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  [No.2645] 愛を込めて花束を 投稿者:NOAH   《URL》   投稿日:2012/09/24(Mon) 14:55:13   102clap [■この記事に拍手する] [Tweet]


シオンタウン郊外に、自転車を漕いでどこかに向う1人の女性
その自転車の籠にはカラカラがちょこんと居座り、その手には、赤と紫の花束

女性は白衣を来て、荷台に鞄を括り付けている。
栗色の髪をうまく纏めて、白い薔薇の嘴ピンで、前髪を止めていた。


「久しぶりね。こっちに来たの。」

「カラ……?」

「だって、私が医大卒業してからはずっとアサギにいたじゃない。」


女性の言葉に答えるように、籠に居座るカラカラのオスは、前を向いて、小さく鳴いた。
だいぶボロボロの自転車ではあるが、女性は白衣を靡かせて、ひたすら、どこかに向かっていた


「さあ、そろそろあの花畑よ。フジさんが先に着いてるはずだから
失礼のないようにしなさいね?オーカー。」

「カラ!」

「よし、いい子!さあ、飛ばすわよ!!」






僕のお母さんは、ちょっと前に天国へ行ってしまった。
そのときに、偶然出会ったのが、人間のクルミさんだ。
クルミさんは、寂しくないように、ずっと僕の側に居てくれた
そして、そのまま僕のトレーナーになってくれた。

そのときのクルミさんは、お医者さんになる勉強をしていたため
クルミさんに着いてきたというチャコールさんに、色々教えてもらった。
チャコールさんは、とっても強くてカッコいいマニューラの女の人で
僕の憧れであり、目標としている人だ。

もしお母さんがまだ生きてたら、チャコールさんみたいに
戦い方を教えてくれたのかな……。


「着いたわよ、オーカー……降りれる?」


お花屋さんで買ってきた、ちょっと高い花束を
いったんクルミさんに預けて、自転車の籠から飛び降りた。


「……こんなに逞しくなったの、チャコールのお陰かしら。」


花束をまた預かると、クルミさんは荷台の荷物を取ってから
たくさんのお花に囲まれた、丘の上の大きな木へと向かった。
その木の下に、僕のお母さんのお墓があるんだ。


「フジさん。」
「おお、クルミさん。お久しぶりです。」
「お久しぶりです。腰の具合はどうですか?」
「ええ、なんとか。しかし、最近のお医者さんはすごいですな!」
「医学は常に、進歩していますから……それじゃあ、始めましょうか。」


フジさんと言う人間のお爺さんとクルミさんは
お母さんのお墓を綺麗にし始めた。

僕も手伝えることをして、5分くらいで終わった。
それから花束をお母さんのお墓に置いて
蝋燭と御線香を立てて手を合わせた。


「オーカー。私達は向うに行ってるから
お母さんとたくさん話しておいで。」

「カラ……?」
(いいの……?)

「ほら……行きましょう。」


クルミさんとフジさんは、丘の下の花畑に行ってしまった。
それをじっと見送ったあと、僕はお母さんのお墓に向き合った。


「……お母さん。僕ね、前より強くなったんだよ。」

「まだまだ未熟者だってチャコールさんは言うけど
それでも、色んなポケモンと戦ってきたんだ。」

「お母さん、この花、好きだったから持ってきたんだ
花の名前は知らないけど、とてもいい匂いがするって言ってたもんね
これね、赤い方がグラシデアで、紫の方が胡蝶蘭って言うんだ。」

「お母さん……僕、ずっとずっと、お母さんのこと、忘れないから。」



ありがとう、愛しているよ、お母さん。


*あとがき*
Superflyさんの愛を込めて花束を聞いたときから
この曲はずっと、ガラガラとカラカラの二匹に会うなぁと思ってました

カラカラがガラガラに花束を送ると言うイメージが
焼き付いて離れませんでした。

感想、お待ちしています。


【描いてもいいのよ】
【感想求む】


  [No.2648] 【愛を込めて】Happiness 【花束を】 投稿者:NOAH   《URL》   投稿日:2012/09/26(Wed) 13:34:23   90clap [■この記事に拍手する] [Tweet]


「なあ、聞いたか?」

金髪の男が、フードを被り、顔を隠す男に話しかけていた。ここは、喧騒と欲望の渦に沈むブラックシティ。黒く染まった大都会である。

「……何かあったのか。」
「ほら、あの単独で動く女裏ハンター!!名前は確か……。」
「キャシディ・マーニー?」
「そう!そいつ!毒蛇キャシディ!!」
「組んだのか?」
「らしいぜ。」
「……厄介なのが増えた。」
「何か言ったか?」
「何も……持ち場に戻ろうぜ。」

フードを被った男は、金髪の男を急かすように先に進む。金髪の男は戸惑いながら付いていく。その中で、フードを被っていた男は焦っていた。 気付けば、金髪の男は居なくなっていたことに気付いた男は、被っていたフードを取って息を吐いた。そしてそのまま座り込む。

