※ポケモン等を殺したりといった要素を含みます。含むどころかメインになってます。あと嘔吐や見方次第では拘束・監禁・調教といった要素も含みます。という訳で閲覧注意です。
僕は悪くない。仕方ないんだ。悪いのは僕を使う人間なんだ。
確かに僕は今まで沢山の人間やポケモンを殺して来た。でも、それは全部あいつらの指示だ。僕の意志じゃない。仕方ない事なんだ。だから――僕は悪くない。
そう考える様にしてから、随分と楽になった。
僕の意志じゃない。それは間違いないんだ。でも、でも、それならどうしてあの時、つまらないなんて思ったんだろう――。
初めて殺したのはいつだっただろう。僕が生まれ育てられたこの大きな建物の一室で、訓練と称されたそれは行われた。形式自体はそれまでの訓練と同じで、あいつらに用意されたポケモンと戦うというものだった。ただ、指示が違った。それまでとは違い、はっきりと告げられた。殺せ、と。
どうすれば良いのか分からなかった。動けなかった。その時、あいつらが一言おい、と言った。分かっているな、とでも言うかの様に。
命令に従わなければどんな目に遭うか、思い出し、吐いてしまった。今でも思い出す度に体が震えてしまう。殺したくなかった。でも、あんな目に遭うのはそれ以上に嫌だった。今度はもっと酷いかもしれない、殺されてしまうかもしれない。恐怖が僕を突き動かした。そして、僕はそのポケモンに襲い掛かった。多分、泣いていたと思う。あのポケモンも、僕も。
自分がしてしまった事を改めて自覚した時、またしても吐いてしまった。殺した時の感触が、悲鳴が、表情が、次々と甦ってきた。自分が、殺した。その事実を認めたくなかった。でも、どうしようもなかった。殺さなければまたあんな目に遭っていた、仕方なかった、と必死に自分を説得した。でも、逆らっても殺される訳じゃない。それにもし殺されるとしても、こんな自分の為に他のポケモンを殺す様なポケモンより、あのポケモンの方が生きるべきだったんじゃないか、そんな思いは拭えなかった。
それからは通常の訓練に加えて、殺せと指示が出る事があった。僕はその度に葛藤し、恐怖し、殺し、後悔してきた。自殺だって何度も考えた。でも、出来なかった。自分が助かる為に殺して来たのだから、当然と言えば当然だ。でも、自分1匹が助かる為に何匹も犠牲になっている事がおかしいのは分かっていた。もし僕が死んだらそれまで殺したポケモンが生き返るのなら、あの時はまだ自殺に踏み切っていたかもしれない。
初めて殺した時、いや、殺させられた時から数週間が経った頃だっただろうか。僕の主人が決まり、それまで訓練と呼ばれていた事は仕事と呼ばれる様になった。それを境に変わった事と言えば、まず場所だろう。初めて仕事として指示が出た時、僕は初めてこの建物から出た。その時見た景色は、僕が生活してきた部屋よりも、訓練の時に連れてかれた部屋よりも、それまで見たどんな場所よりも直線が少なく、沢山の色があった。前にも横にも壁は見えず、駆け出したかった。勿論出来るはずもなかったが、戦っている時は、あんな場所で動ける事に喜びや楽しさを感じていた気がする。殺せと指示が出ていたにも関わらず、笑っていた様な気もする。それ位新鮮だった。
他に変わった事は、仕事の対象がポケモンに限らなくなった事や、首に枷の様な物を付けられる様になった事、他のポケモンと協力して戦う事があった事もだろう。初めて協力して戦った時、僕は同じ様な境遇のポケモンがいる事を知った。協力したポケモンは首には同じ枷を付け、傍らにはあいつと似た様な服装の人間がいた。その人間とあいつが何やら話している間に彼と少しだけ話した所、彼が僕と同じ様な境遇である事、そして彼が他にもそんなポケモンを数匹知っている事を話してくれた。多分まだまだいるだろうという事も。
その仕事を無事に終え、部屋に戻された僕は考え事に耽っていた。僕みたいなポケモンが沢山いるという事がどういう事か。
まず、僕は殺すのが嫌だ。慣れてしまって来ていても、外で動ける事が楽しくても、それは変わっていないはずだ。いや、絶対に変わっていない。でも、指示に従わなければあんな目に遭わされる。だから、仕方ない。そう考えて来てはいたけど、割り切れてはいなかった。でも、でも、僕と同じ境遇のポケモンがいるのなら、無理に殺させられてるポケモンがいるのなら、僕が殺していなくてもあのポケモン達は助からなかったんじゃないか? 僕が殺さなくても他のポケモンが殺したんじゃないか? 訓練のは別のポケモンの訓練に回され、仕事のは別のポケモンが仕事で殺すんじゃないか? 今まで僕は自分が殺したからそのポケモンが死んだ、自分が殺さなければそのポケモンは死ななかったと思っていた。でも、あいつらに選ばれた時点でもう助からなかったんじゃないか? それなら、それなら――
指示に逆らう理由はないんじゃないか?
