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  [No.2434] With Tranquill and Voice 投稿者:ことら   《URL》   投稿日:2012/05/23(Wed) 19:33:00   94clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 最近ポケモンが減って来た。原因など解っている。戦争が始まったからだ。
 優秀なポケモンはもちろんのこと、その辺にいる適当なポケモンだって戦力になると捕獲された。

 そんな戦争の初期、優秀なトレーナーはみんな徴兵された。この男もそろそろ自分の番とおびえている。
 殺し合い、奪い合い。なぜお上の決めたことに命をかけなければならない。いや原因は向こうの国が無茶難題を押し付けるからだ。そうでないと、今の裕福な生活はまもれない。そんなことは解っている。それでも殺される恐怖や徴兵される恐怖におびえていた。

 いつもならポケモンの鳴き声が朝からけたたましい。けれど最近はめっきり静かだ。静寂の朝を迎えて男は郵便受けを確認する。
 良かった、今日も来ていない。徴兵を知らせる紙が。
 
「ぽぽくるぽー」

 男は上を見上げた。聞こえるはずのない声がする。
 この声は誰だ。確か、そうだハトーボーだ。ポケモンがまだいる。まだ鳴いている。野生のポケモンはまだ生きてる!
 しかし屋根を見ても空を見ても、ハトーボーの姿はなかった。鳴き声だけがそこにある。姿は見えなかった。

「くるぽぽぽぽぽ」

 男はハトーボーに呼びかける。降りてきてくれ、と。
 野生のポケモンはいなくなった。朝も昼も夜も静寂。ひとたびその姿を見せればすぐに捕獲される。だからこそ男はハトーボーの野生に生きる姿を見たかった。

「ぽぽぽぽ」

 ずっと右から聞こえる。どっちを向いても右から聞こえる。相当姿を消すのが上手いハトーボーだ。だからこそこんな時代でも野生で生きていられるのだろう。
 通りすがりの人が不思議そうな目で見ている。男は答えた。ハトーボーが鳴いている、さっきからずっと鳴いている、と。その人は何も聞こえないよ、と言った。
 
「くるぽっぽー」

 姿は相変わらず見えない。けれどそこに確かにハトーボーが存在している。
 
 昼になってもハトーボーは鳴いている。増えてきたようで、さらに鳴き声はざわざわしている。
 ああそうだ、ハトーボーが集まるところには平和の国があると聞いたことがある。
 戦争しているこの時代に、ハトーボーが集まるのであれば平和に導かれているのかもしれない。そうだとしたらハトーボーたちを保護して住みやすいところにしてやりたい。
 平和の国のハトーボー。ああそうして戦争が終わって、平和な国になって。またポケモンたちが朝に鳴いて一日が始まるのに。

「くるぽぽぽぽっぽー」
 
 なんだって、よく聞こえない。男はそう言った。
 男のまわりには常にハトーボーの鳴き声がしていた。心配になった家族が病院に連れて行く。
 
「ぽぽぽくるるっっぽぽぽー」
 
 突発性難聴。そう診断された。
 ハトーボーの鳴き声もその症状だと。
 男は認めなかった。このハトーボーの声は確かに存在している。存在しているのに否定するのか、と。
 平和はそこまで来ているんだ。そんな病気ではない。
 邪魔するな。ハトーボーは確かにいる。姿は見えないけど確かにいるんだ!

「ぽっぽー」

 戦争はやがて酷くなり、侵攻されるようになっていった。
 それでもハトーボーの鳴き声は止まらなかった。
 いつかこのハトーボーたちが戦争をとめて平和に導くと信じている。
 
 男の家も戦地となり、凶悪なドラゴンポケモンに焼かれるまで、ずっと。


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覚えてますか、エイプリルフールという名のマメパト襲来を。
乗っ取られたタイトルを一つずつ見ていって爆笑したのが「ポッポ嫌い」と「よわむしピジョット」だったのはよく覚えてます。
そして漏れず乗っ取られたのがマメパト。
Tranquillは英語でハトーボーです。そろえた方がいいかと思ってこっちにしました。
意外に冗談通じないかもしれません。
外語ポケモン楽しいですね。
ハトーボーの平和の国はいつか使いたいと思っていました。

【なにしてもいいですよ】