(はあ……警察官も楽じゃねえな……これ終わったら、有給むしり取ってやる。)

浅く息を吐いて空を見上げた。何時の間にか、エルフーンが頭に乗っていたが、男は気にせず腕に抱いた。この男は、裏取引の情報を嗅ぎ付け、潜入捜査を行っている、国際警察官の刑事、シュロである。腕の中に移動させたエルフーンの♀、フォンは、彼の手持ちの一匹である。

「フォン、これ終わったら、必ずヒウンアイス食べような。」
「える!」
「……約束な。」

彼女が差し出した右腕に、自身の右手小指を当てて、指切り拳万と呟くと、彼女をボールの中に戻し、フードを被り直した。

「待って。」
「…………。毒蛇?」
「怪しいと思ったら……あなた、ヘリオライト?」
「あんたにも、俺のコードネームが伝わってるとはね……光栄だよ、キャシディ・マーニー。」

苦虫を潰したような、険しい顔付きで、現れた女を思いっきり睨み付けた。女、キャシディの隣には、こちらでは珍しいアーボックが威嚇している。キャシディは、アーボックを撫でて落ち着かせると、シュロの方へと向き直った。

「探している子はこの子かしら?」
「!あんた、知っててわざと……!!」
「この子がほしくて取り入ってたけど……興が剃れて、あんたのターゲット、眠らせちゃった。この子はそのお詫びの品よ。」

彼女がシュロに差し出したのは、一匹の、色違いのヒトモシ。恐らく♀である。福寿草の花が咲く、小さな鉢植えに寄り添って、ぐっすりと眠っていた。花が燃えないと言うことは、恐らく特性はもらいびだろう。お詫びの品と述べた彼女に不信感を募らせたシュロだが、大人しく色違いのヒトモシを受け取った。

「……辺りが騒がしいわね。起きちゃったかしら?」
「かもな……さて、暴れ時かな。」
「逃げないの?」
「残念ながら、ここの連中を全員しょっ引くつもりさ…………あんたの分の手錠は、残念ながら今回は持ち合わせていないけどね。」
「そう、それは残念……ああ、そうそう。その福寿草、私からその子への贈り物よ。」

それだけ告げて、毒蛇、キャシディ・マーニーは、フワライドに掴まり、アーボックをボールに戻すと、ブラックシティのビル群に囲われた空へと、ゆっくりと上昇して行った。シュロはそれをそのまま見つめると、自分が一番信頼する相棒・ワルビアル(♂)のヴィックと共に、黒の街へと舞い戻って行った。




「痛ってえ!?」

消毒液が突然、たっぷりと傷口に付けられて、シュロは思わず声を上げた。消毒液を付けた張本人は、彼の弟のようだった。

「兄さんのばか野郎!なんであんな無茶するのさ!!」
「ちょっ、リンドウ、うるさい!シンフーが起きる!!」
「……え?誰のこと?」
「ん。」

指さす先には、未だぐっすりと眠る、色違いのヒトモシ。ケージから出されて、椅子に座り込む、彼の相棒のワルビアルの膝の上にいる。そのヒトモシの近くには、ケージの中に一緒に入っていた、福寿草の植木鉢。エルフーンが、ジョウロで水を上げていた。

「シンフー?」
「そう。幸福って書いてシンフーね。」
「へえ……随分と深い意味合いで。」
「まあなぁ、『色違いは全部私の物だ!!』とか何とか言って、虐待死させたりしてたヤツだったからなぁ。」
「え……じゃあ、この子も?」
「おそらくな……まあ、ちょっとずつ、彼女の傷を癒してやるつもりさ。」
「だからって、父さんの二の舞にはならないでね?ヴィックも何とか言ってやってよ。」

そう告げたリンドウに、それは無理だと言わんばかりに、彼のワルビアルは首を振って、ヒトモシの顔を優しく撫でた。

「父親みたいだぞ、ヴィック。」
「!?」
「本当だね……兄さんを頼むよ、お父さん?」

そこで俺のことを言うのは違うだろう、とか、じゃあ誰が兄さんのストッパーになるのさ、とか、いろいろと言い合いを始めた主とその弟を見つめて、ヴィックは福寿草の鉢植えの土に刺さっていた、小さな紙を手にとった。それを見つめて、ヴィックはふ、と笑うと、黄色い愛らしい花の近くにそれを置き、このあと正式に、6匹目の仲間となるであろう、小さな小さなロウソクの霊を愛で始めた。



「福寿草:キンポウゲ科の多年草 アジア北部に分布。シンオウのテンガン山とジョウトのシロガネ山にも咲いている。季節は2〜5月。花の色は黄色。花言葉は、回想・思い出・幸福を招く・永久の幸福。」


