やぶ蛇とはこのことだろうか。ゴーヤロック神に「ダイゴさんくださいいい!!!」と頼み込んだら、同じようで神の方が深く読み込んだダイゴさん像ができていた。しかしこのままでは引き下がれない。一度消えたこの話、もう一度書くべし。評価なんぞ知らん。書きたいからかく。
前書き:ロンスト「流星をおいかけて」の前の話。読んでなくても解る。
平日の穏やかな晴れの日は、道行く人もまばらだった。春の風がダイゴのスプリングコートを撫でる。首筋から入る風に、思わず身を縮めた。春とはいえジョウトはまだ肌寒い。薄い手袋では指先が冷たい。
それでもこの大きな川沿いの道が一番好きだ。人でごった返していないし、野生のポケモンをたまに見ることができる。都会の鬱蒼とした人の中にいると、息が詰まりそうになる。対岸では暇なおじさんが釣りやゴルフをしていた。ガーディの散歩をしている人もいる。
ダイゴは足を止めた。まだ平日というのに真新しい制服を着た女の子が川を見つめて座っている。
「こんな時間からサボりかい?」
なぜ声をかけたのか解らなかった。ただ何となくかけなくてはいけないと思った。ダイゴの声に、女の子は顔をあげる。横から見たときは気付かなかったが、左頬に大きなガーゼがあって、涙で濡れていた。
「学校はどうしたの?」
「行かない」
手に握られていたくしゃくしゃになった紙を見せて来た。その要約はーー二度と来るな。
「またどうして?」
ただ黙って女の子は座ったまま左側にあった石を掴む。ダイゴは信じられなかった。その体格からは想像できないくらいに強い力で石は飛んだ。そしてそれは普通の人間ではとても届かないような川幅を越えて対岸にめり込む。
「普通の人は対岸に石なんて届かない。届く私は異常なんだ。異常だから必要ないんだ」
たまにポケモンと同じような力や特性を持つ人間がいるとは聞いたことがあった。集団行動を好む学校からすれば、こんな強い力を持つ人間は不穏分子でしかないのだろう。
ダイゴは黙って足元の石を拾う。手首をひねってそれを投げた。水面に落ちるとぱしゃんと跳ねて、生き物のように水上を進む。そして対岸の草むらに消えて行く。
「向こうに石が届くのが異常なら、僕も異常だね」
驚いたように女の子がダイゴを見上げていた。
「こんな真っ昼間から君を見てる先生は授業中だ。つまり君がどこ行こうが関係ない。それにもうすぐお昼だ」
ダイゴの差し出す手を掴んだ。その時、初めて彼女が笑った。
昼間から制服を着た中学生の女の子を連れてる男は、不審者とうつっているようだ。コガネシティですれ違う人の視線が言っていた。けれどダイゴは気にもせず、たわいのない話をしながら歩く。そして都会の中の静かなレストランへと入った。
「そういえば君の名前聞いてなかったね。僕はダイゴだよ」
「ダイゴさんですか」
彼女の視線はやや下を向いた。そして消え入るような声で話しだす。
「私は……その、ガーネットです」
「へぇ」
宝石や鉱物の話になると聞く名前だ。それが人の名前になると、ガーネットの反応を見る限り苦労してきたのだろう。
「変な名前なのは解ってるんですけど、生まれた時からこの名前ですし」
「いや、いい名前だよ。努力、友愛、勝利を意味する石だ。赤く燃える美しい色をしている。気高い宝石だね」
「あっ……そう、ですか?」
少しだけガーネットの顔色が明るくなった。
「うん。僕はそう思うな。僕の友達がね、宝石の名前を持つ子はとても大切な役割があって、どんな困難にも立ち向かうんだと言ってた。古いホウエンの昔話なんだけどね」
「ホウエン?」
「僕はホウエン地方に住んでるんだ。普段はポケモントレーナーをやっているんだけど、たまにこうしていろんなところに出向くんだよ。ガーネットちゃんはホウエンに来たことあるかい?」
「ないです。私のお父さんもトレーナーなんですけど、あちこちの大会にいっててほとんどいませんし、お母さんは仕事に行ってるので」
