始まった時から終わっていた。きっと私のやっていることはそうだったんだろう。未来なんてない袋小路。勝ったところで失うしかない負け街道。それでもいくしかなかった。止まるわけには行かなかった。
戻ることのできない道で止まってしまえば先には進めないから。考えなくてよかったことを考えてしまえば、次の一歩が遅れる。遅れた分だけ余計に考えて、その分だけ救いが遅くなる。それを知っていた。
だから、だからね。
「ベル。もうやめて」
トウコには来てほしくなかった。あなたにだけは止めてほしくなかった。親友に呼び止められれば、足を止めざるを得ないから。
「トウコ。まだ――」
止める気なのか、あるいは止められると思っているのか、どっちを聞くつもりだったのか自分でも分からない。遮るようにして放たれた言葉に思考が停止してしまったから。
「ポケモンが好きだって言ってたじゃない」
「えぇ、そうよ。”ポケモン”は好きよ」
「なら!」
親友の声が聞こえる。今にも泣きだしそうな声。駆け寄って頭を撫でたくなる胸に刺さる声。
その声を聴くのは辛い。でもその声に耳を塞ぐことはできない。許されない。
自分は同じような声を聴き続けるからだ。友達を取らないでよ、と叫ぶ人から容赦なくポケモンを奪うと知っているから、その声に駆け寄ることは許されない。
なによりも、
「トウコ、ポケモンが好きだからこうしているのよ」
これが正しいのだと思って行動してきた。ポケモンのためになると思ったから。大好きなポケモンのためにやってきた。そのためだけにこんなことをやり続けてきたのだ。
「それでもこんなの……こんなの絶対間違ってる」
駄々をこねるように否定する友人を見るのは辛い。私とて気になることで彼女が心を痛めることは分かっていたのにそれでも辛い。
「そうね。私のやってきたことは正しくないわ」
「ベル。そこまで分かっているならやめましょう。まだやり直せるわ」
この親友はやっぱり優しい。あんなに酷いことをしたのに、まだこんな言葉をかけてくれるのか。それでも、そうだからこそ、
「私に止まることは許されないのよ」
こうすることもやめられない。親友と戦いたくない。そんな私はきっとひどく我儘なのだろう。けれど、やめることはできない。私は欲張りだから。
「お願い、トウコ。私と一緒に来て」
泣かせたくない。戦いたくない。けれど、止められない。だから、だから。
「私の手を取って。ポケモンが笑っていられるように。ポケモンが辛い思いをしないように一緒に戦いましょう」
私は手を差し伸べた。
――ポケットモンスターブラックホワイト2――
せっかくなら、きとかげさんの黒ベルに返信投稿しようと思ったけど見つからなかったorz
てなわけで嘘予告第二弾。今回は敵勢について書いてみた。悪とは言えない悪。果たして主人公の取る道は――
ってところで切れるCM雰囲気
【今度はまともな嘘予告なのよ】
【思ったより黒くないのよ】
【好きにしていいのよ】