってやつだよ。きっと、そう。
 なぁ、N。
 アンタも幼馴染みだったら、また違っていたのかな。

 強めの風が一つ、私に吹き付けてくる。

 まぁ、変えられないもんに今更、小言を言っても仕方ねぇよな。
 とりあえず、身も心も準備万端になったし、そろそろ暴れますか。
 なんかゲーチスっていうおっさんに手の平で踊れ的なことを言われたけど、まぁ、いいや。
 自分でも言うのはなんだけど、私、暴れたら、他の奴らには手がつけられないほど、ヒドイらしいから。
 
 あのおっさんの言う通りになるのがシャクだが、今から私が目指すべき相手はNだ。
 本当に胸倉を掴んだのにふさわしい相手だって、今、思える。
 待ってろよ、N。
 今度はアンタからチャンピオンを掴んでいってやるからな。

 そして決着をつけようぜ。

 どちらかが英雄にふさわしいのか、じゃなくて――。

 どっちがチャンピオンになれるかをさ。
 
 ぶっちゃけ、英雄の称号やら世界平和とやらはその副賞でいいや。  




【ギャグ的なおまけ】

「ぼ、僕はプラズマ団の王さ――」
「カット。噛んでるし」
「く、僕としたことが」
「早くしないと、アナタが言っていた女の子、来ちゃうんじゃない?」
「な、なんとかしてみせるよ」

 観覧車内、ライモンシテイのジムリーダーであるカミツレ相手に練習するN。
 カミツレ曰く、面白そうだったから手伝ってあげたとか、それからこのことは黙秘にしといたとか、しなかったとか。




【書いてみました】

 前置き:こんなゴーイングゴーマイウェイな女主人公でもいいですか(

 皆さんの物語を読んだ後、私も書いてみようと思い、観覧車のシーンを思い浮かべたら、このような物語になっていきま(以下略)
 なんというか主人公は徐々にNのことを認めていったというのもアリかなと思いまして、あのような展開になっていきま(以下略)
 それと、ライバル(?)と認めたお前と真正面からバトれて嬉しいぜ! みたいなものもあるかなぁとも思いまして、最後はあのような感じになりました。(汗)

【書いてみた】に続いてみましたが、ずれていたらスイマセン(汗)

 追伸:物語では半年とか書いていましたが、実際、10月31日に始めたBWはNの「サヨナラ」を聞くまで実に四ヶ月以上、3月16日までかかりました。半年はかからなかったけど、時間(多分、インターバルが多いのと、回り道をしたかったから)をかけすぎた……? と振り返ってみる今日この頃です。


 ありがとうございました。

【何をしてもいいですよ】


  [No.2244] わたしたちが見たもの【超今さら書いてみた】 投稿者:砂糖水   投稿日:2012/02/15(Wed) 01:03:48   154clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 あそこをくぐり抜ければNがいる。ゲーチスが何か言っていたけれど、関係ない。わたしはただ、Nに言いたいことがあるだけ。
 心臓が暴れまわり呼吸が乱れる。パートナーの入っているモンスターボールを握りしめて、わたしは覚悟を決めた。

 行こう、Nのもとへ。


 Nが、ゼクロムを呼んだ。呼びかけにこたえて、玉座の向こうから黒い竜が現れる。黒い竜は力を誇示するように吠え、電気のエネルギーを撒き散らす。圧倒的な力。あれが、伝説の竜。
 体が震える。勝てるだろうか。違う、何をしてでも止めるって決めたんだ。
 大きく息を吸う。若草色の目を見据えて、わたしは告げる。





 N。わたしはきっと英雄なんかじゃない。だってそうでしょう? ゼクロムが現れても、ライトストーンは反応しなかった。
 わたしは、あなたに言いたいことがあって来たの。わたしには求めるべき真実なんて分からないよ。この世界のことをほとんど知らないもの。
 あなたは多分戸惑っているよね。わたしがこんなに喋るところを見たことがないだろうし。ベルもチェレンも、今のわたしを見たら驚くだろうね。でも、わたしにだって言いたいことがたくさんあるんだ。

