サイコソーダ大好きダイケンキ、シェノンがてくてくと道を歩いていると、目の前に笹が立っていました。
その笹には短冊がたったの一枚だけ、ひらりひらりと揺れていました。水色の短冊には、太く黒々とした、おそらく筆ペンで書いたのであろうでっかい『合格祈願』の四文字。
「何かすっげぇ切なくなる光景だな」
ありのままを口にした後、そのシェノンは何も言わずに代表として持ってきた短冊をかけていきます。去年よりも数枚、増えている気がします。シェノンはまず彼の仲間たちの短冊をかけ終えると、見覚えの無い字形で書かれた残りの三枚を見つめました。
一枚目は、ひらがなとカタカナだけで書かれた、まるで小学生が書いたような文字。
『これからも おじさんと たくさん ほんが よめますように! ルキ』
二枚目は、綺麗な、大人が書いたような文字。名前はありません。
『平和な日々が続き、彼を置いていったりするようなことが起こらない事を祈る』
三枚目は、少し丸みがかった、女の子っぽい字。黄色い短冊です。
『今年も向日葵が沢山咲きますように。 再会できますように 夏希』
その三枚も掛け終えると、シェノンは「サイコソーダの季節だなぁ」などと呟きながら去っていきました。
夜空に、星々を湛えた天の川が輝いておりましたとさ。
【短冊 どうか増やしてほしいのよ】 【なんか今年もやっちゃったのよ】