弟の宿題を手伝うことになった。
バスケ部、塾、学校の宿題。彼の夏休みは夏休みじゃない。こんなことを言うと世の大学生や社会人の皆さんに怒られるかもしれないが、彼もまともな休みはお盆のみだった。
でもまあ、川に遊びに行ったりプールに行ったり遊びの面でも充実はしていたようだが。
さて、宿題の話である。塾の課題は親と一緒にやるため、どうしても時間が押してしまう。
この十三年間、一度も誰かに宿題を手伝ってもらうことがなかった弟が、下でポケモンをしていた私に『姉ちゃん宿題手伝って』と頼んできた。
『何でだよ』『だって暇そうじゃん』『暇そうなら誰にでも宿題頼むんかいお前は』『大丈夫だよ、数学じゃないから』『じゃあ何』『短歌作って』『……は?』
話を聞けば、去年の夏休みの宿題の進化版で、今年は短歌を作ることになったらしい。
「俳句はなんとかなったんだけど、短歌って難しいんだよね。ラストの十四文字」
「普通の俳句の後に『そしてかがやく ウルトラソウル』って付ければ何でも短歌になるよ」
「えwww ちょwww ブフォッww」
ツボッたらしい。一分間近く笑い転げていた。放っておこう。
自慢じゃないがこういう物は得意である。中三の冬休みの宿題で俳句を作り、某飲料水の俳句コンクールに出したら佳作をもらったこともある。あれは私の数少ない栄光の一つだ。『言われている人は舞台へ上がってください』と言われてスッと立ち上がった時の周りの視線が忘れられない。
まあ最も……その日は一がついた通知表が返ってくる日でもあったのだけど――
「できた」
人工の 青に映るは 水の色 瞳の裏に 焼きつく光
「ボツ」
「何で!?」
「アンタさあ、弟がこんなの作ると思う?」
「思いません」
「もっとこう……中二男子が作りそうな物をだな……」
母親と談義している横で、当の本人は漫画を読んで笑っている。カチンとくる。
「『兄弟に 宿題任せる 馬鹿一人 お前もやれよ この野郎』」
「ナイス」
「えー……」
「つべこべ言わないでお前も作れ!もう二度と漫画貸さんぞ!」
何度目かの『私何でこんなことしてるんだろう……』という気持ちが胸を包む。疲れた。もう怒る気力もない。
仕方ないので『中二男子』らしい物を作ってみる。
「『歯にしみる アイスキャンディー もう一本 今年は何本 いけるかな』」
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余談。
実際にこういうことが我が家で起きているので書いてみた。ポケモン出てこないけど気にしない。
俳句・短歌は得意です。作者名言えないけど。
【宿題終わった?】