「なるほど。ホウエン地方はね、とにかく海が綺麗なんだ。家の近くの海も、ポケモンが多くてね。緑も豊かでね、とにかくおいしい木の実が多いんだ。一度来てみなよ。本当にいいところだから」
「私のお父さんもホウエン地方の出身らしくて、昔はそっちに住んでたらしいんですけどあんまり覚えてなくて」
料理が運ばれてくる。デミグラスソースの乗ったおいしそうなオムライスが二人分。スプーンを左手で取るガーネットを見て、ダイゴもスプーンを持った。彼女はちゃんと食べるか気になったが、心配は無用のよう。
「ガーネットちゃんの名前は、その昔話にあやかってつけたのかもね」
「へ? 昔話ですか? 宝石の名前ってやつですか?」
「お父さんがホウエンの人なら知っててもおかしくないだろうしさ。紅玉と青玉という名前を持った人たちがいてね、その人たちは陸と海とつながっているっていう話だよ。今で言えばルビーとサファイアって名前かもしれないし、違う国の言葉での名前かもしれない」
「ルビー、ですか」
「そうだよ」
「私が生まれた時、お父さんはルビーにしたいって言って来たらしいんです。でも突然、絶対だめだ、っていきなり言い出したらしくて」
「ああ、やっぱりその話を知ってるのかもね」
「だからって、こんな名前ないと思ってたんですけど、ダイゴさんが初めていいって言ってくれたし、少し自信もてました」
普通に笑うんだな、とダイゴは思った。中学生にしては淀みきった顔だったのに、今では年相応の女の子にしか見えない。
それにしてもただ力が人より強いというだけで、学校が来るなと言うのだろうか。それと頬のガーゼのことも。出会ったばかりで深くは聞けない。話したくなるまでは聞かない方がいいとダイゴは思った。
食後のコーヒーを飲む頃には、すっかり打ち解けてしまっていた。初対面であるはずなのに、そんな事を思わせないくらいに。ガーネットはフルーツの乗ったおいしそうなケーキを食べている。それを正面からダイゴは見ていた。じろじろ見ていたら失礼かなと目をそらすけど、自然と彼女も見ている気がする。そして目が合うとガーネットの方からそらした。
「もうこんな時間なんだね」
ダイゴは左腕にしている時計を見た。すでに午後2時になってしまっている。
「ガーネットちゃんは家に帰るんだよね」
帰りづらいのだろう。ガーネットは今までのテンションから一段落ちたトーンで話す。
「あんまり帰りたくないです」
「けどちゃんと今のことは話さないとね。一緒に説明しよう。きっと解ってくれるよ」
店を出る。小さな子供と歩くように、ガーネットの手を握って。すれ違う人々は相変わらず怪訝な視線を向けるけれど、二人は気にしていなかった。
不審者を見るような目で見られる。それはそうだ。娘が知らない男を連れて来て、親が警戒しないわけがない。特に父親が見る目は、敵を近づけまいとする目だった。その警戒を解くには、まずダイゴは自分から情報を出す。
「ホウエンでポケモントレーナーをしているダイゴと言います」
「これはどうも。私はトレーナーのセンリです。それで、ホウエンのトレーナーがうちの娘に何のようですか」
「川原で会いました。さっきのことですよ。僕はそれを伝えにきました」
センリに伝えるのは、ガーネットのこと。学校のこともそう、特性のこともそう。トレーナーがポケモンを語るのと同じくらいにダイゴは話す。事件のことは知っていたが、ガーネットに来た紙は知らなかったようだ。
話して行くうちに、センリはかなりガーネットの特性のことは注意していて、絶対に人を叩いたり掴んだりしてはいけないと言っていたことが解る。それが例え嫌なことを言われても、絶対にダメだと。それなのに……
「集団で金銭を?」
「カツアゲっていうのかな。新入生だからやりやすいのだろうって学校の先生も言っていたね」
