「遅くまでごめんね。今日はありがとう」
「いえ、こちらこそありがとうございました!」
2人のトレーナーが対戦を終え談笑している時、傍らにはバトルに参加したポケモン達が休んでいた。
その中に1匹、他のポケモン達より明らかに疲れている様子のマリルリが大の字で寝ていた。
彼は先程相手のマリルリの「きあいパンチ」を鳩尾にモロに喰らい、そのままKOされてしまったのだ。
「うー……」
「おい、大丈夫かはまち」
隣にいたメガニウムが、うめくマリルリを除きこんだ。
「きゅうり……見りゃ分かるだろ。これのどこが大丈夫そうに見えるんだよ」
「まあそうだよな。よしよし」
メガニウムはそう言うとマリルリの頭をひと撫でした。
「あんた達何イチャついてんのよ。おとなしくしないとまた燃やすわよ」
そのやり取りをエルフーンを頭に乗せながら聞いていたハピナスが大きな声を出した。
「勘弁してくれよ、もーこりごりだっての。どうせならその綿毛燃やせよ。相手あからさまに嫌な顔してたぞ」
「コットンはいいのよ。可愛いから。ね」
「うんー、燃やさないでー」
エルフーンはそう甘えた声で言うとハピナスにしがみついた。
「あー可愛い。あんた達とは大違いね」
「くっそ……媚びやがって……」
メガニウムはエルフーンのあざとさが気に食わなかった。もし自分に甘えてきたら速攻逃げたい。
「そーだ、あの猿野郎はどこ行った?」
メガニウムは辺りを見渡す。すると。
「さっきのきあいパンチ、かっこよかったよー! 俺、強い女の子ってめっちゃ好みなんだよねー! どう? この後一緒に夜のハネム〜ン☆にでも行かない?」
はまちを地に叩き伏せたマリルリを口説いているゴウカザルがいた。
「あのやろー……何がハネムーンだ」
「きいいいい、燃やしたいわあああ」
「おう燃やして来い。存分にやってこい」
「あたしだけじゃ無理よ! あ、とび! 来なさい!」
「え、え、え、何ですか!? わああああ、引っ張らないで下さいーーーー!!!!」
頭にエルフーンを乗せ、怒りに満ちたハピナスが困惑顔のトゲキッスを引きずっていくのを横目で見ながら、メガニウムはマリルリの寝顔を見つめていた。