*あとがき*
最後はヒウンアイス食べながら終わらせるつもりが違う形になった!
ですが、結果的にほのぼのになったのでいいです。

ずっと書きたかった話がようやく書けました。
福寿草の花言葉を見た瞬間「これだああ!!」 と思いました。

色違いのヒトモシって可愛いですよね。
私の書くワルビアルが本当にお父さんみたいですよね。
他にもツッコミどころ満載かもしれませんが触れません。

感想、お待ちしております。


【書いてもいいのよ】
【描いてもいいのよ】
【批評してもいいのよ】


  [No.2654] 【愛を込めて】Promised morning【花束を】 投稿者:NOAH   《URL》   投稿日:2012/10/01(Mon) 13:48:15   109clap [■この記事に拍手する] [Tweet]


部屋着のまま、夜中にコンビニに出掛けたり
初めて行ったデートのイタリアンの店に、もう一度行ってみたり
話のオチを話す前に、思い出し笑いをすぬ彼女の口に
キスを落として、そのまま彼女の抗議を無視して腕に抱き留めて眠ってしまったり

俺のノクタスと彼女のキレイハナと共に、小さなアパートの窓際にある
白い花を咲かせたばかりのクチナシの花に水をあげたり……。
日々、何気ない日常を、恋人として暮らすうちに、俺はこう思ったわけだ。

彼女と、ミサと結婚して、家族を作って、そして彼女や子どもや
ポケモン達に囲まれて、幸せにこの命を終えたいと。



まだ少し濡れている髪を纏めたまま、ミサはソファの上で胡坐をかき
クルミル人形を抱いて、お笑い番組を見て笑っている。
俺もその横で、サザンドラのシルエットが描かれているクッションを
彼女と同じ体制で抱いて見ていた。
そのソファの向かい側では、ノクタスが彼女のキレイハナを
俺たちと同じ体制で抱いてテレビを見ていた。
あの2匹も、同じ草タイプだからなのか、中睦まじく過ごしている。

窓際のクチナシの花を見ていると、何時だか友人が教えてくれた
この花の花言葉を思い出していて、何だか咄嗟に感じた想いを
突然、彼女に伝えたくなった。

「ミサ。」
「なあに?リョウ君。」
「こんな時に言うのも何だけどさ。」
「うん。」
「……結婚、しようか。」
「…………。」
「……ミサ?」

あれ、固まっちゃった……?
やっぱり突然過ぎたかな……。

「ミサ、聞いて?突然過ぎたし、本当に、こんな時に言うのも何だし
今更過ぎるけどさ……俺と、結婚して下さい。」
「……私と?」
「うん。俺はミサとがいい。」
「……私で良ければ、喜んで。」
「ありがとう……指輪、買いに行かなきゃね。」
「えー、まだ買ってないのにプロポーズしちゃったの?」
「だって、たった今決めたもん。」
「……なら、仕方ないね。」

幸せそうに笑う彼女を見て、改めて、明日から
新しい一日が始まるのだと感じた。ノクタスとキレイハナが
俺たちの側にきて、2匹もおめでとう、とでも言うように鳴いた。

「あ、いつみんなに報告しようか?」
「それも明日でいいと思うよ?」
「そうだね……ねえ、そろそろ寝ようか。」
「……そうだね。」

テレビの電源を落として、部屋の明りを消すと
俺とミサは、すぐ横の部屋で横になった。
少しして寝息を立てる彼女をそっと抱いて
暗闇に慣れた目で時計を見れば、2つの針は
12の数字と重なっていた。

「……お休み、ミサ。」

明日は少し冷えるらしいから、温かいスープを作って
俺よりちょっとだけ寝起きの悪い君を起こしに行くよ。



目を覚ませばそこには 君がいると約束された
そんな 幸せの朝を迎えに行こう


「クチナシ・アカネ科常緑低木。原産地はジョウト〜ホウエン。
季節は6〜7月。花の色は白。花言葉は『とても嬉しい』『幸運』『幸せを運ぶ』。」

*あとがき*
久しぶりに大好きなポルノグラフィティの曲を聞いたらビビッ!と来ました。
そしてその曲をイメージソングとして起用して、この曲に合いそうな花言葉を探した結果
クチナシの花になりました。花束を上げると言うより、幸せを与えるという形になりましたね。
曲の歌詞から少しずつ、自分なりに解釈してアレンジしています

プロポーズと言うと、サプライズとか色々考えるだろうけど
私はこんな風に、飾りっ気もムードも何もない、当たり前の日常で
言われたいと思ってる人間なので、そのイメージを最大限に膨らませて書かせて頂きました。
結婚に関する話を書きたかったので、私としては満足の行く作品になりました。

皆さんも、花言葉から何か書いて見て下さい。
より、ポケモン愛が深まると思いますよ。

イメージソング
ポルノグラフィティ:約束の朝


【書いてもいいのよ】
【描いてもいいのよ】
【批評していいのよ】