 聞いて、N。
 
 わたしには分からなかった。なんでわたしが英雄なのか。どうしてNはわたしにこだわるのか。これは、今でも分からないよ。
 あなたは何度も接触してきては、一方的に喋り、勝負を仕掛けてきた。電気石の洞穴では、勝手にわたしをニュートラルだと決めつけた。たしかに理想も、真実も知らなかったけど。それに、わたしの意思なんかお構いなしにわたしを選んだなんて言う。竜螺旋の塔でもそう! わたしにライトストーンを探せと言った。
 なんで! どうしてわたしなの!
 あなただけじゃない。みんな、みんなそう。わたしにやれと言う。わたしの気持ちなんて知ろうともせずに、英雄になることを強制した。流されるままのわたしも悪かったよ。でもさ、だんだん、言えなくなった。言える雰囲気じゃなかった。
 みんなわたしに期待して……押しつけて。わたしは、まだこどもなのに。大人たちも、アデクさんくらいしかあなたに挑もうとはしなかった。そのアデクさんだって、わたしにライトストーンを持てと言った。正直怖かった。なのに、受け取れって。押し付ける形になってすまない? だったらやめてほしかった。でも、受け取る以外の選択肢なんてなかった。
 あはは、こどもだよねえ。わたしもみんなに負けず劣らず自分勝手だよねえ。でも、もうやめるわけにはいかなかった。わたしだって、ポケモンのいない世界は嫌だったから。わたしがやるしかないって、言い聞かせてた。
 ねえ、N。わたしね、あなたの考えには少し共感しているの。傷つくポケモンがいるのはやっぱりいい気はしないよ。たとえば、ずっと一緒にいるこの子たちが誰かに傷つけられるのは、嫌。でもさ、方法が間違っていると思う。たしかに、ポケモンと人間を引き離せば、人間に傷つけられるポケモンはいなくなるよ。でもその代わり、新しい悲しみが生まれると思う。
 N。あなたは言ったよね? わたしたちみたいな人ばかりだったら、ポケモンの解放なんてしなくていいって。あなたは迷っているんじゃない?

 あなたの部屋を見せてもらったよ。ずっとあの部屋の中で過ごしていたんだってね。
 あの部屋を見て、ずっと迷っていたけど分かったんだ。言ったでしょう? 自分がどうして英雄なのか分からないって。ここに来るまであなたと戦うことに踏ん切りがつかなかった。英雄であるだけの、理由なんてなかった。でもこの城に入って、あなたの部屋を見て、あなたの過去を聞いて、自分がどうしたいか分かった。

 あのね、N。あなたの見ていた世界はすごく狭くて小さいよ。
 わたしも似たようなものだけど。わたしだってカノコタウンから外に出たことがなかったから。

 ねえ、あなたは「外」で何を見た?

 わたしはポケモンをもらって、外に出ていろんな経験をした。トレーナーとはポケモンバトルをしたし、ポケモンを交換することもあった。ミュージカルに参加したこともあった。人の仕事を手伝っているポケモン、ううん一緒に働いてた。みんな、楽しそうに笑ってた。ポケモンの言葉は分からないけど、見ていてそう感じた。
 たくさんの人たちと、ポケモンたち。お互いがお互いを思いやっていた。

 N、あなただって見たでしょう?

 うん、そう。あなたがあの部屋で見てきたことも本当のことだよ。実際、人間に苦しめられているポケモンもいる。でも、ね。わたしが見たのはたいていプラズマ団のせいだったよ。ムンナの煙が必要だからって、蹴ったりして煙を出させようとしていたことがあったんだ。あの時はすごくびっくりした。この人たちはポケモンを大切に思ってないんだって、口先だけだったんだなって思った。あなたとはずいぶん違っていた。思えば、あれがあったからわたしはここにいるのかもしれない。
 それから、ポケモンを解放するんだと言って、ポケモンと人を引き離していたよね。でもポケモンたちは、大切な人と引き離されてつらそうだった。ベルがムンナをプラズマ団に奪われたとき、ベルもムンナも、両方とも悲しんでた。やっぱりそういうのを見ると、こんなのは違うって思ったんだ。

 ポケモンと人が出会って、たしかに悲しみが生まれたと思う。でも、それ以上に喜びが生まれたんじゃないかな。あなたは今ある喜びを、幸せを、すべて悲しみに変えるの?
 それがあなたの『理想』なの? 目指すべきなのは、今ある幸せを壊すことなんかじゃなくて、悲しみを減らすことなんじゃないの?
 わたしはこの子たちと出会えてすごく嬉しかった。喧嘩することもあったけど、一緒にいられて幸せだったよ。
 ねえ、N。あなたはポケモンと一緒にいて幸せじゃなかったの? 幸せだったはずだよね?
 それはあなたもわたしも、そして他の大勢の人も一緒なんじゃないの? あなたはきっとそれを見てきたはず。

 なのに、あなたは自分が見てきたものを否定するの? 
 あなたがしようとしていることは、今まで見てきたことを否定してまでやるべきことなの?

 わたしたちが見たのは、『真実』じゃないの?





 そこまで言ったとき、バッグがもぞもぞと動いた。はっとして、バッグを開ける。


 ライトストーン、が――――。








――――――――――――――――――――――――――――――――――――


超今さらですが書いてみました。
書く書く言ってから大分たったのでわたしが言ったこと自体、皆様忘れてると思いますw
ぶっちゃけプレー中は、電気石の洞穴あたりから完全に置いてきぼりされてたので、こんなことは考えてないですw
これを書くためにプレー動画見てみたんですが、ゼクロム登場からレシラム登場までほとんど間がなく、思わずずっこけました。
もうね、明らかにゼクロム現れたから出てきただけだろ状態。
実際にプレーしてたときはあんまり気にならなかったんですけど。
というわけで、こんな感じのことがあったんじゃないかなあという妄想でした。
今更過ぎてごめんなさい!




【書いてみたのよ】【今さらでごめんなさい】