「あかね、かえんほうしゃ!」
オレの横を、あかねが放った真っ赤な炎が通り過ぎて行く。 その炎はバトルをしていた野生のオニドリルに見事にヒットし、焼き鳥が出来上がった。 ……って、オイ。
「あかね、もうちょい手加減できねーのか?」
オレは一仕事終えたあかねに問いかけた。
「バトルに手を抜くなんて、有り得ない」
……同情するぜ、焼き鳥、もといオニドリル。
「そうだよらいち! バトルはいつでも真剣にやらなくちゃ!」
あかねの後ろにいたモモコがうんうんと頷きながら言った。 まあ、その気持ちは分かるが……。
オレたちは今、まだまだ弱いワタッコのあおばにバトルを見せて、経験値を稼がせている所だ。 当のあおばは空中に浮かび、炎が当たらないギリギリの所でバトルを見物している。 ……器用だな、アイツ。
そんなことをしていると、焼き鳥の匂いにつられたのか、草むらからゴマゾウが出てきた。 ああ、ご愁傷様です……。
「あ、ゴマゾウ発見! あかね!」
「了解」
モモコがあかねに指示を出し、あかねは炎を吐き出す為に息を吸い込んだ。
ゴマゾウは臨戦体制をとっていたが、怖いのかその瞳は潤んでいる。
「……」
「モモコ? 準備オッケーなんだけど」
あかねのそんな声が聞こえてモモコの方を見ると……固まってんのか? あれ。
「……」
「オーイ、モモコー? どうしたんだー?」
「……か、」
「か?」
「か、可愛いいいーー!!」
いきなり叫んだかと思ったら、モモコはゴマゾウに飛びついてぎゅうーっと抱きしめた。 その速さといったら、カイリューもびっくりだ。
「……モモコ? どうしたのよ」
「可愛すぎるー! この子とは戦えないー!」
「……」
……オイモモコ、お前さっき「バトルは真剣に」とか言ってなかったか?
「あ、あそこにヤドン発見! あかね、最大パワーのかえんほうしゃー!」
「了解」
……ヤドンはいいのかよ!
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ほぼ実話。 ゴマゾウ可愛いよね
[なにしてもいいのよ]