「 王国兵の直剣 」
王国の兵士たちに支給された直剣。
腕に巻くための帯が柄頭から伸びており、戦いの際に取り落とさないよう工夫が施されている。
この剣を与えられた者の多くは民兵であり、武勲に応じて騎士の位を授けることを約束されたが、手柄を立てる者は稀だった。
また練度に乏しい民兵の武器には槍や弓が好まれたために剣は補助でしかなく、抜く時は決まって命を落とす間際だったとされている。
「 双剣士の直剣 」
ある剣士が使っていたという二本の直剣の片割れ。
柄頭の帯を掴んで振り回すことで、槍にも劣らない間合いの広さを発揮できる。
元の持ち主は槍よりも直剣を好み、帯を使った戦法で槍兵に勝る活躍を見せた。
戦場で倒れた友の剣を受け継いでから、剣士は敵陣のただ中で二本の剣を扱い武勲を立てた。その様は嵐に例えられるほど苛烈だったという。
「 双剣の鞘 」
交差した形状の鞘。
二本の直剣を収めることができる。
戦友の剣を受け継いだ剣士は、二本の剣を別々にせず同時に収められる鞘を用意した。
それは帰る場所を同じくする友への哀悼だったのかもしれない。
「 騎士の大剣 」
複数の剣を溶かし混ぜ合わせて造られたという大剣。
鍔から二本の帯が伸びており、これを掴んで振り回すことができる。
元の持ち主は戦友を大切に思う人物だった。
戦友が倒れる度に剣を遺品として預かり携えていたが、やがて背負いきれなくなると一振りの大剣に造り替えた。
戦友たちの死を背負う騎士は無双の強さを誇ったが、幾人もの無念の末に造られたこの剣は闇の様に貪欲な野心を宿した。
「 騎士の円盾 」
剣の鞘を複数組み合わせたような模様のある円盾。
大剣の鞘としての機能を持つ。
この鞘に収められるべき大剣は戦友の死を重ねるにつれて大きくなっていった。
やがて大剣が鞘からはみ出し騎士の背にも余るようになった時、騎士の肉体が鞘となった。