生徒を正しく指導できない学校ではよくあること。集団で自分より大きな人間に囲まれ、銀色の刃で斬りつけられて、どんなに禁止されていてもそうするしか自分の身を守れなかった。見た目からは全く想像できない力で、一人一人を殴り、骨を折って戦闘不能にさせる。
その時のガーネットは必死だったのだろう。左の頬から血が流れてることも気付かなかったと言った。自分の血か相手の血か解らないけど、床は赤く鉄の匂いがしていた。物音に気付いた先生が来た時には、ガーネットはそこに立ち尽くしていた。
「とにかく娘がお世話になったようで。どうもありがとうございます」
これ以上は出会ったばかりの人間が関わることではない。ダイゴは一礼すると玄関に向かう。ノブに手をかけると、それは勢いよく外に開いた。
「ただいま!」
ダイゴは目を疑う。ガーネットを一回り小さくしたような女の子が入って来たのだ。
「あれ、おきゃくさん!? こんにちは!」
使い込まれたランドセルを背負って、にこにことダイゴを見ている。ガーネットの妹で、くれないという名前らしい。すっと家の中に入って行く。
「くれないちゃんとそっくりなんだね」
「違いは身長と性格だけってよく言われます」
さっき家に入ったばかりのくれないは、ダイゴを見送るようにガーネットの隣にいた。見送るというのは口実だろう、どちらかといえば姉の側にいたいといった感じだ。
「じゃ、僕は帰る。今日は楽しかったよ、ありがとうねガーネットちゃん」
「いえ、こちらこそ、ありがとうございました」
ガーネットが一礼する。それに倣ってくれないもお辞儀をした。
「あの、また会えますか?」
「そうだね」
ダイゴは鞄から予定の書かれた手帳を取り出す。
「もう少しジョウトにはいるから、また会えるかもね。よかったらこれが連絡先だから、渡しておくよ」
この日はそうして別れた。くれないが最後まで嬉しそうな顔でダイゴとガーネットを見ていた。
ジョウトでの用事は忙しく、コガネシティからエンジュシティを往復する毎日だった。空いた時間をみつけては、観光のためにスズの塔や焼けた塔の近くまで行く。スリバチ山を歩いて気に入った石を集める。
石はその土地の神様が宿っているという。だからこそ持ち帰ってはいけないと言われていた。それを信じるわけではないが、どうしても気に入ったものは手に入れたくなってしまう。
ダイゴは半分あの時のことを忘れかけていた。石をながめ、ジョウトに来た時のことを思い出していた。突如、突き上げるようにガーネットの顔が浮かぶ。予定は空いている。帰るまでにもう一度会っておきたい。ダイゴはモンスターボールを取り出した。鋼の翼エアームドがあらわれる。
コガネシティに降りると、わずかな記憶を頼りにダイゴは歩き出した。一度行っただけだが、何となく道は覚えてる。この川を上流に沿って歩いて、そしてウバメの森が遠くに見える橋を……
「なにするのよ!」
激しく言い争う声が聞こえる。
「俺たちにこんなケガさせといて、なんでお前が平気で歩いてんだよ! 金くらいだせ」
白い包帯を巻いた集団が、女の子の髪を引っ張っている。
「こいつ校長にもう二度と人を殴らないって誓約書かかされたんだぜ」
抵抗しない相手を殴りつける。それが上級生のすることなのか。
「エアームド」
鋼の翼から風の刃が飛んだ。数人の髪の毛を切り落とし、空へ消える。
「うわっ!」
「なんだ!?」
「んだよおっさん」
振り向いた不良たちがダイゴに気付く。
「ダイゴさん!?」
驚いたようなガーネットの声がした。
「知り合いかよ」
「うぜえよおっさん、ナンパに」
再びダイゴは命令する。エアームドは固い翼を振り切った。エアームドの抜けた固い羽が地面をえぐりとって落ちる。
「ナンパって言うのね、誘う側を不快にさせないことを言うんだよ」
ポケモントレーナーがポケモンを使って人間に攻撃することなんてまずない。不良たちもそうくくっていたから、ダイゴの行動には誰もが黙った。
「と、トレーナーのくせに」
