ある日、二匹のしあわせが出会いました。
 僕はしあわせって言われてます。あなたはしあわせを知っていますか。
 
 もちろん知っているわ。
 しあわせはね、わたしのタマゴにつまっているのものよ。
 私はしあわせって言われているの。あなたはしあわせって知っているかしら。
 もちろん知っています。
 しあわせは、ぼくの翼にこもっているのものですよ。
 いいえ、いいえ。
 僕の、私の、タマゴにこそ、翼にこそ、しあわせがあるのです。
 二匹のしあわせは、言い合いをはじめてしまいました。タマゴにこそ、翼にこそしあわせがあるのだと言い張りました。
 翼のしあわせは、タマゴなんて狭くて苦しいものにしあわせがあるはずがないと言いました。
 タマゴのしあわせは、翼なんて軽くてふわふわしたものにしあわせがあるはずがないと言いました。
 言い合いははげしくなるばかりでした。お互いにしあわせはそこにないと言い張りました。だんだん、二匹のしあわせはしあわせがなんなのかわからなくなってきました。
 しあわせが分からなくなってきた頃、くさむらからこんな声が聞こえてきました。
 しあわせなんてね、どこにだってあるものなのよ。たぶんね。
 しあわせにね、形なんてないのよ。たぶんね。
 そうやって探してるとしあわせを見失うと思うの。たぶんね。
 出会えたことがしあわせなのよ。たぶんね。
 出会ったばかりでいきなり殴られたって、わたしはしあわせよ。たぶんね。
 二匹のしあわせは、お互いに顔を見合わせました。タマゴをみました。翼をみました。
 たぶんね、しあわせはどこにだってあるんだなと笑いました。くさむらからも、そうかもね、ですよね、ほらね、やっぱりね、だろうね、たぶんねと笑い声がきこえました。
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おかしいな、もそっとちゃんとするつもりだったんです。
タブンネさんがすべてを颯爽とかっ攫っていった気がするんです。一番最後はタブンネ隊から。