引っ越し。
それは住み慣れた土地を離れ、新しい土地で、新しい人達に出会うことができる、素敵なイベント。
ジョウト生まれのカントー育ちでありながら、シンオウやイッシュにも行ったことがある私なのだが、ホウエンには初めて来るどころか、これから目の前の、水東荘(みあずまそう)という二階建の古いアパートに、住むというから驚きだ。
まずいな私。生きていけるだろうか。
「貴女が秋風カエデさん?ヘェ、これまた
えーらしい子が来たなぁ。その紅い髪もえぇなぁ。」
「はあ……ありがとうございます……。」
「ああ、えーらしい別嬪さんやから見惚れてたわぁ。
私は一応、ここの大家やっとるんよぉ。
何かあったら声掛けてな?」
ああ、大家さんだったのか。
しかし、「えーらしい」 とは一体……。
方言かな。あとで調べよう。
とりあえず、大家さんに鍵を貰うと
突然、腰のボールホルダーのモンスターボールから
一匹飛び出してきた。
間違いない。我が相棒、メイプルだ。(因みにヤミカラスの♀である)
空中で翼を羽ばたきながら現れ、そのまま私の頭に乗っかった。
この子は、人の頭に乗るのが好き乗っかり魔である。
「まあ、ヤミカラス!初めて見るわぁ。
ホウエンにはいないから、なかなか見れないんよ。
それにしても、主人に似てえーらしい子やねぇ。」
あ、メイプルが照れた。「えーらしい」 の意味は
流石にわかってないな。だって私も知らないし。
とりあえず、大家さんに礼を言ってその場を離れると、私はこれから住む、203号室に向かった。
メイプルは相変わらず、頭に乗っかったままだ。
カンカン、と、子気味よく階建を登ってすぐが203号室。
貰った鍵を差し込んで扉を開けると、大きな本棚と、メイプルご愛用の止まり木(実は結構、高かったり)を含んだ
大きな荷物以外、段ボールの中で眠っている。
しかし、まず先に何をしよう。
片付けか、差し入れを渡すか、調べものか……。
メイプルは早速、ご愛用の止まり木に止まって部屋をぐるり、と見渡していた。
時刻はちょうどお昼頃。
しかも、今日は休日だ。
なら、差し入れを渡して、ご飯を食べて
それから片付けと行こうか。
そうと決まると、私はメイプルを呼んで頭に乗せると
ジョウト名物のいかり饅頭を持って、お隣さんへと挨拶しに向かった。
*あとがき*
覚えている人がいるかはわかりませんがお久しぶりです。
NOAHと言います。語り部九尾の作者と言えばわかるでしょうか……。
いろいろあって、現在は九州に引っ越して暮らしてます
場所は大分県です。なのでそこで覚えた方言を入れました
「えーらしい」とは、大分弁で「可愛らしい」 と言う意味です。
また暫くお世話になります。よろしくお願いします。
*タグ*
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