そうだ、逆らう理由なんてない。僕は殺すのは嫌だ。殺すのは悪い事だ。でも、相手はもう死んでいるも同然なんだ。あいつらに選ばれた時点で助かる事は出来ないんだ。殺すのは僕だ。でも、死ぬのは僕の所為じゃない。あいつらの所為だ。悪いのはあいつらなんだ。だから、僕は悪くないんだ。それにもし僕が逆らったら、あいつらは代わりのポケモンを使うかもしれない。そうしたら、また僕みたいに扱われるのだろう。それは間違いなく辛い事だ。なら、僕が指示に従う事は良い事なんじゃないか? 僕が指示に従う事で、ポケモンを1匹助けている事になるんじゃないか? そうだ、僕は殺す事で誰かを苦しめているんじゃない、誰かを助けているんだ。だから、僕は悪くない。殺す事自体は悪い事でも、指示に従う事は良い事なんだ。それに殺すのは僕の意志じゃないんだ。あいつらの指示だから仕方ないんだ。悪いのはあいつらで、僕は悪くないんだ。そうだ、僕は悪くない――。
そう考えた時、何だか楽になった気がした。仕事だって楽しみに思えて来ていた。仕事はない方が良いんだとは思いつつも、この建物の外に出られる事は魅力的だった。
実際、罪悪感さえなければ仕事は楽しかった。罪悪感が込み上げて来る時もあったけど、その度に自分自身に言い聞かせて来た。僕は悪くない、自分の意志じゃないんだ、仕方ない事なんだ、と。そうだ、殺すのは僕の意志じゃない。絶対に、絶対に違う。でも、僕は確かにあの時つまらないと思ってしまったんだ。どうして、どうして僕はそんな風に思ったんだろう――。
今日の仕事の事だ。最近は殺す指示が多くなっていた気がする。前回まででも何回連続でその指示が出ていただろうか。だから、今回もそうだと思っていた。でも、出された指示は殺すな、生け捕りにしろというものだった。その時だ。つまらないと思ってしまったのは。何で、どうして僕はそう思ってしまったんだろう? 今までを思い返してみても分からない。何がつまらないんだろう? 楽しかったのは外で動ける事のはずだ。でも、殺しても殺さなくても動ける事には変わりない。それで変わる事と言ったら――。いや違う。絶対に違う。そうだ、仕事は無事に殺さずに終える事が出来たんだ。殺さずに済むならそれが一番良いんだ。僕は殺したくないんだから。僕は殺したくないんだ。殺すのは僕の意志じゃないんだ。だから、だから、殺す事が面白いと思うはずはないんだ。絶対にそんなはずはないんだ。でも、それならどうして――。僕は、本当は――。違う。違う! 違う! きっと他に理由があるんだ。つまらないと思った理由が。でも、分からない。いや、分からなくて良いのかもしれない。とにかく違うんだ。殺す事が楽しいはずがない。殺すのは僕の意志じゃないんだ。仕方なくそうしているだけなんだ。それさえ分かっていれば良いんだ。僕の意志じゃないのは間違いないんだから。絶対に、絶対に。僕は殺したくなくて、殺さずに済んだんだ。殺さずに済んだんだから良いんだ。僕は殺したくないんだから。そうだ、今まで殺して来たのは全部あいつらが悪いんだ。僕の意志じゃないんだ。だから、だから――
僕は悪くないんだ。
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えーと、はい、ごめんなさいごめんなさい。でもこれでも結構自重しました。多分全年齢ですよね、多分。リョナとかイマサラタウンな箇所は省きましたし。
と言う訳で悪の組織的な何かに使われるポケモンの話。続くかもしれませんし続かないかもしれません。続くけど投稿出来ない可能性も結構あったり。
でも1匹ずつ管理してる理由とか首輪付ける理由とかどうでもいい事は考えてあるのに組織の大きさとか目的とかを決めてないという。そっちの方が大事だというのに。決まってても書く訳じゃないのであまり影響は無いのですけれども。それにしてもこいつら殺しすぎですね。ロケット団でさえ殺したと明確に分かるのはあのガラガラ位だった様な気がするというのに。こいつらどんだけ悪い奴らなんだっていう。イッツ無計画。
食料とかもどういった設定にしましょうかね。木の実を用意されてるとかが無難ですかね。でもイマサラタウンな案の方が自然に思えてしまうという。殺す理由にも繋げられますし。
さて、何のポケモンかはご自由に想像して下さい。首があって自己暗示が使えれば大体当てはめられると思いますので。キュウコンとかグラエナとかゾロアークとか。アブソルなんかも夢特性が正義の心ですからその場合葛藤が激しそうで可愛いですね。結論も自分のやっている事は正義だと思い込んだり。あと個人的にはブラッキーの妄想が捗ったり。自己暗示使えますし悪タイプなのも似合いますしなにより懐き進化で分岐進化という所が。懐いた理由とか妄想がイマサラタウン。分岐進化はここまでだとあまり関係して来ないんですけどね。
あと読点とか「でも」とかが多すぎますね。読み辛くてすみません。でも読み辛い方が雰囲気出る場面もありますよね。それが意図的だったら良いんですけどね。全体的に読み辛いですからどうしようもないですね、すみません。
何はともあれ書いてて楽しかったです。書いててと言うよりは妄想しててと言った方が正しいかもしれませんけど。
【書いてもいいのよ】
【描いてもいいのよ】
【虐めてもいいのよ】
【ややイマサラタウン】