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  [No.2630] 時節の理 投稿者:巳佑   投稿日:2012/09/21(Fri) 05:40:13   100clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 
 ある日のこと。
 
 黄緑色の小さな妖精が円状に十二個の種を地面へと埋めました。
 毎日、水をいっぱい与え、育ちますようにと願いました。
 すると、最初の萌芽がやってきました。
 

 地面の中から、一葉をつけた芽が現れて、黄緑色の妖精が群青色の神様を呼びます。
 双葉の姿を見て、群青色の神様が黄緑色の妖精の小さな頭をなでます。
 それから群青色の神様が力を込めますと、辺りに結晶が現れてその一葉の芽を抱きしめたかと思うと、その双葉は結晶の中に取り込まれていきます。
 かちんと何かがはまったかのような音とともに、透き通った結晶の中には一葉がありました。
 その後、二個目の種も地面から芽を伸ばし、一本の木になったところで、黄緑色の妖精がまた群青色の神様を呼びました。
 すると、双葉のときと同様、群青色の神様はその木も結晶に抱かせました。
 またその後、三個目の種も地面から芽を生やし、それはたちまち大きくなって、それはそれはその身に淡い桃色の花をたくさんつけた大樹となりました。
 その桃色の花びらが宙に舞う姿に心を躍らせながら、黄緑色の妖精は群青色の神様を呼びました。
 綺麗だ綺麗だと目を輝かせながら語る黄緑色の妖精に、群青色の神様は微笑みながら一つ頷くと、その大樹を結晶の中に入れました。 
 

 美しい桃色の大樹が生まれた後、四個目の種から芽が息を上げました。
 一個目のときとは違い、双葉になったときに群青色の神様によって、結晶の中に入りました。 
 四個目に続いて五個目は緑色の太い茎が伸びたところで、結晶の中に入ります。
 それから六個目の種からは大きな黄色の花が咲きました。黄緑色の妖精は自分の顔と、たくましい茎の上で揺れているその花の大きさを見比べて、大きい大きいと楽しそうに騒ぎます。
 その様子を見ながら、群青色の神様はその大きな黄色の花を結晶の中へと取り込ませました。 
 
 
 大きな黄色の花に驚いた後に、七個目の種から芽が生まれます。
 今度は三葉の状態で、群青色の神様は結晶の中に入れます。
 そして八個目は二個目のときと同様に、一本の木のところで結晶の中に入りました。
 その後、九個目の種からは真っ赤な葉っぱを衣にした一本の大樹が生まれました。その真っ赤な色に黄緑色の妖精は心を奪われたかのように呆然としています。
 それから、群青色の神様はその大樹を結晶の中へと取り込ませました。
 
 
 真っ赤な大樹が生まれた後、十個目の種から目が生まれます。
 今度は四葉の状態で、群青色の神様は結晶の中に入れます。
 それから十一個目は緑色の茎が伸びてきたところで、結晶の中に入りました。
 ようやく最後の十二個目の種から出てきたのは、中央に小さな黄色の花を咲かせた白い花でした。高さは黄緑色の妖精より少し低く、右手を使って背丈を比べていた黄緑色の妖精は自分の方がお姉さんだねと笑いかけていました。
 それから、群青色の神様はその花を結晶の中へと取り込ませました。
 
 
 こうしてできあがった十二個、円状に並ぶ結晶の中にあるのは芽や木や花たち。
 それらを眺め、準備はできたとでもいうように群青色の神様は一つ鳴きますと、その円の内側を沿うように歩き始めます。
 どしんどしんとゆっくり、歩を刻んでいき、黄緑色の妖精はその姿を眺めながら歌い始めます。一つ一つの種からどんなものが生まれるのだろうか、それを楽しみにしていた心。また、種から生まれた奇跡に喜んだ心を音色に変えながら、歌いました。
 するとどうでしょう、一個、一個の結晶が淡い光を放ち始めるではないですか。
 最初はちかちかと小さな光でしたが、やがて、辺りをも染めるかの大きな光へとなっていきます。
 その色は緑だったり、黄色だったり、桃色だったり、真っ赤だったり、白だったりと様々で、その光と光が合わさるとまた別の色になって辺りに漂います。その光の動きはなんだか楽しそうなものでした。
 群青色の神様がゆっくりと一周すると、黄緑色の妖精が隣の結晶に移動し、また群青色の神様がゆっくりと一周歩き出します。

 やがて暖かい風が流れ。
 続いて暑い風が流れて。
 それから涼しい風が流れて。
 その後に冷たい風が流れて。
 
 ぐるぐると十二個の結晶の内側で刻まれていく軌跡が羽ばたいていって――。
  
 
 世界に時間が満ち、季節が巡り回り始めました。
 

 

 


 今も――。 

 群青色の神様が大きな針のように。
 
 黄緑色の妖精が小さい針のように。

 この世界の時を刻み、季節を彩っています。
  
  


【書いてみました】

 お久しぶりの投稿となります、どうもです、巳佑です。
 今回は時と関係深そうな二匹を書いてみました。
 ある意味、この話の中では、お互い時間を司るパートナーみたいなものかなと思ってみたり。
 まぁ、群青色の神様のパートナー的存在は某ぱるぱるぅさんだと思われますが(苦笑)
 
 楽しんでいただけたら幸いです(ドキドキ)
 
 
 ありがとうございました。


【気がつけば、理シリーズも4つ目と相成りました】
【なにをしてもいいですよ♪】