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  [No.2608] 【ポケライフ】鳴神様へ 投稿者:NOAH   《URL》   投稿日:2012/09/07(Fri) 17:00:00   96clap [■この記事に拍手する] [Tweet]


その昔、おばあちゃんに聞いたことがある。
木の実や野菜、お米等を収穫している途中で
遠くで雷が落ちたところを見たあとに、お酒や花と一緒に
収穫したものを鳴神様にお供えすると
そのものの願いを叶えてくれるのだと言う。



「おばあちゃん。」
「びぃ!」
「いらっしゃい、チナツ。可愛いあなたもね。」

大きな昔ながらの家。その裏に、小さなビニールハウスがある
そのハウスの中から、おばあちゃんは収穫したたくさんの野菜を持って
私とエレキッドを出迎えてくれた。

「可愛いでしょ!エレキッドって言うんだ!
この前お父さんがくれた卵が孵ったの!!」
「そう、良かったわね。大事に育てなさい。」
「うん!!」

おばあちゃんはニコニコ笑いながらエレキッドの頭を撫でた。
私も!と、おねだりして撫でてもらったとき、遠くで雷が鳴った。

「……あら?鳴神様かしら?」
「なるかみさま?」
「ちょっと呼んでみましょうか。」
「!あの歌だね!!」
「びぃ?」
「エレキッドにも聞かせてあげる!」



空に黒雲渦巻いて

雨降り風吹き雷(かんだち) 落ちる

嵐の過ぎた焼け野原

鍬立て種撒き命成る

鳴神様に捧げよう

黄金に染まった我が宝




目の前に、小さな祠が現れた。
そこには、古びた和紙に、『鳴神様ノ祠』と書かれていた
おばあちゃんの手には、なんだか高そうなお酒が握られている

「さあ、チナツ。野菜をお供えして上げて?」
「うん。」

私は、色とりどりの木の実や夏野菜が入った籠を、小さな祠の前に置いた。
その横では、おばあちゃんがお酒をお猪口に注いでいるのが見えた
アルコールの匂いが鼻につくが、神様の前なので我慢した。

エレキッドは、花瓶に花と水を入れて、そっと野菜達の横にそれを置いた。
おばあちゃんも、注いだお酒を供えると、蝋燭に火をつけて、手を合わせた。

「チナツとエレキッドが、何時までも仲良しでいられますように。」
「……!!」
「ふふ。チナツとエレキッドも、お願い事をしてみなさいな。」
「じゃあ……おばあちゃんが元気でいられますように!!」
「ありがとう、チナツ。さあ、帰ってお昼にしましょうか。」
「うん!!行こう、エレキッド!!」

おばあちゃんは蝋燭の火を仰いで消すとお酒を持ち、私の手を取った。
私もおばあちゃんの手を取ると、反対側の手で、エレキッドの小さな手を握った。
そのエレキッドの反対側の手には、いつの間にか拾ってきたであろう木の枝が握られていた

「チナツ。何がいい?おばあちゃん。今日は何でも作るわよ。」
「カレー!カレーがいい!!」
「じゃあ、決まりね。」

家路をのんびり歩きながら、色んな話をした。
鳴神様が、私達を優しく見守っている気がした。


*あとがき*
雷を題材に、ほのぼのしたのを1つ。
この小説における鳴神様はなんなのか
皆様のご想像にお任せします。

【好きにしていいのよ】