お母さんは悩んでいました。子供が夜に泣き止まずなかなか寝付かないのです。困ったお母さんは、お婆さんに相談しました。するとお婆さんは、古くから伝わる子守歌を教えてくれました。
ららら。ららら。
これで子供をあやしながら寝かしつければ、たちどころに眠ってしまうよ。そうお婆さんは言いました。
ららら。ららら。
お母さんは子守歌を歌います。腕の中で赤ちゃんはすやすやと眠り始めました。もうお母さんは夜泣きに悩む事はなくなりました。
ガルーラのお母さんは困っていました。子供が夜に泣き止まずなかなか寝付かないのです。お母さんは袋を揺すりながら夜の道を散歩しました。少しでも袋の子の気を紛らわそうとしたのです。
するとどこからか歌が聞こえてきました。
ららら。ららら。
歌の聞こえるほうに近づいていくと、人間の家がありました。明かりの下、人間のお母さんが子守歌を歌っています。
これだわ。
ガルーラのお母さんは思いました。
るるる。るるる。
ガルーラのお母さんは一生懸命歌を覚えて歌いました。すると袋の中の赤ちゃんはすやすやと眠り始めました。もうガルーラのお母さんは夜泣きに悩む事はなくなりました。
ムウマの女の子は悩んでいました。仲良しの女の子はずっと病気がち。夜になると苦しみ始めるのです。熱が出て、咳が止まりません。
ゴホゴホ。ゴホゴホ。
女の子は一晩中、そうやって苦しみ続けるのです。
夜が来なければいいのに。
女の子はいつも言っていました。
そんなある夜のこと、何か女の子を喜ばされるものはないかとムウマが空を飛び回っていた時のことです。彼女はどこからか歌が聞こえてくるのに気が付きました。
るるる。るるる。
歌の聞こえるほうに近づいてみると、袋をぽんぽん叩きながらガルーラのお母さんが子守歌を歌っています。見れば赤ちゃんは袋の中ですやすや。
これだわ。
ムウマの女の子は思いました。
これを聴かせてあげたなら、あの子もきっと眠れるに違いありません。
ムウマは一生懸命そのメロディを覚えると、女の子のもとに飛んで帰りました。
ゴホゴホ。ゴホゴホ。
ベッドの中で女の子は相変わらず苦しそうにしています。
ムウマはさっそく先ほど覚えてきた歌を歌い始めました。
ららら。ららら。
るるる。るるる。
ムウマは歌いました。
ららら……ららら……
るるる……るるる……
ムウマは歌いました。
どうかこの子がぐっすり眠れますように。苦しまずに眠れますように。
ずっとずっと眠れますように。
ムウマは心をこめて歌いました。
女の子は聞き入っていました。そのうちに咳も収まって、眠ってしまいました。
ベッドの中、彼女は気持ちよさそうに目を閉じていました。
ああ、よかった。やっと眠れたんだね。
ムウマはにっこりと笑いました。
女の子はもう咳に悩む事はありませんでした。眠れなくて困る事もありませんでした。
彼女はもう、二度と苦しむ事はありませんでした。
---------------------------
鳥居用に書いたけど記事としても小説としても中途半端なんでここにはっときますね。
いやその小説部門でもよかったんだけど、最後にこれは後味悪すぎる。