「そうだそうだトレーナーが人間攻撃したら」
ポケモントレーナーが意図的に人間を傷付ければ、その資格は簡単に剥奪される。そんなことは常識だからこそ、不良たちはダイゴを挑発したのだ。
「……想像以上に頭の悪い人間っているんだね」
もう一つボールが開く。そこから出て来たのは土偶ネンドール。目のようなものがたくさんあり、その場が静かになる。
「ポケモンは攻撃するだけじゃないんだよ。お家に帰って、パパやママから常識を学んでおいで」
ネンドールはダイゴの意図を汲み取った。まばたきしている間に不良と共に姿は消え、数秒後にネンドールだけダイゴの元へと戻ってくる。
「大丈夫かい?」
ガーネットは何が起きたか解ってないようだった。誰もいないことを確認して、ダイゴの顔をみた。
「いや、あの、ダイゴさんまさか・・・」
「ああ、彼らはそれぞれの家に帰しておいたよ。大丈夫だ、あれなら傷付けたわけじゃないから責任は問われない」
ネンドールとエアームドがボールに戻っていく。そしてガーネットを抱き起こした。
「一緒に帰ろう」
ガーネットは何も言わず下を向いてダイゴの少し後ろを歩く。ダイゴが声をかけても、生返事しか返ってこない。
「さっきのやつ」
ガーネットが消え入りそうな声で言った。
「昨日家にも来ました。親つれて、こうなったのは私のせいだから治療費はらえって、なんで私はこんなにまでされても何にもできないんですか?」
ダイゴは何も言わずポケットからハンカチを取り出して、ガーネットの涙をぬぐう。彼女がハンカチをつかむと、肩を優しく叩いた。
「ガーネットちゃんは何も悪くない。あんなことされても我慢していたのは本当に偉いと思う。僕だったらできない。何があっても絶対に手を出してはいけないなんてことは、僕はあり得ないと思う」
「ダイゴ……さんっ!ダイゴさん!」
今まで押さえていたものを一気に爆発させたかのように、ガーネットが声をあげていた。小さな子をあやすかように、ダイゴはガーネットを抱きしめる。
対岸では暇なおじさんが釣りやゴルフをしていた。ガーディの散歩をしている人もいる。野生のペルシアンが川の魚を狙っていた。その後ろではニャースが見ている。どうやら子供に狩りを教えているようだ。
その様子を見ながら、ダイゴはガーネットと一緒に川原で話していた。いつの間にか世間話になっていて、あのことなどなかったかのようだ。
「ダイゴさんってポケモントレーナーなんですよね」
「うん、そうだよ」
「ポケモンってかわいいですか?」
「かわいいよ。愛情をこめた分、期待に応えてくれる。言葉は話せないけど、僕にとっては人生のパートナーだ」
自分のポケモンを持っていないとその辺りはいまいちピンと来ないのだろう。ガーネットは目の前のポッポを見て、不思議そうな顔をしている。
「そうだ、ガーネットちゃんもポケモンもってみたらどうかな?」
「えっ、私育てたことないですし」
「大丈夫、ポケモンだって色々いて、懐いてくれる……そうだ実家にエネコっていうかわいいピンク色の猫がいるんだけど、どうかな?」
「そんな、もらっちゃ悪いような……」
「大丈夫だよ。会社の近くにはよくいるんだ。大人しいポケモンだからすぐ慣れてくれるよ」
そうと決まったら。ダイゴは立ち上がる。
ポケモンセンターでエネコの入ったボールを受け取った。そして外に出ると早速ボールから出してみる。
「これがエネコなんですね。笑ってるみたいでかわいい」
喉をごろごろ鳴らし、エネコはガーネットに甘えた。エネコをおそるおそる抱き上げて、頭をなでている。ふんわりとした猫の毛がガーネットの腕に収まる。
「でも、もし力いれすぎてつぶしちゃったりしたら……」
「考え過ぎだよ。技もそんな強いの覚えないから扱いきれなくなることはないよ。大切にしてね」
「はい。ありがとうございます」
ガーネットはとても嬉しそうだった。ダイゴからの贈り物、それを今までで一番大切というように。
