生暖かく、そして優しい感覚。
ゆらゆらと心地よい揺れを感じながら
優しい暗闇に抱かれながら、聞こえてくるのは人の声。
穏やかで、ゆたっとしていて、砂糖菓子のような甘さが、優しく、優しく伝わる。
―――これが、"歌"なのだろうか。
聞こえる声は高めで、どこか儚げで
でもなぜか、とても哀しそうで――――………。
その『声』や『音』や『歌』は
次第にぐずっていき、それは誰かの『泣き声』になる。
どうしたの。なんで泣いてるの。
そんな風に思ってしばらくして
闇は突然、激しい痛みを与えてきた。
――怖いよ。 助けて。 痛い……痛いよお。――
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い―――――…………
『『う"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』』
叫び声のような悲痛な『何か』が
すぐ側から、そして、私らしき『何か』からも発せられる。
なぜ私は、叫んでいるのだろう
なぜこんなにも、悲しいのだろう
なぜこんなにも、悔しいのだろう
なぜこんなにも、憎らしいのだろう!!
ふいに聞こえた
『ごめんね。』の一言で
私は何も考えられなくなっていた。
私は結局
『何者』にもなれやしなかった。
****
―――――――……………。
―――――………れ………。
―――――……あ………れ………。
「アマレロ!!」
『プリュ!?』
「やっと起きたか………。どうした、うなされてたぞ。」
目の前には、私の大好きな長身のご主人。
その横には、車いすに乗った、ご主人のお姉さん。
簡単に言っちゃうと、私の弟の主がいた。
「ずいぶんひどいうなされ方だったね………前世の記憶でも見たのかい?」
「前世も何も、こいつらプルリルは水子の霊だから、母親の胎内にいた時の夢じゃないのか?」
「………そうかもね。それなら、アマレロもアッサムも、うなされていたのに納得がいく。」
見た目がほぼそっくりな2人。
だけど、身長差も、性別も、目の色も違うご主人方は
私と弟の頬にす、っと手を寄せる。
私はご主人の大きな手が大好きだ。
すらっとしていて、とても力強くて、たくさんの人やポケモン達を守ってきた手だから。
「………さて、アマレロもアッサムも大丈夫かい?平気そうなら、依頼を追行してくれ。」
「なんだ。また密猟か?」
「まあそんなとこだね。リンドウ達も出払ってるから、頼むよ?ヴィンデ。」
「あぁ。………で、リラは?どうすんだ??」
「いつもの買ってきて待ってるよ。
みんな揃って好きだからねぇ、ヒウンアイス。」
「味の好みは完全にバラバラだけどな………。」
「ふふっ、いいじゃないか。その方が、ウチららしい。」
車いすに座って笑う、ご主人のお姉さんに釣られて
弟もケラケラと笑い声をあげながら、くるくるとその周り回っている。
楽しそう、と思って、私もご主人の周りを笑いながらくるくる回り始めたが
少しも楽しめない内にボールの中に戻されてしまった。
「はしゃいでるヒマはないぞ、アマレロ。………じゃ、行ってくる。」
「いってらっしゃい。」
ボールの中から聞こえるご主人方の短い会話に
なぜだか胸の辺りがチクリと痛んだけど
これから大好きなご主人と一緒に仕事ができることが楽しくて、胸がドキドキと高鳴っていた。
―――あぁ、そういえば私。
何の夢を見ていたんだっけ。
***
お久しぶりです。NOAHです。
なんか色々あって3カ月くらいマサポケに来てませんでした。
企画参加したかったんですが環境的に無理だったので今回は読み側に徹底させていただきます。
今回はプルリル♀のお話し。
どっかでプルリルは母親の胎内で死んでしまったり
下ろされた子どもの霊と聞いて気付いたら書いてました。
それにプルリルは個人的に大好きだったし、ちょっとダークな雰囲気のお話し書きたかったので、今回頑張って挑戦しました。
ぜひコメント、もしくは拍手をお願いします。
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