うちの先生の話をしよう。
先生は、太ってる割にあまり食べない。
以前昼食を見せてもらったら、木の実数個とパン、それに牛乳だけだった。
思い出してみると、修学旅行先の食事も他の先生に上げていた。
誰も気に留めなかったけど、私は気になった。
不思議なことがある。
先生は古典を担当しているんだけど、その時に限って、すごく眠くなる。
お昼が終わった後だからかもしれないけど、それにしても眠い。
うっかり寝てしまい、友達に起こされることなんてザラだ。
でも先生は怒らない。
先生は小説をよく読む。
面白い話が好きらしい。
以前授業で、物語を一人ずつ書いた。
皆面白かったけど、先生は私の話を一番褒めてくれた。
『とても夢がある話だ』と言ってくれた。
私は普段から子供っぽいと言われていたので、すごく嬉しかった。
……そういえば。
友達は先生の授業、一度も寝たことがないらしい。
むしろ、私が何で毎回寝てしまうのか不思議だと言っていた。
先生の授業は面白くて、寝る暇なんてないという。
私もそう思う。でも、
あのゆったりした声を聞いていると、
脳に直接語りかけてくるような声を聞いてると、
知らぬ間に眠くなって、
私は寝てしまうのだ。
そういえば、もうひとつ。
最近、一度も夢を見てない。
あれだけ寝ているなら、一度は見てもいいはずなんだけど。
うちの先生は、スリープみたいだ。
なんというか、目つきがそれにそっくりなのだ。
おまけに太ってるし、背は低いし。
だから皆、陰で彼のことを『スリープ先生』と呼ぶ。
本人も満更じゃなさそうだ。
だって、
あのスリープみたいな目を、キュッと細めるから。