完全には打ち解けきれてないコンビではあった。帰り道、エネコはずっとガーネットの後ろをついていく。主人だと認めているかは解らない。途中、目につくもの全てに飛び掛かろうとしたり、ガーネットの髪にじゃれつこうとしたり、それはもうイタズラの大好きなエネコだった。
「おかえり!」
家につくと、元気よく向かえたのはガーネットの妹のくれないだ。身長差がなかったら、見分けはつかないだろう。
「あ、おねえちゃんのせんせい!」
ダイゴに向かってそう言った。くれないからはそう見えるようだった。けれど興味はダイゴからすぐに違う方に行く。そう、エネコだ。
「かわいいーーー!!おねえちゃんどしたのそのこ!」
「エネコだよ。ダイゴさんからもらったの」
エネコも大きな声にひるんだが、くれないに捕獲され、なで回されては逃げ場はない。
「ねえねえおねえちゃん、エネコかうの!?かわいい!」
頭をなで回され、細い目で一生懸命助けてくれと訴えてるようだった。
「くれないちゃん、エネコはぎゅっと抱くんじゃなくて優しく抱いてあげて。それから喉を撫でてあげると喜ぶよ」
「え?そうなの?」
ダイゴに言われた通りに抱くと、先ほどの苦しそうなエネコの顔から、普通のエネコの顔に戻る。
「わあ、ほんとうだ。きもちよさそう!」
エネコはくれないの腕の中でゴロゴロと喉をならしていた。
「エネコまで区別ついてないのかな」
ガーネットが小さく言ったのを、ダイゴは聞き逃さなかった。
明日にはホウエンへ戻る。長い休暇が終わり、また現実へと戻るのだ。帰ってしまう前に、一言つたえた方がいいだろうとダイゴは道を歩く。
家の近くまで来ると、ガーネットがギャロップを連れた同い年くらいの女の子ととても楽しそうに話している。最初はダイゴのことを気付いていなかったが、視界に入ると大きく手を振った。
「ダイゴさん!こんにちは!」
「やあ!こんにちは。ガーネットちゃんのお友達かな?凄い立派なギャロップを連れてるね」
角は太く、蹄は固そうだ。そしてなにより燃え上がるようなたてがみ一つ一つが美しい。撫でようとしたら、ギャロップに睨まれてしまった。
「はいそうです。ネネが言ってたトレーナーさんですよね!私はキヌコです。ネネと小さい時からの友達!」
とても嬉しそうにキヌコは今度から一緒の学校に通えると話していた。ダイゴはそれを聞いて安心する。この短期間ではあったけど、妹のように思っていたガーネットと仲良しな子が同じ学校へ通う。誰にも助けを求められない性格だからこそ、キヌコの存在は救いに思えた。
「あ、ディザイエの散歩の途中だから、じゃね」
キヌコはギャロップを連れてそのまま去っていく。最後までギャロップはダイゴを睨んでいた。
「ダイゴさん、キヌに先越されましたが、私は転校できることになったんです!」
「うん、みたいだね。仲良さそうなお友達だね」
「はい。中学が別で不安だったけど、一緒になってよかった!」
ガーネットはとても嬉しそうに話している。何も進まず、完全につまったかのように思えた現状は、とてもよい方向に向かっているようだ。
「良かった。僕も心置きなくホウエンに戻れるね」
「あ、そうか……」
少し曇りかけた表情を隠し、笑顔でガーネットは続ける。
「ダイゴさん、ホウエンのトレーナーなんですよね。あの、連絡してもいいですか?」
「いいよ。次は夏にジョウトに来る予定なんだけど、その時また連絡するよ。その時また元気な顔みせてね」
「……はい!」
ガーネットはダイゴに手を振る。ダイゴはまたね、と言って笑顔で去っていく。まだ春の寒い日だった。
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そして流星プロローグへ続く
初恋は実りません。
ゴーヤロック神に勝負を挑んだ事自体が間違ってると言われても気にしない。かきたいものをかくんだ!
【好きにしてください】