|   三月二日の夜、彼女が布団に潜った先にあったのはカチューシャ屋さんでした。
 
 都会のデパートなどでよく見かけるような、オシャレな雰囲気を漂わせているお店で、様々なカチューシャが置かれてあります。ただ、そこのカチューシャ屋はノーマルタイプのカチューシャは売られておりませんでした。
 そこにあったのは獣の耳がついたカチューシャだけでした。
 
 黄色で細長く、先端が黒く染まったそれはピカチュウの耳カチューシャ。
 水色と青色に染まった細長いひし形(サイド付き)のそれはグレイシアの耳カチューシャ。
 茶色の毛にクリーム色のもこもこがついた、長い垂れ耳のそれはミミロップの耳カチューシャ。
 ぷち模様に渦巻き一つ乗せたそれはパッチールの耳カチューシャ。
 
 他にもキュウコンの耳カチューシャや、タブンネの耳カチューシャ。
 それからオタチに、プラスルに、マイナン。
 更にルカリオや、チョロネコと……このように実に多種多様な耳カチューシャがそろっていました。
 
 「お客様、どれかお探しのカチューシャはありますか?」
 
 店員さんらしき人に問われた彼女はグレイシアの耳カチューシャを手にとって、これが欲しいと伝えますと店員さんは彼女に、もう一度つけてみてはいかがでしょうかと促します。
 その言葉に彼女が再びグレイシアの耳カチューシャをつけますと、店員さんがにこっと笑いました。
 
 「お買い上げありがとうございました」
 
 彼女がカチューシャ屋さんを出ると、そこは自分の布団の上でした。
 不思議な夢を見たものだと彼女が起き上がり、鏡を見ると、あら不思議。
 
 グレイシアの耳(サイド付き)が彼女の頭の上に乗っていました。
 右にぴこぴこ。
 左にぴこぴこ。
 どうやら本物らしいです。
 カチューシャではなく、本物のグレイシアの耳(サイド付き)でした。
 
 彼女は目を丸くし、頬をつねりましたがなんともなく、このまま外へ出ても大丈夫なのだろうかと心配しながら窓の先に映る風景を見やると、そこにはポケモンの耳をつけた人達が歩いていました。
 
 今日は三月三日、耳の日。
 
 魔法のカチューシャで、それぞれお好みのポケモンの耳に世界は彩られていました。
 
 
 
 【書いてみました】
 今日は三月三日、桃の節句もそうですが、耳の日でもありますよね!(ドキドキ)
 ポケモンの耳に限らず、エルフ耳や、もちろん人間の耳など、とにかく皆も好きな耳を愛でればいいと思うよ(
 
 ありがとうございました!
 
 【何をしてもいいですよ♪】
 |