前に進むことしかできない僕を
綺麗すぎる黒い眼球が歪ませれば
嘘の笑顔で裁くけど
嘘の笑顔じゃ裁けない
粉々になったものを更に粉々に出来れば
僕はずっと清潔でいられる
振り切れた磁石は戸惑いなど見せず
目の前の光に光を指す
けれど足についた肌色の鎖が
そっと逃がそうとしてくるから
むしろこの場にいたくなる
朝がくるのを待ちたくなる
鋼鉄の壁を壊したふりをして
一つのことしか考えられないふりをして
吸い取った目的を吐き出せばいい
――――No.111 サイホーン
絨毯の上でバランスを取れば
誰がよろめいてくれるおかげで
暖かい海水が流れてくる
みんなは肩を抱き寄せて
喜びの雫を撒き散らす
光は瞬く間に全てを飲み込んで
太陽に負けない世界を作り出す
頭の先は生え変わる
狂った匂いなど退ける
これが成長の証だと
背が伸びすぎた灯台が叫んでいる
何かがおかしい思ってる
どこかに妙な渦潮がこびり付く
でも取りあえず養分を下さい
――――No.222 サニーゴ
貴方は有りのままでいろと言った
全ての爪垢を一つの黒箱に集めろと言った
今日は夜空を駆け巡った
星の光はかわいかった
妙な行き先を亡くしてくれた
落下に馴れた鈴の音が
泉と正義の波長に近く聞こえた
全部ぐちゃぐちゃになればいいと愚痴を零す私すら
優しく包み込む風を叩き捨てて
夜空を軽く突き抜けた
貴方は有りのままでいろと言った
全ての爪垢を一つの黒箱に集めろと言った
だから私は飛び立った
汚れた翼は綺麗だと騙して
――――No.333 チルット
過激な主張を錆びつかないように
更に尖らせ自分に刺す
これぐらいでは痛くはない
地面を抉る揺れがない
しばらく溜めた宝石を
重ね合わせ新しいものを作り出す
それで悦に浸った自分の表情
潰れればいいと心から願う
何も輝くな
何も見えなくなるから
過激な主張を生み出して
何が生まれる?
歩き出せる?
どうせ全てまた切り裂いてしまうくせに
――――No.444 ガバイト
黒く塗り潰されてしまうなら
最初から暴れなければいいのに
心臓が変な悲鳴を上げている
掠れるものを許さないと叫んでいる
砂漠の真ん中に残しておいた匂いは
再びこの体を纏おうとする
夜になって心を研ぎ澄ませる
乱れが容赦なく混ざってくる
もうやらないと決めていたのに
背中を押さないで 押さないで
これ以上後悔したくないから
背中を押さないで 押さないで
これ以上何も壊したくないから
黒く塗り潰されてしまう歴があるから
もうやりたくなんてないのに
――――No.555 ヒヒダルマ
私たちは羽の模様が違うようです
一匹一匹違うようです
でもこの間同じ模様と出会いました
私は彼のことを好きになりました
翌日彼を見たところ
羽の色が変わっていました
私は彼を嫌いになりました
更に翌日彼を見ると
紫色の物体でした
紫色の物体は嘲笑してどこかへ逃げてしまいました
――――No.666 ビビヨン